急速に進化しつつあるデジカメ連写性能


やり投げ

 デジタルカメラの進化にはトレンドがあります。デジカメはコンピューターと同じように個々の基幹部品の組み合わせによって出来上がっているため、その時々の部品の進化に大きく方向づけられるからです。そしてこのことは、逆にデジカメの進化方向によって、要素部品の進化も方向づけられ、結果としてデジカメ自体の進化がさらに進められる、という相乗効果にもつながっていきます。

 一、二年前から目立ってきた進化のトレンドは、裏面照射型CMOSセンサーの採用が象徴するように、「高感度性能の強化」でした。これに加え、ここ最近は「連写性能」をはじめとする処理スピードの強化が急速に進んでいます。この背景には、イメージセンサーや画像処理エンジンのパフォーマンスの向上があります。

 今回、デジタル一眼レフやミラーレスカメラ、高級コンパクトカメラの連写性能と連続撮影枚数をチェックしてみると、こうしたトレンドが改めて確認できただけでなく、処理スピードの強化についてはまさに進化プレセスが進行中であることも見ることができました。具体的な結果については、「デジカメの連写性能<デジタル一眼レフ・ミラーレスカメラ編>」「デジカメの連写性能<高級コンパクト編>」を参照していただくとして、ここでは印象に残った点について書いてみたいと思います。


 まず第一に感じたのは、デジタル一眼レフやミラーレスカメラの連写性能が格段に進化したということです。テストしたデジタル一眼レフ8機種、ミラーレスカメラ18機種は、エントリー機からフラグシップまで幅広いものでしたが、いずれもちょっと前のデジタルカメラと比べると連写性能や連続撮影枚数が大幅にレベルアップしていました。

 ただし、連写性能全般が強化された、ということでは正確な表現ではないかもしれません。もちろん、1秒間に撮影できる枚数は増えていますが、とくに進化を実感したのは、連写用のバッファーメモリーが一杯になった後の動作です。一番データ容量が大きく重くなるRAW+JPEGモードでも、ほとんどの機種で概ね1コマ/秒での撮影を続けることができました。運動会での徒競走など、連写性能自体が求められる撮影シーンもありますが、一般的にはそうした連写性能よりも、単写をテンポよくできることが撮影感に大きく関わってくると思います。その意味では、バッファー容量が一杯になった時に連写が止まってしまったり、あるいは次の撮影が可能になるまでの時間が長いと、タイミングを逃しかねません。そうした実質的な部分で強化されている点からは、しっかりとユーザーニーズに目配りがされていることを感じます。

 もう一つのポイントは、連写性能の点ではレンズ交換式カメラとコンパクトカメラの間には、まだまだ差があるということです。

 比較記事の中にも記載しましたが、中にはレンズ交換式カメラに準じた連写性能・連続撮影枚数を持つ高級コンパクトもあります。しかし、それらの機種にしても、テンポよく撮影できるかと言う視点で見ると、もう一息と感じるものも少なくありませんでした。逆に言えば、レンズ一体型でこれだけ小型軽量化したコンパクトカメラで、このレベルまで到達していること自体が素晴らしいことなのかもしれません。また、確かに連写は可能であるものの、実際の撮影シーンではあまり活用できそうもないものもありました。

 その意味では、レンズ交換式カメラで到来した連写性能・連続撮影枚数の進化の波が、今まさに高級コンパクトカメラ分野まで到達しつつあるということなのだと思います。そして、おそらく1~2年後には、一定レベル以上のコンパクトカメラであれば、現在のレンズ交換式カメラと同等の高い連写性能を搭載していることが予測されます。


関連記事:「デジカメの連写性能<デジタル一眼レフ・ミラーレスカメラ編>」

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