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トップページ > デジカメ購入アドバイス > 【特別座談会】(中編) 2012年、各社の特徴と注目機種は?

【年末恒例(予定)特別座談会】
(中編)2012年、各社の特徴と注目機種は?

Coffee Shop in KANAGAWA


 2012年も残すところ1カ月あまりとなりました。今年は2年に1度のフォトキナ開催年ということもあり、昨年にもまして多くの新製品が登場した年だったと思います。前回掲載した『前編』では、この1年間を振り返って、デジタルカメラがどのように変わり進化したのかについて議論した内容を掲載しました。
 今回の『中編』では、メーカーごとの特徴と、本年に発売開始されたデジタルカメラの中で注目すべき機種について議論をしています。

  • 日 時:2012年11月25日(日)午前10時〜午後2時
  • 場 所:神奈川県内のコーヒーショップ
  • 参加者:monox、太郎、ひめ☆(司会)、リバティ(記録)


§ 各メーカーの特徴は? §

《ひめ☆》
「それでは、次のテーマに移りたいと思います。まずは、各メーカーごとに新製品の特徴について議論を進めてくださいますか?」

《太郎》
「どこから議論しましょうか?あいうえお順?」

《リバティ》
「今年は各社とも力をこめた製品をリリースしたと思うけど、その中でも一番目立ったのはソニーじゃない?ここからではどうかな?」

《ひめ☆》
「それでは、ソニーからということで。」

SONY LOGO

 ソニー:デジカメ分野に経営資源を集中し、魅力的な機種を多くリリース

《リバティ》
ソニーの新製品は、デジタル一眼レフ(※注 参照)でα99、α65、α57、α37の4機種、ミラーレスカメラでは、αNEX-7、αNEX-6、αNEX-5R、αNEX-F3の4機種、高級コンパクトではDSC-RX1とDSC-RX100、ネオ一眼ではDSC-HX200Vがリリースされています。レンズ交換式カメラで8機種、コンパクトカメラ全体では14機種ですので、やはり多いですね。」

※注 ソニーのトランスルーセントテクノロジー機は厳密にはデジタル一眼レフではありませんが、類似点が多いためこのように表現しています。

《monox》
「ソニーはデジタルカメラを含む映像分野を重点にしていくことを表明していましたが、一年間でレンズ交換式カメラを計8台もリリースするというのは、かなり力が入っていると思います。ブラッシュアップモデルを含めソニーらしい製品となっているように思いますが、特に印象深かった製品を上げると、αAシリーズではα99、αEシリーズではNEX-6、そしてコンパクトカメラのDSC-RX1とDSC-RX100の4機種です。」

《太郎》
「コンパクトの2機種はわかりますが、αシリーズの2機種はどういった点を評価されました?」

《monox》
「α99については、ミノルタ時代から続くαシリーズの最高峰モデルとなりますが、ソニーにとってのフラグシップモデルがトランスルーセントミラーテクノロジーを活用した電子ビューファインダー搭載機として登場したことにインパクトを受けました。昨年末に出たα77も高精細な電子ビューファインダーでしたが、α99ではさらに反応性が高められています。動く被写体の追従性や連写時の表示など、高品質な光学ファインダーと比較するとまだ差はありますが、一般的な使用ではほとんどデメリットを感じないレベルに到達したと感じました。
 フィルム時代からフィルムカメラを使っていると、どうしても電子ビューファインダーに抵抗感を持ってしまいがちになりますが、逆に電子ビューファインダーだからこそのメリットも少なからずあります。たとえば、ホワイトバランスを含め撮影される画像を直接確認しながら撮ることができること、暗いシーンや絞込みボタンを押して被写界深度を確認する時でも明るい画面を見られること、動画撮影もファインダーを覗きながら撮影できること、ポストビューもファインダーに接眼したままで確認できること、等々は電子ビューファインダーのメリットです。また、コスト面やボディサイズ、デザインの自由度といった面でも、電子ビューファインダーの方に分があります。電子ビューファインダーを搭載したミラーレスカメラによって、デジタル一眼レフ全体がより高機能な方向へシフトしているのも、こうしたことが影響しています。
 α99の魅力のもう一つは、フラグシップ機でありながら多機能性も重視している点です。2軸方式のバリアングル液晶や、豊富な動画撮影機能など、従来のフラグシップ機ではあえて省略されたかもしれない機能を惜しみなく搭載していることは、デジタルカメラの枠を超える映像機器としての可能性につながっていくものだと思います。」

