自分撮り対応のコンパクトミラーレス 【パナソニック LUMIX DMC-GF7】
1月20日、パナソニックから新型ミラーレス、LUMIX DMC-GF7が正式発表されました。2013年11月に登場したDMC-GF6(実機レビュー記事)の後継機で、ファミリー層を中心としたエントリー・ユーザーをメインターゲットにしたカメラです。前機種と比べると、ボディデザインが全面的に一新されるとともに、サイズもGMシリーズに準じたコンパクトなものへと変わっています。また、180°反転可能となったチルト式モニターの搭載や、自分撮り時にも右手でシャッターを押せるダブルシャッター、「フェイスシャッター」や「フレンドリーシャッター」などのソフト面での強化など、自分撮りユーズを重視した点がポイントとなります。
パナソニック LUMIX DMC-GF6。2013年11月の発売開始で、比較的コンパクトなボディサイズが特徴でした。
それではLUMIX DMC-GF7の特長について、主なポイントを見てみたいと思います。
- イメージセンサーは総画素数1684万画素、有効1600万画素4/3型Live MOSセンサーで、DMC-GX7やDMC-GM5に搭載されているものと同等であると思われます。GF6に搭載されていたセンサーも有効1600万画素ですが、総画素数が異なりますので異なるものとなります。
- 画像処理エンジンも、DMC-GX7(実機レビュー記事)やDMC-GM5と同世代のヴィーナスエンジンが搭載されており、きめ細かい表現が可能な「ディテール再現フィルター」や、階調処理の演算精度向上により、なめらかな階調と広いダイナミックレンジを確保した「インテリジェントDレンジコントロール」が実装されています。2次元ノイズリダクションやマルチプロセスNRも引き続き搭載されています。
- 対応しているISO感度は、標準でISO200-25600、拡張でISO100に対応しています。このあたりもGM5やGM1Sと同じです。
- GFシリーズということで電子ビューファインダーには対応していません。オプションでも搭載できませんので、このあたりは機種選択のポイントの一つとなります。
- オートフォーカスもGX7やGM5、GM1Sと同等のものが搭載されています。
-4EVのローライト環境でもAFが機能します。
GF6では-3EVまででしたので、強化されています。
- 連写性能もGM5やGM1Sと同じで、メカシャッター時には最高5.8コマ/秒となっています。
- シャッターは、電子制御式単幕フォーカルプレーンシャッターと電子式シャッターの併用式で、1/16,000秒までの高速シャッターに対応しています。なお、シンクロ同調は1/50秒までですので、GF6の1/160秒よりも低くなっています。
- 動画撮影もGF6から強化されています。AVCHDではフルHD(60i)、MP4ではフルHD(30p)だったものが、どちらのモードでもフルHDで60pまで対応しました。GM1Sでは60iまでですので、動画撮影機能はGF7の方が上回っています。
- 液晶モニターは3型104万ドットで、タッチ操作にも対応しています。
チルト可動方式が変わり、GF6では上側180度、下側45度までの可動が可能だったものが、GF7では上側180度だけとなっています。ただし、自分撮りで上側にチルトさせるのであれば、GF7方式の方が機構が単純な分、使いやすいかもしれません。
- 引き続きWi-Fiを内蔵しています。GM1Sと同様にQRコードで初期認証が行える機能が搭載されています。また、パスワード入力なしでWi-Fiに接続できるようになりました。セキュリティ面ではマイナスかもしれませんが、カメラの使い方を考えれば、まず問題はないものと思われます。
- ボディサイズは、GM1Sほどではないものの、GF6よりも一回り小型化がされています。ボディデザインの変化を含め、かなりコンパクトになった印象を受けると思います。
- ボディの重さも、GF6の323g(撮影時)から266g(同)へと57gも軽量化されています。レンズも小型軽量化されていますので、このあたりも機種選択のポイントになるでしょう。
LUMIX DMC-GF7(左側)とDMC-GF6(右側)。ボディサイズの幅は4.7mm、高さは0.2mm小さくなっていますが、ボディデザインの変化もあり、一回り小さくなった印象を受けます。フラッシュが内蔵されているマウント上部がデザイン上のポイントになっています。重さも50g近く軽くなっていますので、キットレンズの違いを含め、撮影時の重量はかなり軽くなりました。
LUMIX DMC-GF7(左側)とDMC-GF6(右側)。液晶モニターはどちらも3型104万ドットで、チルト可動とタッチ操作に対応していますが、チルト方式が変わっています。GF6では、上側180度だけでなく、下側にも45度まで傾けることが可能です。ただし、反転させるだけであれば、単純な機構であるGF7の方がやりやすいかもしれません。
インターフェース部分は似ていますが、録画ボタンがボディ背面側に移設されるなど、よりファミリー層に配慮したものへと変更されています。
LUMIX DMC-GF7(左側)とDMC-GF6(右側)。ボディ上面では、モードダイヤルが右端に移設されるとともに、iAボタンが大型化され中央近くに移動しています。また、左側にはFnボタンが設けられていますが、このボタンは液晶モニター反転時にはシャッターボタンとしても機能しますので、自分撮り時にも右手でシャッターを押すことが可能です。なお、Fnボタンでの撮影時には、半押しには対応していないようです。
液晶モニターの可動方式が変わったことで、ボディ厚は38.4mmから33.3mmへと5mm以上も薄型化されました。
【LUMIX DMC-GF7とDMC-GF6、DMC-GM1Sの比較】
機種名 |

