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特集 SONY サイバーショット DSC-QX10
ソニー DSC-QX10 ~コンパクトなレンズカメラ |
ソニー DSC-QX10
by Inaba Kunio
コンパクトな10倍ズームレンズカメラ
評価:5.0
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1.サイバーショット DSC-QX10の位置づけと概要コンパクトな10倍ズームのレンズカメラソニーのレンズカメラについて、まっとまった情報がネット上に流れたのは7月でした。「monoxブログ:スマートフォンにつけるレンズカメラ?」にも書きました通り、最初はガセ情報ではないかと思いましたが、具体的な仕様情報も掲載されたことで、驚きから期待に変わりました。ちなみに、その時に流れた詳細情報はほぼ正確なものでした。→発売前の記事【コラム】 薄型コンパクトなレンズカメラはこちら。 DSC-QX10/DSC-QX100(製品レビュー)が素晴らしいと感じた点は、次の2点です。
イメージセンサーとレンズのみの”究極のデジカメ” DSC-QX10。
DSC-QX10/DSC-QX100は、撮影に必要な部品はすべてカメラ本体に内蔵されていますので、カメラだけで撮影することもできるようになっています。フレーミングや撮影スタイルを考えると、スマートフォンに装着することが多いと思いますが、たとえばレンズユニットだけを頭上に持ち上げて高い視点から撮影したり、あるいは前に出して自分撮りといったことも自由自在に行えます。車載カメラやヘルメットへの装着など、アクションカメラ的に使うことも可能です。兄弟機となるDSC-QX100との主な違いは次の通りです。
DSC-QX10の魅力は?総務省の調査によると、2010年末にスマートフォンの世帯普及率は9.7%でした。これが2011年末には29.3%、2012年末には49.5%と急速に広がってきています。その結果、特段の特徴をもっていない一般的なコンパクトカメラは立ち位置が難しくなりつつあります。こうした状況に対する一つの答が、DSC-QX10やDSC-QX100だと思います。日常的に必ず身に着けているスマートフォンのオプションとしてカメラユニットを提供する、というアプローチは、デジタルカメラの新しいあり方を創造することになるかもしれません。 スマートフォン(iPhone5)に装着したDSC-QX10。
スマートフォンのカメラ・オプションとして、DSC-QX10の使い勝手や描写力はどうか。早速サイバーショット DSC-QX10の実力をテストしてみます。
2.DSC-QX10を開封し外観をチェックソニー サイバーショット DSC-QX10を開封するソニーのサイバーショット DSC-QX10が発売開始となりました。イメージセンサーやレンズなどの描写部分は、1月にリリースされたDSC-WX200と同じですが、レンズ鏡胴のみの形状と、スマートフォンとの連携を前提にしたカメラコンセプトは、デジカメの新しい可能性を開くものだと思います。販売開始時の実売価格は2万3千円前後ですが、新コンセプトのカメラとしては比較的安価ということもあり、しばらくの間は予約なしに入手することは難しそうです。 ボディカラーはブラックとホワイトの2色です。購入したのはブラックモデルですが、ホワイトモデルの白い鏡胴とゴールドのレンズ前面というデザインは、ホワイト系のスマートフォンにマッチしそうです。
サイバーショット DSC-QX10のパッケージはレンズ型を強調する円筒形です。高級感のある外装です。サイズ的には、50枚とかのセットで売っているCD-ROMなどに似ています。
なお、DSC-QX100のパッケージも円筒形で、サイズも同じですが、蓋部分のカラーがブラックになっています。白色は膨張色のため少々大きく見えますが、実際の大きさは全く同じでした。
箱の側面には、各国語で対応するスマートフォンについて記載されています。幅54-75mm、厚み13mm以下となっています。
箱の底面には、操作に必要さソフトウェアについて記載されています。インターネットからのダウンロードが必要です。
