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特集 富士フイルム X-E2
富士フイルム X-E2 ~描写力と機能を強化した中核ミラーレス |
富士フイルム X-E2
by Inaba Kunio
描写力と機能を強化した富士フイルムの中核ミラーレス 評価:5.0
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1.富士フイルム X-E2の位置づけと概要描写力と機能を強化した富士フイルムの中核機富士フイルムが初代XシリーズとなるX100が登場したのは2011年3月。高級コンパクトからネオ一眼、ミラーレスカメラへと着々とラインアップが強化されてきました。ミラーレスカメラについてみると、2012年2月のX-Pro1を皮切りに、X-E2は4機種目のカメラとなります。Xシリーズミラーレスとしては初の世代交代機であることからも、X-E2が富士フイルムの中核機であることが伺えます。
→発売前の記事「【一口コラム】最新技術で描写力と機能を強化」。 前機種となるX-E1。基本的なデザインやサイズは踏襲しています。
X-E2の特徴は、次のとおりです。
X-E2の魅力は?富士フイルムのミラーレスカメラの特徴は、描写性能とカメラとしての質感を重視している点にあります。徐々にレンズのラインアップも強化されていますが、いずれのレンズも高い実力を持っていますし、いわゆるキットレンズ的な位置づけの商品もチープさを感じることはありません。そうした富士フイルムXシリーズにおいて、バランスよく仕上げられているのがEシリーズとなります。X-E1と比べると少々価格帯は高くなっていますが、他社のレンズ交換式カメラと同じ土俵に立つことができるカメラであると思います。 実際にレビューをするにあたって、細かい点で気になる部分はあるものの、少なくとも購入意欲に影響を与えるほどではありません。この2年弱の年月の中で、他社を十分キャッチアップしているだけでなく、富士フイルム独自の付加価値をつけられている点は、長らく写真にかかわってきたからこそ可能になったのだと思います。 シャッタースピードダイヤルや露出補正ダイヤルなど、一見X-E1と同じように見えますが、X-E2ではしっかりと改良が施されています。 それでは、富士フイルムの新型フラグシップ機、X-E2の実力をテストしてみたいと思います。
2.富士フイルム X-E2を開封し外観をチェック富士フイルム X-E2を開封する富士フイルムの中核ミラーレス、X-E2が発売開始となりました。2012年11月にリリースされたX-E1(製品レビュー)登場時に「真打登場のつもり」とメーカーが発言されたように、富士フイルムのミラーレスカメラにおける新たな中核機の位置づけになると思います。販売形態はボディ単体の他に、フジノンレンズ XF18-55mmF2.8-4 R LM OISがセットになったレンズキットが用意されています。ボディカラーも、X-E1と同様にシルバーとブラックの2色があります。ボディ単体が9万円台前半、18-55mmレンズキットは13万円台前半でのスタートでしたので、X-E1と比較すると機能強化された分、やや高めとなっていますが、発売開始時点のキャンペーンとして1万円。
X-E2のパッケージ。Xシリーズ共通のブラックを基調としたカラーリングで、ボディとレンズの写真が印刷されています。X-E1ではレンズを装着した状態の写真でしたが、X-E2では取り外してあります。箱に「MADE
IN JAPAN」と印字されているのも同じです。
蓋を開けると、紙製のトレーの上に使用説明書や保証書等が乗せられています。保証書はボディとレンズの各々に1枚づつ付属していました。
トレーの下には、ボディ本体とフジノンレンズ XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS、専用フードが入っています。写真の右側がX-E2本体で、ボディキャップが装着されています。
ボディ等が入っているトレーの下には、付属品が入ったケースが置かれています。レンズの方が深みがあるため、左側のケースの高さが低くなっていますが、箱自体は一体です。
