新たなソニーの挑戦 ~いよいよ統合されるレンズシステム

SONY α7M2 ILCE-7M2

 ソニーから、手ぶれ補正システムを搭載したフルサイズ・ミラーレス、α7II ILCE-7M2が登場しました。

 今までフルサイズのイメージセンサーを搭載したデジタルカメラでは、手ぶれ補正システムを内蔵したものはありませんでしたので、世界初ということになります。このこと自体も十分なニュースバリューがありますが、製品発表を見て強く感じたのは、「いよいよソニー・レンズシステムの統合がスタートした」というものです。いうまでもなく、ミノルタ時代からの歴史と蓄積のあるαマウント(Aマウント)は、ソニーのデジタルカメラにとって重要な資産です。その意味では、いかにAマウントからEマウントへとスムーズに移行するかが、ソニーのミラーレス戦略における最重要課題であり、それに対する答えがα7IIだと思います。

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デジタルカメラのトレンド

SONY α77II ILCA-77M2

 フィルム時代にもカメラのトレンドはありましたが、デジタルカメラでは今まで以上に「トレンド」を感じます。

 その理由は明らかで、デジタルカメラの主要部品であるイメージセンサーや液晶パネルなどは汎用製品としての面を強く持っているからです。もちろん、異なる製品にまったく同じ部品が搭載されることは少ないですが、逆にすべて1から設計された主要部品が搭載されることはさらに少ないと言えます。

 こうした事情はイメージセンサーや液晶パネルといった比較的独立した部品だけにとどまらず、画像処理エンジンやオートフォーカスモジュール、Wi-Fi等でも多かれ少なかれ同じ状況となっています。その結果、その時々の機能や性能強化の方向性はトレンドとして形作られることになります。

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デジカメの進化で変わりつつある交換レンズのトレンド

SONY LENS

 デジタル一眼レフやミラーレスカメラの初心者にとって、「次のレンズ選び」は大きなテーマです。カメラ本体と一緒についてきた標準ズームや望遠ズームでも一通りの撮影はできますが、やはりレンズを揃えることで撮影や表現の幅を大きく拡げられるのがレンズ交換式カメラの魅力であり、その意味でも「次の1本」は慎重に選ぶ必要があるかもしれません。この「次の1本選び」については、ちょっと長文ではありますが、「レンズの種類と選び方のポイントは?」を読んでいただければと思います。

 さて、この記事を整理している時に改めて感じたのは、デジタルカメラの進化によってレンズのトレンドも変わりつつある、ということです。もっと具体的に言えば、イメージセンサーと画像処理エンジンの進化によって、フィルムカメラよりも飛躍的に高感度性能が向上したことが、レンズのトレンドに変化をもたらしているのではないか、ということになります。

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日経ビジネスに掲載されました!

日経ビジネス記事

 先日、「『ミラーレスカメラはガラパゴス化する』のか?」を掲載しましたが、実はその趣旨を日経ビジネス編集部にもお送りしていました。「投稿」として行っていたわけではなかったので気づくのが遅れてしまいましたが、先週金曜に発売された「日経ビジネス 2014年5月19日(No.1741)」の「往復書簡」にその内容が掲載されておりました。

 最新号ですので、関心をお持ちになられた方はぜひ書店で購入していただくか、デジタル版の購読を検討していただければと思いますが、概ね次のようなものとなっています。

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ソニーの快進撃は続く?

ソニー サイバーショット DSC-RX100M3

 本日、日本でもソニーの新製品3機種が正式発表となりました。デジタル一眼レフのα77II、4K動画対応のα7S、ポップアップ式EVF内蔵のDSC-RX100M3です。いずれの機種も発売が待望されていたメイン機種であり、異なるセグメントの主力製品が同時期にリリースされたことに、改めてメーカーとしての層の厚さを感じます。

 各々の機種の特長や注目すべきポイントなどについては、下記の紹介記事を見ていただければと思いますが、ここではこれらの製品全体にわたっての印象を記したいと思います。

(写真はDSC-RX100M3のポップアップ式電子ビューファインダー)

 α77II:高速化されたAPSクラスのハイエンド・デジタル一眼

 α7S:4K動画対応のフルサイズ高感度ミラーレス

 DSC-RX100M3:EVF内蔵の「The 高級コンパクト」登場!

