描写力チェック1:高感度性能
X20は、新型の有効1200万画素2/3型X-Trans CMOS IIセンサーを搭載しています。基本感度はISO100で、標準でISO12800まで設定可能です。拡張設定はありません。
なお、X10ではISO3200を超えると拡張設定となり、RAWでの撮影ができなくなるとともに、画面サイズもMやSまでといった制限がありました。
ノイズ低減処理方法としては、カメラ内の設定で行う方法と、RAWで撮影しパソコン上で現像する段階で行う方法とがあります。なお、カメラ内で設定した場合でも、RAWファイルには変更は加えられません。
カメラ内でのノイズ低減は、撮影メニューの中にある「ノイズリダクション」の設定で行います。
「ノイズリダクション」は、「弱(-2)」「やや弱(-1)」「スタンダード(0)」、「やや強(+1)」、「強(+2)」の5種類があります。工場出荷時の初期設定は「スタンダード」です。
テスト結果は良好で、X10と比較しても高感度性能が向上しています。
ISO800あたりから徐々にノイズが目立ってくるのは同じですが、全体にノイズの増え方が抑えられている印象を受けました。また、X20ではISO12800まで標準設定のまま制限なしに撮影できますので、その分使い勝手も向上しています。
ノイズリダクションを初期設定であるスタンダードにすると、ISO3200でも常用できるレベルであると感じました。
ノイズリダクションを強にすると、さらにノイズ感は軽減されますが、解像感の低下も目立ってきます。ISO12800では、基本的には緊急避難的な使い方になってくると思います。
富士フイルムによると、X20と比較して30%のノイズ低減を実現したとのことですが、コンパクトカメラのイメージセンサーとして非常に高い高感度性能を示しました。
下記のサンプルは、ノイズリダクションを「弱」、「スタンダード」、「強」の3段階で各ISO感度の撮影を行ったものです。表示画像はほぼ等倍画像ですが、クリックすると全体画像が表示されますので、あわせて比較をしていただければと思います。

サンプル画像。左下の赤枠の部分を切り出してある。
画像をクリックすると、元画像の全体が開きます。
ISO100(左から「弱」「スタンダード」「強」)
  
ISO200(左から「弱」「スタンダード」「強」)
  
ISO400(左から「弱」「スタンダード」「強」)
  
ISO800(左から「弱」「スタンダード」「強」)
  
ISO1600(左から「弱」「スタンダード」「強」)
  
ISO3200(左から「弱」「スタンダード」「強」)
  
ISO6400(左から「弱」「スタンダード」「強」)
  
ISO12800(左から「弱」「スタンダード」「強」)
  
描写力チェック2:歪曲収差
X20は、7.1mm-28.4mmF2.0-2.8(35mm換算では28mm-112mm相当)の光学4倍ズームレンズを搭載しています。レンズ自体は、前機種であるX20と同じものとなります。なお、ユーザーが設定可能なレンズ補正機能はありません。
レンズは比較的無理のない焦点距離であるため、歪曲収差も良好に補正されています。撮影時点に液晶モニターに表示される画像と、実際に撮影後に表示される画面を比較すると、おそらく電子的な補正が加えられているものと思われます。
下記のサンプルは、いずれも絞り開放で撮影したものです。広角端では、画像周辺部にわずかに樽型収差が認められますが、全体に良好に補正されています。
7.1mmF2.0 (35mm換算28mm相当)

8.6mmF2.2 (35mm換算34mm相当)

12.2mmF2.2 (35mm換算48mm相当)

19.5mmF2.5 (35mm換算77mm相当)

28.4mmF2.8 (35mm換算112mm相当)

描写力チェック3:解像力
解像力テストでは、イメージセンサーとレンズの両方の実力が試されることになります。いつもの通りISO12233準拠チャートを使用して解像力チェックを行いました。基本的にはX10と同じ有効1200万画素のイメージセンサーですが、解像力は明らかに向上しています。富士フイルムによれば、約25%向上しているとのことですが、実際にX10でのテスト結果と比較すると、解像力の進化を確認することができました。
画像中心部に関しては、すべての焦点域で、テストチャートの識別限界である2500本のラインを視認することができました。広角端や標準域と比較すると、望遠端ではやや解像感の低下が見られましたが、それでも高い解像感が得られます。1段程度絞ると、さらに鮮明度があがります。
画像周辺部に関しても、絞り開放から鮮明ですが、やはり1段程度絞るとよりしっかりした画像になります。
基本的には、絞り開放を中心に活用し、より鮮明な画像が必要であれば1段程度絞って撮影する、といったスタイルになってくるように思います。
なお、下記のテストチャートは、中央部と左上を切り出したものです。画像は縮小画像ですが、クリックすると元データ全体が表示されます。

ISO12233準拠チャート。中央と左上の赤枠の部分を切り出
してある。画像をクリックすると、元画像の全体が開きます。
7.1mm F2.0 (35mm換算28mm相当)

7.1mm F2.8 (35mm換算28mm相当)

7.1mm F4.0 (35mm換算28mm相当)

12.2mm F2.2 (35mm換算48mm相当)

12.2mm F3.2 (35mm換算48mm相当)

12.2mm F4.5 (35mm換算48mm相当)

28.4mm F2.8 (35mm換算112mm相当)

28.4mm F4.0 (35mm換算112mm相当)

28.4mm F5.6 (35mm換算112mm相当)

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