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特集 MX-1
ペンタックス MX-1~描写力に道具としての魅力をプラス |
ペンタックス MX-1
by Inaba Kunio
描画性能に道具としての魅力を加えた高級コンパクトデジカメ
評価:5.0
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1.ペンタックス MX-1の位置づけと概要ペンタックスブランド初の高級コンパクト、登場2013年1月に発表されたペンタックス・ブランド初の高級コンパクト、MX-1が発売開始となりました。当初、国内展開については未定でしたが、1月末から開催されたCP+2013会場では展示とアンケート調査が行われ、その結果を踏まえて国内でも販売される運びとなりました。海外ではブラックモデルに加えてシルバーモデルも販売されていますので、まずは様子を見つつということだと思います。 PENTAX MX。1976年11月に、Mシリーズの初代機として登場。フルマニュアル操作で機械式シャッター搭載。サイズは135.5×82.5×49.5mm/495g。ボディ本体の価格は48,000円。その後、ME、MV1、ME Super、ME F、MGが展開されました。
MX-1の主な特徴は次の通りです。
ペンタックス MX-1の魅力は?各社とも、高級コンパクト分野に力を入れてきています。これは、スマートフォンやタブレットの急成長が背景にありますが、逆に言えば描写性能に力を入れるということはカメラとしての基本性能を重視するということでもあり、歓迎すべき傾向という気もします。現行製品の比較的コンパクトなズームレンズ搭載機に限っても、ソニーのDSC-RX100をはじめ、キヤノンのPowerShotS110、オリンパスのSTYLUS XZ-2、富士フイルムのXF1、パナソニックのDMC-LX7、ニコンのCOOLPIX P330と、いずれも定評のある実力機です。 こうした高級コンパクト群の中に、新たに投入されたMX-1の意味はどのような点にあるのでしょうか。「PENTAXブランドだから」というのはもちろんのこと、「デザインに魅力を感じた」「チルト液晶を搭載しているから」など、MX-1を選択する理由をあげることはそれほど難しくはありません。そのどれもが正解なわけですが、今回評価をした視点から言うと、「末永く使っていきたいと思えるカメラ」というのが一番しっくりくる気がします。 いまだ急速に進化しつつあるデジタルカメラにおいて、10年のスパンで使い続けていくのは不可能に近いことだと理解しつつも、「もしかすると一緒に年を重ねる喜びを共有できるのではないか」と思わせてくれるカメラ、と言えるかもしれません。 【MX-1と小型高級コンパクトの比較】
MX-1が想定しているユーザー層MX-1は、明るいレンズやチルト稼働可能な液晶を搭載しているだけでなく、画素数に無理のない比較的大型のイメージセンサーを採用しているなど、高級コンパクトとして基本的な実力は備えています。その上で、やや大きめで重いボディサイズと、クラシカルなデザインをどう評価するのかがポイントになります。MX-1ボディ上下の真鍮製カバーは、使っていくにつれて徐々に下地が顔を出してきます。そのことを「いかにも」と捉えるのか、「使い込んだ証し」と捉えるのかによって、選択が分かれてくるのだろうと思います。 それでは実際に、「ペンタックスブランド初の高級コンパクト」、MX-1の実力をテストしてみます。
2.ペンタックス MX-1を開封し外観をチェックPENTAX MX-1を開封するペンタックスブランドで初となる高級コンパクト、MX-1が発売となりました。ペンタックスリコーからはGRのリリースも予定されており、異なるブランドでの味付けの違いがどうなっているのか、今からテストが楽しみです。米国ではブラックボディとホワイトボディの両方が発売されていますが、国内ではブラックボディのみとなりました。CP+2013で触ったときには、どちらも魅力的に感じましたが、ブラックボディの方が真鍮らしさを出しやすいためかもしれません。 店頭での実売価格は、4万円台中頃のようです。高級コンパクトの発売開始価格としては、やや安価な気がします。
MX-1のパッケージ。パッケージはシンプルなダンボール色のケースに、MX-1ホワイトモデルが印刷されています。パッケージ右上には「Classic
Black」と書かれたシールが貼付されていますが、これはワールドワイドで同じパッケージを使っているからなのか、あるいは今後国内でもホワイトモデルをリリースするためなのか、ちょっと期待をしてしまいます。
