【一口コラム】電子ビューファインダーを内蔵した30倍ズーム機
パナソニックからコンパクトデジカメ3機種が発表されました。ここで紹介する電子ビューファインダー内蔵の30倍ズーム機LUMIX DMC-TZ60、自分撮り可能なチルト液晶搭載20倍ズーム機LUMIX DMC-TZ55、12倍ズームの薄型コンパクトLUMIX DMC-SZ8 の3機種です。
LUMIX DMC-TZ60とDMC-TZ55は、ともに2013年2月に登場したDMC-TZ40、DMC-TZ35の後継機となります。面白いのは、イメージセンサーやレンズを進化させるような「正常進化」ではなく、各々がユニークな特長を持った後継機となっている点です。
2013年2月発売のLUMIX DMC-TZ40。24-480mm相当F3.3-6.4の光学20倍ズームです。
それでは、改めてLUMIX DMC-TZ60の特長について、主なポイントを見てみたいと思います。
- イメージセンサーは有効1810万画素1/2.3型CMOSで、DMC-TZ40と同等です。
- レンズは新設計の24-720mm相当F3.3-6.4の光学30倍ズームレンズです。DMC-TZ40は24-480mm相当F3.3-6.4でしたので、望遠側にズーム域が拡大されました。
- 新たに電子ビューファインダーを内蔵しています。0.2型20万ドットで、DMC-LF1(製品レビュー)のものと同等と思われます。
- 液晶モニターは3型92万ドットでタッチ操作には対応していません。DMC-TZ40はタッチ対応でした。
- Wi-FiとNFCを内蔵しています。機能的にはDMC-TZ40と同等で、スマートフォン等でのリモート操作にも対応しています。
- DMC-TZ40と同様、GPSやGRONASS(ロシア版GPS)も内蔵しています。
- 動画撮影もフルHD(AVCHDで60p、MP4で30p)に対応しており、これもTZ40と同等です。
- ボディサイズはやや高く・厚くなり、重さも約40g増しています。
LUMIX DMC-TZ60(左側)とTZ40(右側)。基本的には似たデザインですが、高さが増した分、受ける印象は大きく変わります。今までの横長のイメージから、高級コンパクト的なデザインに変わりました。
LUMIX DMC-TZ60(左側)とTZ40(右側)。液晶モニターはどちらも3型92万ドットで固定式ですが、TZ40ではタッチ操作にも対応していました。また、アスペクト比は4:3から3:2に変わりましたので、最大サイズの静止画表示時のサイズはやや小さくなります。
電子ビューファインダーには視度調整機構も内蔵されていますが、アイセンサーは搭載されていません。これもDMC-LF1と同じです。
LUMIX DMC-TZ60(左側)とTZ40(右側)。ボディ厚は27.7mmから34.4mmへと約7mm厚くなっていますが、ズーム倍率が30倍になったことで沈胴時のレンズ部分が厚くなったことが影響しています。
ボディ上面のインターフェースもほぼ共通で、モードダイヤルの項目も同じです。
【パナソニックLUMIX DMC-TZ60とDMC-TZ40、DMC-TZ55の比較】
機種名 |
 LUMIX DMC-TZ60 |

DMC-TZ40 |

DMC-TZ55 |
イメージ
センサー |
有効1810万画素
1/2.3型 |
有効1600万画素
1/2.33型 |
ISO感度 |
ISO100-3200 拡張でISO6400まで |
ISO100-3200 高感度モード時でISO6400まで |
レンズ
(35mm換算) |
24-720mmF3.3-6.4 |
24-480mmF3.3-6.4 |
シャッター
スピード |
4-1/2000秒 星空モード時15、30秒 |
ファインダー |
0.2型20万ドット |
− |
液晶モニター |
3型92万ドット |
3型92万ドット
タッチ対応 |
3型92万ドット
自分撮り対応チルト可動 |
連写速度 |
最高10コマ/秒 |
動画撮影 |
AVCHD:1920x1080(60p)
MP4:(30p) |
MP4:1920x1080(30p) |
バッテリー |
DMW-BCM13
300コマ |
DMW-BCM13
350コマ |
付加機能 |
Wi-Fi/NFC/GPS |
Wi-Fi/NFC/GPS タッチ液晶 |
Wi-Fi/NFC/GPS チルト液晶 |
サイズ (W x H x D) |
110.6 x 64.3 x 34.4mm |
108.3 x 58.9 x 27.7mm |
106.8 x 62.2 x 32.4mm |
重さ |
240g/214g |
198g/172g |
250g/224g |
発売 |
2014年2月 |
2013年2月 |
2014年3月 |
実売価格 (2014/1) |
4万3千円前後 |
2万1千円前後
(発売開始時は4万2千円前後) |
3万2千円前後 |
DMC-TZ60の最大の魅力は、720mmまでの望遠撮影を電子ビューファインダーを使って行える点だと思います。最近は液晶モニターを見ながらの撮影も一般的になってきましたが、やはり望遠域での撮影では構図づくりや手ぶれ抑制の点でファインダーを使った撮影の方が向いています。とくに望遠撮影は明るい屋外で行う場合が多く、視認性の面でもファインダーの方に分があります。TZ60が搭載した720mmまでの望遠ズームは、一般的なネオ一眼をも凌駕する画角であり、電子ビューファインダーを内蔵させたことは「メーカーとしての良心」も感じます。
店頭での予約価格は4万3千円前後でのスタートで、これは2013年2月に発売開始となったDMC-TZ40とほぼ同等レベルと言えます。現在のDMC-TZ40の実売価格は2万1千円前後で約倍の価格差となっていますが、30倍ズームとEVFの内蔵は、他機種にはない魅力であると思います。
( by Inaba Kunio)
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