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特集 D3200
ニコン D3200 ~ハイエンドの描写性能を持つエントリー機 |
ニコン D3200
by Inaba Kunio
ハイエンドの描写性能を持ったエントリークラスデジタル一眼レフカメラ 評価:5.0
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1.ニコン D3200の位置づけと概要ハイエンドの描写力を持った入門機有効2416万画素のイメージセンサーを搭載したD3200がいよいよ発売開始となった。「ニコンの次のエントリー機は24メガピクセル」という噂は、D800発売前から一部で流れていたが、実際に発売されると感慨深いものがある。APS-Cサイズの現行機の中で、D3200を上回る画素数のモデルはニコンにはない。他社を含めても、D3200よりも高画素なのは、ソニーのα77、α65、αNEX-7(2430万画素)とシグマSD1 Merrill(センサー方式が異なるため同じ土俵では比べづらいが1536万×3層)の、計4機種のみとなる。 D3200一口コラムでも触れたが、D3200とD3100の主な違いは次の諸点である。
ミラーレスの存在を前提にしたエントリー機D3100が登場した2010年8月からの2年間で一番大きく変わったのは、デジタル一眼レフをめぐる環境である。ニコンを含め、キヤノンを除く主要各社はミラーレスカメラを展開しており、国内市場シェアはすでに50%を超えている。実質的にミラーレスカメラに全面的に移行したマイクロフォーサーズ陣営とは異なり、デジタル一眼レフのラインアップを残しているニコンにとって市場の棲み分けは重要である。V1やJ1の立ち位置を見れば、当面はコンパクトカメラからのステップアップユーザー層を対象にした製品であることがわかる。 このことを逆の視点から見れば、デジタル一眼レフがカバーする範囲はより中・上級者へとシフトすることになる。今回、エントリークラスの製品であるD3100後継機が上級機と同等の描写性能をもって登場した背景には、このような事情があると見るべきかもしれない。 今後、ミラーレスカメラの拡充が進んでいけば、デジタル一眼レフの守備範囲はさらに上級者向け製品へと追い上げられていくことになるだろう。その意味では、デジタル一眼レフのローエンドモデルであるD3000シリーズはニコンが考える「デジタル一眼レフでカバーする市場」の境界線に位置する製品であり、この製品を分析することでニコンの戦略も見えてくると言えるだろう。 それでは実際に、ニコンの「デジタル一眼レフ」エントリー機、D3200の実力をテストしてみたい。 ![]()
2.ニコン D3200を開封し外観をチェックニコン Nikon D3200を開封する2012年5月24日に発売開始となったD3200。ボディ単体の実売価格は7万円台、標準ズームレンズがセットとなったレンズキットは8万円台、さらに望遠ズームもセットになったダブルズームキットは9万円台でのスタートとなった。2010年8月登場当時のD3100実売価格と比べると、概ね1万円から1万5千円程度高い価格である。エントリークラスということでは少々高い気もするが、デジタル一眼レフのエントリークラスは、ミラーレスカメラの登場によってより上級機へとシフトされているので、この程度の差額は妥当な値付けなのかもしれない。 ボディカラーはブラックとレッドの2種類。価格的にはほぼ同等となっているようだ。
ゴールドを基調としたパッケージ。心なしかD3100のものと比べ、高級感を感じる。型番に添えてボディカラーが記載されている。
ケースを開けると、上段に取扱説明書などが入っており、その下にカメラボディやレンズ、アクセサリー類が格納されている。左側の梱包材に入っているのがカメラ本体。その右の白い箱にはバッテリーやストラップ等が入っている。
パッケージ内に同梱されている付属品関係。左上より使用説明書、ソフトウェアCD-ROM、活用ガイドCD-ROM、ストラップAN-DC3、オーディオビデオケーブルEG-CP14、USBケーブルUC-E17、バッテリーチャージャーMH-24、バッテリーEN-EL14、アイピースキャップDK-5。使用説明書は簡易版で、詳細はCD-ROM内の活用ガイドに記載されている。このあたりは、従前どおり紙の冊子が同梱されていることが望ましいと思う。 バッテリー関係をチェック
D3200に使用するバッテリーやバッテリーチャージャーMH-24はD3100やD5100、COOLPIX P7100に採用されているものと同じ。EN-EL14を約90分で充電できる。
MH-24は中国製。コンセントに接続するプラグ部分は回転式で本体内に格納可能となっている。可搬性に優れている。
