ニコンが決算を発表!映像事業は増収増益なものの、課題も出てきた?


Nikon ニコンニコンが2013年3月期の決算状況を発表しました。
グループ全体の連結決算は、売上1兆104億円、営業利益510億円で、前期と比べると売り上げは10%増と過去最高になったものの、営業利益は290億円の減となっています。
デジカメ関連が属する映像事業を見ると、売上7512億円(前期比28%増)、営業利益607億円(前期比12.5%増)で、引き続き会社を牽引していることがわかります。なお、ニコンは映像関係以外では、半導体や液晶の露光装置だけでなく、バイオサイエンス関係にも力を入れています。先日も、川崎市との間で「ナノ医療イノベーションセンター」事業を行うことを決定しており、東京大学や東京工業大学、富士フイルムなどと取り組みを進めるようです。

映像事業について、もう少し詳しく見てみたいと思います。
まず、販売台数を見ると、レンズ交換式デジカメ698万台(前期は474万台)、交換レンズ971万本(前期は713万本)、コンパクトデジカメ1714万台(前期は1737万台)で、コンパクトデジカメはわずかに減ったものの、全体には好調であったと言えます。
しかし、さらに詳細に見ると、必ずしも順風満帆ではないことがわかります。

ニコン自身は次のように分析しています。

  • レンズ交換式デジカメは堅調に推移したが、第3四半期半ばから市場環境が急速に悪化した。
  • コンパクトデジカメの市場は、さらに縮小したが、各地域でトップクラスのシェアを確保できた。
  • レンズ交換式デジカメではD800などの既存製品が順調だった。
  • タイ洪水対策で在庫を増やしたエントリー機の価格は下落したが適正在庫にできた。
  • 交換レンズも、順調に伸びている。

今期(2014年3月期)についても、レンズ交換式デジカメ市場は成長が見込まれるがコンパクトデジカメ市場はさらに縮小すること、そうした市場環境の下で各メーカーの生き残りを賭けた競争が激化し、価格競争にも拍車がかかると予測しています。そのため、今期の売り上げ台数見込はレンズ交換式デジカメ710万台、交換レンズ980万本と微増、コンパクトデジカメは1400万台と2割近くも減ると見ています。

今まで右肩上がりで成長してきたレンズ交換式デジカメも、そろそろ市場が成熟しつつあり、市場環境の激化が進む時期に差し掛かっています。言い換えれば、パイそのものが大きくなる時代から、限られたパイを奪い合う時代へと移行しつつある、ということかもしれません。

メーカーにとっては厳しい時代を迎えつつありますが、しかしこのことはユーザーにとっても厳しいことを意味するわけではありません。むしろ逆で、メーカーは今まで以上にユーザーニーズを的確に掴み、半歩先を行くような製品開発を全力で進めていくことになりますから、さらに多くの魅力的な、買いたくなるような製品が出てくるのではないでしょうか。