X-E2に同梱されている付属品関係。左上より、使用説明書、ソフトウェア、バッテリーチャージャーBC-W126、充電式バッテリーNP-W126、ストラップリングカバー、ストラップリング、ストラップリング取り付け補助具、バッテリーチャージャー用ACケーブル、ショルダーストラップ。 富士フイルム X-E2の本体をチェック
X-E2のボディ前面。背面側以外はマグネシウム合金製です。デザインはX-E2にロゴが変わった以外は、X-E1と同じです。
X-E1のボディ前面。グリップ部の形状もX-E2と同じです。
ボディ液晶モニター側。インターフェースもX-E1と共通していますが、Q(クイックメニュー)ボタンなど割り振りが変わっているボタンもあります。液晶モニターは、2.8型46万ドットから3型104万ドットに大型化・高精細化されました。アスペクト比も4:3から、イメージセンサーと同じ3:2に変わりましたので、最大サイズの静止画を表示させたときの画像サイズは一回り大きくなっています。
X-E1のボディ背面。液晶モニターのサイズは2.8型で、アスペクト比4:3、46万ドットのパネルとなっています。
ボディ上面。シャッタースピードダイヤルと露出補正ダイヤルが置かれているのが特徴的です。シャッタースピードダイヤルは、X100Sと同様に「A」と「1/4000秒」の間のスペースが拡げられています。露出補正ダイヤルは、X-E1では±2EVの補正幅でしたが、X-E2では±3EVに拡張されました。
X-E1のボディ上面。基本的なデザインはX-E2と同じです。
ボディ底面。三脚用の穴はボディ光軸からシフトされています。ボディ底面の材質は、中央部に見える境界線の上側はマグネシウム合金ですが、下側はボディ背面と同様に樹脂製となっています。
X-E1のボディ底面。型番表示シールの向きがX-E2とは異なっていますが、それ以外はほぼ共通です。
X-E2のボディ左側面。X-E1と同様に、こちら側には外部接続端子が設けられています。
X-E2のボディ右側面。グリップ部の張り出しが特徴的です。このあたりもX-E1と同様です。
X-E2のマウント部。イメージセンサーはX-E1と同じ有効1630万画素ですが、X-Trans CMOS IIセンサーに進化しています。レンズ絞り込み時の回析ボケやレンズ周辺部のわずかなボケを補正する「点像復元処理」に対応するとともに、像面位相差素子を埋め込むことでインテリジェント・ハイブリッドAFとなっています。これは、画像処理エンジンがEXR
Processor IIに変わったことで、処理スピードが2倍に高速化されたことことで実現されました。
向かって右側には機種名のX-E2が刻印されています。ボディ表面の処理を含め、高級感を感じます。なお、右側に見える耳はストラップ取付部です。ここに付属の三角環とカバーを装着します。三角環方式ではストラップの可動範囲が拡がるため、ボディの取り回し自由度が高くなります。
右下にあるフォーカスモード切換レバー。S(シングル・オートフォーカス)、C(コンティニュアス・オートフォーカス)、M(マニュアルフォーカス)の切換を行います。
レンズ着脱ボタン。このボタンを押すと、マウント上にある右上のピンが下がり、レンズの取り外しが可能となります。基部が太いレンズとの干渉を避けるためか、ボタンの高さが変えられています。このあたりもX-E1やX-Pro1と同じです。
右手部分に装着されているグリップ部。ホールディングの向上に役立っています。取り外しはできません。グリップの右上に見えるランプは、AF補助光とセルフタイマーランプを兼ねています。
軍艦部右上にあるメインコントロール部。基本的な構造はX-E1と同じですが、シャッタースピードダイヤルの「A」と「1/4000秒」の間が拡げられるとともに、露出補正ダイヤルが±2EVから±3EVに拡張されました。また、新たにWi-Fiを搭載したことによりFnボタンにWi-Fiボタンの機能がつけられています。再生モードでこのボタンを押すことにより、スマートフォンやパソコンとの連携が可能となります。
シャッターボタンにはケーブルレリーズ用の溝が切られています。最近の他社製品ではあまり見られなくなりました。
アクセサリーシューの前にある2つの穴はステレオマイクです。手前側には、ストロボポップアップボタンとQ(クイックメニュー)ボタンが置かれています。ストロボポップアップボタンは機械式のため、電源が入っていない状態でも稼働します。Qボタンは設定項目を液晶モニターに表示させ、選択した項目の値をコマンドダイヤルで変更するものです。