バッテリーパックEN-EL14。容量1030mAhで、1コマ撮影モードで約540コマの撮影が可能。なお、ニコンの社内基準では、連写モードで約1800コマの撮影が可能となっている。
バッテリーのセルは日本製だが、パッケージングはインドネシアで行われている。偽造防止用のホログラムが貼付されている。 ニコン Nikon D3200の付属品をチェック
本体にはアイピースキャップDK-5が同梱されている。D3200にはアイピースシャッターが内蔵されていないため、ファインダーから顔を離して撮影する場合は、ファインダーからの入光を防ぐため、アイピースキャップの使用が望ましい。標準で装着されている接眼目当てDK-20を取り外す必要があるため少々手間ではある。
アイピースキャップの裏側には、ストラップに止めるためのクリップが付いている。
付属するストラップ。ロゴはプリントだがしっかりとしたつくりである。
付属するオーディオビデオケーブルEG-CP14。音声はモノラル出力。地デジ移行がされているので、国内向けはHDMIケーブルもセットにしてほしいところだ。
付属するUSBケーブルUC-E17。パソコンやプリンターとの接続に使用する。 ニコン Nikon D3200の本体をチェック
ボディ正面。サイズはD3100とほぼ同じで、かなり小さい。グリップ部分の赤い三角のデザインが変わった。グリップ部に新たに前面リモコン受光部が新設されている。
ボディ背面液晶面。基本的なレイアウトはD3100のものを踏襲する。ファインダーの横に背面リモコン受光部が新設されている。
ボディ右側面にはSDメモリーカードの格納部がある。
ボディ左側面には外部接続端子が配置されている。カバー上に端子種類が刻印されている。
ボディ上面。大型のモードダイヤルが印象的である。このアングルから見ると、ボリューム感のあるボディ形状であることがわかる。
ボディ底面。三脚用の穴はレンズ光軸上に配置されている。ボディ本体はタイ製。
バッテリー格納部の蓋を開けたところ。蓋部分にバッテリーの挿入方向が印字されている。なお、D3100ではバッテリーストッパーがなかったが、D3200では新設されている(写真の黄色い部品)。
バッテリーを挿入しつつある状態。バッテリーの左に見えるのは、ACアダプター使用時にケーブルを通すための切り欠き部分。
ロゴ部分。このあたりのデザインはD3100のものを踏襲している。なお、D3100ではボディ背面にあったスピーカーがボディ上面左肩部分に移設されている。
外部接続端子。上から、アクセサリーターミナル、USB端子、HDMIミニ端子、オーディオビデオ出力端子。
ボディグリップ部分。D3200ではリモコンML-L3に対応したため、ボディ両面に受光部が新設されている。
ペンタ部分のロゴ。刻印に白いインクが流されている。
マウント内の下部にある切欠きは「エアフローコントロールシステム」用の空気流制御孔で、ローパスフィルターにゴミやほこりがつきにくくなるように空気の流れをコントロールするためのもの。
ボディ右府グリップ部。D3100とはボタン類の配置が異なっている。モードダイヤルが大型で操作性は良い。
ファインダー横には視度補正用のダイヤルが見える。
右手のメインコントロール部。D3100から、動画やライブビュー関係のインターフェースが変更となった。
液晶部左側にもボタンが配置されている。ボタン数はD3100と同じだが、機能配置が一部変わっている。
右側面にあるSdメモリーカード挿入部。写真では見えづらいが、挿入口には方向ガイダンスが刻印されている。
SDメモリーカードを挿入しつつある状態。ニコンではカード印字面が手前側に来る。
液晶パネルはD3100から大きく進化したポイントの一つ。ドット数が4倍となり視認性が向上した。また、メニュー表示時には表示行数も増えている。
ライブビュー状態ではグリッド線の表示も可能。液晶パネルのアスペクト比は4:3のため、下部にガイダンス表示用の黒い部分がある。
液晶表示内容を増やすことも可能。D3200にはボディ上面に液晶パネルが搭載されていないため、設定内容の確認は液晶モニターを使うことになる。
50mm標準レンズを装着した状態。ストロボポップアップ用のボタンは、電源が入っていないと稼働しない。
