トップページ > デジカメ徹底レビュー > パナソニック Panasonic LUMIX DMC-FZ200 > パナソニック LUMIX DMC-FZ200 |
特集 LUMIX DMC-FZ200
パナソニック LUMIX DMC-FZ200 ~F2.8通し24倍ズーム搭載機 |
パナソニック LUMIX DMC-FZ200
by Inaba Kunio
驚異の「F2.8通し24倍ズーム」搭載機
評価:5.0
|
![]() ![]() |
1.パナソニック LUMIX DMC-FZ200の位置づけと概要驚異の「F2.8通し24倍ズーム」搭載機フィルムカメラ時代から写真撮影の機会が多かった方は、ついついデジタルカメラの特異性を見過ごしてしまう傾向があるように思います。フィルムカメラからデジタルカメラへの移行は連続的に進んだため、デジカメはフィルムカメラのフィルムをイメージセンサーに置き換えただけ、という感覚があるからかもしれません。DMC-FZ200には、35mm換算で25mmから600mmまでの画角をカバーする超望遠レンズが搭載されています。ネオ一眼の中では突出したズーム倍率ではありませんが、フィルムカメラ時代には考えられなかった倍率でもあります。
4.5mm-108mmF2.8(35mm換算25mm-600mm)の大口径ズームレンズ。レンズ構成はEDレンズを3枚、非球面レンズを5枚使った11群14枚で、パナソニック山形向上で製造した非球面レンズ用金型を使用しています。
しかも、今回採用されたのは、広角端から望遠端までをF2.8で通したレンズです。前機種であるDMC-FZ150は、広角端の開放F値はF2.8でしたが、望遠端ではF5.2と、2段近く暗いレンズでした。これらを実現できたのは、急速に進化し続けているイメージセンサーや画像処理エンジン、光学設計技術があったからこそであり、デジタルカメラでなければ到底成し遂げることはできなかったことも明らかです。 【主なネオ一眼の比較】
各社から販売されている主なネオ一眼を比較すると、どの機種も概ね1/2.3型サイズのイメージセンサーを搭載しているものの、メーカーごとの味付けでかなり色合いの異なる製品となっていることがわかります。 この中でDMC-FZ200のポイントを整理すると、次のようになります。
これに加え、DMC-FZ200の魅力は、DMC-FZ150譲りのレスポンスです。ネオ一眼というと、どうしても「モッサリ」といったイメージがありましたが、デジタル一眼レフに準じた軽快な動作感は、撮影する上で大きなメリットだと思います。
現行ネオ一眼の中で、2軸バリアングル液晶を搭載しているのは、キヤノンPowerShot SX40 HSと本機のみ。
それではF2.8通しの24倍ズーム機、LUMIX DMC-FZ200の実力をテストしてみます。 ![]()
2.パナソニック DMC-FZ200を開封し外観をチェックパナソニック LUMIX DMC-FZ200を開封するDMC-FZ200は、DMC-LX7と同じ8月23日に発売開始されました。2011年9月に発売となったDMC-FZ150の後継機となりますが、カメラとしての中身は大きく進化しています。とくに、広角端から望遠端までF2.8通しズームの搭載と、131万ドット高精細電子ビューファインダーの搭載は、カメラがクラスアップされたことを示しています。DMC-FZ200の実売価格は5万円台前半でスタートを切りました。DMC-FZ150の発売時点の実売価格は5万円弱でしたので、やや値段が上昇していますが、カメラの進化内容を考えれば「予想よりも安価」と言えるかもしれません。
濃紺を基調とした縦長の箱は、DMC-FZ150を踏襲しています。
蓋を開けると、ボディ本体や取扱説明書、フード類が見えます。ボディの下にはストラップやケーブル類が入っていました。
DMC-FZ200の付属品。左上より取扱説明書、CD-ROM、レンズキャップVYQ5607、レンズキャップひも、バッテリーチャージャーDE-A79A、バッテリーパックDMW-BLC12、USB接続ケーブルK1HY08YY0025、ショルダーストラップVFC4453、レンズフードVYQ7878。取扱説明書は簡易版で、詳細版はCD-ROMの中に入っています。これは最近の傾向ですが、使い勝手を考えれば印刷した冊子の同梱が望ましいと思います。 LUMIX DMC-FZ200の付属品をチェック
バッテリーチャージャーDE-A79A。DMC-GH2で使われているものと共通。バッテリーパックDMW-BLJ12の充電には、約140分かかります。