《リバティ》
「αNEX-6についてはどうでしょうか。」

SONY ANEX-6
αNEX-6
(画像をクリックすると詳細レビュー記事に移ります。)

《monox》
「ソニーはαNEX-7をリリースした時に、ミラーレスカメラの位置づけを『コンパクトカメラからのステップアップを考えているエントリーユーザー』にフォーカスしていたように思います。その方向性を変え、上級者もターゲットに含めた製品の第一弾がαNEX-7とすると、そうした方向性を確固としたのがαNEX-6というところでしょうか。NEX-7の時には、トリプルダイヤルをはじめ、デジタル一眼レフとはあえて異ならせたように感じる部分もありましたが、NEX-6では肩の力を抜いた自然体で電子ビューファインダー内蔵機として仕上げたように思います。」

《リバティ》
「NEX-6の方向を強化していくと、αAシリーズとの関係は変わっていくような感じもしますが。」

《monox》
「そうですね。ソニーとしても明確に決めたわけではないと思いますが、いずれはNEXシリーズに統合していくという選択肢も検討の中には入っているでしょう。先ほども話の中で出てきましたが、フルサイズNEXの噂も、こうしたところに元があるかもしれません。
 しかし、αAマウントのレンズ資産は、キヤノンやニコンに次ぐ規模です。また、αAシリーズはボディ内手振れ補正方式ですから、αAマウントレンズは基本的に手振れ補正機能を搭載していません。マウントアダプター経由でNEXシリーズに装着しても、手振れ補正機能は機能しませんから、このあたりも考えると、NEXシリーズへの統合はそれほど簡単ではないような気がします。」

《リバティ》
「DSC-RX100とDSC-RX1は、高級コンパクト部門の時にも注目機種としてあがりましたね。
 DSC-RX100の詳細レビュー記事では、コンパクトなボディの中に、1型2020万画素イメージセンサーと、使いやすいズーム域をカバーした高性能レンズによる『レンズ交換式カメラと同等な描写性能』が評価ポイントでした。
 DSC-RX1のレビュー記事では、フルサイズのイメージセンサーとトップレベルの描写性能をもった単焦点レンズの組み合わせによる『デジタル一眼レフを凌駕する描写性能』と、連写性能などの高いパフォーマンスが評価されています。」

《monox》
「DSC-RX100は、スタンダードな高級コンパクトカメラの新しいページを開いた機種として、記憶に残ると思います。おそらく、各社ともDSC-RX100に正面から挑むような機種を開発していると思いますので、来年が楽しみですね。
 これに対しDSC-RX1は、コンパクトカメラで描写性能を突き詰めた場合、どのレベルまで到達できるのか、という問いへの答えともいうべき機種です。このクラスのコンパクトカメラは、ソニーを含め今後しばらくは登場しないのではないでしょうか。もともと大量に売れるタイプの機種ではありませんが、いまだ店頭在庫がひっ迫しているところをみると、ソニーの予想がうれしい方向ではずれたのでしょう。こうした尖った製品はソニーらしさを感じます。これからも切り口を変えてチャレンジし続けてもらうと、デジタルカメラもさらに新しい進化を続けられると思います。」

SONY DSC-RX1
DSC-RX1
(画像をクリックすると詳細レビュー記事に移ります。)

《ひめ☆》
「それでは、次はニコンについてお願いします。」

Nikon LOGO

 ニコン:とりわけレンズ交換式カメラに力を入れた展開

《リバティ》
「最初にニコンの新製品をあげると、デジタル一眼レフはD4、D800/D800E、D3200、D600、それに12月に発売予定のD5200の5機種、ミラーレスカメラでは、J2とV2の2機種、高級コンパクトではCOOLPIX P310とCOOLPIX P7700、ネオ一眼ではCOOLPIX P510がリリースされています。レンズ交換式カメラで7機種、コンパクトカメラ全体では13機種です。」

