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特集 富士フイルム X10
1.富士フイルム X10の位置づけと概要 |
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富士フイルム X10
by Inaba Kunio
クラシカルで実像式光学ファインダーを内蔵した実用ズーム高級コンパクト
評価:5.0
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クラシカルな実用ズームコンパクトリコーがGRシリーズで切り拓いた「高級コンパクト」は、どちらかといえば趣味性の高いデザインや機能、操作性を特徴としていた。あえてコモディティ化を否定し、「わかる人にはわかる」という立ち位置自体が一つの魅力でもあった。こうした中、趣味性は重視しつつも、実用性にも配慮した製品も徐々に増えてきている。パナソニックのDMC-LXシリーズやオリンパスのXZ-1、そして富士フイルムのX10は、まさにこうしたデジカメの一つと言えるだろう。 写真で見るX10は、クラシカルデザインを前面に出した懐古調のデジカメに他ならない。こうしたデザインは好き嫌いがはっきり分かれやすいが、X10の特徴はデザインではなく、実用性を重視した高級コンパクト、という点にある。 実像式の光学ファインダーやレンズ周辺にあるマニュアルズームリングは、速写性という点で極めて実用的な仕組みである。レンズの焦点域も35mm換算で28mmから112mmと、一般的な常用域をカバーしている。しかも、開放F値が広角側F2.0、望遠端でもF2.8と、コンパクトカメラとしてはトップクラスの明るいレンズである。イメージセンサーも、2/3型の大型サイズを搭載し、高級コンパクトカメラの基本である「画質重視」をきちんとフォローしている。 つまり、富士フイルムのX10は、クラシカルな外装をまとった実用性の高い高級コンパクトカメラなのである。 直接的な操作が可能なインターフェースズームレンズを搭載した高級コンパクトカメラ3機種を比較したのが下表である。この比較表から、X10の目立った特徴を読み取ることはできない。イメージセンサーのサイズこそ、やや大きいものの、たとえば高感度性能はほぼ同レベルとなる。仕様上は凡庸であるところに、実はX10の特長が隠されている。そのことは、これらの機種の液晶モニター側から見れば一目でわかる。X10には、液晶の左側にもボタン類が配置されているだけでなく、ボディ上面に2つのダイヤルが、そしてボディ前面にもオートフォーカス設定ダイヤルが組み込まれている。液晶画面にメニューを表示させることなく、直接的な操作が可能なインターフェースのカメラである点こそが、X10の一番の特長なのである。
富士フイルムがX100の次にリリースしたXシリーズ、X10。以下詳細にチェックをしていきたい。
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