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特集 富士フイルム X-A1
富士フイルム X-A1 ~費用対効果に優れたローエンドカメラ |
富士フイルム X-A1
by Inaba Kunio
費用対効果に優れた富士フイルムのローエンド・ミラーレス
評価:5.0
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1.富士フイルム X-A1の位置づけと概要費用対効果を重視したローエンドモデル富士フイルムのミラーレスカメラは、他社製品と比べて描写性能を重視している点に特徴があります。ブランド名である「Xシリーズ」は高級コンパクトFinePix X100でスタートを切り、最初のミラーレスはハイエンドモデルのX-Pro1(製品レビュー)でした。また、展開されているレンズを見ても、単焦点レンズをはじめ、いずれも高い描写性能を持っています。こうした製品戦略は、他社製品との明確な差別ポイントであり、根強い「ファン層」を創り出すことに成功しています。当然、カメラ部門の販売にも大きく寄与しており、富士フイルムがレンズ交換式カメラに再参入して2年足らずであることを考えれば、大成功であったと思います。 とはいえ、富士フイルムの2013年の国内市場シェア推計値はまだ約2%(2013年のレンズ交換式デジタルカメラ販売状況)に留まっています。Xシリーズの特長を損なうことなく、これをさらに拡大していくことが課題となっています。 その意味では、2013年7月に登場したX-M1(製品レビュー)に引き続き、さらにローコストを重視したX-A1は、富士フイルムにとっての「戦略モデル」と言えるかもしれません。 →発売前の記事「一口コラム:Xシリーズのローエンドモデル」。
X-A1のイメージセンサー。富士フィルム独自のX-Tranではなく、一般的なCMOSセンサーです。
2013年7月に登場した兄弟機ともいえるX-M1との主な違いは、次のとおりです。
今までの富士フイルム・ミラーレスに搭載されているX-Trans CMOSセンサーには、6X6の画素を単位としたカラーフィルターが採用されています。一般的なデジカメの2x2画素と比べると、非周期性が高く、モアレの発生が軽減されます。また、縦横方向に必ずRGBのすべての画素が存在するため、偽色の発生も抑えることが可能とされています。 X-A1の魅力は?X-A1の魅力は、言うまでもなく「価格」です。11月の発売当初でもダブルズームレンズキットで7万円台(別途5千円のキャッシュバックもあり)でしたが、本年1月段階では5万円台中ごろまで下がっています。イメージセンサーが異なるX-M1と比べると約2万円の価格差となっており、このプライスゾーンの製品としては決して小さくない違いと言えます。少なくとも仕様上では、X-M1とX-A1の差はほとんどありません。チルト式液晶モニターやWi-Fi搭載など、コスト削減によってX-M1から切り捨てられた機能もありません。つまり問題は、イメージセンサーの違いでどう描写性能が変わるのか、ということになります。 実際にテストした結論を言えば、X-Transイメージセンサーの有効性は確認できたものの、予算面を重視されるのであれば積極的にX-A1をお勧めする、ということになります。
イメージセンサーとロゴ以外、X-A1とX-M1とほとんど同じカメラとなっています。 それでは、富士フイルムのミラーレスカメラ、X-A1の実力をテストしてみたいと思います。 Sponsored Links 2.富士フイルム X-A1を開封し外観をチェック富士フイルム X-A1を開封する富士フイルムのX-A1は、ローエンド・クラスの製品です。2013年7月に登場したX-M1(製品レビュー)のイメージセンサーを一般的なCMOSに換装することで、価格面での競争力を高めたカメラとなります。販売形態はボディ単体の他に、XC16-50mmF3.5-5.6(製品レビュー)が付属するレンズキットと、さらにXC50-230mmF4.5-6.7(製品レビュー)も付属するダブルレンズキットが用意されており、このあたりもX-M1と同じです。 ボディカラーは、レッド、ブラウン、シルバーの3種類です。ボディ色はシルバーで、シボ革の部分の色が変わります。X-M1でも、シルバー、ブラウンは同じですが、レッドモデルはありません。その代り、ボディ部分も含めたブラックが用意されています。 なお、X-A1には1000セットの限定モデルとして、「プレミアムホワイトボックス」があります。これはボディ部分がホワイトになっただけでなく、XC16-50mmとXF27mmF2.8(製品レビュー)の2本のレンズ、限定ボディジャケット、ショルダーストラップ、ボディキャプ、レンズキャップが付属しています。まだ店頭在庫もあるようですので、気になる方は早めに購入されると良いと思います。 今回の評価機は、ダブルレンズレンズキットのシルバーを購入いたしました。
