デジカメの高感度性能はどこまで進化したか? 2001年 vs 2014年 フィルムカメラと比較したデジタルカメラのメリットの一つは、高い高感度性能です。フィルム時代には、ネガであってもISO800になると「ちょっと高感度」というとらえ方がされていましたし、ISO1600やISO3200になると「特殊フィルム」的な位置づけだったように思います。しかし、今や廉価版のデジカメでさえ、ISO1600以上の設定ができるものが普通であり、ハイエンドのデジタル一眼レフでは、ISO409600という、気の遠くなるような設定も可能となっています。 ●ニコン COOLPIX 5000 <機種仕様:メーカーサイト情報>ニコン初の本格的コンパクトデジカメで、それまでのスイバル式ボディ(カメラ部分が回転する機構)であったのに対し、COOLPIX P7000シリーズにつながるようなデザインを採用。有効5メガ画素の2/3型CCDに明るい光学3倍ズームを搭載した最上位モデルで、希望小売価格も15万円(税別)でした。●ニコン COOLPIX P340 <機種情報> <P330詳細レビュー>ニコンの高級コンパクトP300シリーズの4代目で、有効12メガ画素1/1.7型CMOSに24-120mm相当F1.8-5.6の光学5倍ズームレンズを搭載。P330で内蔵されていたGPSが省略された代わりに、Wi-Fiを内蔵。描写性能もP330を引き継いでいますが、AF合焦時間や撮影タイムラグが短縮されています。
<テスト内容>テスト1:縮小画面での高感度テストCOOLPIX P330とCOOLPIX 5000では、画素数に2倍以上の差があります。まずは、ISO100とISO800、ISO12800(P330のみ)での縮小画像を比較してみます。テスト2:等倍切出し画像での高感度テストCOOLPIX P330とCOOLPIX 5000の等倍画像を切り出して比較してみます。概ね同じサイズで切り出しているため、撮影できている範囲はP330の方が狭くなります。※COOLPIX 5000では、ノイズ除去の設定ができます。ノイズ除去を「ON」にすると、シャッター速度が1/15秒よりも長いときにノイズ低減処理がかかります。今回はすべて「OFF」での撮影となりました。同様に、COOLPIX P330にもノイズ低減設定が可能で、「弱」「標準」「強」から選択できます。今回は出荷時の「標準」でテストを行いました。 <テスト結果>もともと、設定できるISO感度に4段分(P340であれば5段分)の差がありますので、テストする前から高感度性能の違いは予測できましたが、実際に比較してみると思っていた以上にCOOLPIX 5000も健闘していると感じました。イメージセンサーのサイズはCOOLPIX5000の方が一回り大きく、画素数はP330の方が多くなります。単純に1画素あたりの面積を比べると、COOLPIX5000はP330の約3倍となるため、1.7段分、COOLPIX5000の方が有利です。その上で、単純にノイズ感を比較すると、COOLPIX5000は、COOLPIX P330のISO3200とISO6400の中間あたりに相当するように見えます。トータルで考えると、この間のイメージセンサーや画像処理エンジンの進化により、4段分以上性能がアップしていることを実感しました。つまり、2001年当時はシャッタースピードが1秒だったシーンでも、1/15秒程度でシャッターが切れることを意味しますので、撮影の自由度を大きく広げたと言えます。 なお、「4段分」上がったということは、高感度性能が16倍になったということです。単純に計算すると、おおよそ3年で高感度性能が2倍にアップしていることになります。「1.5年ごとに2倍」というムーアの法則には及びませんが、それでも極めて速いテンポで性能が向上していることがわかります。 COOLPIX5000は発売から12年以上経過していますが、さずがに当時の最上位機種の実力は高く、今でも十分実用機として通用するレベルであると思います。同時に、当時はデジタルカメラのインターフェースも発展途上であることも感じました。今回のテストでは、現在のデジカメとくらべると操作に戸惑うところもありました。その意味では、この12年間は描写性能や機能だけでなく、操作性の進化と言う点でも大きな意味があったのだと思います。 関連記事「ここまで来た! 高級コンパクトの高感度性能」 関連記事「お勧めの高級コンパクトカメラ」 ( by Inaba Kunio) ※この記事が参考になりましたら、ソーシャルメディアで共有していただけますと幸いに存じます。
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