外箱を開けると、使用説明書や簡単ガイドなどが入ったトレーが目に入ります。この中には、ソフトウェアCD-ROM等も入っています。
トレーを上げると、その下からカメラ本体や付属品が顔を出します。上側の白いパッケージがカメラ本体です。
パッケージに入っている付属品です。左上から、使用説明書、簡単ガイド、ソフトウェアCD-ROM S-SW130、バッテリー充電器D-BC106、充電式リチウムイオンバッテリーD-LI106、ACコードD-CO24J、レンズキャップO-LC130、レンズキャップ用ストラップ、USBケーブルI-USB7、ストラップO-ST130。付属する保証書は国内でのみ有効なものとなります。 ペンタックスリコー MX-1の本体をチェック
ボディ本体。ボディは横長で、レンズはほぼ中央に置かれています。こうした構成もクラシカルなデザインの一環かもしれません。ボディ上下カバーは真鍮製で、その上に塗装がされています。ボディ本体はプラスティック製ですが、上からシボ革風の処理がされており手触りも良い感じです。ストラップ取り付け部は左右とも前側に置かれています。
ボディ背面。3型92万ドットのチルト稼働液晶パネルが搭載されています。高級コンパクトの中で液晶モニターが稼働するのは、オリンパスSTYLUS XZ-2とニコンCOOLPIX P7700、一回り大きくなりますがキヤノンPowerShotG1Xの4機種だけとなります。
ボディ上面。このアングルから見ると、フィルムカメラの風合いも感じます。左側に見えるのはポップアップストロボの上面で、その右にある2つの穴はステレオマイクです。
ボディ底面。こちらのパネルも真鍮製です。バッテリー室内にはメモリーカードスロットも置かれています。三脚用の穴はレンズ光軸からややシフトされています。カメラはインドネシア製。製造番号は23008xxでした。
ボディ左側面。上方に見えるストロボポップアップレバーは機械式のため、電源が入っていない状態でも稼働します。下部に見える3つの穴はスピーカーです。
ボディ右側面。こちら側には外部接続端子が置かれています。
端子カバーの内側。上がPC/AV端子で、下がHDMI端子です。
ボディ前面に刻印されているMX-1のロゴ。MXの部分は、1976年に発売されたフィルム一眼レフMXについていたロゴと同じデザインとなっています。
参考:フィルム一眼レフ PENTTAX MXのロゴ
ボディ右下にはSRのラベルが貼付されています。これはSR(Shake Reduction)の意味で、手振れ補正機能内蔵を示すものです。ペンタックスのデジタル一眼レフにも付いています。
MX-1のレンズ。沈胴式で、開放F値がF1.8-2.5の明るいズームレンズを搭載しています。smcとは「Super Multi Coated」の意味です。
レンズ鏡胴部には金属製のリングが置かれており、ホールド感の向上に役立っています。なお、このリングは回転しません。
軍艦部右側のメインコントロール部。大型のシャッターボタンの同軸にズームレバーが置かれています。その横にある赤いボタンは動画撮影用です。
モードダイヤルと露出補正ダイヤルが特徴的です。最近の高級コンパクトの中には露出補正ダイヤルを搭載する機種も増えてきましたが、それでもかなり限られています。
内蔵ストロボの上面も真鍮製で、「BRASS(真鍮)」の文字が刻印されています。
右手親指部分には電子ダイヤルが置かれています。グリップ部分にある丸いプラスティックは、背面側のリモコン受光部です。
液晶モニター側のメインコントロール部。ボタン類はペンタックスの一眼レフに準じたものとなっています。グリーンボタンを含め、このインターフェースが理由で購入される方も少なくないと思います。
内蔵ストロボをボップアップさせた状態。ボディ内に収納する場合には、上部を押し下げます。
ストロボポップアップ部。比較的複雑な構造となっています。
液晶モニターをチルトさせた状態。下向きには概ね45度の角度まで開きます。
液晶パネルを上側に開いた状態。上側には概ね90度まで開きますので、真下を見ながら撮影することが可能です。
チルト部の基部。写真は上側に90度開いた状態ですが、比較的頑丈な構造だと思います。
ボディ下部のバッテリー室カバーを開いた状態。
バッテリー室の前側には、バッテリー挿入方向のガイダンスシールが貼付されています。
バッテリーとメモリーカードを挿入しつつある状態。メモリーカードはラベル面が液晶パネル側となります。
ボディ本体重さの実測値は360.5gでした。メーカー公表値は363gですので、やや軽い結果となりました。
バッテリーとメモリーカードを入れた状態の実測値は388gでした。同じくメーカー公表値は391gですので、3g軽い結果でした。もちろん、メモリーカードによっては若干上下します。
