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特集 SONY サイバーショット DSC-QX100
ソニー DSC-QX100 ~レンズの形をした高級コンパクト |
ソニー DSC-QX100
by Inaba Kunio
レンズの形をした高級コンパクトカメラ
評価:5.0
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1.サイバーショット DSC-QX100の位置づけと概要レンズの形をした高級コンパクトカメラDSC-QX10(製品レビュー)とともにDSC-QX100が発売開始となりました。発売前から、一部の店舗では予約受付を停止するほどの人気が集まりましたが、まったく新しいコンセプトの製品を出したメーカーとしても、ほっと一息といったところだと思います。ソニーのレンズカメラについて、まっとまった情報がネット上に流れたのは7月でした。「monoxブログ:スマートフォンにつけるレンズカメラ?」にも書きました通り、最初はガセ情報ではないかと思いましたが、具体的な仕様情報も掲載されたことで、驚きから期待に変わりました。ちなみに、その時に流れた詳細情報はほぼ正確なものでした。 →発売前の記事【コラム】コンデジ・トップレベル描写力はこちら。 DSC-QX100/DSC-QX10が素晴らしいと感じた点は、次の2点です。
イメージセンサーとレンズのみの”究極のデジカメ” DSC-QX100。
DSC-QX100/DSC-QX10は、撮影に必要な部品はすべてカメラ本体に内蔵されていますので、カメラだけで撮影することもできるようになっています。フレーミングや撮影スタイルを考えると、スマートフォンに装着することが多いと思いますが、たとえばレンズユニットだけを頭上に持ち上げて高い視点から撮影したり、あるいは前に出して自分撮りといったことも自由自在に行えます。車載カメラやヘルメットへの装着など、アクションカメラ的に使うことも可能です。とくに、DSC-QX100には高級コンパクトの中でもトップレベルの描写力を誇るDSC-RX100M2(製品レビュー)と同じイメージセンサーと光学レンズを搭載しているだけに、レンズの形をしているとはいえ高級コンパクトの一つとして見るべきかもしれません。 兄弟機となるDSC-QX10との主な違いは次の通りです。
DSC-QX100の魅力は?総務省の調査によると、2010年末にスマートフォンの世帯普及率は9.7%でした。これが2011年末には29.3%、2012年末には49.5%と急速に広がってきています。その結果、特段の特徴をもっていない一般的なコンパクトカメラは立ち位置が難しくなりつつあります。こうした状況に対する一つの答が、DSC-QX100やDSC-QX1000だと思います。日常的に必ず身に着けているスマートフォンのオプションとしてカメラユニットを提供する、というアプローチは、デジタルカメラの新しいあり方を創造することになるかもしれません。 また、DSC-QX100とDSC-QX10の一番の違いは、想定しているユーザー層だと思います。DSC-QX10は、コンパクトなボディに実用性の高い光学10倍ズームを搭載したことで、スマートフォン・カメラをメインに使われている方にアピールしているのに対し、高級コンパクトと比べてもトップレベルの描写力を持つDSC-QX100は、デジタル一眼レフやミラーレスを活用されている方が、サブ・カメラとして使うことを視野に入れているように思います。サブカメラの条件の一つが、メインカメラに対するコンパクト性であるとすれば、QX100は究極のサブカメラ、と言えるかもしれません。
スマートフォン(iPhone5)に装着したDSC-QX100。
レンズの形をした高級コンパクト、DSC-QX100の使い勝手や描写力はどうか。早速サイバーショット DSC-QX100の実力をテストしてみます。 ![]()
2.DSC-QX100を開封し外観をチェックソニー サイバーショット DSC-QX100を開封するソニーのサイバーショット DSC-QX100/DSC-QX10(製品レビュー)が発売開始となりました。DSC-QX100のイメージセンサーやレンズなどの描写部分は、7月に登場したDSC-RX100M2(製品レビュー)と同じですので、高級コンパクトと比較してもトップレベルの描写性能を期待できます。販売開始時の実売価格は5万円弱ですので、DSC-RX100M2のスタート価格よりも2万円弱安価となっています。DSC-QX10と同様に、しばらくの間は予約なしに入手することは難しそうです。 ボディカラーはブラックのみで、DSC-RX100M2と同様に高級感のある塗装が施されています。
