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特集 キヤノン PowerShot G1X
5.PowerShot G1XはG12からどう進歩したか |
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キヤノン PowerShotG1X
by Inaba Kunio
大型センサーを搭載した究極のG
評価:5.0
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仕様と外観の比較「G」シリーズの11代目としてリリースされたPowerShot G1X。2000年の初代G1から12年、前機種のG12からでも1年半が経過する中で、どのようにブラッシュアップされているのか、まずは仕様と外観をチェックしてみたい。なおキヤノンは、G1XをG12の上位機種として位置づけており、当面G12も併売されるとのことである。G12と比較したとき、G1Xの主な違いとしては次の点がある。
G1Xだけを見ると、G12よりもかなり大きくなったような印象を受けるが、実際に両機種を並べてみると、それほど差がないことがわかる。両機種の違いは、むしろ持った時の「ずっしり感」かもしれない。PowerShotG1Xは、精密機械としてのカメラを実感させてくれる。
両機種の違いの一つに、G1Xはレンズキャップ方式となった点がある。電源をONにする前に、レンズキャップをはずさなければならない。
液晶モニター側。G12は2.8型46万ドットの液晶だったが、G1Xでは3.0型に大型化されるとともに、ドット数も2倍の92万ドットとなった。ボタンやダイヤル等の配置はほぼ同じだが、ボタンの機能は結構入れ換えられている。
上面からのアングル。G1Xはグリップ部が大きくなっていることが分かる。写真では見づらいが、G1Xで改善された点の一つに、シャッターボタンの大型化がある。一眼レフと同等のフィーリングでシャッターを切ることができる点は、随分と気分を変えてくれる。
ボディ底面の比較。三脚用穴はG12でもレンズ光軸からずれていたが、G1Xでさらにずれた点は、ちょっと残念だ。
ボディ側面。G12のボディは結構グラマラスである。実装上の理由もあったとは思うが、むしろデザインのトレンドが変化しているのかもしれない。
電源を入れた状態。どちらも広角端だが、G1Xのレンズ伸長が長いことがわかる。
望遠端。G1Xもさらにレンズが伸びている。とはいえ、デジタル一眼レフの標準ズームよりは十分小さい。イメージセンサーの大きさを考えれば、かなりの小型設計であるといえるだろう。 描写性能比較G1XとG12は、イメージセンサー、レンズ、画像処理エンジンのすべてが異なっている。とくに、イメージセンサーが1/1.7型から1.5型が変わった点は描写力の点で大きな差となっている。この両者の描写力テストの結果、高感度性能、解像力の面で、明らかにG1XがG12を上回っていることが確認できた。また、G1Xは電子補正がされているため、単純には比較できないかもしれないが、結果としての歪曲収差についても、G1XがG12を上回っていた。 (1) 高感度性能比較G12の基準感度はISO80であったが、G1XではISO100となった。その分、設定できる最高感度がISO3200からISO12800へと2段分アップしたとともに、高感度ノイズリダクションの設定も可能となった。G1Xは画素数は1.4倍となっているがセンサーサイズは6.3倍となっているため、画素単位での受光面積は大幅に拡大されている。仮に画素技術の向上がなかったとしても、単純に2段分(4倍)のメリットが受けられることになる。描写力の結果は下記を見てほしいが、G12ではISO400を超えたあたりからノイズが出始めていたのが、G1XではISO1600でもほとんどノイズを感じさせない。大まかな表現ではあるが、概ね3段分以上ノイズレベルが低減されている。つまり、高感度ノイズリダクションを標準に設定しても、G1XのISO12800のノイズレベルは、G12ではISO3200よりも低いといえるだろう。さらに高感度ノイズリダクションを強にすると、解像感の低下が伴うものの、ノイズ面ではさらに差が大きくなる。
ISO100 ノイズリダクション標準
ISO200 ノイズリダクション標準
ISO400 ノイズリダクション標準
ISO800 ノイズリダクション標準
ISO1600 ノイズリダクション標準
ISO3200 ノイズリダクション標準
ISO12800 ノイズリダクション標準 (2) 歪曲収差比較メーカーから正式に発表されているわけではないが、G1Xでは電子的補正が加えられており、G12の画像と単純に比較することはできないかもしれない。しかし、結果として生み出される画像がどうであるか、という観点に立てば、こうした傾向も一つのあり方として評価できるように思う。さて、両機種とも、中望遠域よりも望遠側では、歪曲収差はほぼ解消されている。そのため、広角端、標準域、中望遠域の3つの焦点距離に関して、両機種の歪曲収差を比較したのが下記である。 これを見ると、全般的にG1Xの方が良好に補正されている。とくに広角端では、G12ではやや樽型収差が目立つが、G1Xではほとんど気にならないレベルに補正されているのはさすがである。標準域、中望遠域では差は小さくなるものの、やはりG1Xの方が上回っていると言えるだろう。
G1X 15.1mm(28mm) G12 6.1mm(28mm) (3) 解像力比較G1X、G12とも、広角側の解像度が比較的優れていたため、両方の焦点距離を広角端(G1Xは15.1mm、G12では6.1mm)に設定してチェックを行った。どちらも35mm換算の画角は28mm相当となる。なお、G1Xでは開放絞りから2段絞った状態が一番鮮明であったのに対し、G12では開放絞りが一番よかったので、それぞれの絞りでチェックを行った。設定ISO感度は、どちらも基準感度(G1XはISO100、G12はISO80)。結果は、明らかにG1Xの方が解像力は上回っている。G12もコンパクトカメラとしては決して悪くはないものの、G1Xはさらによい解像力を示した。G1Xのレンズは、周辺部でやや描写力に課題を感じるが、レンズ性能が引き出せる中心部においては、単純にイメージセンサーの持つ力の差が表われているといえるだろう。
PowerShot G1X![]() ![]() PowerShot G12![]() ![]() |
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