DMC-GM1S |

LUMIX DMC-GF7 |

DMC-GF6 |
イメージ
センサー |
有効1600万画素 総画素数1684万画素
4/3型Live MOSセンサー |
有効1600万画素 総画素数1668万画素
4/3型Live MOSセンサー |
高感度性能 |
ISO200-25600 拡張でISO100 |
ISO160-12800 拡張でISO25600 |
オートフォーカス |
高速オートフォーカス
-4〜+18EV |
高速オートフォーカス
-3〜+18EV |
連写性能 |
電子先幕時:5.8コマ/秒 電子シャッター時:40コマ/秒 RAW有:7枚 |
メカシャッター時:4.2コマ/秒 電子シャッター時:20コマ/秒 RAW有:7枚 |
動画 |
フルHD(60i) |
フルHD(60p) |
フルHD(60i) |
ファインダー |
- |
シャッター |
1/16000-60秒 1/50秒まで同調可能 |
1/4000-60秒 1/160秒まで同調可能 |
ストロボ |
GN4.0(ISO100) |
GN5.0(ISO100) |
バッテリー |
DMW-BLH7 230枚 |
DMW-BLG10 340枚 |
液晶モニター |
3型104万ドット(3:2) 固定式 タッチ操作対応 |
3型104万ドット(3:2) チルト式(上180度) タッチ操作対応 |
3型104万ドット(3:2) チルト式(上180度、下45度) タッチ操作対応 |
付加機能 |
Wi-Fi QRコード認証対応 |
Wi-Fi QRコード認証対応 簡単認証対応 |
Wi-Fi |
サイズ |
98.5 x 54.9 x 30.4mm |
106.5 x 64.6 x 33.3mm |
111.2 x 64.8 x 38.4mm |
重さ |
204g/173g |
266g/236g |
323g/281g |
発売時期 |
2014年11月 |
2015年 2月 |
2013年11月 |
実売価格 ()内は当初 |
57,000円前後 (75,000円前後) ※レンズキット |
82,000円前後 ※ダブルズームキット |
41,000円前後 (78,000円前後) ※ダブルズームキット |
DMC-GF7は、ファミリー層やエントリーユーザーをメインターゲットに設定したカメラということであり、デザイン面だけでなく必要とされている機能を搭載している点は、さすがパナソニックという感じがします。自分撮りを想定した左側シャッターボタンの設置やフェイスシャッター等の搭載、そしてWi-Fi接続の簡素化など、上級機種にはない特長をもっており、店頭でもわかりやすく勧めやすいカメラにまとめられていると思います。
LUMIX DMC-GF7の液晶モニターを180°回転させた状態。1軸方式のため下側にはチルトしませんが、その分、操作性が向上しています。液晶モニターの内側にある「REC. SETTING RESET」ボタンを押すと、撮影設定を初期状態に戻すことができます。このあたりも、エントリーユーザーを想定した機能と言えます。
エントリーユーザーをターゲットにしているため「ダブルズームキット」のみが用意されているのは販売政策上の理由かもしれませんが、カメラとしての魅力を考えると、標準ズームキットやカメラボディのみもあると良いようにも思います。価格的には、付属するズームレンズが新しくなっているにもかかわらず、概ねDMC-GF6と同等レベルとなっていますので、スタート時点としては妥当な値付けかもしれません。
(
by Inaba Kunio)
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