《monox》
「ニコンも、今年は新製品が多かったですね。D4は世代交代したフラグシップ機として、D3200は24メガ画素のエントリー機として魅力がありますし、D600もフルサイズ機の幅を広げた機種として注目すべきだと思います。とはいえ、やはり今年のニコンということで見ると、D800/D800EとV2がポイントになってくると感じています。
 D800は有効3630万画素フルサイズセンサーを搭載しており、中判に匹敵する解像力を持っている点が衝撃的でした。実際に撮影すると、『画像を見ると、撮影時にはわからなかったことも見えてくる』カメラであるのがわかります。フルサイズ機では今後もしばらくは高画素化が進んでいくものと思われますが、すでにフィルムカメラを超えた解像力に到達していることを証明しました。
 また、姉妹機であるD800Eでは、ローパスフィルターの効果を消したことによる解像感の向上がポイントとなります。画像処理エンジンの進化とセンサーの高画素化により、モアレの発生を抑制できたことが、D800Eの誕生につながりました。D800Eの成功は、最初からローパスフィルターを搭載しないカメラに繋がっていくものと思われます。
 もう一つのV2は、ニコンのミラーレスカメラが『コンパクトからのステップアップ』というステージから、『レンズ交換式の小型システムカメラ』というステージへと一歩進んだことを象徴するカメラです。デジタル一眼レフよりも小型のイメージセンサーを採用した点を、逆にデジタル一眼レフとの差別化に使うことで、新たな拡がりを実現したように思います。」

《リバティ》
「コンパクトカメラの分野で、目立つ機種はありましたか?」

《monox》
「高級コンパクトであるCOOLPIX P310やCOOLPIX P510は、前機種の正常進化モデルとして安心して使える機種だと思います。COOLPIX P7700は、実像式光学ファインダーを取り外したものの、描写性能の向上とチルト液晶からバリアングル液晶への置き換えといった進化を遂げています。高機能型の高級コンパクトとして、ひとつの完成形に到達したカメラであると思います。今後、価格面でこなれてくれば、かなり人気がでるように感じました。

Nikon COOLPIX P7700
COOLPIX P7700
(画像をクリックすると詳細レビュー記事に移ります。)

 その他の機種では、Androidを搭載したCOOLPIX S800cが注目されます。ニコンは、フィルムカメラ時代に手振れ補正機能内蔵コンパクトカメラをはじめて発売した会社ですし、最近ではプロジェクターを内蔵したカメラをリリースするなど、新しい取り組みにチャレンジするような製品にも伝統的に取り組んできたメーカーです。動作速度の問題など課題も少なくありませんが、デジタルカメラからスマートフォンへのアプローチとしては面白いカメラに仕上がっていると思います。」


 

《ひめ☆》
「ニコンについては、そんなところでよろしいでしょうか。それでは次はキヤノンをお願いします。」

Canon LOGO

 キヤノン:ミラーレスへの参入とフルサイズの強化

《リバティ》
「今年発売となったキヤノンの新製品は、デジタル一眼レフはEOS5DMark3、EOS-1DX、EOS Kiss X6i、EOS6Dの4機種、ミラーレスカメラでは、新登場のEOS M、高級コンパクトではPowerShotG1X、PowerShotS110、PowerShotG15、ネオ一眼ではPowerShotSX50HSが登場しました。レンズ交換式カメラで5機種、コンパクトカメラ全体では18機種です。」