蓋を開けたところ。プラスティックの梱包材にカメラ本体が格納されています。白い包みの中身がボディです。
カメラ本体の梱包部をはずすと、その下に付属品やマニュアル等が入っています。付属品自体はDSC-QX10とDSC-QX100は同じでした。
同梱されている付属品。左上からクイックスタートガイド、リファレンスガイド、リチャージャブルバッテリーパックNP-BN、スマートフォンアタッチメント、マイクロUSBケーブル、リストストラップです。DSC-QX10はボディ内充電に対応しているため、充電器は付属しません。またACアダプターも付属していませんので、充電にはパソコンやアダプターの用意が必要です。 サイバーショット DSC-QX10の本体をチェック
ボディ前面。あらためて、ミラーレスカメラやデジタル一眼レフ用の交換レンズのような形状だと思います。レンズ自体はDSC-WX200と同じもので、25-250mm相当F3.3-5.9となります。レンズカバーが内蔵されています。
DSC-QX100(左側)と比較したDSC-QX10(右側)。QX10には下部に突出部がありますが、本体部分の形状はほぼ同等です。QX100はCarl
Zeiss銘柄のレンズが搭載されており、クラスの差を感じさせます。
レンズ背面側。一般的なデジカメではこちら側に液晶モニターが置かれていますが、QX10ではカメラの銘板が貼付されています。ここはバッテリー室カバーを兼ねており、下側にスライドさせると外すことができます。左右にある爪は、スマートフォンアタッチメントに接続するためのものです。
ボディ上面。中央にあるNマークはNFC(Near Field Communication:近距離無線通信技術)のアンテナが内蔵されていることを示すもので、タッチするときの目印となります。
DSC-QX100(左側)と比較したDSC-QX10(右側)。正面から見たサイズは同じですが、レンズの長さは倍近く違います。また、QX100にはコントロールリングがレンズ前面外周にあるのがポイントです。
ボディ下部。三脚用の穴はレンズ光軸上に置かれています。左側に見える穴はストラップ取り付け用のものです。
DSC-QX100(左側)と比較したDSC-QX10(右側)。下側となる三脚用穴の部分の構造もやや異なっています。
ボディ左側面。こちら側にはズームレバーとシャッターボタンが置かれています。ズームやシャッターはスマートフォンからのリモート操作で行うことが多いと思いますが、カメラ単体で行うこともできます。
ズーム操作をスマートフォンから操作をする場合と、カメラ本体のズームレバーで直接行う場合の比較です。リモート操作の場合にはWi-Fiで接続しているためか、やや反応にもたつき感があります。
ボディ右側面。こちら側には表示パネルが置かれています。このパネルには、メモリーカード未挿入表示とバッテリー残量の表示を行います。
手に持つと、パンケーキタイプの交換レンズと同じ感じがします。
ボディ右側面。液晶モニターはモノクロ表示です。SONYのロゴは印字されています。
レンズ基部側には、デジカメの型番DSC-QX10が印字されています。
左側面のズームレバーとシャッターボタン。シャッターボタンは半押し動作にも対応しています。スマートフォンと接続していない状態ではフレーミングが難しいですが、撮影自体は可能です。
シャッターボタンの左側には、イメージセンサー名のExmorRとWi-Fiのロゴが印字されています。その上にあるのはマルチ端子用のカバーです。
三脚用穴の横にはストラップ取り付け用の穴がついています。その左下に見える白いラインは、スマートフォンアタッチメントに装着するときに指標です。
液晶パネルの左側にあるのは、アタッチメント取り外しレバー。このレバーを矢印方向にスライドさせると固定用のピンが下がり、レンズを回して取り外すことができます。
ボディ左側上部にある外部接続端子のカバーを開いた状態。マイクロUSB規格で、充電等にも使用します。
バッテリー室カバー。カバーの右に見える丸いピンが、スマートフォンアダプターを固定するもの。
バッテリー室カバーを開いた状態。蓋はフィルム状の部品で本体と接続されており、脱落することはありません。蓋部分には、Wi-Fi接続用のSSIDとPasswordが印字されたシールが貼付されています。