X-A1ダブルレンズキットのパッケージ。黒を基調としたデザインは、X-M1と同じです。2本のズームレンズが同梱されているため、比較的大きめのサイズとなっています。
蓋を開けると、左側に付属品関係が、右側のトレイには保証書や使用説明書等が置かれています。
トレイの下には、カメラ本体とレンズが格納されていました。下段の左端に見えるのはバッテリーNP-W126です。標準ズーム用のフードは、付属品の入っている箱の中にあります。
付属品。左上から使用説明書、CD-ROM、バッテリーチャージャーBC-W126、充電式バッテリーNP-W126、バッテリーチャージャー用ACケーブル、ショルダーストラップ。この他にもボディキャップがボディに装着されています。 富士フイルム X-A1の本体をチェック
X-A1シルバーモデルのボディ前面。ボディサイズはX-M1と同じで、富士フイルムのミラーレスカメラの中で最小となります。国内ではシルバーの他に、レッドとブラウンが用意されており、シボ革の部分の色が変わります。
X-M1のボディ前面。向かって右肩にあるロゴ以外はデザインもほぼX-A1と共通です。
X-A1の液晶モニター側。液晶モニターは3型92万ドットで、アスペクト比はイメージセンサーと同じ3:2となります。
X-M1の液晶モニター側。ボタンの配置を含め、X-A1と同じです。液晶モニターも同じものが搭載されています。
X-A1のボディ上面。レンズ光軸上にアクセサリーシューが置かれています。大型のメインコマンドダイヤルとモードダイヤルが印象的です。シャッターボタンと同軸に電源レバーが置かれています。
X-M1のボディ上面。カラー以外は全く同じです。
X-M1のボディ底面。左側にバッテリー室があり、メモリーカードもこの中に格納されます。三脚用の穴はレンズ光軸上からシフトしています。ボディ右上にある窪みは、ハンドグリップHG-XM1装着時に使用するものです。ボディ本体はタイ製。なお、購入したボディ本体のS/Nは3xxxでした。
X-M1のボディ底面。ラベルのデザインを含め、X-A1と同じです。
X-A1のボディ左側面。右下に見える穴はスピーカーです。
X-A1のボディ右側面。こちら側には外部接続端子が置かれています。下部に見える切欠きカバーは、DCカプラー使用時にケーブルを通すためのものです。
X-A1のイメージセンサー。富士フイルムのミラーレスカメラとしては初となる一般的なCMOSセンサーが採用されました。有効1630万画素は同じですが、ローパスフィルターが装着されています。イメージセンサーまわりは、X-M1との唯一の違いと言って良いかもしれません。
ボディ左型にあるX-A1のロゴ。刻印された中に黒いインクが流し込まれています。軽量化とWiFi対応のためボディ外装は樹脂製で、ボディ中心部はアルミダイキャスト製、メインコマンドダイヤルとモードダイヤルは金属です。このあたりも、X-M1と同じです。
X-A1のグリップ部。形状はX-M1と同じです。グリップの右上にあるランプは、AF補助光とセルフタイマーランプを兼ねるものです。
X-A1のレンズ着脱ボタン。太いレンズとの干渉を避けるため、切欠きが付けられています。このボタンを押すと、その横にあるマウント上のピンが下がり、レンズを回転・取り外すことができます。
X-A1の軍艦部右側にあるメインコントロール部。ボタン類の配置はX-M1と同じで、シャッターボタンにはレリーズ用の溝は切られていません。X-Pro1やX-E2などの上位機種では、シャッタースピードダイヤルと露出補正ダイヤルとなっていますので、インターフェースは大きく異なります。一般的なユーザーであれば、X-A1やX-M1のようにモードダイヤル+コマンドダイヤル方式の方がわかりやすいかもしれません。
X-A1の操作は、金属製のメインコマンドダイヤルと、グリップ部分に縦に置かれているサブコマンドダイヤルを中心に行います。サブコマンドダイヤルは回転操作にのみ対応しています。
X-A1のメイン操作部。ボタンの配置はX-M1と同じです。グリップ部にあるランプはインジケーターで、カード記録状態だけでなくピント合焦や手ぶれ警告、フラッシュ充電中などを表すものです。