サイバーショット DSC-QX100のパッケージはレンズ型を強調する円筒形で、手がかかった外装です。パッケージのサイズは、50枚とかのセットで売っているCD-ROMなどに似ています。
なお、DSC-QX10のパッケージも円筒形で、サイズも同じですが、蓋部分のカラーがホワイトになっています。白色は膨張色のため少々大きく見えますが、実際の大きさは全く同じでした。
箱の側面には、各国語で対応するスマートフォンについて記載されています。幅54-75mm、厚み13mm以下となっています。
蓋を開けたところ。プラスティックの梱包材にカメラ本体が格納されています。白い包みの中身がボディです。
カメラ本体の梱包部をはずすと、その下に付属品やマニュアル等が入っています。付属品自体はDSC-QX100とDSC-QX10は全く同じでした。
同梱されている付属品。左上からクイックスタートガイド、リファレンスガイド、リチャージャブルバッテリーパックNP-BN、スマートフォンアタッチメント、マイクロUSBケーブル、リストストラップです。DSC-QX100はボディ内充電に対応しているため、充電器は付属しません。またACアダプターも付属していませんので、充電にはパソコンやアダプターの用意が必要です。 サイバーショット DSC-QX100の本体をチェック
ボディ前面。レンズ自体はDSC-RX100M2(製品レビュー)やDSC-RX100(製品レビュー)と同じもので、28-100mm相当F1.7-4.9となります。レンズカバーが内蔵されています。
DSC-QX100(左側)と比較したDSC-QX10(右側)。QX10には下部に突出部がありますが、本体部分の形状はほぼ同等です。QX100はCarl
Zeiss銘柄のレンズが搭載されており、クラスの差を感じさせます。
レンズ背面側。一般的なデジカメではこちら側に液晶モニターが置かれていますが、QX100ではカメラの銘板が貼付されています。ここはバッテリー室カバーを兼ねており、下側にスライドさせると外すことができます。左右にある爪は、スマートフォンアタッチメントに接続するためのものです。
ボディ上面。基本的なレイズとはDSC-QX10と共通です。鏡胴部にはカメラの型番が印字されています。
DSC-QX100(左側)と比較したDSC-QX10(右側)。正面から見たサイズは同じですが、レンズの長さは倍近く違います。また、QX100にはコントロールリングがレンズ前面外周にあるのがポイントです。
ボディ下部。三脚用の穴はレンズ光軸上に置かれています。DSC-QX10とは異なり台座が付いていませんので、三脚穴の両側に回転防止用の突起が設けられています。
DSC-QX100(左側)と比較したDSC-QX10(右側)。下側となる三脚用穴の部分の構造もやや異なっています。
ボディ左側面。こちら側にはズームレバーとシャッターボタンが置かれています。ズームやシャッターはスマートフォンからのリモート操作で行うことが多いと思いますが、カメラ単体で行うこともできます。その右にあるZEISSロゴは、マルチ端子とメモリーカードスロット部のカバーの上に付けられています。
ボディ右側面。こちら側には表示パネルが置かれています。このパネルには、メモリーカード未挿入表示とバッテリー残量の表示を行います。
液晶パネル部。カメラコンセプトから最小限の表示内容に絞られているのだと思いますが、カメラのクラスを考えると、できればもう少々情報を表示できると良いと思います。
電源を入れてレンズカバーを開いた状態。写真ではわかりづらいですが、印字部がある外周部は伸長せず、中央部のみが伸びます。
中央にあるNマークはNFC(Near Field Communication:近距離無線通信技術)のアンテナが内蔵されていることを示すもので、タッチするときの目印となります。
左側面のズームレバーとシャッターボタン。シャッターボタンは半押し動作にも対応しています。スマートフォンと接続していない状態ではフレーミングが難しいですが、撮影自体は可能です。
メモリーカードスロット部。マイクロタイプのSDカードまたはメモリースティックが対応しています。メモリースティックタイプのカードに対応しているのは、ソニーのデジカメ共通です。挿入部の右下には、挿入方向のガイダンスが刻印されています。
メモリーカードを挿入しつつある状態。カードはどちらの向きでも挿入できてしまいますが、SDタイプの場合にはラベル面を前側に、メモリースティックタイプの場合は端子面を前側に挿入します。
バッテリー室カバーを開いた状態。蓋はフィルム状の部品で本体と接続されており、脱落することはありません。