コンセント接続部は、回転させて格納することができる仕組みとなっています。コンセント側にスペースは必要ですが、可搬性の点でメリットとなります。
バッテリーパックDMW-BLC12。容量は1200mAhで、静止画であれば最大で約540枚の撮影が可能です。動画撮影であれば、AVCHDで最大約160分、MP4では約200分の撮影ができます。
付属するレンズキャップ。脱着用のつまみ部分が内側にあるタイプのため、フード装着時でも脱着は容易です。
レンズキャップの裏側です。ふち部分に見える2つの穴は、レンズキャップ用ひもを取り付けるためのものです。
USB接続ケーブルK1HY08YY0025。パソコンやプリンターとの接続に使用します。
ショルダーストラップVFC4453。合成皮革製で、ややチープな感じもします。
付属するレンズフード。花形で内側には反射を抑制する溝が切ってあります。DMC-FZ200では、レンズ先端にフードを装着するため、ズーム全域で効果が期待できます。なお、装着はバヨネット方式です。 LUMIX DMC-FZ200の本体をチェック
ボディ前面。横幅はDMC-FZ150とほぼ同じですが、レンズが大型になったため、高さが5mm程度高くなっています。デザイン自体は前機種を踏襲しています。
ボディ液晶面側。ボタン類は場所の入れ替えはありますが、ほぼ全機種と同じです。新たにFnボタンが追加されています。なお、電子ビューファインダーの高精細化に伴い、接眼部のまわりが大きくなっています。
ボディ上面。レンズの大型化に伴い、沈胴時のレンズ長も長くなっています。
ボディ右側面。こちら側には外部接続端子が配置されています。
外部接続端子。上がHDMIミニ端子で、下がAV OUT/DIGITAL端子です。
ボディ左側面。グリップ部には、マイク/リモート端子が配置されています。
MIC/REMOTE端子。シャッターリモコンDMW-RSL1やステレオマイクDMW-MS1を装着できます。
ボディ底面。レンズとの干渉を避けるため、三脚用の穴はレンズ光軸からシフトされています。カメラ本体は日本製。
レンズ鏡胴部左側。サイドレバーは、初期設定ではズーム操作となっていますが、セットアップメニューでの設定によりマニュアルフォーカス時のピント操作に変えることもできます。右側上段はフォーカス切換スイッチ。中央のマクロモードに設定すると、広角側でレンズ前1cmまでの接写が可能となります。その下のFOCUSボタンは、AF時にはフォーカスエリアの選択に、MF時には一時的にオートフォーカス動作をさせるためのボタンとして機能します。
内蔵ストロボのポップアップレバー。DMC-FZ150では背面側にあったものを、ここに移設されています。レバーは機械式のため、電源が入っていない状態でもポップアップさせることができます。
内蔵ストロボをポップアップさせた状態。フラッシュは最大で13.5mまで照射可能となっています。
電子ビューファインダーの視度調整ダイヤル。その左にあるボタンは、電子ビューファインダーと液晶モニターの表示を切り換えるもの。切換は手動式で、電源を切っても保持されます。
ボディ上面のアクセサリーシューとステレオマイク。アクセサリーシューには専用フラッシュライトDMW-FL220の他に、市販の外部フラッシュも使用可能(一部機能が制限される場合もあります)。
軍艦部右側のメイン操作部。モードダイヤルの記載が整理されるとともに、電源スイッチもモードダイヤルの同軸に移されています。また、Fnボタンが新設されています。
レンズ鏡胴には「NANO SURFACE COATING」と記載されていますが、これはレンズに施されているナノサーフェイスコーティングを示しており、従来のコーティングと比べ、表面での反射を抑えることで、ゴーストやフレアを大幅に低減するとのことです。その横のランプは、セルフタイマーランプとAF補助光を兼ねるもの。
カメラ本体の「顔」の部分にはLUMIXのロゴが刻印されています。
ライカLEICAのLロゴが貼付されています。
レンズ正面には、レンズ銘と基本仕様が印字されています。VARIOとはズームレンズを意味し、ELMARITはF値が2.8のレンズであることを示すものです。
親指部分のコントロール部は、DMC-FZ150を踏襲していますが、Fnボタンが増設されています。右上の後ろダイヤルは、回転だけでなく押すことでスイッチとしても機能します。
カメラ底面のバッテリー室カバーを開けた状態。挿入方向のガイダンスがプラスティック部分に刻印されています。