軍艦部の左側には内蔵フラッシュがあります。その右にあるのがホットシューで、レンズ光軸上に置かれています。その前にある2つの穴はステレオマイクです。
内蔵フラッシュをポップアップさせた状態。機構もX-M1と同じです。
内蔵フラッシュはポップアップすると前に飛び出しますので、レンズによるケラレが置きにくくなっています。カメラサイズの割にポップアップ位置は高いと思います。
X-A1のフラッシュ発光部。標準感度ISO200時のガイドナンバーは7ですので、標準ズームレンズ広角端の絞り開放F3.5であれば、2mの距離までが有効となります。ISO800であれば4m、ISO3200で8m、ISO12800では16mまで対応することになります。
フラッシュ照射部は指で上に向けることも可能です。メーカーは推奨しませんが、一定のバウンス効果も期待できそうです。
X-A1のボディ右側面にある外部接続端子。上がHDMIミニ端子で、下がマイクロUSB端子です。これらもX-M1と同じです。
X-A1もX-M1と同様に液晶モニターをチルト可動させることができます上側には-85°まで開くことができます。
液晶モニターを下側に開いた状態。この向きでは90°まで稼働します。
標準ズームレンズ、XC16-50mmF3.5-5.6を装着した状態。
キットレンズにはフードも付属しています。ズーム操作をしてもフィルター部が回転しないため、花形フードに対応しています。
ボディ底面のバッテリー室カバーを開いた状態。バッテリーとメモリーカードの挿入方向がガイダンス表示されています。
バッテリーとメモリーカードを挿入しつつある状態。バッテリーにつけられて指標を、取り外しツマミと同じ側にします。メモリーカードはラベル面が前側となります。
液晶モニター。92万ドットの3型で、X-M1と同じです。DISPボタンの押下で表示内容の切り替えが可能です。
採用された液晶パネルの視野角は比較的広く、この角度でも表示内容をある程度把握することができます。
X-A1のボディ単体での重さの実測値は278.0gでした。メーカー公表値は280gです。
バッテリーとメモリーカードを装着した状態でのX-A1の重さの実測値は327.0gでした。使用するメモリーカードによって異なりますが、メーカー公表値は330gです。 富士フイルム X-A1の付属品をチェック
X-A1に付属するバッテリーチャージャーBC-W126。NP-W126の充電には、最大で約150分かかります。
充電には、付属するACケーブルを用います。写真は、チャージャー側のケーブル接続部。可搬性の点では、ウォールマウントアダプタ等の添付が望ましいと思います。
付属するACケーブル。出荷先の電源環境によって、異なるケーブルが付属します。
バッテリーパックNP-W126。7.2V 1200mAhで、静止画で約350枚の撮影が可能です。このあたりもX-M1と同じです。
バッテリーパックNP-W126には、本体挿入時の指標となるオレンジ色のマークが印刷されています。
付属するショルダーストラップ。高級感はありませんが、しっかりとした作りです。
付属するボディキャップ。Xマウント用の共通品で、ボディに装着された状態で出荷されています。
ボディ側のレンズマウント部バヨネット構造を利用して装着するタイプです。 Sponsored Links 3.富士フイルム X-A1の描写性能はどうか?描写力チェック1:高感度性能富士フイルム X-A1の基本感度はISO200で、標準ではISO6400まで設定可能となっています。さらにJPEG撮影の場合には、低感度側がISO100まで、高感度側はISO25600まで拡張することができます。このあたりの仕様は、イメージセンサーが異なるX-M1等と同じです。画像データのノイズ低減処理方法としては、カメラ内で設定する方法と、RAWで撮影しパソコン上の現像段階で行う方法とがあります。なお、カメラ内で設定した場合でも、RAWファイルには変更は加えられませんので、後から編集することも可能です。 カメラ内でのノイズ低減は、「ノイズリダクション」と「長秒時ノイズ低減」の2つがあります。どちらも、撮影メニューの中で設定可能です。 「ノイズリダクション」は高感度設定時に発生するノイズを低減するもので、「弱(-2)」、「やや弱(-1)」、「スタンダード(0)」、「やや強(+1)」、「強(+2)」の5種類が設定可能となっています。工場出荷時の初期設定は「スタンダード」です。 「長秒時ノイズ低減」は、「ON」と「OFF」のどちらかに設定します。