メモリーカードスロット部。マイクロタイプのSDカードまたはメモリースティックが対応しています。メモリースティックタイプのカードに対応しているのは、ソニーのデジカメ共通です。
バッテリーとメモリーカードを挿入しつつある状態。SDカードではラベル面が上側となりますが、メモリースティックでは端子側が上となります。
DSC-QX100(左側)と比較したDSC-QX10(右側)。バッテリー室部分は共通ですが、QX10ではメモリーカードスロットもバッテリー室内にあるのに対し、QX100ではボディ側面に専用カバーが設けられています。
電源をONにした状態。写真は広角端で、この時にレンズ長は最短となります。
レンズをテレ端にした状態。この時にレンズ長は最長となります。
カメラ本体の重量実測値は90.7gでした。メーカー公表値は90gです。
メモリーカードとバッテリーを挿入した状態での実測値は105.0gでした。メモリーカードの種類によって違いますが、メーカー公表値も105gとなっています。
スマートフォンにスマートフォンアダプターを装着した状態。ストッパー部分にSONYのロゴが印字されており、装着するとカメラのペンタ部のような形状となります。
スマートフォンアダプターとの接続部。プラスティックですがレンズと同様にバヨネット装着となります。
反対側の爪部分。爪の左側に見えるピンが、アダプター固定ピンです。モニター部の左側にあるレバーによって動作します。
スマートフォンに装着した状態。QX10は比較的小型ですが、それでも存在感を感じます。写真のレンズは広角端の状態です。
同じく望遠端の状態。カメラユニットの下部で安定的に直立させることが可能となっています。
静止画撮影モード。スマートフォンに表示されている画面は、Wi-Fiによりカメラユニットから送られているものです。
スマートフォンからシャッターを切るところ。約34秒。
露出モードをPにすると、ホワイトバランスを設定することができます。
右上のモードボタンで、静止画と動画の切替を行います。
動画モードにすると、画面のアスペクト比は4:3から16:9に変わります。イメージセンサーのアスペクト比は4:3のため、画面の上下がトリミングされる形となります。
動画モードで設定できるのは、写真の3項目となります。
静止画モードでは、露出モードを3つから選択することが出来ます。ちなみに、QX100では、さらにA(絞り優先)が加わります。
静止画撮影時、P(プログラムオート)で設定できる項目。全部で9項目となります。
設定項目の下部分。メモリーカードのフォーマットも、設定から行います。 DSC-QX10のバッテリー関係をチェック
バッテリーパックNP-BN。容量は3.6V 630mAhで、静止画であれば約220コマの撮影が可能です。DSC-TX55(製品レビュー)など、薄型コンパクトなタイプのカメラでも採用されています。
バッテリーパックはかなり薄型のパッケージとなっています。中国製です。 サイバーショット DSC-QX10の付属品をチェック
付属するスマートフォンアタッチメントのスマートフォン側。スマートフォンに装着するときの台座として機能するもので、スマートフォンを挟み込む爪は折り畳まれています。
スマートフォンアタッチメントのレンズ側。両側の穴に、カメラ本体の爪が挿入されます。
スマートフォンアタッチメントのカメラボディ装着部分。バヨネットタイプの固定方式となっています。
スマートフォンを挟み込むための爪を起こした状態。幅54~75mm、厚さ13mm以下のスマートフォンに対応しています。
爪部分の内側には、滑り止め用の溝が切られています。かなり強い力でスマートフォンを挟み込むことが出来ます。
付属するマイクロUSBケーブル。ボディ内充電にも使用します。