《太郎》
「コンパクトカメラは随分出ていますね。あと、キヤノン初のミラーレス機が登場した年となったのがポイントですか。」

《monox》
「そうですね。キヤノンが今後どのようにミラーレスカメラを展開していくのか、まだ明らかとはなっていませんが、来年早々にも追加のボディやレンズが出てくるという噂もあります。いずれにせよ、せっかく新たなマウントEF-MをつくったのにボディがEOS Mで終わりということは考えられませんから、期待できると思いますよ。
 これはソニーやニコンも同じでしたが、デジタル一眼レフに重点を置いてきたメーカーは、エントリー機でミラーレスカメラに参入してきました。キヤノンも同じスタンスで製品展開をしたわけですが、いずれは上級クラスの製品もリリースするのではないかと思います。キヤノンのミラーレスカメラの特徴については以前も議論しました(注:『キヤノンのミラーレスカメラの特徴』)が、次の製品がどのような形で出てくるかによって判断することになりますね。
 キヤノンの製品展開で見ておく必要があるのは、今年登場したデジタル一眼レフ4機種のうち、3機種がフルサイズ機であったということです。これは製品サイクルの関係で今年はそうなった、ということもありますが、やはり全体としてデジタル一眼レフが描写性能重視の方向でシフトしつつあることが背景にあります。」

《リバティ》
「キヤノンの注目機種は、EOS Mの他にありますか?」

《monox》
「一つは、EOS6Dですね。フルサイズデジタル一眼であると同時に、Wi-FiやGPSを内蔵した点が面白い。97%のファインダー視野率や1/4000秒までのシャッタースピードを気にして敬遠される方もいると思いますが、EOS5DMark3の廉価・小型・軽量モデル、というだけではなくて、多機能性を評価して積極的に検討対象に加えることをお勧めします。

Canon EOS6D
EOS6D
(画像をクリックすると詳細レビュー記事に移ります。)

 コンパクトカメラの分野では、PowerShotG1Xです。マイクロフォーサーズとほぼ同じ大きさの1.5型イメージセンサーに、実像式光学ファインダーやバリアングル液晶を搭載するなど、『究極の』多機能型高級コンパクトカメラといった印象を受けました。20cmに留まる最短撮影距離など、いくつか指摘されている点もありますが、デジタル一眼レフの代わりに持参するカメラとして、魅力にあふれていると思います。

Canon IXY1
IXY1
(画像をクリックすると詳細レビュー記事に移ります。)

 キヤノンでもう一台あげるとすると、IXY1ですね。3月にIXY420Fとほぼ同時に発売開始となりましたが、この時点ではWi-Fiを内蔵したデジカメはパナソニックのDMC-FX90(2011年9月)とソニーのDSC-TX300V(2012年3月)を含め4機種だけでした。兄弟機であるIXY3とは、Wi-Fi搭載の有無とタッチパネルの違いがありましたが、Wi-Fi内蔵の利便性が撮影スタイルのツボにはまると、欠くことのできない条件になると思います。」

《ひめ☆》
「キャノンについてはよろしいでしょうか。それでは次はオリンパスをお願いします。」

OLYMPUS LOGO

 オリンパス:ミラーレスと高価格帯モデルへの集中

《リバティ》
「オリンパスは経営問題でいろいろと苦労が続きましたが、ソニーとの提携によりひと段落というところだと思います。私はフィルムカメラのことはほとんど知らないのですが、光学機器を出発点とするメーカーが元気であることは、デジタルカメラの幅を拡げる上でもプラスだと思います。
 6月に発表された『中長期ビジョン』では、映像事業の黒字化をめざし、ミラーレスカメラや高価格帯コンパクトに集中することが示されています。マイクロフォーサーズやXZ-2、TG-1のような製品が増えていくことは楽しみですね。」

《太郎》
「オリンパスからはどんなのが出たの?」

《リバティ》
オリンパスの新製品は、ミラーレスカメラでOM-D E-M5、PEN Lite E-PL5、PEN mini E-PM2の3機種、高級コンパクトはSTYLUS XZ-2、高級コンパクトとはちょっと違うけどタフネス・フラグシップのTG-1だね。レンズ交換式カメラで3機種、コンパクトカメラ全体では12機種が出てる。」

