2014年、デジカメはどう進化する?


カメラ画像 by イラストポップ

 2013年も残すところ数時間となりました。デジカメで振り返る今年の特徴は、高付加価値モデルへのシフトが加速したことだと思います。とくにWi-Fi機能についていえば、エントリークラスを除いてほぼ標準装備になりつつあると言えそうです。こうした流れは、今まで以上にカメラとしての魅力を強めていくことを求めるとともに、環境や使われ方の変化に適合していくことが、カメラメーカーとして生き残る上でも必要になるように思います。
 今年、詳細レビュー記事として取り上げた製品は、デジタル一眼レフ7機種、ミラーレスカメラ13機種、高級コンパクト11機種、ネオ一眼1機種、その他4機種で、計36機種でした。取り上げた数自体はほぼ昨年並みと言えますが、本来取り上げるべき機種でレビューできなかったものもチラホラと残っています。このことは「レビューしたい」と思わせる魅力をもった機種が増えていることの表れだと思いますし、こうした傾向は来年、さらに強まっていくのではないでしょうか。

 それでは2014年、デジカメはどう進化するでしょうか。最初の答えは、2月13日から始まるCP+2014で見ることができるでしょうし、秋のフォトキナでは各社とも力のこもった製品をリリースするものと思われます。
 まず、レンズ交換式カメラについてですが、画質面での強化は確実に進んでいきます。本年はソニーα7によって、いよいよミラーレスカメラでもフルサイズのイメージセンサーが採用されましたが、他にも新たにフルサイズセンサーを採用するところが出てきそうです。デジタル一眼レフでも、今まではキヤノンとニコン、ソニー(厳密にはデジタル一眼レフではありませんが)だけだったのが、ペンタックスも35mmフルサイズに参入するのではないか、という噂もあります。
 こうした流れに対して、イメージセンサーのサイズが固定されているマイクロフォーサーズ陣営やニコン1シリーズ、キヤノン・ミラーレスがどのように反撃していくのかもポイントになってくると思います。描写力を決める要素はイメージセンサーだけでなく、画像処理エンジンやレンズも大きな役割を担っています。富士フイルムの6×6カラーフィルターの採用など、描写力強化という切り口で考えても、まだまだ新しいものが生まれてくる余地はたくさん残っています。

 レンズ固定式カメラでは、さらに特化型モデルへのシフトが進んでいくものと思われます。単なるコンパクトモデルや薄型モデルといった製品では、スマートフォンの進化に太刀打ちできなくなっています。各メーカーとも「特色ある製品」へと舵を切りつつあり、高級コンパクトや高倍率ズーム機、タフネスモデルなど、一芸に秀でた製品のラインアップが強化されるようです。
 こうした傾向は、魅力あるカメラが増えていくことにつながりますので歓迎すべきと思います。しかし同時に、汎用性を持った「究極のコンパクトデジカメ」とも言うべき製品にも期待したいところです。

 描写性能以外にも、機能面での強化が進んでいくのも確実です。ローエンド製品を含めWi-Fiが標準装備になっていくことは確かですが、それ以外にもライブビュー時のオートフォーカス性能や連写性能がさらに強化されていくと思います。このあたりは、2013年の製品でも目についた点でした。画素数競争が一段落して写真データ量の増大ペースが緩やかになったことで、相対的に画像処理エンジンの処理力強化が急速に進んだことが背景にあります。
 画像処理技術の進化は、ミラーレスカメラの進化にダイレクトにつながりますので、デジタル一眼レフとの差はさらに縮小されていくものと思われます。市場動向を見ると、ミラーレスカメラの勢いがやや衰えてきているように見えますが、実際には選手交代のための準備が足元で進んでいるのだと見るべきかもしれません。
 ネットワーク技術の世界ではIoT(Internet of Things:モノのインターネット)という言葉がトレンドになっています。デジタルカメラにWi-Fiが標準装備になるということは、デジタルカメラも「モノ」としてインターネットに直接つながることを意味します。このことが、デジタルカメラにどう影響するのか。さらに言えば私たちの生活にどうかかわってくるのか。2014年には、ネットワークとデジタルカメラの新しい関係が生まれてくるかもしれません。

 2014年も、ユーザーの視点でデジカメ業界に関わっていきたいと思います。本年同様、引き続きご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。