「ON」にすると、撮影後処理に時間がかかる場合があります。こちらの工場出荷時の初期設定は「ON」となっています。 今回のテスト結果では、X-Trans CMOSセンサーを搭載しているX-M1と比べると、わずかながらノイズによる解像感の低下が増している印象を受けましたが、APS-Cサイズのイメージセンサーとしては良好であると思います。 ISO1600までは、X-M1と同様にノイズリダクションを「弱」にしたままでもほとんどノイズ感は感じられませんでした。ISO3200になると、暗部を中心にわずかにノイズが目立ち始めますが、ISO6400までなら目立ちませんので、等倍画像でも十分活用できるレベルであると思います。 ISO12800以上になると、急激にノイズが増え解像感の低下も認められるのもX-M1と同様です。とはいえ画像自体は破たんしないため、縮小するなど使い方によっては活用可能です。 ノイズリダクションを「スタンダード」にすると、さらに1段程度、ノイズ感が軽減されます。これは被写体にもよりますが、X-M1と比較するとわずかながら強めにノイズリダクションがかかっている印象を受けました。基本は初期設定のまま活用することをお勧めします。 ノイズリダクションを「強」にすると、ノイズは明らかに低減するものの、やはり解像感も低下します。X-A1ではISO6400を超えるとJPEGのみとなってしまいますので、使い方を十分検討する必要があると感じました。 下記のサンプルは、高感度ノイズリダクションを弱、スタンダード、強の3段階で各ISO感度の撮影を行ったものです。表示画像は等倍のものですので、これでもある程度傾向はわかると思いますが、クリックすると元画像も表示されますので、あわせてご参照ください。
ISO100(左から「しない」「標準」「強め」) 描写力チェック2:解像度富士フイルム X-A1のイメージセンサーは、有効1630万画素のCMOSセンサーです。画素数はX-M1やX-E2と同じですが、今までの機種は富士フイルム独自のX-Trans CMOSセンサーが採用されていましたが、X-A1では一般的なCMOSセンサーであり、ローパスフィルターも付けられています。今回テストしたXC16-50mmF3.5-5.6の結果は、富士フイルムのレンズの中ではコストパフォーマンスを重視したものですが、他社のキットレンズと比べると優れた描写性能を発揮しています。絞り開放ではわずかに柔らかい表現ですが、1段絞ると、周辺部を含めかなり鮮明度が向上します。下記のサンプルでは、広角端で絞り開放から1段絞ったF5.0のものを掲載しました。なお、視覚解像度チェック用ライン、限界解像度チェック用ラインとも、絞り開放でも2500本ラインの視認が可能です。 なお、X-M1でも同じXC16-50mmでテストを行っていますが、X-A1ではローパスフィルターがあるためか、鮮明度の点ではわずかながら一歩譲るように感じました。なお、テストに用いたレンズは異なるため個体差の可能性もありますが、あわせて比較していただければと思います。
限界解像度チェック用のラインでは、2500本まで視認できています。モアレもほとんど発生していません。
横方向の限界解像度チェック用のラインでも、同様に2500本域まで視認できています。
参考まで、左上の画像です。わずかながら収差が残っていますが、キットレンズの広角端としては良好に補正されています。
機能チェック(おまけ):連続撮影枚数富士フイルムによると、X-A1の連写性能は次の通りです。
実際の連写テストで使用したメモリーカードは高速タイプのものです。 (SanDisk ExtremePro Class10 Read 95MB/s Write 90MB/s)
X-A1はローエンドのミラーレスカメラとしては高い連写性能を持っています。一番データ容量が大きいRAW+JPEGでも5.7コマ/秒のペースで12コマの連写ができ、その後も1.8コマ/秒のペースで撮影可能です。JPEGであれば、ほぼバッファー容量を意識せずに連写を楽しむことができます。 基本的な連写性能はX-M1とほぼ同等でしたが、X-M1ではバッファー容量がフルになった時にもたつきを感じることがありましたが、X-A1ではそうしたこともありませんでした。 Sponsored Links 4.結局、X-A1は「買い」か?独断 素晴らしい! ![]()
独断 もう一息! ![]()
Sponsored Links 付録.製品仕様からみた X-A1の特長
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