《monox》
「オリンパスの注目機種は、まずはOM-D E-M5だと思います。そして、TG-1も新しい切り口の製品として注目すべきですね。
 まず、OM-D E-M5は、オリンパスのミラーレスカメラではじめて電子ビューファインダーを内蔵した機種です。このことは、今までデジタル一眼レフであるフォーサーズ規格が担っていた部分を、ミラーレスカメラでもカバーすることを意味します。先ほどリバティさんが紹介した経営方針でもミラーレスカメラに注力していくことが示されていますので、オリンパスとしてはレンズ交換式カメラはOM-DシリーズとPENシリーズで展開していくのだと思います。
 フィルムカメラのOMシリーズは、小型軽量システムカメラとして人気がありましたが、OM-D E-M5はデジタル版OMシリーズであり、『小型・軽量とハイスピード・堅牢の両立』がピッタリくる製品だと思います。」

《リバティ》
「OM-Dが3月に発売された時、しばらくは入手ができないほどの人気でしたね。事前に予約を入れていましたが、実際に評価用機材を購入できたのも4月中旬だったことを思い出しました。」

《monox》
「もう一つのTG-1は、本体のみで12m防水と防塵・耐衝撃・耐荷重・耐低温といった本格的なタフネスモデルでありつつ、25mm-100mmF2.0-4.9(注:35mm版換算で)の明るいレンズを搭載しているというのが、今までにない切り口だと思います。アウトドア製品は、どうしても描写性能に対しては我慢しなければならない部分が残りましたが、TG-1では屈折光学系ながら広角25mmF2.0を確保した点は素晴らしいと思います。

OLYMPUS TG-1
OLYMPUS TG-1
(画像をクリックすると詳細レビュー記事に移ります。)

 TG-1には、45m耐水ケースの他にもテレコンバーターやフィッシュアイコンバーターなど、純正オプションが揃っている点も魅力的ですね。」

《ひめ☆》
「ありがとうございます。次は、パナソニックについてお願いします。」

Panasonic LOGO

 パナソニック:コンスタントに新製品をリリースできる実力

《リバティ》
パナソニックがリリースした新製品は、ミラーレスカメラがDMC-GF5とDMC-G5、そして12月に発売予定のDMC-GH3の3機種、高級コンパクトはDMC-LX7、ネオ一眼はDMC-FZ200となります。レンズ交換式カメラ3機種、コンパクトカメラ12機種ですね。」

《太郎》
「パナソニックも家電メーカーとして、いろいろと大変な年でしたね。」

《monox》
「昨年、パナソニックからリリースされたミラーレスは、DMC-G3、DMC-GF3、DMC-GX1の3機種で、コンパクトカメラはDMC-FZ150を含む11機種でしたので、ほぼ昨年と同様の製品展開ですね。コンスタントに開発できる体制がとられていることを感じます。昨年末に登場したDMC-GX1のテイストにあわせてモデルチェンジが行われており、G5、GF5とも着実にブラッシュアップされています。
 ミラーレスカメラの中では、やはり2年ぶりに登場となったDMC-GH3が注目機種です。発売開始は12月13日の予定のため評価は間に合いませんが、防塵防滴性能を持ったマグネシウムボディは、フラグシップ機としての趣を持っています。トリプルダイヤルなどインターフェースの強化や、無線LANも標準搭載されており、機能面でも充実しています。ボディ単体の発売開始価格は11万円台と見込まれていますので、DMC-G5などと比べるとやや高めの価格ですが、パナソニックのフラグシップ機の実力が期待されます。」

Panasonic LUMIX DMC-GH3
Panasonic LUMIX DMC-GH3

《リバティ》
「コンパクトカメラではどうですか? 高級コンパクトのDMC-LX7とネオ一眼のDMC-FZ200は、レビューでも比較的評価が高かったように思います。」

《monox》
「そうですね。この2機種とも良い機種だと思いますが、小型タイプの高級コンパクトにはソニーのDSC-RX100という強豪がいますので、ここではDMC-FZ200を注目機種としてあげたいと思います。
 昨年登場したDMC-FZ150の後継機ですが、後継機という枠を超えた進化を遂げている点に驚きました。もともとDMC-FZ150もレスポンスよく動く機種でしたのでネオ一眼の中では気に入っていました。DMC-FZ200では、24mm-600mm(注:35mm版換算で)でズーム全域F2.8の大口径レンズを搭載するとともに、ネオ一眼の弱点であった電子ビューファインダーの見え方が、131万ドットの高精細パネルを採用することで格段に進化しました。発売開始時点と比べると価格も値頃感がありますので、現時点でのお勧め機種の一つです。」


