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特集 ニコン D5300
ニコン D5300 ~描写性能と機能を強化した新型デジタル一眼レフ |
ニコン D5300
by Inaba Kunio
描写性能と機能を強化したミドルクラスのデジタル一眼レフ
評価:5.0
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1.ニコン D5300の位置づけと概要描写性能と機能を強化したミドルクラスニコンのD5300が発売開始となりました。D5000シリーズは、ニコンのデジタル一眼レフの中でもメインストリームの位置づけとなっており、もっとも売れているカメラの一つとなります。その魅力を一言で表せば、比較的手ごろな価格で多機能高画質を手にすることができる、ということになります。→発売前の記事「一口コラム:描写性能や機能を強化したミドルクラス」。
前機種のD5200。デザインは似ていますが、D5300よりもなで肩です。
2012年12月に登場した前機種D5200(製品レビュー)からの主な進化ポイントは、次のとおりです。
これに加えて、バリアングル可動に対応した液晶パネルを大型化するとともに、新たにWi-FiやGPSを搭載した点も、多機能機としてのD5300の魅力アップにつながっています。ニコンの中からデジタル一眼レフを選ぶ場合、間違いなく真っ先に検討対象に上がるカメラがD5300だと思います。 D5300の魅力は?D5300のメーカー・キャッチフレーズは「そろそろ、ちゃんと、一眼レフ」です。デジタル一眼レフカメラとして、きちんとした基礎力を持たせつつ、トップレベルの描写力と多機能性を持たせるというコンセプトが伝わってきます。とはいえ、描写力や多機能性以外にも、ファインダーの見え方やオートフォーカス性能、連写性能や操作感、ボディ自体の堅牢性など、カメラとして大切な要素はたくさんあります。ミドルクラスのデジタル一眼レフとして、D5300はどこまでの実力を備えているのか。そして、上位機と比べて「あきらめなければいけない点」はどのあたりにあるのか。こうした点を整理し把握することが、後悔のないカメラ選びには必要です。
レリーズモードボタンがボディ上面から移設されるなど、インターフェースもブラッシュアップされています。 それでは、ニコンの新型デジタル一眼レフ、D5300の実力をテストしてみたいと思います。 ![]()
2.ニコン D5300を開封し外観をチェックニコン D5300を開封するニコンのミドルクラス・デジタル一眼レフ、D5300が発売されました。前機種であるD5200(製品レビュー)の発売が2012年11月ですので、ちょうど1年での世代交代となります。販売形態はボディ単体の他に、AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR(製品レビュー)がセットになったレンズキットも用意されています。なお、取扱説明書にはAF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR(製品レビュー)の説明も書かれていますので、このレンズキットも発売されることになりそうです。 ボディカラーは、ボディ単体ではブラックのみとなりますが、レンズキットではレッド、グレーも用意されています。ボディカラーにあわせて付属するストラップも変わります。 今回は18-140mmレンズの評価も行いたいため、レンズキットを購入いたしました。カラーはブラックですが、グレーもなかなかいい感じでした。
D5300のパッケージ。ブラックのベースに金色で文字が印字されており、カメラ本体とレンズの写真が掲載されています。基本的なデザインはD5200と同じです。
蓋を開けると、左側にレンズが入った白いケースが目に入ります。右側には、使用説明書や保証書が置かれています。こうしたパッケージングもD5200と同じです。
使用説明書の下には、カメラ本体と付属品が格納されています。中央がカメラ本体です。
付属品。左上から使用説明書、活用ガイドCD-ROM、ViewNX2ソフトウェアCD-ROM、バッテリーチャージャーMH-24、Li-ionリチャージャブルバッテリーEN-EL14a、アイピースキャップDK-5、USBケーブルUC-E17、オーディオビデオケーブルEG-CP16、ストラップAN-DC3。バッテリーの型番がEN-EL14からEN-EL14aに変わりましたが、その他の付属品はD5200と同じです。 ニコン D5300の本体をチェック
D5300のボディ前面。基本的なデザインはD5200と同じですが、両肩のラインなど変わった部分もあります。
D5200のボディ前面。両肩のラインがよりなだらかになっています。
ボディの液晶面側。2軸方式のバリアングル可動に対応しているため、写真のように反転させておくことも可能です。接眼目当てがDK-25に変わりましたが、こちら側の基本的なインターフェースはD5200と同じです。
