【一口コラム】 ペンタックス Optio S1 デザインに秘められた実力 〜「ZIPPOみたいなカメラですね」 一定以上の年代の方は、磨き上げられたアルミボディのOptioS1を見ると、ZIPPOライターを想起するかもしれない。クローム、ブラック、グリーンのそれぞれが質感と仕上げにこだわって作られており、とりわけアルミ合金をパフ仕上げしたかのようなクロームモデルは、ひときわ目立つ。不用意に触るとたちまち指紋が付着する外装は、デジタルカメラというよりはガジェットとしての趣を持っている。 本体上の製品名称も、プリントではなくレーザー彫刻によって記されており、OptioS1は「物」としての新たな方向性を示す製品に仕上がっている。 OptioS1に接すると、まずは美しい外観に目を奪われるが、コンパクトデジタルカメラとしての基本性能にも、きちんと目配りがされている。手のひらの中に十分納まる小型ボディの中には、有効1400万画素1/2.3型CCDセンサーと35mm換算で28mmから140mmまでの光学5倍ズームが搭載されている。また、CCDシフト方式の手振れ補正機能とともに、ISO6400までの高感度設定が可能となっている。トイカメラやレトロなどのデジタルフィルター機能も、最近のトレンドに沿って実装されている。 現在、いわゆるデジタル製品の境界線がどんどん流動化しつつある。パソコン、カメラ、ビデオカメラ、携帯電話、音楽機器、テレビ、ビデオデッキ等々、以前であれば各々が独自の分野を築いていたものが、お互いへの相互参入によって新たな競争が生まれている。たとえばパソコンでテレビやビデオのシステムを構築可能であるだけでなく、逆にテレビでネットを楽しむこともできる。似たことは以前もできたが、当時と決定的に違うのは、デジタル技術の進展により、クオリティやコスト面で、十分競争できるものが提供されるようになった点である。 スマートフォンの急速な普及は、単に旧来型の携帯電話だけでなく、可搬型のモバイルパソコンや携帯型音楽プレイヤー、さらには携帯型のゲーム機器でさえも市場から淘汰しかねない状況を生み出しつつある。 コンパクトデジタルカメラも同じである。一方でスマートフォンや携帯電話に侵食をされ、他方でビデオカメラから派生した製品にも脅かされはじめている。今後、この分野がどのように再編されていくのかはわからないが、少なくとも現在のジャンル分けは意味を持たなくなっていくことだけは明らかである。 そうした時代に、製品が生き残っていくための方向性の一つが、「物としての魅力」を前面に出すことである。もしかすると生き残るのは、カメラとしての最先端の機能をもった製品ではなく、一般的な使用には十分なレベルの機能に留まるものの美しいボディを持つ製品なのかもしれない。 |
【厳選レビュー記事】 ◎デジカメWatch 写真で見るペンタックスOptio S1
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