バッテリーとメモリーカードを挿入しつつある状態。メモリーカードはラベル面が前側となります。
液晶パネルの表示は、情報表示部分を重ねることで、できるだけ画像を大きくするモードと、情報部分を外だしするモードの切り替えが可能です。写真は、できるだけ画像を大きく表示させるモードです。
情報を外だしするモード。画面上部の表示は変わりませんが、下部の情報表示部分が画像と重ならなくなります
写真は電源をオフにした状態です。レンズは沈胴しています。
電源をオンにするとレンズが伸長します。写真は広角端の状態です。
レンズは望遠端の時に最長となります。なお、ズーム位置を記憶させることも可能で、その場合には電源を切った時の状態がメモリーされます。
広角端でフードを装着した状態。フードはレンズ先端のバヨネット部を使って装着します。
液晶モニターは2軸で可動します。視野角の広い液晶パネルが採用されています。 Sponsored Links 3.LUMIX DMC-FZ200の描写性能はどうか?描写力チェック1:高感度性能LUMIX DMC-FZ200の基本感度はISO100で、標準ではISO3200まで設定可能となっています。これに加えて拡張設定でISO6400に設定することもできます。ノイズ低減処理方法としては、カメラ内での設定と、RAWで撮影しパソコン上での現像段階で行う方法があります。なお、カメラ内で設定した場合でも、RAWファイルには変更は加えられません。 カメラ内でのノイズ低減は、セットアップメニュー内に項目があるのではなく、撮影メニューの「フォトスタイル」で「ノイズリダクション」を操作して行います。このあたりのインターフェースは、パナソニック共通です。 標準では「0」となっており、プラスとマイナスに各々2段階、計5段階から選択することができます。マイナス側は解像感優先、プラス側はノイズ軽減優先となります。なお、フォトスタイルの中では、コントラストやシャープネス、彩度の設定も可能です。 DMC-FZ200に搭載されているイメージセンサーは、DMC-FZ150と同じ1/2.3型です。有効画素数はどちらも1210万画素となっています。 ※DMC-FZ150のセンサーをCCDと誤記しておりました。お詫びし訂正させていただくとともに、ご指摘くださいました方に感謝申し上げます。 ノイズリダクションを「-2」にしても、ISO800まではほとんどノイズ感を感じさせません。ISO1600になると、暗部を中心にノイズが目立ちますが、使い方によっては十分実用可能なレベルです。ISO3200になるとさらにノイズが増え、解像感の低下も見られます。ISO6400は、基本的には緊急避難用になると感じました。 ノイズリダクションを「+2」にすると、ノイズ低減を実感できますが、解像感も低下します。基本的には標準の「0」の設定で良いと思います。 下記のサンプルは、ノイズリダクションを「-2」、「0」、「+2」の3段階で各ISO感度の撮影を行ったものとなっています。表示画像はほぼ等倍画像ですが、クリックすると全体画像が表示されますので、あわせて比較をしていただければと思います。
ISO100(左から「-2」「0」「+2」) 描写力チェック2:歪曲収差LUMIX DMC-FZ200は、35mm換算で25-600mm、光学24倍ズームを搭載しています。開放F値はズーム全域でF2.8と明るいレンズですが、歪曲収差は良好に補正されていました。広角端では周辺部にわずかに樽型収差が確認できます。望遠側に移るにつれ収差は徐々に小さくなり、35mm換算で50mmを超えたあたりで、ほとんど目立たなくなります。 コンパクトカメラの場合、電子的な補正がかけられているかどうかがわからないケースが多いですが、おそらくDMC-FZ200でも電子的な補正が加味されているものと思われます。 焦点距離:4.5mm(35mmサイズ換算25mm) 焦点距離:37.9mm(35mmサイズ換算211mm) 焦点距離:71.8mm(35mmサイズ換算399mm) 焦点距離:108.0mm(35mmサイズ換算600mm) 描写力チェック3:解像力解像力テストでは、イメージセンサーとレンズの両方の実力が試されることになります。いつもの通りISO12233準拠チャートを使用して解像力チェックを行いました。チェックの結果は、コンパクトカメラとしては標準的な1/2.3型センサーを搭載しているものの、良好な解像力でした。画像中心部に関しては、広角端では2200本のラインあたりまで識別可能でした。望遠側に移るにつれ、徐々に解像感が低下しますが、35mm換算で400mm域までは2000本のラインまで識別できました。望遠端ではさらに低下するものの、概ね1800本のラインあたりまでは確認できました。これらのチェックはいずれも絞り開放F2.8で行っています。 画像周辺部に関しては、中心部と比べるとやや画像が甘くなるものの、1段程度絞るとかなり鮮明度が上がりました。コンパクトカメラとしては画面全体でしっかりとした画像となっています。
