ニコンの四半期決算~市場の変化を先取りできるか?


Nikon ニコン
ニコンが2014年3月期第一四半期(4月-6月)の決算状況を発表しました。
グループ全体の連結決算は、売上2389億円、営業利益60億円で、前年同期と比べると売上204億円の減、営業利益173億円の減と、減収減益となっています。
デジカメ関連が属する映像事業を見ると、売上1875億円(前年同期比26億円の減)、営業利益196億円(前年同期比51億円の減)で、相対的には健闘しているものの厳しい結果となっています。

この結果を踏まえ、2014年3月期の見通しも、全社的には売上1兆400億円(5/9時点の見通しよりも700億円の減)、営業利益650億円(同200億円の減)へと下方修正されました。なお、映像事業についても売上7400億円(同700億円の減)、営業利益740億円(同200億円の減)となっており、下方修正の原因は映像事業であることがわかります。

2013年3月期の決算報告で、映像事業に対するニコンの評価は次の通りでした。

  • レンズ交換式デジカメは堅調に推移したが、第3四半期半ばから市場環境が急速に悪化。
  • コンパクトデジカメの市場は、さらに縮小したが、各地域でトップクラスのシェアを確保。
  • レンズ交換式デジカメではD800などの既存製品が順調。
  • タイ洪水対策で在庫を増やしたエントリー機の価格は下落したが適正在庫にできた。
  • 交換レンズも、順調に伸びている。

以上を踏まえ、2014年3月期は、レンズ交換式デジカメ市場は成長が見込まれるがコンパクトデジカメ市場はさらに縮小すること、そうした市場環境の下で各メーカーの生き残りを賭けた競争が激化し、価格競争にも拍車がかかると予測。今期の売上台数見込はレンズ交換式デジカメ710万台、交換レンズ980万本と微増、コンパクトデジカメは1400万台と2割近くも減ると見ていました。

今回の発表を見ると、5/9から3か月が経過する中、さらに厳しい見通しへと修正しています。

具体的には、

  • 国内市場は好調で中国は計画通りだったが、米国・欧州・中国以外のアジアは低迷し計画を下回った。
  • 販売台数はレンズ交換式カメラ159万台(前期比8万台減)、交換レンズ224万本(同6万本減)、コンパクト312万台(同131万台)。
  • レンズ交換式カメラ市場全体では10%以上の減少だったが、ニコンでは3~5%程度の減にとどまった。
  • コンパクトカメラ市場全体では約半減だったが、ニコンでは3割の減にとどまった。

これらを踏まえ、2014年3月期の映像事業の見通しは、レンズ交換式カメラ655万台(5/9時点の見通しよりも55万台の減)、交換レンズ905万本(同75万本の減)、コンパクト1150万台(同250万台の減)と下方修正しています。

なお、ニコンによる市場全体の予測は、レンズ交換式カメラ1950万台(5/9時点の見通しでは2100万台、前期は1923万台)、交換レンズ3000万本(同3200万本、2964万本)、5000万台(同6000万台、6808万台)となっていますので、いずれもわずかながら市場シェアを落とすと見ているようです。

具体的には、

  • 米国・欧州・中国以外のアジアは通年でも当初計画を下回る。
  • 中国は下期に想定した景気回復が遅れる。
  • コンパクト市場は想定以上に縮小。
  • ノンレフレックス(ミラーレス)は市場拡大が急速減。

こうした状況を踏まえ、ニコンは次のような施策変更を行うようです。

  • 販売台数、シェアではなく営業利益率を重視。
  • デジタル一眼レフのエントリークラスで新製品へのシフトを加速。
  • Nikon1は商品計画を見直し大幅に下方修正(レンズ交換式全体での下方修正55万台の大半はNikon1)。
  • コンパクトカメラも市場シェアは落としても利益水準は確保する。

国内市場は比較的順調なものの、全体としては厳しい状況となりつつあるようです。コンパクトカメラについては概ね予想通りでしたが、レンズ交換式カメラもそろそろ飽和期に入りつつあるのかもしれません。ニコンとしては、エントリークラスのデジタル一眼レフに力を入れるようですが、これはコンパクトカメラユーザーなどのライトユーザーの受け皿を強化しようということなのだと思われます。

D3200の発売は2012年5月、D5200は2012年12月の発売でしたので、D3200後継機またはさらに下位機種がリリースされるようです。現行機種の実売価格を見ると、ミラーレスカメラで3万円台、デジタル一眼レフで4万円台(いずれも標準ズームレンズ付)が下限となっていますので、レンズ付きで3万円台のエントリークラス・デジタル一眼あたりを狙っているような気がします。

いずれにしても、右肩上がりでない時期に新しいコンセプトの製品が生み出されます。メーカーにとっては厳しい時代だとは思いますが、次の飛躍に向けた蓄積期となることを期待します。


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