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特集 X-S1
富士フイルム X-S1 ~Xシリーズの名を冠した究極のネオ一眼 |
富士フイルム X-S1
by Inaba Kunio
Xシリーズの名を冠した究極のネオ一眼
評価:5.0
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1.富士フイルム X-S1の位置づけと概要Xシリーズのネオ一眼 X-S1富士フイルムは常に複数のネオ一眼ラインアップを維持してきたが、今回新たにXシリーズとして1台が加わった。Xシリーズは、富士フイルムとしてのフラグシップ・コンパクトカメラとでもいうべきブランドであり、初代X100、X10に次ぐ3機種目となる。Xシリーズには、「撮る楽しさ」「画質の追及」「ファインダー」「質感と操作性」という4つのこだわりがある。X-S1は、このXシリーズの「スーパーロングズームモデル」として位置づけられており、高倍率ズームレンズを中心に据えた設計がされている。レンズはフジノン放送用テレビの仕様が応用されており、メーカーによれば高倍率・ショルダータイプの放送用テレビレンズ「A20×8.6B/BMD」の操作感の再現が目指されているとのことだ。 レンズ以外にも、アウトドアでの使用を想定したボタン類の大型化や、0.47型144万画素大型ファインダーの搭載など、ネオ一眼というよりは、レンズ固定式の一眼レフ、といった趣の機種となっている。とりわけ極めつけはボディサイズで、大きさ、重さともミドルクラスの一眼レフに匹敵する。まさに、性能優先で設計されたネオ一眼が、X-S1なのである。 ハイエンド・ネオ一眼各社から展開されているネオ一眼について、主な仕様をまとめたのが下表である。これを見てまず感じるのは、ネオ一眼にしては大型センサーを搭載しているという点だ。一般的なコンパクトカメラが搭載している1/2.3型センサーに対し、X-S1の2/3型センサーは、面積比で約2.3倍となる。もう一つ特徴的なのが、0.47型144万画素の電子ビューファインダーだ。このクラスのファインダーは、ミラーレスカメラに搭載されているものであり、実際にファインダーを覗いたときの感覚は、まさにレンズ交換式デジカメである。 レンズ自体は光学26倍ズームと、それほど目立ったスペックではない。開放F値も、広角側F2.8、望遠側F5.6と、標準的な数値にとどまっている。注目すべきは、これだけの大型センサーであるにもかかわらず、一般的なネオ一眼と同等レベルのスペックとなっている点である。後ほど歪曲や解像力のテストも掲載するが、結論から言えばXシリーズとして恥じることのない描写力を示している。 【各機種の主な仕様】
一眼レフに肉薄できるネオ一眼の登場今までのネオ一眼は、誤解を恐れずに言えば、「(仕様上は)なんでも撮れるカメラ」であった。カメラのカタログを見て、スペックだけを比べれば、一眼レフの代わりとしてどこででも使えるカメラに見えた。しかし、いざ使ってみると、どことなく機敏さにかける動作や、とくに望遠側の解像感の弱さなど、やっぱり一眼レフとは違うジャンルのカメラであることを否応なく感じさせられた。X-S1は、まさにこの壁を越え、少なくとも一眼レフと同等の操作性や描写力を持ち、「レンズ固定式」一眼レフの域を目指したカメラである。その意味では、他のネオ一眼とは、目標にしている水準が異なるといえるかもしれない。 X-S1は、どこまで一眼レフに肉薄できたのか。以下、順次チェックをしていきたい。
2.富士フイルム X-S1を開封し外観をチェックX-S1を開封する「これ一台でなんでも撮れる!」というわくわく感は、ネオ一眼ならではのものである。もちろん、決してそんな訳ではないのだが、もし仮にカメラ機材をすべて処分し、1台だけ手元に残せるとしたら、おそらく私はネオ一眼を選ぶような気がする。今までにも多くのネオ一眼を登場させてきた富士フイルムが、渾身の力を振り絞って「X」ブランドで発売したカメラがX-S1である。今回、X-S1の発表から発売までの期間は比較的短かったが、それでも発売日が待ち遠しいカメラであった。
黒一色でデザインされた外箱。コンパクトカメラとしては大きめのスクエアに近い形状をしている。箱には日本国内向け専用品との記載がされている。
箱を開けると、充填するだけの梱包材は入っていない。カメラの上段にあるトレーには、取扱説明書類が入っており、下段の大半はカメラ本体が占める。
同梱されているもの。左上より、バッテリーNP-95、バッテリーチャージャーBC-65N、CD-ROM、レンズキャップ、レンズフード、本革製ストラップ、バッテリーチャージャー用メガネケーブル、レンズキャップ用紐、取扱説明書、USB接続ケーブル。保証書は国内のみ有効のもの。 バッテリーと充電器をチェックX-S1のバッテリーはX100でも採用されたもの。それほど多くの機種で使われているバッテリーではないが、FinePix F30の頃から使われている。
