描写力チェック1:高感度性能
シグマ SIGMA DP2Merrillの基本感度はISO100で、ISO6400まで設定可能となっている。
ノイズ低減処理方法としては、RAWで撮影しパソコンでの現像段階で行う方法がある。なお、FOVEONセンサーから生み出される画像データの処理量が大きいため、カメラ本体内で生成されるJPEG画像は、パソコン上で現像したものよりもクオリティが低くなる場合がある。そのため、今回はRAWで撮影し、なにも加工せずにJPEGに出力したものも一緒に評価した。
DP2Merrillに搭載されているイメージセンサーは、DP2xと比べるとサイズは約3割増えているものの、画素数が約3倍となっている。単純に計算すると、画素ピッチは2/3程度へと縮小されているので、高感度ノイズの悪化が危惧された。しかし、結論から言えば、DP2xとほぼ同等レベルの高感度ノイズであった。
JPEG画像でも、ISO400まではほとんどノイズ感を感じさせない。ISO800では、ややノイズが目につくようになるが、問題なく活用できるだろう。ISO1600以上では、やはりJPEG画像では少々ノイズが目立つ。RAWで撮影し、パソコン上で現像するのであれば、ISO1600もぎりぎり利用できるかもしれない。ISO3200以上は、JPEG画像では画像の破たんが見られるが、RAW撮影データをパソコン上で現像すれば、等倍は無理としてもそれなりに使い道はあるように感じた。
DP2 Merrillでは、画像処理エンジンが強化されたため、JPEG画像でもそこそこのレベルとなっている。DP2xまではRAW撮影が基本であったが、MerrillではISO400程度までであれば、JPEGのみの撮影も「あり」だろう。
下記のサンプルは、カメラでJPEG撮影したものと、RAWファイルから何も加工せずにJPEGを出力させたもの比較している。表示画像はほぼ等倍画像だが、クリックすると全体画像が表示されるので、あわせて比較をしていただければと思う。

サンプル画像。左下の赤枠の部分を切り出してある。
画像をクリックすると、元画像の全体が開きます。
ISO100(左から「JPEG」「RAW現像」)
 
ISO200(左から「JPEG」「RAW現像」)
 
ISO400(左から「JPEG」「RAW現像」)
 
ISO800(左から「JPEG」「RAW現像」)
 
ISO1600(左から「JPEG」「RAW現像」)
 
ISO3200(左から「JPEG」「RAW現像」)
 
ISO6400(左から「JPEG」「RAW現像」)
 
描写力チェック2:歪曲収差
シグマ SIGMA DP2Merrillは、35mm換算で45mmの単焦点レンズを搭載している。ほぼ標準域のレンズであり、開放F値もF2.8ということで、周辺部にわずかに樽型収差が見られるものの、歪曲収差は極めて良好に補正されている。
焦点距離:30mm(35mmサイズ換算45mm)

描写力チェック3:解像力
解像力テストでは、イメージセンサーとレンズの両方の実力が試されることになる。いつもの通りISO12233準拠チャートを使用して解像力チェックを行った。チェックの結果は、コンパクトカメラとしてはトップレベルの解像力となっている。
画像中心部に関しては、開放絞りから2500本のラインも問題なく識別可能であった。ベイヤー方式の1600万画素イメージセンサーよりも、明らかに解像力が高いことがわかる。
画像周辺部に関しては、絞り開放では中心部と比べるとやや画像が甘くなるが、それでも十分な解像力を示している。さらに1段絞ると、かなり鮮明度が上がる。

ISO12233準拠チャート。中央と左上の赤枠の部分を切り出
してある。画像をクリックすると、元画像の全体が開きます。
30mm域(35mmサイズ換算45mm) F2.8
 
30mm域(35mmサイズ換算45mm) F4.0
 
30mm域(35mmサイズ換算45mm) F5.6
 
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