D5200のボディ背面。液晶モニターのNikonのロゴは印字ですが、D5300では刻印に変わっています。
液晶モニターを表示させた状態。液晶モニターは3型92万ドットから3.2型104万ドットへと大型化されています。アスペクト比も3:2になりましたので、静止画をより大きく表示させることが可能となりました。
D5200の液晶モニター。アスペクト比は4:3のパネルとなっています。
D5300のボディ上面。D5200と比べると、モードダイヤルの右側にあるWi-FiとGPSのアンテナ部が特徴的です。モードダイヤルに記載されている項目はD5200と同じです。ペンタ部にあるステレオマイク穴の数が増やされています。
D5200のボディ上面。基本的なデザインはD5300でも踏襲されました。レリーズモードボタンは、レンズマウントの左側に移設されています。
ボディ底面。三脚用の穴はレンズ光軸上に設けられています。カメラ本体はタイ製となっています。購入した個体のS/Nは5xxxでした。
D5200のボディ底面。D5300と比べると、底面の形状やねじ止めの位置が変わっています。D5300ではそれまでの金属シャーシを廃止し、カーボン繊維を用いた強化プラスティック・モノコック構造に変わったためと思われます。
ボディ左側面。こちら側には外部接続端子が置かれています。D5300では、レンズ取り外しボタンの下に「レリーズモードボタン」が移設されています。
D5200のボディ左側面。外部接続端子カバーの形状が変わりましたが、端子自体はD5300も同じです。
D5300のボディ右側面。メモリーカードスロットは単独で設けられています。
D5200のボディ右側面。グリップ部の赤いラインの形状は、D5300とは少々違っています。
D5300のマウント口。ミラーボックスの内側は反射防止の処理が施されています。
ペンタ部にあるNikonのロゴ。刻印された中に白いインクが流し込まれています。レッドとグレーのボディカラーでもロゴは白字です。
ボディの左肩にあるD5300のロゴ。プレートが埋め込まれています。その左側にあるフラッシュボタンとFnボタンはD5200と同じです。その下に見える白いポッチは、レンズを装着するときの指標となります。
D5300でボディ上面から移設されたレリーズモードボタン。連写設定やセルフタイマーの設定を直接行うことができます。
右手側のグリップ部。大型のランプは、AF補助光とセルフタイマーランプ、赤目軽減ランプを兼ねています。グリップ部にある丸いプラスティックはリモコンML-L3用の受光部。リモコン受光部は液晶モニター側にもあります。
グリップ部上のメインコントロール部。シャッターボタンの同軸に電源スイッチが置かれています。「infoボタン」を押すと、液晶画面にインフォ画面が表示されます。
モードダイヤルの右側に設けられているライブビュースイッチは、D5200から形状が変わり、レバーの上に「Lv」の文字が印字されています。
液晶モニター右側のコントロール部。SDカードアクセスランプの位置が変わりましたが、基本的なレイアウトはD5200のものを踏襲しています。親指部分のゴムが大型のものに変わりました。
ファインダー接眼部には視度補正ダイヤルが設けられています。その右にある「i」ボタンは、液晶画面に表示したインフォ画面から直接項目を設定するためのものです。
ファインダー接眼部。D5200では接眼目当てDK-20が装着されていましたが、D5300ではDK-25に変わりました。「MENUボタン」と「i」ボタンを同時に2秒間押す(ツーボタンリセット)と、カメラの主な設定項目が初期化されます。緑色のマークが目印となります。
接眼目当てDK-25を外した状態。付属するアイピースキャップDK-5を装着する時には接眼目当てを上にスライドさせて取り外します。
アイピースキャップDK-5を装着した状態。ファインダー接眼部から目を離して撮影する場合には、接眼部からの入射光による影響を抑制するため、アイピースキャップの装着が推奨されています。
ファインダー接眼部の左側にある「MENUボタン」。その左にはリモコンML-L3用の受光部が置かれています。その前に見えるのはイメージセンサーの位置を示す指標です。その前の3つの穴はスピーカー用のものとなります。
ペンタ部上部にあるアクセサリーシュー。その前にはステレオマイクが内蔵されています。
ボディ左側の外部接続端子カバーを開いた状態。左上より外部マイク入力端子、アクセサリーターミナル、右上はUSB/オーディオビデオ出力端子、HDMIミニ端子となります。端子自体はD5200と同じです。
ボディ右側面のSDメモリーカードスロットカバーを開いた状態。カードの挿入方向を示すガイダンスシールが貼付されています。
メモリーカードを挿入しつつある状態。ラベル面が手前側となります。
ボディ底面のバッテリー室カバーを開いた状態。蓋の部分に挿入方向のガイダンスが描かれています。