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急速に進化しつつあるデジカメ連写性能

やり投げ

 デジタルカメラの進化にはトレンドがあります。デジカメはコンピューターと同じように個々の基幹部品の組み合わせによって出来上がっているため、その時々の部品の進化に大きく方向づけられるからです。そしてこのことは、逆にデジカメの進化方向によって、要素部品の進化も方向づけられ、結果としてデジカメ自体の進化がさらに進められる、という相乗効果にもつながっていきます。

 一、二年前から目立ってきた進化のトレンドは、裏面照射型CMOSセンサーの採用が象徴するように、「高感度性能の強化」でした。これに加え、ここ最近は「連写性能」をはじめとする処理スピードの強化が急速に進んでいます。この背景には、イメージセンサーや画像処理エンジンのパフォーマンスの向上があります。

 今回、デジタル一眼レフやミラーレスカメラ、高級コンパクトカメラの連写性能と連続撮影枚数をチェックしてみると、こうしたトレンドが改めて確認できただけでなく、処理スピードの強化についてはまさに進化プレセスが進行中であることも見ることができました。具体的な結果については、「デジカメの連写性能<デジタル一眼レフ・ミラーレスカメラ編>」「デジカメの連写性能<高級コンパクト編>」を参照していただくとして、ここでは印象に残った点について書いてみたいと思います。

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デジカメ各社、新しい飛躍に向けて

日本経済新聞

 ゴールデンウィークも本日で終わりますが、充実した休日を過ごせましたでしょうか。今年は暦の上では前半と後半に分かれてしましまいましたが、28日(月)も休みを入れて2回の4連休を楽しまれた方もいらっしゃることと思います。いずれにしても、これからしばらくは祝日がありませんので、仕事や勉学に励んでいただければと思います。

 先日は、「日経ビジネス」誌の記事「ガラパゴス化するミラーレス」について触れました(詳細は「ミラーレスカメラはガラパゴス化するのか?」をご参照ください。)が、本日は日経新聞の朝刊に「カメラ大手、レンズ充実~品ぞろえで需要発掘」という記事が掲載されました。こうした記事を見ると、ビジネスという視点に立った時、デジカメや映像機器の占める位置が決して小さくないことを改めて感じます。少なくともフィルムカメラ時代には、これほど大きくは取り上げられていませんでしたので、デジタル化によって市場規模自体が大きく拡大したことの反映でもあると思います。

 日経新聞の記事では、レンズの品ぞろえを増やしたり、アフターサービスを充実させることで、カメラ事業の収益向上に取り組む姿が記載されています。

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デジカメの賢い買い方 ネット? 家電量販店? カメラ専門店?

ニコン ダイレクト 楽天

 そろそろ夏のボーナス時期が近づいてきました。まだまだ景気の回復には至っていませんが、それでも昨年よりはちょっと期待できる方も増えてきたのではないかと思います。
 デジタルカメラも年々安くなってきましたが、それでもデジタル一眼レフやミラーレスカメラは気軽に買える価格ではありません。ボーナス時期は、大型家電やコンピューター等が多く売れる季節の一つであり、デジカメも例外ではありません。
 ボーナス時期に狙いを定めて、余念なくデジカメ選びを進めてこられた方も多いと思います。検討に検討を重ね、やっと買うべきカメラやレンズが決まったら、最後の悩みどころは「どこで買うか?」ということではないでしょうか。
 以前であれば、近所のカメラ屋か大型量販店くらいしか選択肢はありませんでした。しかし最近では、ネット通販やメーカー直販など選択の幅が大きく広がっています。買うなら1円でも安い方がいいものの、万一不良品に当たってしまった時の対応や使い方に迷った時のサポートなどを考えると「安ければよい」と簡単には割り切れないかもしれません。
 ここでは、すでに買うべきカメラをある程度絞ることができた方が、実際にどこで買うのがいいのかを整理してみたいと思います。

TIPA2014が決定しました!

Nikon Df

 TIPA2014が発表されました。
 TIPA(Technical Image Press Association)とは、1991年に創立された写真・映像雑誌の独立団体です。年1回の表彰の他、カメラテストやメーカー・研究所の見学・交流会などを行っています。TIPA日本語ページ
 2014年の主な受賞結果は次の通りですが、概ね妥当な選定結果であるように感じました。
(写真は最優秀プレミアムカメラ賞のNikon Df。)

フルサイズとAPS-Cサイズ、どちらを選ぶべき?

ソニー α7 イメージセンサー

 最近の傾向の一つにイメージセンサーの大型化があります。コンパクトカメラの分野で描写性能を重視した高級コンパクトが増えてきたこともそうで、今やすべての主要メーカーが高級コンパクトをラインアップしています。
 同じことがレンズ交換式カメラでも見られます。現行機で35mmフルサイズのイメージセンサーを搭載したレンズ交換式カメラは、キヤノンとニコンのデジタル一眼レフ各3機種と、ソニーのデジタル一眼α99、ミラーレスα7/α7Rの計8機種ですが、ペンタックスや富士フイルムを含め他社に関する噂情報もたびたび流れています。
 言うまでもなく選択肢が増えることは好ましいことです。しかし、新たにレンズ交換式カメラを購入しようとするとき、従来から主流であったAPS-Cサイズのものを選ぶべきか、あるいはちょっと無理をしてもフルサイズにした方がいいのか、迷われる方も増えているのも確かです。ここでは選択のポイントについて整理してみたいと思います。
(写真はソニー α7のフルサイズイメージセンサー。)