【一口コラム】完成度を高めたフラグシップ・デジタル一眼レフ
ニコンのフラグシップ、D4Sが正式にリリースされました。すでに1月7日に開発発表がされていましたが、3月6日に発売開始となります。当初は月3000台のペースで生産されるとのことです。なお、D4は2012年3月の発売開始でしたので、ちょうど2年が経過したことになります。
キヤノンもそうですが、このクラスのカメラは4年でフルモデルチェンジ、2年でブラッシュアップとなることが多く、今回D4Sが登場したのは「スケジュール通り」と言えるかもしれません。
ニコンD4。2012年7月から開催されたロンドンオリンピックでも活躍しました。
まずは、D4Sの特長について、主なポイントを見てみたいと思います。
- イメージセンサーは新設計のCMOSセンサーですが、有効1623万画素で静止画最大サイズは4928x3280とD4と同じです。
- 画像処理エンジンは、D4のEXPEED3からEXPEED4に進化しています。D5300(製品レビュー)やD3300(製品レビュー)と同じもので、最新世代となります。
- 新型イメージセンサーと画像処理エンジンにより、標準でISO100-25600、拡張でISO50-409600相当まで設定できます。D4では標準設定でISO12800、拡張でISO204800相当でしたので、どちらも1段分拡張されています。
- オートフォーカスモジュールは、D4のアドバンストマルチCAM3500FX オートフォーカスセンサーモジュールをベースにカスタマイズしたもののようです。予測がつきにくい動きやコントラストの低い被写体でもAFが可能になるとともに、高速で接近・遠ざかる被写体への追従性も向上しているようです。AFエリアモードも、新たにグループエリアAFに対応しています。これは、今まで搭載されていたダイナミックAFでは、捕捉初動時には選択したフォーカスポイント1点のみで被写体を捉えるのに対して、常時、選択したフォーカスポイント+上下左右4点の5点で形成したグループ(面)で被写体を捉えるものです。これにより、被写体補足性能がさらに向上したとのことです。
- 記録フォーマットに「RAW サイズS」が追加されました。これは12ビットの非圧縮で、「RAW サイズL(12ビット 非圧縮)」と比べると記録画素数1/4、ファイルサイズ1/2に抑えることで、最高水準の画質を維持しながら後処理負荷を軽減しています。
- 画像処理エンジンが進化したことで、連続撮影枚数も向上しています。たとえば14ビットのロスレス圧縮RAWでは75コマが78コマに、12ビットのロスレス圧縮では92コマが133コマに増えています。
- ミラーバランサーの改善によりファインダーの像ブレを軽減しています。高速連写中のフォーカスポイントも、今までの点滅から常時点灯に変わったことで見やすくなっています。
- 内蔵している有線LANが、100BASE-TXから1000BASE-Tに強化されています。
- 動画機能も強化され、フルHD(30p)からフルHD(60p)に進化しています。
- 対応しているバッテリーがEN-EL18からEN-EL18aに変わり、撮影可能枚数は2600枚から3020枚に増えています。なお、バッテリーチャージャーもMH-26からMH-26aに変更されています。バッテリーパックの詳細仕様はわかりませんが、容量が10.8V
2.0Ahから10.8V 2.5Ahに増えているようです。互換性については不明ですが、カメラのクラスを考えると撮影可能枚数に違いはでるとは思いますが、相互互換性に配慮されているものと思われます。
- ボディサイズと重さは同じです。
D4S(左側)とD4(右側)。写真で見るとロゴ以外はまったく同じに見えますが、グリップ形状の細部が調整され、縦横の両方で安定感が向上したとのことです。
D4S(左側)とD4(右側)。こちら側もほとんど同じですが、液晶モニターの横にあるサブセレクターや縦位置マルチセレクターのボタン表面処理が変更されています。AF-ONボタンも位置と押し込み角度を最適化したそうです。
D4S(左側)とD4(右側)。ボディ上面もほぼ踏襲しています。表面の塗装処理が若干変わり、より縮緬模様が強くなったように感じます。
3月6日の発売開始を控え、すでに予約も受け付けられています。概ね60万円弱となっており、2年前に登場したD4と同等レベルのスタートとなりそうです。現在、D4は52万円程度で購入できますが、長く使うことを考えると差額は「微々たる」ものかもしれません。
( by Inaba Kunio)
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