バッテリーパックを挿入しつつある状態。ホログラムが見える向きで挿入します。
ボディ単体での重さの実測値は482gでした(アクセサリーシューカバーやアイピースカップを装着した状態)。メーカー公表値は480gとなります。
撮影状態でのD5300の重さの実測値は532gでした。メーカー公表値は530gとなります。
AF-S50mmF1.4G(製品レビュー)を装着した状態。ボディのコンパクトさが際立ちます。
内蔵ストロボをポップアップさせた状態。ボタンは電気式のため、電源が入っていないと可動しません。
液晶モニターの表示。イメージセンサーと同じアスペクト比3:2の液晶パネルが採用されました。写真はAF-S18-140mmを装着した広角端の状態ですが、やや周辺光量が低下していることがわかります。
液晶パネルの視野角は広く、写真の状態でも表示内容の確認が可能です。
光学ファインダーの表示内容。画面下部に情報表示エリアが設けられています。 ニコン D5300の付属品をチェック
D5300に使用するバッテリーチャージャーMH-24はD5200やD3200等に採用されているものと同じです。EN-EL14aを最大約1時間50分で充電できます。
コンセントに接続するプラグ部分は回転式で、本体内に格納可能となっています。可搬性の点でメリットがあります。MH-24はマレーシア製。
付属するLi-ionリチャージャブルバッテリーEN-EL14a。容量は7.2V 1230mAhです。D5200に付属していたEN-EL14の容量は7.4V
1030mAhでしたので、約15%容量が増えています。
偽造防止用のホログラムが貼付されています。EN-EL14では背面側に貼られていました。
付属するUSBケーブルUC-E17。パソコンやプリンター等との接続に使用します。
付属するオーディオビデオケーブルEG-CP16。D5200付属のものと同じでステレオに対応しています。AVケーブルが付属している機種は減ってきましたが、できればHDMIケーブルが付くとさらに良いと思います。
D5300はアイピースシャッターを内蔵していないため、アイピースキャップDK-5が同梱されています。
アイピースキャップDK-5の裏側にはクリップが付けられており、ストラップに装着できるようになっています。
ブラックボディに付属するストラップAN-DC3BK。しっかりとしたつくりのものですが、ロゴ部分は刺繍ではなくプリントとなっています。レッドカラーにはAN-DC3RD、グレーカラーにはAN-DC3GYが付属します。
ボディに付属するボディーキャップBF-1B。
ボディのレンズ用バヨネットを利用して固定するための爪があります。 Sponsored Links 3.ニコン D5300の描写性能はどうか?描写力チェック1:高感度性能ニコン D5300の基本感度はISO100で、標準ではISO12800まで設定可能となっています。さらに、拡張設定ではISO25600相当まで拡げることができます。D5200は標準域でISO6400、拡張域ではISO25600相当まででしたので、D5300では標準での設定可能域が1段分拡張されたことになります。ノイズ低減処理方法としては、カメラ内で設定する方法と、RAWで撮影しパソコン上での現像段階で行う方法とがあります。なお、カメラ内で設定した場合でも、RAWファイルには変更は加えられませんので、後から編集することも可能です。 カメラ内でのノイズ低減は、「高感度ノイズ低減」と「長秒時ノイズ低減」の2つがあります。どちらも、撮影メニューの中で設定可能となっています。 「高感度ノイズ低減」は「しない」、「弱め」、「標準」、「強め」の4種類が設定可能となっています。「しない」にした場合には、ノイズが発生しやすい条件下でのみノイズ低減処理がかかります。D5300ではISO1600以上の場合にかかりましたので、若干閾値の調整がかけられたのかもしれません。なお、この場合でも「弱め」に設定した時よりもさらに弱くかかります。「弱め」「標準」「強め」にした場合には、常にノイズ低減処理がかかります。 「長秒時ノイズ低減」は、「する」と「しない」のどちらかに設定します。「する」に設定すると1秒よりも低速のシャッター速度で撮影したときに長秒時ノイズ低減がかかります。長秒時ノイズ低減処理を行うと、画像を記録するのにかかる時間が長くなります。「しない」にした場合には、ノイズ低減処理はかかりません。 D5300では、高感度ノイズ低減処理を「しない」にしても、ISO800まではほとんどノイズを感じません。ISO1600になると、わずかにノイズが見られますが、気にならないレベルに留まっています。ISO3200では、暗部を中心にややノイズが目立ってきますが、このあたりまでなら「しない」の設定でも十分常用域だと感じました。 高感度ノイズ低減処理を「標準」にすると、概ね1段程度ノイズ感が低減されます。ISO6400でも常用できるノイズレベルとなっています。D5200ではISO12800相当のノイズはかなり増えましたが、D5300ではノイズ感が軽減されています。