自分撮りに対応したローエンド・ミラーレス 【富士フイルム X-A2】
富士フイルムは海外において、X-A2を正式発表しました。型番からもわかるように、2013年11月に発売されたX-A1の後継機となります。X-A1は富士フイルム独自のイメージセンサー、X-Trans CMOSセンサーではなく、一般的なベイヤー方式のものを搭載することで、価格競争力を高めたモデルでした。X-A2もX-A1と同様にベイヤー方式のイメージセンサーを搭載しています。
富士フイルムのミラーレスカメラ等で採用されているX-Trans CMOSセンサーは、カラーフィルターの構成単位を6x6に変えることで、モアレや偽色の発生を抑制することが可能です。そのため、ローパスフィルターも搭載されていません。これに対し、X-A1やX-A2では、一般的な2x2構成のベイヤーセンサーであり、ローパスフィルターも搭載されています。
ベイヤー方式の従来型カラーフィルターは、2X2の画素を単位とした周期的な配列のため、縞模様などでモアレが発生しやすい。
X-Trans CMOSセンサーのカラーフィルターは、6X6の画素を単位としているため非周期性が高く、モアレの発生が軽減される。また、縦横方向に必ずRGBのすべての画素が存在するため、偽色の発生も抑えることが可能。
イメージセンサー以外はほぼ同じX-A1とX-M1(実機レビュー記事)とを比較すると、概ね2万円程度の価格差がありましたので、おそらく今後の富士フイルム・ローエンドモデルとしてはX-A2に統合されるのではないかと思われます。
富士フイルム X-A1。2013年7月に発売されたX-M1のイメージセンサーをベイヤー方式のものに変えることで価格競争力を強化したモデルとして登場しました。X-M1の登場からわずか4カ月後にリリースされましたので、やや重複したポジションのように感じました。先にX-A1が登場していれば、X-M1は見送られたかもしれません。
それではX-A2の特長について、主なポイントを見てみたいと思います。
- イメージセンサーはX-A1と同じ有効1630万画素のAPS-CサイズのCMOSセンサーが搭載されています。ローパスフィルターもX-A1と同様に装着されているものと思われます。
- 画像処理エンジンも、X-A1やX-M1と同じEXRプロセッサーIIが搭載されています。
- ISO感度も、標準でISO200-6400、拡張でISO100-25600と、やはりX-A1と同じです。
- 連写性能も最高5.6コマ/秒でX-A1と同じです。連続撮影可能枚数は、JPEGで30枚、RAWを含むと10枚で、同じです。
- ハードウェア面での一番の違いは、液晶モニターのチルト可動機構が新しくなり、上側には175°までチルト可能になりました。これにより、自分撮りが容易に行えます。
なお、下側にもチルト可能ですが、90°まで可動できたX-A1よりも下側可動域は狭くなっているように見えます。
- ソフト面では、フィルムシミュレーションにクラシッククロームが加わり、PROVIA、Velvia、ASTIA、モノクローム、セピアを含め6種類に増えました。
- 動画撮影機能も、フルHDで30pと同じです。
- Wi-Fiも引き続き搭載しています。スマートフォン等でのリモート操作にも対応しています。
- バッテリーもX-A1と同じNP-W126リチウムイオン電池が採用されていますが、撮影可能枚数は350枚から410枚へと増えています。
- ボディサイズは、厚さが1.4mm増すとともに、重さも20g増加しています。
X-A2(左側)とX-A1(右側)。正面から見たボディサイズは同じで、デザインも踏襲されています。もともと、X-A1はX-M1のイメージセンサーを一般的なベイヤー方式のCMOSに変えたモデルですので、ボディデザインは共通しています。なお、写真のX-A1ブラックモデルは海外のみでリリースされ、国内市場ではシルバー、レッド、ブラウンとプレミアムホワイトの4色が展開されました。X-A2の海外モデルは、シルバー、ブラウン、ホワイトの3色となっています。
X-A2(左側)とX-A1(右側)。液晶モニターはどちらも3型92万ドットですが、チルト可動部の機構が変わったためか、ややボディ中央に寄せられています。X-A1のチルト可動域は上側85°、下側75°であったのに対し、X-A2では上側175°まで拡がっています。下側については確認できませんでしたが、おそらく45°程度までのように見えます。
ボタンの配置は同じものの、マクロボタンがセルフタイマーに変わっています。
X-A2(左側)とX-A1(右側)。液晶モニターのチルト機構が新しくなったため、ボディ厚は39.0mmから40.4mmへと1.4mm増しています。主にグリップ部分の形状が変わったことによるものですが、ボディ厚もやや厚くなっていることがわかります。基本的なレイアウトは同じですが、モードダイヤルに設定されている項目の一部が変更されています。
【X-A2とX-A1の比較】
機種名 |

X-A2 |

X-A1 |
イメージ
センサー |
APS-Cサイズ CMOSセンサー 有効1630万画素 |
高感度性能 |
ISO200-6400 (拡張でISO100-25600) |
連写性能 |
5.6コマ/秒 RAW:10枚 |
動画 |
フルHD(30p) |
ファインダー |
非対応 |
シャッター |
1/4000-30秒 1/180秒まで同調可能 |
バッテリー |
NP-W126 410枚 |
NP-W126 350枚 |
液晶モニター |
3型92万ドット(3:2) チルト可動(上側175°、下側45°?) |
3型92万ドット(3:2) チルト可動(上側85°、下側90°) |
付加機能 |
Wi-Fi |
サイズ |
116.9 x 66.5 x 40.4 mm |
116.9 x 66.5 x 39.0 mm |
重さ |
350g/300g |
330g/280g |
発売時期 |
2015年-月 |
2013年11月 |
実売価格 ()内は当初 |
66,000円前後:レンズキット $549.95 |
40,000円前後:レンズキット (65,000円前後) |
こうしてみると、X-A2はX-A1の液晶モニターの可動域を変えるとともに、ソフト面でブラッシュアップした価格競争力重視モデルと言えます。とはいえ、カメラとしての基本性能は、他社ミラーレスのミドルクラスの実力を持っていますので、コストパフォーマンスの良さもX-A1から引き継いでいます。国内での発売は未定ですが、米国での標準レンズキットの価格は$549.95(120円換算で約66,000円)となっていますので、おそらくX-A1スタート時よりも安価で発売されるのではないかと思われます。
すでに、X-A1は生産終了となっており、店頭在庫も徐々に減ってきているようです。やや価格は上がってきているものの、それでもダブルズームレンズキットで4万円台で購入可能ですので、X-A1の購入を検討されている方は早めに結論をだされることをお勧めします。
(
by Inaba Kunio)
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