ストロボをポップアップさせた状態。サイズの割に高さが稼がれているため、レンズによる干渉がしにくくなっている。 Sponsored Links 3.ニコン D3200の描写性能はどうか?描写力チェック1:高感度性能Nikon D3200の基本感度はISO100で、標準ではISO6400まで設定可能となっている。拡張設定ではISO12800まで設定可能となる。ノイズ低減処理のやり方としては、カメラ内での設定と、RAWで撮影しパソコン上での現像段階で行う方法がある。なお、カメラ内で設定した場合でも、RAWファイルには変更は加えられない。カメラ内でのノイズ低減は、撮影メニューの中にある「ノイズ低減」の設定で行う。 「ノイズ低減」は「しない」、「する」の2種類がある。「する」に設定すると、ずべてのISO感度でノイズ低減処理を行うとともに、1秒以上のシャッタースピード時には長秒時ノイズ低減処理もかけられる。「しない」に設定した場合にも、高感度時にはノイズ低減処理がかかるが、「する」にした時と比較すると弱めになる。 D3200はD3100と比較して約7割も画素数が増えている。そのため、高感度ノイズの出方が危惧されたが、実際にはD3100を上回る性能を確認することができた。この間の技術進化がきちんと反映されていると言えるだろう。 高感度ノイズ低減を「しない」にしても、ISO1600まではほとんどノイズ感はない。ISO3200を超えると暗部を中心にややノイズが目立ってくるが、ISO6400までであれば十分実用的であるように感じる。ISO12800相当になると、グッとノイズが増える。さすがに等倍ではノイズが目立つが、縮小して利用するのであれば十分使えるレベルだろう。 高感度ノイズ低減を「する」にすると、1~2段分程度ノイズが低減化される。解像感の低下があらわれるが、ISO12800でもそれなりに使えるレベルとなっている。 いずれのISO感度でも画像自体が破たんするわけではないので、縮小すれば充分活用可能であると感じた。 下記のサンプルは、高感度ノイズ低減を「しない」、「する」の2段階で各ISO感度の撮影を行ったものである。表示画像は等倍画像だが、クリックすると全体画像が表示されるので、あわせて比較をしてほしい。
ISO100(左から「しない」「する」) 描写力チェック2:解像度Nikon D3200のイメージセンサーは有効2416万画素である。今回テストしたAF-S50mmF1.4Gの結果は、基本的に絞り開放から優れた解像力を示した。このレンズは、4段絞ると、周辺部を含めさらに解像力が向上したため、開放絞りF1.4から4段絞ったF5.6のもので確認を行った。視覚解像度チェック用ライン、限界解像度チェック用ラインとも、2500本ラインを超えている。フルサイズ3630万画素のD800と比較すると見劣りはするものの、画素数を活かした高い解像力を示している。
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限界解像度チェック用のラインでは、2500本まで十分視認できている。このレベルではモアレも発生していない。
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横方向の限界解像度チェック用のラインでも、同様に2500本ラインは十分視認可能。
描写力チェック3:収差補正Nikon D3200の設定メニューの中には、「自動ゆがみ補正」の項目がある。これは、GタイプとDタイプのレンズを装着した時のみ有効となる機能で、レンズの歪曲収差を補正するものとなる。今回、50mmレンズで確認をした。もともとそれほど歪曲収差があるレンズではないものの、補正を「する」にすると、周辺部の歪曲がきれいに補正された。 なお、この機能は静止画撮影時のみ有効で、歪曲補正が大きいほど画像周辺部が切り取られることに注意が必要である。 焦点距離:50mm (自動ゆがみ補正無) 焦点距離:50mm (自動ゆがみ補正有) 4.D3100からどう進化したか?比較1:外観と機能はどう変わったか?D3200はD3100よりもやや上級機として位置づけられているが、一見するとかなり似た外観となっている。両機種のロゴ部分を隠すと見分けがつかないように見えるが、実際には変わった点も少なくない。以下、主な進化点をチェックしてみたい。
ボディ形状はほぼ同じ。シャッターボタンの傾斜がきつくなったのと、グリップ部分の赤い三角が新しいタイプに変わっている。
液晶側も似ているが、動画撮影やライブビュー関係のインターフェースが変更となった。また、液晶左側のボタン類の機能も一部入れ替えられている。
ボディ上面。内蔵ストロボのデザインが少し変わっている。モードダイヤルの中身に変更はない。シャッターボタン周りのボタンが増設されている。
ボディ底面。下から見ると、グリップ部分の立体形状が変わっていることがわかる。
シャッターボタン周りの形状が変わり、グリップ部の赤いデザインの位置と形も新しいものになっている。。
このアングルで見ると、ほぼ同じように見える。親指部分のグリップ形状が変更されている。
マウント部への隆線がなだらかになっている。また、ボディ背面にあったスピーカーが上面に移設されている。
外部端子の数は同じだが、配置が変更されている。また、D3200では新たにWi-FiユニットWU-1aに対応した(上から2番目の端子に接続する)。
液晶モニターのサイズは変わらないが、23万ドットから92万ドットへと大幅に進化した。パネルの輝度も明るくなっている。上記はどちらも標準状態のもの。
