ドットサイトを搭載したネオ一眼、オリンパス SP-100


OLYMPUS SP-100 with DOT SIGHT

 オリンパスから、新しい仕組みを搭載したネオ一眼、SP-100が登場しました。このカメラは「ドットサイト」という仕組みを内蔵しており、高倍率撮影時に被写体の位置を追従しやすくするものです。
 「ドットサイト」と聞いて、「ああ、よく犯罪ドラマなどに出てくるやつで、銃で狙ったところに赤い点が投射されるやつね」と思った方もいると思いますが、それは「レーザーサイト」で、「ドットサイト」とはちょっと違います。どちらも銃器用に開発されたシステムで、銃の照準を合わせるためのものという点では同じですが。

 まずはじめに、銃においてなぜこうした仕組みが開発されたかについて説明しましょう。今までの銃で狙いをつけるためには、銃身の向いている方向に正確に目線(照準)を合わせる必要がありました。テレビ等で小銃を構えているところをご覧になったことがあると思いますが、銃身の先にある照星(凸型)と、後方にある照門(凹型)を一直線に見えるように構えなければ、銃弾は狙った方向に飛びません。そのためには、それなりに熟練しなければなりませんし、状況によってはこうした構え方ができない場合もあります。
 ドットサイトやレーザーサイトは、目線がどこにあっても正しく銃身の狙っている方向を表示する仕組みです。レーザーサイトが直接光を目標に当てるのに対し、ドットサイトは手元にある照準器上に狙った位置を表示させるものです。

OLYMPUS SP-100 with DOT SIGHT

 この左側の写真はSP-100ですが、ファインダー接眼部とフラッシュ照射部の間にハーフミラー(水色に見える矩形部分)が置かれており、その上に赤い点が表示されているのがわかると思います。この赤い点が、カメラが狙っている方向なのです。注意すべきは、どこから見たとしても赤い点がオーバーラップされる目標は変わらないという点です。目線の位置が自由になることで、使い勝手を大きく変えました。
 もう少しドットサイトについて説明しますと、下の図の左側が正面から覗いた時の見え方とします。その状態から頭の位置を下にずらすと、当然ハーフミラー越しに見える遠景は上にずれます(右図)。しかし、レンズが向いている方向を示す赤い指標は、遠景上の同じ位置に表示されますので、レンズがどこを向いているかがわかるという訳です。

OLYMPUS SP-100 with DOT SIGHT


 今回登場したSP-100では、24-1200mm相当のズームレンズを搭載しています。これだけの望遠域だと、ちょっとカメラをずらしただけで写る範囲は大きく変わります。ファインダー越しだけで正確に被写体をとらえることは簡単ではありませんので、被写体を見失う都度、いったんズームレンズを広角側に戻し、被写体を確認した上で再度望遠側にズームする、といった手順が必要でした。
 これに対しSP-100では、ファインダー接眼部の上にドットサイトが表示されていますので、ちょっと目線を移すだけでカメラのレンズが狙っている方向を把握することができます。望遠域での撮影において、被写体の追従が圧倒的に容易になるわけです。
 こうした新しい仕組みが出てくると、まだまだデジタルカメラにおいても開発すべき余地は少なくないことを感じます。

 オリンパス SP-100の米国での販売価格は約400ドルとのことですので、ドットサイト搭載によるコストアップはそれほど気にする必要はなさそうです。現時点では国内販売は未定ですが、国内でもぜひリリースしてほしいと思います。