DSC-QX10(右側)と比較したDSC-QX100(左側)。バッテリー室部分は共通ですが、QX10ではメモリーカードスロットもバッテリー室内にあるのに対し、QX100ではボディ側面に専用挿入部が設けられています。
蓋部分に貼付されているシールには、Wi-Fi接続用のSSIDとPasswordが印字されています。同じものがクイックスタートガイドにも記載されています。
バッテリーを挿入した状態。バッテリー自体はDSC-QX10と同じNP-BNです。
側面に見えるレバーは、アタッチメント取り外しレバー。このレバーを矢印方向にスライドさせると、固定爪の横に見える銀色の固定用ピンが下がり、レンズを回して取り外すことができます。その左下に見える白いラインは、スマートフォンアタッチメントに装着するときの指標です。
DSC-QX100には、レンズ鏡胴部にコントロールリングが設けられています。設定されているフォーカスモードにより、ピントリングやズームリングとして機能します。
電源をONにした状態。写真は広角端の状態です。
写真は50mm相当の状態ですが、この時にレンズ長は最短となります。
望遠端の状態。レンズ長は、概ね広角端の時と同じです。DSC-RX100M2も同じですが、ズーム操作によるレンズ長の変化は比較的少ないと思います。
同じレンズを搭載しているDSC-Rx100M2(右側)との比較。レンズカバー部を含め、ほぼ同じデザインです。
電源をONにした状態。写真は広角端です。RX100M2ではレンズ伸長部に印字されていますが、QX100では印字部は伸長しません。
DSC-QX100(左側)とDSC-RX100M2(右側)。厚さはRX100M2の方が薄くなっています。QX100では、レンズ光学部の右側に基盤やバッテリー等が入っているためだと思われます。
スマートフォンにスマートフォンアダプターを装着した状態。ストッパー部分にSONYのロゴが印字されており、装着するとカメラのペンタ部のような形状となります。
スマートフォンアダプターでカメラ本体を装着した状態。DSC-QX10と比べると、それなりの存在感を感じさせます。
装着した状態を側面から見ると、スマートフォンの薄さが際立ちます。アダプターではかなりしっかりと固定されますが、重量バランスからもできるだけカメラ部を保持することをお勧めします。
スマートフォンの画面表示。アスペクト比は4:3です。QX100ではオートフォーカスのモードを切り替えることが出来るため、画面上に「AF-S」の表示もあります。
スマートフォンの画面表示。アスペクト比は3:2で、この時に最大サイズの静止画を記録できます。撮影可能枚数が減っている点にも注意。
露出モード。QX100では、「A 絞り優先撮影」が追加されています。このモードにすると、画面上から絞り値が設定できます。
動画撮影モード。アスペクト比は16:9となりますので、画面の上下がトリミングされる形となります。
設定画面。QX100では「フォーカスモード」が追加されています。マニュアルフォーカスに設定すると、コントロールリングがピントリングとして機能します。
カメラ本体を分離できるため、写真のような無限ループの撮影も可能です。
ボディ単体での重さの実測値は167gでした。メーカー公表値は165gです。
メモリーカードとバッテリーを挿入した状態での実測値は181.4gでした。メモリーカードの種類によって違いますが、メーカー公表値は179gとなっています。 DSC-QX100のバッテリー関係をチェック
バッテリーパックNP-BN。容量は3.6V 630mAhで、静止画であれば約220コマの撮影が可能です。DSC-TX55(製品レビュー)など、薄型コンパクトなタイプのカメラでも採用されています。
バッテリーパックはかなり薄型のパッケージとなっています。中国製です。 サイバーショット DSC-QX100の付属品をチェック
付属するスマートフォンアタッチメントのスマートフォン側。スマートフォンに装着するときの台座として機能するもので、スマートフォンを挟み込む爪は折り畳まれています。
スマートフォンアタッチメントのレンズ側。両側の穴に、カメラ本体の爪が挿入されます。
スマートフォンアタッチメントのカメラボディ装着部分。バヨネットタイプの固定方式となっています。
スマートフォンを挟み込むための爪を起こした状態。幅54~75mm、厚さ13mm以下のスマートフォンに対応しています。
爪部分の内側には、滑り止め用の溝が切られています。かなり強い力でスマートフォンを挟み込むことが出来ます。
カメラ本体の重量実測値は90.7gでした。メーカー公表値は90gです。
付属するマイクロUSBケーブル。ボディ内充電にも使用します。