NP-95用バッテリーチャージャーBC-65N。NP-95だけでなく、NP-40やNP-60など、様々なバッテリーパックに対応する。こうした設計は、ユーザーにとってもメリットがある。。
ACコンセントに接続するプラグは、同梱されているメガネケーブルを使用する。できれば、折り畳み式のプラグか、ウォールマウントアダプターの方が使い勝手が良いように感じる。210分で満充電可能。
NP-95の容量は1800mAhで、静止画では約460枚の撮影が可能。バッテリーパックは中国製。 X-S1の本体外観をチェック写真で見るとあまり感じないが、いざ店頭で実物を見ると、一見したところはズームレンズを装着した一眼レフのように見える。サイズも、エントリークラスの一眼レフよりも大きく、おおむねミドルクラスサイズとなっている。もちろん、一眼レフで35mm換算24mmから600mmまでの光学25倍ズームを搭載したとすると、想像できないような巨大サイズになるだろう。
本体に付属する本革製ストラップ。最近の一眼レフに同梱されているものよりも立派であり、富士フイルムの思いを感じる。
同梱されているレンズキャップ。径は62mm。落下防止用の紐を結ぶ穴が開いている。
金属製の薄型フード。深さはやや浅いものの、花形でしっかりとした作りとなっている。フードの内側には溝がきってあり、反射防止効果が期待できる。
フード本体は金属製のため、レンズ鏡胴に装着するバヨネット爪部分はプラスティックのリング部品がネジで固定されている。
正面から見たX-S1。ニコンのD7000やキヤノンのEOS 60Dと同等クラスのボディサイズである。シャッターボタンの形状やモードダイヤルなど、このアングルからは、ネオ一眼よりも一眼レフのように見えるだろう。
X-S1の背面側。液晶モニターの左側にもボタン類が配置されており、基本的な操作はできるだけメニューを使用しなくても可能なように設計されている。
レンズ正面。フィルター径62mmであり、前玉の大きさがわかる。なお、上部に記載されている「SUPER EBC」とは、SUPER Electric
Beam Coatのことで、電子ビームでコーティングを行うもの。表面反射率を0.25%まで低減する。
ボディ左側前面。ボディ素材は樹脂製だが、表面全体がラバーコーティングされているため、ホールディング感覚はすこぶる良い。丸いレバーはオートフォーカスモード設定ダイヤル。コンパクトカメラでオートフォーカス専用ダイヤルがある機種はまずないだろう。側面に空いている穴はスピーカー。
レンズの付け根ゴム部には、35mm換算時の焦点距離が刻印されている。ボディ側にある2つの穴はステレオマイク。
レンズ広角端の状態。ズーミング操作はマニュアル方式だが、レンズ鏡胴のゴム環が操作感を高めている。スーミング操作は極めてスムーズ。
レンズ望遠端の状態。レンズ上部には、焦点距離が記載されている。なお、ズーミングは適度なトルクがあるため、下に向けてもズーム長が変わったりはしない。
ボディ右側上部。シャッターボタンの配置は、まさに一眼レフと同じである。その右側にあるランプは、オートフォーカス補助光とセルフタイマーランプ。ボディ上面の「Fn1」は、液晶側にある「Fn2」とともに、ユーザー設定可能なボタンとして配置されている。モードダイヤルの隣のコマンドダイヤルは、絞り値の変更やプログラムシフトなど、設定した撮影モードによって機能が変わる。
ストラップ取付部もしっかりと作られている。二つのダイヤルは、金属削り出しで重厚感がある。
メモリーカードスロットは、ボディ右側側面に単独で設置されている。入り口には挿入方向のガイドシールが貼付されている。このあたりも、一眼レフと同じである。
液晶モニター側。RAWボタンが特徴的で、JPEG設定でも瞬時にRAW撮影が可能となる。赤いマークの付いたボタンは録画ボタン。フルHD撮影ができる。
X-S1と他のネオ一眼との一番の違いは、ファインダーである。大型高精細の電子ビューファインダーは、まさに一眼レフと同等の見え方をする。視度補正機能や、アイスタートセンサーも当然搭載されている。
液晶左側のダイレクト操作ボタン。ユーザーが機能設定できる二つのファンクションボタンと合わせると、一般的な操作は、メニュー内に入らなくても可能となる。
液晶モニターは2軸でチルトする。可動範囲はそれほど広くないものの、撮影の自由度を高めてくれる。
左手グリップ側に外部接続端子が格納されている。A/V OUT、HDMI、USB、ステレオ端子となる。
内蔵ストロボをポップアップさせたところ。ロゴの上方に見えるボタンでポップアップさせる。やや前方にシフトするため、けられにくくなっている。なお、ストロボ使用時にはフードを外すことが推奨されている。
標準のアクセサリーシューが搭載されており、一般のストロボも使用可能。ストロボ部分には「FUJINON LENS SYSTEM」のロゴ。
ボディ下部。やはり一眼レフと同様のレイアウトとなっている。三脚座がレンズ中心線からずれているが、1Kg近いボディ重量を考えると、使用シーンによっては注意が必要かもしれない。なお、S/Nはxx6xxであった。「MADE