4.5mm域(35mmサイズ換算25mm) F2.8 4.結局、LUMIX DMC-FZ200は「買い」か?独断 素晴らしい!![]()
独断 もう一息! ![]()
Sponsored Links 付録1.製品仕様からみた LUMIX DMC-FZ200の特長
Sponsored Links 付録2.発売前のファーストレビュー【一口コラム】 F2.8通しの24倍ズーム機7月18日、パナソニックUSAは、LUMIX DMC-G5やDMC-LX7とともに、DMC-FZ200を発表した。G5やLX7とは異なり、外見的なデザインは前機種であるDMC-FZ150を踏襲しているが、内部の進化は一番大きいかもしれない。DMC-FZ200の主な仕様は、
DMC-FZ200(左側)とFZ150(右側)。両機種とも標準で花形フードが付属する。
レンズエプロン部など細かい違いはあるが、基本的なデザインは踏襲している。
DMC-FZ200(左側)とFZ150(右側)。FZ200では高さが5mm程高い。
背面のボタン類は、一部機能の入れ替えはあるものの基本的には同じ。
DMC-FZ200(左側)とFZ150(右側)。ボディ上面レイアウトもほぼ同じ。
沈胴時には奥行きが15mmほど厚くなった。大口径化に伴うものだろう。 前機種となるDMC-FZ150と比較すると、次のとおりである。 【DMC-FZ200とDMC-FZ150の比較】
※DMC-FZ150のセンサーをCCDと誤記しておりました。お詫びし訂正させていただくとともに、ご指摘くださいました方に感謝申し上げます。 FZ150と比較すると、明らかに違うのがレンズの明るさである。FZ150ではカバーする焦点距離は同じものの、望遠端での開放F値はF5.2であった。もちろん、これだけの望遠ズームであれば、F5.2でも比較的明るいレンズであるが、FZ200では一気にF2.8へと大口径化された。今回、本体重量が455gから588gへと重くなっているが、その大きな要因はレンズの進化によるものだろう。
EDレンズを3枚、非球面レンズを5枚使った11群14枚構成のレンズ。
使用されている非球面レンズの金型は、パナソニック山形工場で製造。 (Panasonic USAホームページより) また、もう一つ注目すべきは、EVFが20万ドットから131万ドットへと高精細化された点である。いわゆるネオ一眼では、EVFを活用した撮影が多くなるだけに、この点は使い勝手を大きく向上させてくれる。FZ150を評価した時にも、やはりEVFの画素数がやや見劣りしていた点が気になっていただけに、きちんと改良が加えられた点には好感を抱く。 同じ皮をかぶっているものの、内部が一新された新しいFZ200。実機でのテストが楽しみである。 (7月19日 記) DMC-LX7とともに、DMC-FZ200が日本国内でも発表された。発売は8月23日の予定で、DMC-FZ200の店頭予想価格は6万5千円とのこと。いわゆるネオ一眼としてはやや高めの価格帯ではあるが、DMC-FZ150が昨年9月に登場した時の実売価格が5万円前後だったことを考えると、レンズと電子ビューファインダーの進化相当分1万5千円というのも妥当かもしれない。 (7月25日 記) DMC-LX7とともに発売日が1週間遅れ、8月30日となったとのこと。予約をされていた方は注意してほしい。 (8月20日 記) 再度の訂正です。メーカーに確認したところ、予定通り23日発売開始とのことでした。お詫びして訂正いたします。 (8月21日 記) |
【厳選レビュー記事】◎デジカメWatch 【新製品レビュー】パナソニックLUMIX DMC-FZ2002012年10月15日 吉森信哉
◎デジカメWatch パナソニック、ズーム全域F2.8の光学24倍モデル「LUMIX DMC-FZ200」2012年 7月25日 編集部
◎デジカメWatch パナソニック、24倍ズーム全域でF2.8の「DMC-FZ200」など海外発表2012年 7月19日 編集部
|
【パナソニック LUMIX DMC-LX7基本仕様】
メーカー製品仕様のページ |
![]() |
Sponsored Links |