内蔵ストロボをポップアップさせた状態。高さはほぼ同じ。 比較2:高感度性能比較D3100の1420万画素から、D3200では一気に2416万画素へと高画素化された。1画素単位の面積を単純に比較すれば6割弱に減ることになるため、ノイズ面では厳しくなることが予測された。しかし、実際に比較してみると、D3200はほぼD3100と同等レベルのノイズに抑えられていることが確認できた。下記のサンプルは、どちらも「ノイズ処理」を「しない」にしたものである。この設定では、高感度では弱めにノイズリダクションがかけられる。
![]() ![]() ISO3200(左から「D3200」「D3100」) ![]() ![]() ISO6400(左から「D3200」「D3100」) ![]() ![]() ISO12800(左から「D3200」「D3100」) ![]() ![]() 比較3:解像力比較D3200は有効2416万画素を活かした解像力を示しており、D3100との差は決して小さくない。APS-Cサイズのデジタル一眼レフの中で、トップレベルの解像力となっている。
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D3200では、2500本のラインまで視認できている。
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D3100では、一部モアレが発生しており、部分的に塗りつぶされている。
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D3200では横方向でも2500本のラインが視認できている。
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D3100では、縦方向よりも解像しているが、やはりD3200よりは一歩下がる結果となっている。
5.結局、ニコン D3200は「買い」か?独断 素晴らしい!![]()
独断 もう一息! ![]()
Sponsored Links 付録1.製品仕様からみた D3200の特長
Sponsored Links 付録2.発売前のファーストレビュー【一口コラム】 ニコンD3200 ~上級機を超えるエントリー機ニコンのエントリー一眼レフD3100の後継機、D3200が登場した。D3100が登場したのが2010年9月なので、約1年半が経過したことになる。この間、東日本大震災やタイの洪水などの影響により、安定的に供給されていたわけではないが、それでもニコンのデジタル一眼レフの中のベストセラーモデルがD3100であった。 D3200の一番の特徴は、やはり有効2416万画素のイメージセンサーである。描写力は画素数によって決まるわけではないが、上位機種であるD5100やD7000、そしてD4でさえ上回っている点には驚かざるを得ない。また、画像処理エンジンも、D4やD800/D800Eと同じEXPEED3が搭載されている。このことは、同じレンズを装着すれば、上位機種とほぼ同等レベルの描写性能を手にできることを意味する。フィルムカメラ時代、上級クラスとエントリークラスの差は、カメラとしての基本性能や機能、信頼性の部分であった頃を思い出す。 イメージセンサーを含めD3200とD3100の主な違いは、
また、今回D3200と同時に、ワイヤレスモバイルアダプター「WU-1a」が発売される。これをD3200のUSB端子に接続すると、スマートフォンなどに画像を転送したり、スマートフォン等からD3200を遠隔操作することが可能となる。スマートフォン等の画面がライブビュー撮影画面となるので、外部モニター兼リモコンとして使うこともできる。当初はAndroid系にのみ対応となるが、秋口にはiOSへの対応も予定されている。希望小売価格も5250円と手ごろであり、スマートデバイスを持っている方にとってはかなり便利なオプションとなるだろう。今のところD3200のみの対応であるが、今後の展開が楽しみだ。 (2012年4月19日 記)
ワイヤレスモバイルアダプターWU-1a。実物はかなり小さい。
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独断 デジカメ対決! ![]() ☆ vs キヤノン EOS Kiss X7 ☆ vs ニコン D5200 ☆ vs ニコン D3100 ☆ vs ニコン D5100 |
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【基本仕様】
Nikon D3200 メーカー製品仕様のページ |
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