標準設定でISO12800まで設定可能になったのも、このあたりの改善が背景にあるのだと実感しました。 ISO25600以上では、それなりにノイズが増えており、解像感の低下も感じられます。しかし、画像自体が破たんしている状態にはならないため、縮小するなどの使い方によっては、十分活用可能です。 D5200と比較すると、とくに高感度側でのノイズ感が改善されていると感じました。 下記のサンプルは、高感度ノイズ低減を「しない」、「標準」、「強め」の3段階で各ISO感度の撮影を行ったものとなります。高感度ノイズ低減を「標準」「強め」にしたものでは、長秒時ノイズ低減も「する」にしてあります。 表示画像はほぼ等倍画像ですが、クリックすると全体画像が表示されますので、あわせて比較をしていただければと思います。
ISO100(左から「しない」「標準」「強め」) 描写力チェック2:解像度Nikon D5300のイメージセンサーは有効2416万画素です。今回テストに使用したAF-S NIKKOR 50mm f/1.4Gは、絞り開放では柔らかい描写ですが、絞っていくにつれて徐々に鮮明度があがっていきました。今回のテストでは、開放から5段絞ると、周辺部を含め解像力が向上したため、F8.0のもので確認を行いました。視覚解像度チェック用ライン、限界解像度チェック用ラインとも、余裕をもって2500本ラインの識別が可能であり、イメージセンサーの画素数を活かしていると感じました。なお、D5200でも同じ50mmF1.4Gでテストを行っていますが、D5300はローパスフィルターレスということもあり、わずかながら鮮明度が向上していることを実感しました。あわせて比較していただければと思います。
限界解像度チェック用のラインでは、2500本まで楽々と視認できています。モアレもほとんど発生していません。画像がくっきり表示されています。
横方向の限界解像度チェック用のラインでも、同様に2500本域まで余裕をもって視認できています。
参考まで、左上の画像です。同じ1本のレンズで、こうした鮮明な画像から柔らかい画像まで表現を変えられる魅力は、大口径標準レンズならではだと思います。
描写力チェック3:歪曲収差補正機能ニコンD5300には、レンズの特性による歪曲収差を軽減する機能があります。撮影メニューの中にある「自動ゆがみ補正」がそれで、「しない」「する」のどちらかに設定できるようになっています。なお、撮影後の編集メニューでは、直接マニュアルで歪曲収差を補正する機能も搭載されています。 対応しているのは、Gタイプ、EタイプとDタイプのレンズのみで、フィッシュアイなど一部のレンズでは機能しません。 テストに用いたのは、AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VRで、広角端の18mm域で確認をしました。 テストした結果、自動ゆがみ補正機能で良好に補正されることが確認できました。18-140mmVRレンズは広角端では樽型収差、標準域から望遠側では糸巻型収差が認められますが、この機能により良好に補正されています。 なお、自動ゆがみ補正機能を使用すると、画像周辺部がやや削られることに注意が必要ですが、積極的に活用すべきように感じました。 ※他の焦点域については、AF-S DX 18-140mmf/3.5-5.6G ED VRをご参照ください。
ニコン AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR 機能チェック(おまけ):連続撮影枚数ニコンによると、D5300の連写性能は次の通りです。
使用したメモリーカードは高速タイプのものです。 (SanDisk ExtremePro Class10 Read 95MB/s Write 90MB/s)
D5300はミドルクラスのデジタル一眼レフとして、十分な連写性能を持っていました。RAWは12bitと14bitから選択できる点が珍しく、とくに12bitRAWでは3.5コマ/秒のペースでカード容量一杯までの連続撮影が可能でした。RAWを14bitにしたり、RAW+JPEGでは1.4~1.7コマ/秒での連続撮影となりますので、連写性能や連続撮影枚数を重視する場合にはJPEGまたは12bitRAWで撮影されると良いと思います。 バッファーが一杯になった時にもたつく感じはしませんでしたが、オートフォーカスの動作やAF補助光が照射するような環境では連写速度の低下を感じました。光学ファインダーはペンタミラー方式であり、ファインダーでの厳密なピント合わせは簡単とは言えないため、撮影環境によっては注意が必要です。 4.結局、D5300は「買い」か?独断 素晴らしい! ![]()
独断 もう一息! ![]()
Sponsored Links 付録.製品仕様からみた D5300の特長
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