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特集 キヤノン PowerShot G1X
4.キヤノン PowerShot G1Xの描写力をチェック |
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キヤノン PowerShotG1X
by Inaba Kunio
大型センサーを搭載した究極のG
評価:5.0
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描写力チェック1:高感度性能PowerShot G1Xの基本感度はISO100で、1/3段ステップでISO12800まで設定可能となっている。ノイズの低減処理方法としては、カメラ内の高感度ノイズリダクションの設定をするか、RAWで撮影を行い、パソコン上での現像段階で実施することになる。なお、RAW撮影を行う場合には、カメラ内での高感度ノイズリダクションは設定できない。カメラ内でのノイズ低減は、撮影メニューの中にある「高感度NR」によって設定する。出荷時には「標準」になっているが、「弱」と「強」を含め、3つの中から選択することになる。なお、RAW+JPEGで撮影する場合、JPEGファイルには「標準」の高感度NRがかかるようだ。 実際に撮影してみると、ISO6400以上では撮影後の処理時間が長くなるので、このあたりが閾値となっているようだ。ただし、下記のサンプルを見てもわかるように、低感度においても高感度NRの設定によって、一定のノイズリダクションはかけられている。 下記のサンプルは、ノイズリダクションを弱、標準、強の3段階で各ISO感度の撮影を行ったものである。ノイズリダクションを弱にしても、ISO1600まではほとんどノイズを感じなく、ISO3200でも常用可能だろう。ISO6400になると、暗部で少々ノイズが目立ち始めるが、一般的な撮影では十分使用可能なレベルとなっている。ISO12800も、単に設定できるというレベルではなく、シーンによっては積極的に利用すべきだろう。 高感度NRを標準や強に設定すると、ノイズの低下には大きな効果を発揮する。しかし、強にすると解像感の低下もそれなりにあるので、基本的には標準での撮影が無難かもしれない。 メーカーにとっても、高い高感度性能が大きなセールスポイントとなっているが、確かにデジタル一眼レフと同等レベルの能力を発揮していることが確認できた。このクラスのカメラで、ISO12800も活用できる時代が来たことに感慨を覚える。
ISO100 (左から高感度時ノイズリダクション「弱」、「標準」、「強」) 描写力チェック2:歪曲収差PowerShot G1Xは、35mm換算で28-112mm、光学4倍ズームを搭載している。最近のコンパクトカメラとしては抑えられた数値であるが、一眼レフに準じたサイズのイメージセンサーを搭載していることを考えると、広角端では開放F2.8のレンズをよくこのサイズで実現したものだと思う。歪曲収差に関しては、G1Xも電子的な補正がかけられているようだ。そのためもあってか、広角側から良好に補正されている。広角端では、周辺部にわずかに樽型収差が残っているが、アングルに特段の注意が必要なレベルには至っていない。 広角端から望遠側に移るにつれ、さらに収差が補正されていく。35mm換算で50mmあたりの標準域を超えると、歪曲収差はほぼ完全に補正されている。 焦点距離:15.1mm(35mmサイズ換算28mm) 焦点距離:25.4mm(35mmサイズ換算47mm) 焦点距離:46.1mm(35mmサイズ換算85mm) 焦点距離:60.4mm(35mmサイズ換算112mm) 描写力チェック3:解像力解像力テストでは、イメージセンサーとレンズの両方の実力が試される。いつもの通りISO12233準拠チャートを使用して解像力チェックを行った。結果は、コンパクトカメラとしては良好な解像力を示している。画像中心部に関しては、広角端では開放から良好な解像力を示しており、2500本のラインもぎりぎり視認できる。絞るにつれて、さらに鮮明になり、広角端ではF5.6でピークを示している。 望遠側に移るにつれ、徐々に解像感は低下していく。とくに、30mm(35mm換算で50〜60mm)を超えると、解像力の低下が顕著になり、この傾向は望遠端まで続く。それでも望遠端でも2300本のラインあたりまでは識別できるので、コンパクトカメラとしては良好な解像力と言えるだろう。 周辺部に関しては、全体としてはやや残念な結果となった。広角端では、周辺部も中心部とほぼ同様の傾向を示し、絞り開放でも鮮明ではあるがF5.6まで絞るとさらにシャープな画像となった。 望遠側に移るにつれ、急速に周辺部の画像が流れていくようになる。30mm(35mm換算で55mm)あたりを超えると、開放では厳しい状況であり、絞りを2段程度絞る必要があるように感じた。50mm(35mm換算で90mm)を超えると、周辺部の画像もだんだんと落ち着きを示し、絞り開放でもそこそこのレベルにはなる。とはいえ、やはり少なくとも1段程度は絞ることをお勧めする。 トータルで見れば、イメージセンサーの力を引き出すレンズということができるが、イメージセンサーの大きさの割にレンズを小型化した影響のせいか、広角端を除き、画像周辺部では少々厳しい評価となった。
15.1mm域(35mmサイズ換算28mm) F2.8 |
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