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特集 キヤノン Canon IXY1
1.キヤノン Canon IXY1の位置づけと概要 |
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キヤノン IXY1
by Inaba Kunio
IXYシリーズの原点に挑む多機能小型コンパクトデジカメ 評価:5.0
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IXYシリーズの原点に挑むキヤノン「IXY」はフィルム時代からのブランドであり、その名前は、1996年に登場したAPS(アドバンスド・フォト・システム)に由来する。APSのカートリッジ式フィルムはIX240規格と呼ばれ、初代IXYはこの新規格フィルムを使うカメラとして誕生した。デジタルカメラとしてのIXYが登場したのは2000年で、四角いスクエアなステンレスボディに、レンズの丸型を強調した姿デザインが特徴であった。今回、キヤノンはIXY1/IXY3のコンセプトとして「初代IXYを思わせるハイエンドデザイン」をうたっているが、まさに初代の基本デザインをベースにブラッシュアップされた姿となっている。
APSフィルムカメラのIXY(左側)と初代IXY DIGITAL(右側)
キヤノンのコンパクトデジカメの中で、IXYシリーズは小型軽量分野のニーズをメインターゲットとしているが、その中でもメインストリームを担っているのがIXY600Fであり、後継機としての性格ももったIXY1/IXY3となる。 IXY600Fからの進化ポイントIXY1はIXY600Fからどのように進化したのか。まずは仕様上の違いをチェックしたい。下記の表は、IXY1とIXY600Fの主要スペックを比べたものである。これを見ると、IXY1が大きく変わった点は、次の5点である。
まず、ベースとなるイメージセンサーが新しくなっている。IXY600Fでは総画素数1280万画素、有効1210万画素のCMOSセンサーであったが、IXY1では有効1680万画素のものへと世代交代された。面白いのは、総画素数は増えているのに対し、有効画素数は逆に1010万画素へと減らされている点である。センサー全体の6割の画素のみが使われるということであり、有効センサーサイズはほぼ1/3型と同等になる。 イメージセンサーのコストは、基本的にはセンサー面積によって決まってくるため、当然1/2.3型と1/3型を単純に比較すると、1/2.3型の方が高価となる。その差よりも、新たなサイズのセンサーを開発・製造するためのコストの方が大きいとの判断なのだろう。
同じイメージセンサーを搭載している両機種だが、実際に使用する部分の面積はかなり違う。
2番目の大きな変化は、光学ズームが8倍から12倍となった点である。このサイズのカメラの中に35mm換算で28mmから336mmまでをカバーするレンズが搭載されていること自体が以前では考えられなかったことである。これが可能となった背景には、前述のイメージセンサーが小型化されたことはもちろんのこと、画像処理エンジンの進化による電子的補正が実用性を高めていることなどもあるのだろう。 その他、サイズの小型化や液晶パネルのタッチセンサー化も使い勝手を大きく変えるものであるが、特筆すべきはやはりWi-Fi機能を標準で搭載している点だろう。 IXY1やIXY420Fに搭載されたWi-Fi機能を使うと、カメラで撮影した画像をインターネット上にアップロードしたり、パソコンやスマートフォンに転送することができるようになる。このあたりはスマートフォンの方が得意な分野であるが、デジカメ側からそこに切り込む形となる。すでにSDメモリーカードにWi-Fi機能を加えた製品も複数出てきているが、カメラ本体で対応していることのメリットは決して小さくないだろう。
IXY1からスマートホンへの転送ができるだけでなく、スマートホンでカメラ内の画像ファイルを直接見てダウンロードすることもできる。
コンパクトデジカメの存在意義携帯電話がスマートホンに変わりつつある中、小型「だけ」のカメラはすでに淘汰されつつある。IXY1は、携帯電話やスマートホンでは撮れないような写真が撮れるだけでなく、スマートホンの強みであるネットとの親和性を取り込もうとしているカメラと言えるかもしれない。初代のIXY DIGITALは、フィルムコンパクトからデジタルコンパクトへの移行に大きな役割を果たした。12年後に登場したIXY1は、コンパクトデジカメの時代を再興する「中興の祖」になれるだろうか? それでは薄型コンパクトデジカメの代名詞でもあるIXYシリーズ最新作「IXY1」はどのように変わったのか。以下、順次チェックをしていきたい。 |
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