IN JAPAN」と記載されている。
グリップ部にはバッテリーが格納される。側面にはDCカプラー接続コード用の切欠きがある。バッテリー室内には、挿入方向のガイダンスが貼付されている。
背面液晶には、一般的なコンパクトカメラと同様にライブビュー表示も可能だが、このように設定状況を表示することもできる。これもまた、一眼レフのインターフェースを踏襲している。
電子ビューファインダーの状態。ファインダーをのぞくと、一眼レフと同等の広い視野がひろがっている。 Sponsored Links 3.富士フイルム X-S1の描写性能はどうか?描写力チェック1:高感度性能X-S1の基本感度はISO100で、標準ではISO3200まで設定可能となっている。画像サイズが縮小されるが、拡張設定により、ISO12800まで対応している。ノイズの低減処理方法としては、カメラ内のノイズリダクションの設定をするか、RAWで撮影を行い、パソコン上での現像段階で実施することになる。なお、RAW撮影を行う場合には、高感度拡張設定はできない。カメラ内でのノイズ低減は、撮影メニューの中にある「ノイズリダクション」によって設定する。出荷時には「スタンダード」になっているが、「弱」「やや弱」「スタンダード」「やや強」「強」の5つの中から選択することになる。 下記のサンプルは、ノイズリダクションを弱、スタンダード、強の3段階で各ISO感度の撮影を行ったものである。ISO400までは、ほとんどノイズを感じないが、ISO800あたりから徐々にノイズが目立ちはじめる。ISO1600になると、ノイズリダクションを強にすると、そこそこ使えるようになる。ISO3200や拡張設定は、基本的には緊急避難用途となるだろう。 X-S1は2/3型のセンサーを搭載しているため、予想していたよりは若干高感度のノイズが目立つ結果となった。ノイズが気になるようであれば、積極的にノイズリダクションの設定を変えることを推奨する。
ISO100 (左から高感度時ノイズリダクション「弱」、「スタンダード」、「強」)
ISO200 (左から高感度時ノイズリダクション「弱」、「スタンダード」、「強」)
ISO400 (左から高感度時ノイズリダクション「弱」、「スタンダード」、「強」)
ISO800 (左から高感度時ノイズリダクション「弱」、「スタンダード」、「強」)
ISO1600 (左から高感度時ノイズリダクション「弱」、「スタンダード」、「強」)
ISO3200 (左から高感度時ノイズリダクション「弱」、「スタンダード」、「強」)
ISO6400 (左から高感度時ノイズリダクション「弱」、「スタンダード」、「強」)
ISO12800 (左から高感度時ノイズリダクション「弱」、「スタンダード」、「強」) 描写力チェック2:歪曲収差高倍率ズームであるが、全域で良好に歪曲収差が補正されている。35mm換算で100mmあたりまでは、周辺部にやや樽型の収差が残っているが、撮影時に特段の注意が必要なレベルではない。35mm換算で120mmより望遠側は、ほとんど歪曲収差を認めることができない。焦点距離:6.1mm(35mmサイズ換算24mm) 焦点距離:9.2mm(35mmサイズ換算35mm) 焦点距離:27.8mm(35mmサイズ換算105mm) 焦点距離:77.6mm(35mmサイズ換算293mm) 焦点距離:158.6mm(35mmサイズ換算624mm) 描写力チェック3:解像力解像力テストでは、イメージセンサーとレンズの両方の実力が試される。いつもの通りISO12233準拠チャートを使用して解像力チェックを行った。結果は、ネオ一眼としては良好な解像力を示している。広角端では、開放ではやや周辺部の流れが残っているが、高倍率ズームとしては良好である。また、中心部は開放でもしっかりと解像しており、1段絞るとさらに良好になった。解像力の点では、全体に広角側が良好なのに対して、望遠側は今一つの印象を受けた。ただし、望遠側に移るにつれ、周辺部の流れが解消されていくため、解像力の点では基本的に絞り開放を中心に使うことになるだろう。 一般に、一眼レフでも高倍率ズームになると、解像力の点では厳しい結果になることが多い。大型のセンサーを搭載しているということで、光学設計にかかる負荷も大きかっただろう。解像力の点では、期待していた水準が高かったこともあり、やや残念な結果となった。しかし、これだけのセンサーサイズで25倍ズームということを考えると、決して悪い結果ではない。
6.1mm域(35mmサイズ換算24mm) F2.8 Sponsored Links 4.結局、富士フイルム X-S1は「買い」か?独断 素晴らしい! ポイント
独断 もう一息! ポイント
付録1.製品仕様からみた X-S1の特長
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独断 デジカメ対決! どっちが良い? ☆ vs パナソニック LUMIX DMC-FZ150 |
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