描写力チェック1:高感度性能
PowerShot Nは、有効1210万画素1/2.3型CMOSセンサーを搭載しています。基本感度はISO80で、ISO6400まで設定可能です。
ユーザー側でノイズ低減の設定はできませんが、このあたりはカメラのコンセプトとして当然かもしれません。
テストした結果は、ISO400まではほとんどノイズ感を感じません。ISO800になると、暗部を中心にノイズが出てきますが、常用できるレベルであると思います。ISO1600になると解像感の低下も目立ちますが、十分活用できるレベルです。PowerShotNのイメージセンサーは1/2.3型と比較的小サイズですが、ISO6400でも画像が破たんしていませんので、縮小するなど使い方によっては、これも「あり」だと感じました。
下記のサンプルは、各ISO感度の撮影を行ったものです。表示画像は等倍画像ですが、クリックすると全体画像が表示されますので、あわせて比較をしていただければと思います。

サンプル画像。左下の赤枠の部分を切り出してある。
画像をクリックすると、元画像の全体が開きます。
ISO80

ISO100

ISO200

ISO400

ISO800

ISO1600

ISO3200

ISO6400

描写力チェック2:歪曲収差
PowerShot Nは、5.0mm-40.0mmF3.0-5.9(35mm換算では28mm-224mm相当)の光学8倍ズームレンズを搭載しています。ユーザーが設定可能なレンズ補正機能はありません。
テスト結果を見ると、ズーム全域で歪曲収差も比較的良好に補正されています。広角端では画像周辺部にわずかに樽型収差が認められますが、50mm相当の画角あたりでほぼ完全に補正されています。また、周辺光量についても、絞り開放でも気になるレベルの低下は見られませんでした。コンパクトカメラですので、電子的な補正も加えられているものと思われます。
PowerShotNには、ユーザーが絞り値を設定できませんが、下記のサンプルはいずれも絞り開放での撮影となりました。
5.0mmF3.0 (35mm換算28mm相当)

12.3mmF3.5 (35mm換算69mm相当)

40.0mmF5.9 (35mm換算224mm相当)

描写力チェック3:解像力
解像力テストでは、イメージセンサーとレンズの両方の実力が試されることになります。いつもの通りISO12233準拠チャートを使用して解像力チェックを行いました。PowerShotNは、もともと解像力を重視するコンセプトのカメラではありませんが、1/2.3型イメージセンサーを搭載しているカメラとしては、良好な結果となりました。
画像中心部に関しては、広角端の解像力が一番高く、2200本のラインを超えるところまで視認することができました。望遠端に移るにつれ徐々に解像力の低下がみられますが、それでも望遠端で1900本を超えるところまでは視認可能です。なお、テストはいずれも絞り開放で行いました。
画像周辺部に関しては、広角端ではやや像の流れが感じられます。望遠側に移るにつれ、徐々に鮮明度があがりますが、標準域を超えていくと徐々に像の流れが大きくなっていきます。PowerShotNはユーザー側で絞り値を設定できないため、今回はすべて絞り開放でのテストでしたが、絞り込むことによって周辺部の鮮明度は上がるものと思われます。
なお、下記のテストチャートは、中央部と左上を切り出したものです。画像は縮小画像ですが、クリックすると元データ全体が表示されます。

ISO12233準拠チャート。中央と左上の赤枠の部分を切り出
してある。画像をクリックすると、元画像の全体が開きます。
5.0mm F3.0 (35mm換算24mm相当)

13.1mm F3.5 (35mm換算73mm相当)

40.0mm F5.9 (35mm換算224mm相当)

機能チェック:クリエイティブショット
PowerShotNの魅力の一つが、クリエイティブショットです。数少ないボタン類の中で、クリエイティブショットに切り替えるモードスイッチが用意されていることを見ても、メーカーとしての力の入れ具合を感じます。
使用説明書の中では、クリエイティブショットについて次のように記載されています。
「カメラが被写体や撮影状況を判断して、自動で効果をつけたり被写体を切り出して、1回の撮影で6枚の静止画を記録します。カメラまかせで多彩な静止画を撮ることができます。」
実際に、撮影してみると、次のように撮影されるようです。
- 1枚目:ノーマルで撮影。
- 2枚目、3枚目:最大サイズで撮影。シーンに応じたエフェクト。
- 4枚目、5枚目:画像をトリミング(最大サイズの場合もある)。エフェクトがかかることもある。
- 6枚目:最大サイズで撮影。シーンに応じたエフェクト。
最初の3枚は別々に撮影されます。ライブビュー時に解析を行い、オートフォーカスブラケット(ピント位置をずらす)、露出ブラケット、連写のいずれかで3枚を撮影します。残りの3枚は、これらからの画像処理で生成されます。
下記のサンプルは、高感度性能をチェックするためのシーンを撮影したものです。2組での違いはピント位置で、1組目はひよこの顔にピントを置いているのに対し、2組目ではネコにピントを合わせています。ピント位置によって切り出す画像が異なっていることがわかります。
また、画像のエフェクトやトリミングは行っていますが、画像自体の拡大・補間処理はかけられていません。
下記の画像は1/10に縮小してあります。クリックすると元画像が表示されますので、あわせてご参照ください。
1組目 (ひよこの顔をピント指定)






2組目 (ねこをピント指定)






単にエフェクトがかかるのではなく、シーンをカメラが認識して自動的にかけられる点が、スマートフォンとの大きな違いだと思います。また、写真データのアスペクト比を変えトリミングするあたりは、かなり大胆なアプローチだと感じました。キヤノンによると、コンパクトユーザーはあまりアスペクト比を変えないとのことですので、「カメラからユーザーへの提案」ということだと思います。
|