 

《ひめ☆》
「パナソニックについては、そんなところでよろしいでしょうか。ちょっと時間が押していますが、次に富士フイルムをお願いします。」

FUJIFILM LOGO

 富士フイルム:ミラーレスへの参入とフルサイズの強化

《リバティ》
富士フイルムの新製品ですが、ミラーレスカメラはX-Pro1とX-E1、高級コンパクトではXF1、ネオ一眼ではFinePixSL300とFinePixHS30EXR、FinePixS4500の3機種がリリースされています。レンズ交換式カメラで2機種、コンパクトカメラ全体では13機種です。」

《太郎》
「ネオ一眼を3機種も登場させたのは富士フイルムだけですね。」

《monox》
「今年の富士フイルムを見ると、高級ブランドとなるXシリーズのラインアップがほぼ整った年と言えると思います。昨年3月に登場したFinePixX100から1年半で、ここまでリリースできたことは素晴らしいと思います。Xシリーズが出るまでは、『富士フイルムでしか得られないデジカメ』というのは正直なところあまりなく、しいて言えば先ほどの層が厚いネオ一眼、という感じでした。ソツなくすべてのニーズに対応した製品を幅広く展開する、ということができたからこそ、ここまで急速にXシリーズを整えることができたのだと思います。」

《リバティ》
「富士フイルムのXマウント用レンズは、現時点で単焦点4本、標準ズーム1本の計4本ですね。ロードマップが明らかになっているレンズでは、あと3本の単焦点と広角ズーム、望遠ズームがあります。いずれも2013年には登場する予定です。」

《monox》
「富士フイルムと言えば、やはりXシリーズに注目することになりますが、その中でもミラーレスカメラに参入した点が一番のトピックスだと思います。特にX-Pro1に採用したハイブリッドマルチビューファインダーは、光学ファインダーと電子ビューファインダーを組み合わせたもので、このファインダーを覗いただけで購入を決めた方もいるぐらいの素晴らしいものです。富士フイルムはフィルムカメラ・オートフォーカス時代に一眼レフをリリースしていなかったとともに、TXシリーズのように35mmフィルムを使ったパノラマ方式(注:一般的なパノラマモードは36mmX24mmの縦をカバーして横長にしたのに対し、TXは縦を24mmのまま横を65mmにすることで横長にしていた。)など、多様なファインダーを出していました。そうした経験と実績が、X-Pro1のファインダーにも反映したのだと思います。
 富士フイルムでもう一つあげると、高級コンパクトのXF1になります。沈胴レンズを出すときの操作感や高い描写性能は魅力的です。独特のデザインは好き嫌いが分かれるかもしれませんが、個人的には普段持ち歩き用のカメラにふさわしいと感じました。」

FUJIFILM XF1
XF1
(画像をクリックすると詳細レビュー記事に移ります。)

《ひめ☆》
「ありがとうございます。それでは次にペンタックスをお願いします。」

PENTAX LOGO

 ペンタックス:レンズ交換式カメラで幅広い製品の展開

《リバティ》
「まずはペンタックスの新製品をあげますと、デジタル一眼レフがK-30とK-5II/K-5IIsの2機種、ミラーレスカメラはK-01とQ10、ネオ一眼ではX-5となります。レンズ交換式カメラで4機種、コンパクトカメラ全体では5機種です。」

《太郎》
「ペンタックスのレンズ交換式カメラは、いずれも特徴がありますね。K-01なんかは、既存のデジタル一眼レフからミラーボックスとファインダーを取り除いただけ、ともいえるミラーレスカメラですし、Q10のようにコンパクトカメラと同じイメージセンサーを使ったレンズ交換式カメラというのも、他社にはないコンセプトだと思います。」