ボディ上面左側にはFUJIFILMとFUJINONレンズのロゴが刻印されています。その右にあるマークは、イメージセンサーの位置を示す指標で、焦点距離を測るときの基準面となります。
グリップ部右側のコントロール部。ボタンの配置自体はX-E1と同じですが、機能の割り振りは一部変わっています。X-E1同様、MADE IN JAPANが明記されています。
操作で活躍するコマンドダイヤルは、回転だけでなく押すことも可能です。コマンドダイヤルの下に見えるのはスピーカーとなります。ダイヤルの右側にあるインジケーターランプは、カードへのアクセスランプとしてだけでなく、ピント合焦やフラッシュ充電中などの状態も表示します。
ファインダー接眼部。X-E1と同じ236万ドット0.5型有機ELパネルが内蔵されています。他社製品を含め、トップレベルの見え方だと思います。接眼部の右側にはアイセンサーが設けられています。
接眼部の左側には、視度調整ダイヤルが設置されています。
内蔵ストロボをポップアップさせた状態。ボディよりも前に出るため、レンズによるケラレの影響を緩和します。
ストロボ照射部の基部は指で押さえることで上向きにすることも可能です。
ストロボポップアップ部の基部。ポップアップボタンを押すと、左上に見える爪が動き、照射部の留金を開放し、ポップアップします。
ボディ左側にあるが部接続端子カバーを開いたところです。端子は上から、マイク/リモートレリーズ端子、HDMIミニ端子、マイクロUSB端子となります。
バッテリー室カバーを開いた状態。バッテリーとメモリーカードの挿入方向が表示されています。
バッテリーとメモリーカードを挿入しつつある状態。バッテリーにオレンジ色の指標が付いたため、挿入方向がわかりやすくなりました。メモリーカードはラベル面が前側となります。
ボディ両サイドに取り付けられているストラップ取付け部。ここに付属のストラップリングとストラップリングカバーを装着します。
液晶モニターに画像を表示させた状態。パネルが大型化高精細化されるとともに、アスペクト比がイメージセンサーと同じ3:2となったため、画面いっぱいにイメージが表示可能となりました。
同じ状態を電子ビューファインダーに表示させた状態。電子ビューファインダーはアスペクト比が4:3のため、画面下部に情報が表示されます。表示される情報自体は基本的に液晶モニターと同じです。 富士フイルム X-E2の付属品をチェック
付属するバッテリーチャージャーBC-W126はX-E1と同じです。NP-W126の充電には、最大で約150分かかります。
充電には、付属するACケーブルを用います。写真は、チャージャー側のケーブル接続部です。
付属するACケーブル。出荷先の電源環境に対応したケーブルが同梱されます。
付属するバッテリーパックNP-W126。容量は7.2V 1200mAhで、静止画で約350枚の撮影が可能です。
バッテリーパックには、新たにオレンジ色の指標が印刷されています。バッテリー挿入部にあるバッテリー取り外しつまみと同じ色のため、挿入方向が分かりやすくなりました。
付属するショルダーストラップ。ロゴは印字ですが、しっかりとしたつくりとなっています。
ストラップリングがボディにすれないよう、ストラップリングカバーも付属します。ストラップを取り付けるときには、黒い面がカメラ側になるようにはめ込みます。
ストラップリングカバーの裏側。ストラップリング側となります。
付属するストラップリング。同梱されている取り付け補助具を使って、カメラ側面両側のストラップ取付部に装着します。
ストラップ取付金具をボディに装着するための取付具が付属します。最初からボディに装着されている方が手間がかかりませんが、ケースによってはケース側にストラップが付属しているものもありますので、こうなっているのかもしれません。
ボディマウント部に装着されているボディキャップ。