付属するリストストラップ。伸縮性もあるしっかりしたつくりです。 Sponsored Links 3.DSC-QX100の描写性能はどうか?描写力チェック1:高感度性能サイバーショット DSC-QX100のイメージセンサー、画像処理エンジン、レンズはDSC-RX100M2(製品レビュー)と同じものが搭載されています。有効2020万画素1型CMOSと28-100mm相当F1.9-4.9のレンズは、高級コンパクトの中でもトップレベルの描写性能となります。仕様表によると、DSC-QX100の基本感度はISO160となっており、ISO25600まで対応しています。ただし、ISO6400より高感度側は連写による重ね合わせで感度をアップさせていますので、通常の撮影ではISO6400までであると思われます。 DSC-QX100では、ユーザーがISO感度を設定することはできません。そのため、「プレミアムおまかせモード」ではISO25600まで、「おまかせモード」ではISO6400まで、「Pプログラムオート」と「A 絞り優先」ではISO3200までの中からカメラが最適な感度を判断して設定することになります。 ISO感度を設定できないため、ノイズリダクションに関する設定項目もありません。基本的には「おまかせモード」で撮影し、特に描写性能を求める場合には「プレミアムおまかせモード」(重ね合わせ処理により、手振れやノイズを軽減)に切り替える、という使い方になると思います。また、「P プログラムオート」に設定すると、明るさ補正とホワイトバランス設定ができますし、「A 絞り優先」では絞り値の設定ができますので、「おまかせモード」では思うような仕上がりにならない時に試してみると良いと思います。 下記のサンプルは、ISO160からISO3200のものでテスト撮影を行ったものです(露出モードは「A プログラムオート」)。感度によって絞り値が異なっていますが、さすがに大型イメージセンサーだけのことはあり、ほとんどノイズ感も感じられず安心して撮影することができると思います。 下記のサンプルは縮小表示したものですが、クリックすると元画像が表示されますので、あわせて参照していただければと思います。
ISO160(F2.0) 描写力チェック2:歪曲収差サイバーショット DSC-QX100に搭載しているレンズは35mm換算で28mmから100mmの光学3.6倍ズームであり、高級コンパクトとしては標準的な焦点域をカバーしています。サイバーショット DSC-QX100には撮影メニューの中に「ゆがみ補正」に関する項目もありませんので、基本的にはカメラに任せた撮影となります。 下記のサンプルは、28mm相当の広角端と、100mm相当の望遠端でテストしたものです。おそらく電子的な補正も加味されていると思われますが、ズーム倍率が抑えられているせいか、歪曲収差は気にならないレベルとなっています。このあたりは、同じ光学系をもつDSC-Rx100M2と同じ傾向であると言えます。 焦点距離:10.4mm(35mmサイズ換算28mm) 焦点距離:37.1mm(35mmサイズ換算100mm) 描写力チェック3:解像力解像力テストでは、イメージセンサーとレンズの両方の実力が試されることになります。いつもの通りISO12233準拠チャートを使用して解像力チェックを行いました。チェックの結果は、1型センサーとはいえ、有効2020万画素を活かした素晴らしい解像力を示しています。DSC-RX100M2と同様に、コンパクトカメラとしてはトップレベルの解像力となっています。画像中心部に関しては、広角端から望遠端まで、絞り開放で2500本のラインも識別可能でした。広角端から望遠端に移るにつれ、やや解像力は低下するものの、それでも望遠端でも素晴らしい解像力だと感じました。とくに開放端で1段程度絞った画像は、APS-Cサイズのセンサー搭載機と互角に渡り合えるレベルとなっています。 画像周辺部に関しては、中心部と比べるとやや画像が甘くなりますが、それでも1段絞るとかなり鮮明度が上がります。 なお、下記のテストチャートは、特に解像感が優れていた広角端について、中央部と左上を切り出したものです。画像はほぼ1/2に縮小してありますが、クリックすると元データ全体が表示されます。
10.4mm F1.8 (35mm換算28mm相当) 4.結局、DSC-QX100は「買い」か?独断 素晴らしい! ![]()
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Sponsored Links 付録 製品仕様からみた DSC-QX100の特長
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