電源を入れると、沈胴していたレンズが伸長します。写真は広角端の状態です。なお、設定によってズーム位置を記憶させることができます。その場合、電源を入れた時に自動的にメモリー位置までズーミングします。
望遠端の状態。この時のレンズ長が最長となりますが、光学4倍ズームということでそれほど長くは伸びません。
液晶モニターは、比較的視野角の広い液晶パネルが使われています。
液晶モニターにはガイドラインやヒストグラム、電子水準器等を表示させることができます。
INFOボタンを押すと、カメラの設定状況を一覧で確認することができます。また、この画面で項目を選択することで、設定変更も可能です。
カメラの設定メニューの中には文字サイズを大きくするものもあります。これを選択すると、文字フォントの縦の長さが1.5倍に拡大されます。
電源が入ると、電源ボタンが緑色に点灯します。また、メモリーカードへの書き込み中は点滅します。 バッテリー関係をチェック
バッテリー充電器D-BC106。充電式リチウムイオンバッテリーD-LI106の充電には、最大で140分かかります。
下部にはコンセントに繋ぐACコードを接続するための端子があります。
付属するACコードD-CO24J。できれば直接プラグに接続できるウォールマウントアダプター等も付属するとよいと思います。
リチウムイオンバッテリーD-LI106。容量は3.6V 1250mAhで、静止画で約290枚の撮影が可能です。X90でも使用されているバッテリーです。 MX-1の付属品をチェック
付属するUSBケーブルI-USB7。パソコンやプリンター等との接続に使用します。フェライトコアが付いています。
付属するストラップO-ST130。高級感はありませんが、しっかりとした作りです。
レンズキャップO-LC130。MX-1にはレンズカバーが内蔵されていないため、手で脱着をする必要があります。
レンズキャップの裏側。バネ部分はプラスティックで整形されています。
レンズキャップには、紛失防止用ストラップを取り付ける穴が開けられています。
レンズキャップ用のストラップ。片側をストラップに通します。
レンズキャップを装着した状態。この状態で電源を入れると、レンズが伸長できないため、液晶モニター上に警告メッセージが表示されます。 Sponsored Links 3.ペンタックス MX-1の描写性能はどうか?描写力チェック1:高感度性能MX-1は、有効1200万画素1/1.7型CMOSセンサーを搭載しています。基本感度はISO100で、標準でISO12800まで設定可能です。拡張設定などはありません。ノイズ低減処理については、シャッター速度が1秒よりも長い場合に自動的にかかりますが、ユーザーが設定することはできません。 最近のデジタルカメラは高感度性能の向上が著しいですが、MX-1についてもそのことを感じました。ISO800程度であればほとんどノイズ感はなく、ISO1600でも常用可能なレベルであると思います。 ISO3200以上になると、ノイズ感がぐっと増し、解像感の低下も感じられます。ISO6400以上は基本的には緊急避難的な使い方になってくると思いますが、以前のデジタルカメラのように画像自体が破たんする、といった状態ではありませんので、縮小するなどの工夫で活用できると感じました。 下記のサンプルは、各ISO感度の撮影を行ったものです。表示画像は等倍画像ですが、クリックすると全体画像が表示されますので、あわせて比較をしていただければと思います。
ISO100 描写力チェック2:歪曲収差MX-1は、6mm-24mmF1.8-2.5(35mm換算では28mm-122mm相当)の光学4倍ズームレンズを搭載しています。ユーザー設定項目の中に「ディストーション補正」の項目があり、これを有効にすると歪曲収差の補正がされます。レンズは比較的無理のない焦点距離であるため、歪曲収差も比較的良好に補正されています。広角端では画像周辺部に樽型収差が認められますが、50mm相当の画角あたりでほぼ補正されています。また、周辺光量についても、絞り開放でも気になる低下はしていません。 「ディストーション補正」を有効にすると、広角端でもほぼ歪曲収差が完全に補正されます。ただし補正量が大きい分、画像周辺部が切り取られる点には注意が必要です。 下記のサンプルは、いずれも絞り開放で撮影したものです。広角端ではディストーション補正の効果も確認できると思います。初期状態では「有効」になっていますので、基本的にはこの設定のままでよいと感じました。