付属するリストストラップ。伸縮性もあるしっかりしたつくりです。 Sponsored Links 3.DSC-QX10の描写性能はどうか?描写力チェック1:高感度性能サイバーショット DSC-QX10のイメージセンサー、画像処理エンジン、レンズはDSC-WX200と同じものが搭載されています。有効1820万画素1/2.3型CMOSと25-250mm相当F3.3-5.9のレンズは、コンパクトデジカメとしては標準的なクラスとなりますが、スマートフォン等に搭載されている内蔵カメラと比較すると、やはり描写性能には大きな差があります。仕様表によると、DSC-QX10の基本感度はISO100となっており、ISO12800まで対応しています。ただし、ISO6400以上は連写による重ね合わせで感度をアップさせていますので、通常の撮影ではISO3200までであると思われます。 DSC-QX10では、ユーザーがISO感度を設定することはできません。そのため、「プレミアムおまかせモード」ではISO12800まで、「おまかせモード」ではISO3200まで、「Pプログラムオート」ではISO1600までの中からカメラが最適な感度を判断して設定することになります。 設定できる感度幅は異なりますが、このあたりの考え方は上位機のDSC-QX100でも同じです。 ISO感度を設定できないため、ノイズリダクションに関する設定項目もありません。基本的には「おまかせモード」で撮影し、特に描写性能を求める場合には「プレミアムおまかせモード」(重ね合わせ処理により、手振れやノイズを軽減)に切り替える、という使い方になると思います。また、「P プログラムオート」に設定すると、明るさ補正とホワイトバランス設定ができますので、「おまかせモード」では思うような仕上がりにならない時に試してみると良いと思います。 下記のサンプルは、ISO400とISO800のものでテスト撮影を行ったものです(露出モードは「P プログラムオート」)。この程度であれば、ほとんどノイズ感も感じられず安心して撮影することができると思います。 下記のサンプルは縮小表示したものですが、クリックすると元画像が表示されますので、あわせて参照していただければと思います。 描写力チェック2:歪曲収差サイバーショット DSC-QX10に搭載しているレンズは35mm換算で25mmから250mmの光学10倍ズームであり、コンパクトカメラとしては標準的なズーム域です。しかし、比較対象となるスマートフォンでは光学ズームレンズを搭載した機種はごく一部ですので、イメージセンサーの描写性能とあわせトータルでの描写性能の違いは決して小さくありません。サイバーショット DSC-QX10には撮影メニューの中に「ゆがみ補正」に関する項目もありませんので、基本的にはカメラに任せた撮影となります。 下記のサンプルは、25mm相当の広角端と、250mm相当の望遠端でテストしたものです。おそらく電子的な補正も加味されていると思われますが、10倍ズームとしてはズーム全域で歪曲収差も少なく、画面構成に気を使う必要はないと感じました。 焦点距離:4.45mm(35mmサイズ換算25mm) 焦点距離:44.5mm(35mmサイズ換算250mm) 描写力チェック3:解像力レンズ固定式のカメラでの解像力テストでは、イメージセンサーとレンズの両方の実力が試されることになります。いつもの通りISO12233準拠チャートを使用して解像力チェックを行いました。結果は、コンパクトデジカメとしては高い解像力を示しました。35mm換算で28mmの広角端では、開放から高い解像力です。わずかにモアレの影響が出ていますが、十分2500本のラインを視認することができます。有効1219万画素の力をきれいに発揮していると言えます。望遠側に移るにつれ、わずかに解像感の低下が認められますが、それでもコンパクトカメラとしては非常に良好で、すべてのズーム域で概ね2500本のラインが視認できました。 画像周辺部についても、全般的に鮮明度の高い画像となっています。周辺部に関しては、35mm換算で標準域から中望遠域の画像が一番しっかりとしている印象を受けましたが、これもCOOLPIX P7700と同じ傾向です。 実際のチャートは画像をクリックすると表示されますので、あわせて確認をしていただければと思います。
4.結局、DSC-QX10は「買い」か?独断 素晴らしい! ポイント
Sponsored Links 付録 製品仕様からみたサイバーショット DSC-QX10の特長
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