《monox》
「ペンタックスの製品の中で注目機種を選ぶのは、確かに悩ましいですね。Q10はカラーコーディネートに対応したりと、昨年登場したQとは違う魅力を持っています。また、K-5IIの兄弟機であるK-5IIsは、ローパスフィルターレスのカメラですから、特に解像感を重視する場合には選択肢の一つに加えるべきカメラだと思います。また、K-01については、現時点では専用レンズがリリースされていませんが、デジタル一眼レフと同じマウントを採用したミラーレスカメラ、というコンセプトがどのように展開していくのか、とても興味があります。
 しかし、一番の注目機ということでは、私はK-30を取り上げたいと思います。基本的にはK-rの後継機的な位置づけのカメラですが、その中身はむしろK-5やK-5IIに近いものとなっています。とくに100%視野率の光学ファインダーや防塵防滴ボディなど、今までは上級機に実装されていた仕様が取り入れられており、費用対効果にすぐれたデジタル一眼レフだと思います。もし、ペンタックスのレンズ交換式カメラの購入するのであれば、多くの人にとってベストチョイスになりうるのではないでしょうか。」

PENTAX K-30
K-30
(画像をクリックすると詳細レビュー記事に移ります。)

《リバティ》
「ペンタックスと言えば、昨年7月にリコーによる買収がありました。」

《monox》
「そうですね。今年の4月には、ペンタックスとリコーのコンシュマー向けカメラ事業が『ペンタックスリコーイメージング株式会社』に集約されました。現時点では新しい製品展開となって表れていませんが、そのあたりも来年は期待できるのではないでしょうか。」

《ひめ☆》
「ありがとうございます。それでは次にシグマについてお願いします。」

SIGMA LOGO

 シグマ:解像感に優れたFoveonイメージセンサーを搭載

《リバティ》
「今年、シグマの新製品は3機種がリリースされました。デジタル一眼レフのSD1 Merrillと、DP2 Merrill、DP1 Merrillです。いずれも同じFoveon X3ダイレクトイメージセンサーを搭載しており、画素数は有効1475万画素(4,704×3,136×3層)となります。」

《太郎》
「シグマは交換レンズのメーカーとして認知されていましたが、Foveonセンサーを採用したデジタルカメラをリリースしてから、根強いファンをつくることに成功しましたね。」

《monox》
「そうですね。私も個人的にシグマの交換レンズを持っていますが、サードパーティのレンズは新しく出るカメラ本体に対応できない場合がある、というリスクがあります。シグマでは、保証期間終了後にそういうケースが発生しても無償で対応してもらえますので、安心感が違います。
 シグマのデジタルカメラで採用されているFoveonセンサーについては、そこから生み出される解像感の高い画像を見ると、だれもが魅了されると思います。Merrill世代になって、イメージセンサーのサイズがAPS-Cとなっただけでなく、連写や高感度性能も向上しましたので、『普通に』使えるカメラに進化したと思います。
 今回、注目機種としては、DP2 Merrillを選択しました。35mm版で45mm相当の画角は、やや狭いように感じるかもしれませんが、35mmから50mm程度の画角は汎用的に活用するカメラとして適していると思います。また、ボケを生かすことも比較的容易ですから、表現の幅を持たせるといった使い方もできます。動画性能がVGAに留まるなど、留意すべき点はありますが、まずはネット上でもたくさん公開されているサンプル画像を見ていただければと思います。」

《ひめ☆》
「ありがとうございます。時間の都合でちょっと駆け足となってしまいますが、次にカシオについてお願いします。」

CASIO LOGO

 カシオ:『カメラの枠』を超えたカメラ

《リバティ》
カシオの新製品はコンパクトカメラだけとなりますが、2012年には12機種がリリースされました。カシオは、現在のデジタルカメラの原点ともいうべきQV-10を創ったメーカーですが、『カメラ』の枠を超えた製品を生み出してくれるといった期待感がありますね。新製品の中では、EX-ZR1000のようなハイスピードテクノロジーカメラや、さらにゴルファー向けにカスタマイズしたモデルとも言うべきEX-FC300Sなどは、他社からは出てこないカメラだと思います。まさに一点豪華主義といった感じがします。」