6mmF1.8 描写力チェック3:解像力解像力テストでは、イメージセンサーとレンズの両方の実力が試されることになります。いつもの通りISO12233準拠チャートを使用して解像力チェックを行いました。MX-1は有効1200万画素のイメージセンサーを搭載していますが、高い解像力を持っていることを確認できました。画像中心部に関しては、広角端から標準域あたりまでの解像力が一番高く、テストチャートの識別限界である2500本のラインを十分視認することができました。望遠端ではわずかに解像力の低下がみられますが、それでも2500本のラインの視認が可能です。解像力の点では、絞り開放から鮮明な画像ですが、1段程度絞った状況が一番良好でした。 画像周辺部に関しても、絞り開放から鮮明ですが、1段程度絞るとさらに鮮明度が向上します。 全体的に、1/1.7型イメージセンサーを搭載している高級コンパクトカメラの中でも、トップクラスの解像力を持っていると感じました。 なお、下記のテストチャートは、中央部と左上を切り出したものです。画像は1/2に縮小してありますが、クリックすると元データ全体が表示されます。
6.0mm F1.8 (35mm換算28mm相当) 機能チェック(おまけ):連続撮影枚数ペンタックスリコーによると、MX-1の連写設定は、次の3通りがあります。
実際に、高速メモリーカード(SanDisk ExtremePro Class10 Read 95MB/s Write 90MB/s)でRAW+JPEG(FINE)、連続撮影でテストすると、
もし、連写を活用されるのであれば、JPEGのみで撮影された方が、シャッターチャンスを逃す危険性が少なくなると思います。 4.結局、ペンタックス MX-1は「買い」か?独断 素晴らしい! ポイント
独断 もう一息! ポイント
Sponsored Links 付録1.製品仕様からみた MX-1の特長
付録2.発売前のファーストレビュー【一口コラム】 ペンタックス初の高級コンパクト米国ラスベガスで開催されているCES(主催:全米家電協会)で、ペンタックスは初の高級コンパクト、MX-1を発表しました。米国での発売は2月で、$499.95(90円換算で約45,000円)で発売される予定です。日本国内での発売は未定ですが、今までの経過を見ると国内でも発売されるのではないかと思います。MX-1の主な性能は、
仕様上で比較すると、オリンパスのSTYLUS XZ-2に似ています。 【MX-1とXZ-2の比較】
MX-1(左側)とXZ-1(右側)。MX-1の方が幅は広いですが、高さはXZ-2の方が高くなっています。
MX-1(左側)とXZ-1(右側)。両機種ともチルト液晶を搭載しています。XZ-2ではボディ上面との境にある録画ボタンが背面にあるとともに、ホイールがダイヤルとなっているなど、インターフェース部分の違いは大きいようです。
MX-1(左側)とXZ-1(右側)。MX-1には露出補正ダイヤルが搭載されているのに対し、XZ-2は外付け電子ビューファインダーも装着できるアクセサリーシューがあります。
両機種を比較すると、撮像部分やレンズなど共通する要素も少なくありませんので、製造上の関係があるのかもしれません。しかし、ペンタックスとしての味付けがされたMX-1は魅力的なカメラに仕上がっています。高級コンパクト分野の選択肢を増やす意味でも、こうしたあり方も歓迎すべきであるように思います。(2013年 1月 9日 記)
ペンタックスから、正式に国内発売することが発表されました。発売予定日は5月3日で、5万円前後の見込みです。すでに販売店では予約も受け付けており、概ね4万5千円前後となっているようです。なお、米国ではシルバーとブラックが販売されていますが、国内ではブラックモデルのみとなります。このあたりはCP+2013会場で行ったアンケート結果を踏まえてのことかもしれません。 (2013年 4月 9日 記)
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【厳選レビュー記事】◎ITmedia クラシカルスタイルと明るいレンズの高級コンパクト 「PENTAX MX-1」2013年 4月23日 小山安博
◎デジカメWatch クラシックデザインの1/1.7型センサー機「PENTAX MX-1」を国内発売2013年 4月 9日 編集部
◎デジカメWatch 【CES】ハイエンドコンパクト「MX-1」を発表したペンタックスリコー2013年 1月 9日 編集部
◎デジカメWatch ペンタックス、クラシックなデザインの1/1.7型センサーコンパクト「MX-1」を海外発表2013年 1月 8日 編集部
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【PENTAX MX-1 基本仕様】
PENTAX MX-1 メーカー製品仕様のページ |
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