《monox》
「私も、カシオみたいなメーカーがあったからこそ、今のデジタルカメラの隆盛が実現できたのだと思います。一点豪華主義、という評価も納得感がありますが、誤解を招かないように一言加えれば、カシオのコンパクトカメラは普通のデジカメとしても十二分に活躍できる実力を持っています。その上で、特にカシオが力を入れている『ハイスピード』というコンセプトにあった使い方をするのであれば、これ以外のカメラを選ぶ余地はないほどピッタリくるのだと思います。
 カシオのデジカメの中で注目機種ということでは、私はEXILIM EX-TR150を選びたいと思います。35mm版で25mmの画角をもった単焦点レンズにスイバル方式のボディなど、まさに『カメラの枠を超えた』カメラです。前機種であるEX-TR100が海外で爆発的にヒットしたことを受けて作られた後継機種がEX-TR150ですが、国内では発売開始前に製造予定数を超えてしまったという前代未聞のカメラでした。なかなか後継機が出てきませんが、さらに驚くような機能を載せた新モデルがきっと出てくるのではないかと期待したいですね。」

《ひめ☆》
「ありがとうございます。最後にリコーについてお願いします。」

RICOH LOGO

 リコー:2013年の製品展開に期待!

《リバティ》
リコーの新製品は、純粋に新しいものとしてはリリースがありませんでしたが、GXRに24-85mm(注:35mm版の画角で)のズームレンズカメラユニットをセットにしたものが登場しています。」

《monox》
「リコーは、もともとそれほど多くの機種を出しているメーカーではありませんでしたが、おそらくペンタックスとの事業統合もあって、今年は新製品を出さなかったのだと思います。しかし、リコーもデジカメ黎明期から参入しているメーカーの一つであるだけでなく、グループ全体では売上高1兆9千億円、従業員数10万名を超える巨大企業の一つです。おそらく2013年はGR DIGITAl Vだけでなく、新しい切り口のデジカメが登場してくるのではないかと期待したいですね。」

§ monoxデジカメ比較レビューへのアクセス状況は? §

《ひめ☆》
「ありがとうございます。それでは、これまでの評価を踏まえ、今年1年間で発売開始となったデジカメの評価に移りたいと思いますが、その前に『monoxデジカメ比較レビュー』のアクセス状況について、リバティさん、お願いします。」

《リバティ》
「はい。まだ12月が残っていますので、11月24日までの集計結果ということで発表させていただきます。
 まず、メーカー別のページアクセス数です。これはどのメーカーの製品情報が一番アクセスされたかを集計したものですが、ページによっては複数のメーカーの記事を記載しているものもありますので、その場合は単純に按分して計算しました。
 その結果は、このグラフの通りで、アクセス全体の1/4をニコン関係のページで占めています。もちろん、徹底レビューで取り上げた製品数についても大きく違っていますし、11月に登場した製品は1カ月足らずのアクセス数しかカウントされていませんので、あくまで全体の傾向をみる以上のものではありません。」

monoxメーカーシェア

《リバティ》
「次に、種類別のアクセス数です。一番多かったのは高級コンパクトカメラのページで、僅差でミラーレスカメラが続いています。これについても取り上げた製品台数に違いがありますので、参考値としてみてください。」

monox種類シェア

《monox》
「なるほど。こうして統計的に見るのも面白いですね。ちなみに、一番アクセスが多かった機種は何でしたか?」

《リバティ》
「はい。いずれも2位以下と僅差でしたが、デジタル一眼レフではペンタックスK-30、ミラーレスではパナソニックのDMC-GX1、高級コンパクトではキヤノンPowerShotS100、ネオ一眼では富士フイルムのX-S1、その他コンパクトカメラではキヤノンIXY600Fが一番多かったです。」


次回掲載の『後編』では、今年1年間で発売開始されたデジタルカメラの中で評価すべき製品の選定を行っていますので、ご期待ください。