ボディキャップの裏面には爪がつけられており、マウント部のバヨネットを活用して固定する構造となっています。 Sponsored Links 3.富士フイルム X-E2の描写性能はどうか?描写力チェック1:高感度性能富士フイルム X-E2の基本感度はISO200で、標準ではISO6400まで設定可能となっています。さらに拡張設定では、低感度側がISO100まで、高感度側はISO25600まで拡げることができます。ただし、拡張設定の場合にはJPEGでの撮影となります。このあたりについてはX-E1と同じです。ノイズ低減処理方法としては、カメラ内で設定する方法と、RAWで撮影しパソコン上での現像段階で行う方法とがあります。なお、カメラ内で設定した場合でも、RAWファイルには変更は加えられませんので、後から編集することも可能です。 カメラ内でのノイズ低減は、「ノイズリダクション」と「長秒時ノイズ低減」の2つがあります。どちらも、撮影メニューの中で設定可能となっています。 「ノイズリダクション」は高感度設定時に発生するノイズを低減するもので、「弱(-2)」、「やや弱(-1)」、「スタンダード(0)」、「やや強(+1)」、「強(+2)」の5種類が設定可能となっています。工場出荷時の初期設定は「スタンダード」です。 「長秒時ノイズ低減」は、「ON」と「OFF」のどちらかに設定します。「ON」にすると、撮影後処理に時間がかかる場合があります。こちらの工場出荷時の初期設定は「ON」となっています。 このあたりの設定も、基本的にX-E1と同じです。 今回のテスト結果は、APS-Cサイズのイメージセンサーとしては良好な高感度性能であることを感じました。X-E1と比べると特にISO6400以上の高感度域でのノイズ感が軽減されています。 ISO1600までは、ノイズリダクションを「弱」にしたままでもほとんどノイズ感は感じられないため、常用とすることも可能です。ISO3200になると、暗部を中心にわずかにノイズが目立ち始めますが、ISO6400までならそれほど目立ちませんので、活用できるノイズレベルであると思います。 ISO12800になると、ややノイズが増えますが、X-E1と比べてもノイズ感は抑えられており、等倍画像であっても活用できるレベルだと感じました。 ISO25600では、さずがにノイズがぐっと増える感じですが、それでも画像自体が破たんしているわけではないので、活用方法を工夫すれば使えると思います。 ノイズリダクションを「スタンダード」にすると、さらに1段程度、ノイズ感が軽減されますので、基本は初期設定のまま活用することをお勧めします。 ノイズリダクションを「強」にすると、ノイズはさらに低減するものの、やはり解像感も悪化します。このあたりについては、使い方を十分検討する必要があると感じました。 下記のサンプルは、高感度ノイズリダクションを弱、スタンダード、強の3段階で各ISO感度の撮影を行ったものです。表示画像はほぼ等倍のものですが、クリックすると元の全体画像も表示されますので、あわせて参照していただければと思います。
ISO100(左から「しない」「標準」「強め」) 描写力チェック2:解像度FUJIFILM X-E2のイメージセンサーはX-E2と同じ有効1630万画素ですが、X-Trans CMOSからX-Trans CMOS IIに進化しています。今回テストに使用したFUJINON XF18-55mmF2.8-4 R LM OISは、比較的明るいズームレンズであり、とくに画像中心部では絞り開放から素晴らしい解像力を示しました。画像周辺部については、広角端ではやや柔らかい描写ですが、絞っていくにつれて徐々に鮮明度があがっていきました。概ね3段程度絞ると、周辺部も含め鮮明な画像となります。 画像種変部は、望遠側に移るにつれ、徐々に鮮明度が上がりますので、標準域よりも望遠側であれば、絞り開放でもしっかりとした画像となります。 今回のテストでは、広角端で開放から2段絞ったF5.6のもので確認を行いました。視覚解像度チェック用ライン、限界解像度チェック用ラインとも、余裕をもって2500本ラインの識別が可能であり、イメージセンサーの画素数を活か実力を持ったレンズであると思います。
限界解像度チェック用のラインでは、2500本まで楽々と視認できています。モアレもほとんど発生していません。
横方向の限界解像度チェック用のラインでも、同様に2500本域まで余裕をもって視認できています。
参考として、左上の切り出し画像です。画像周辺部の鮮明度も十分です。
描写力チェック3:点像復元処理機能X-E2にはレンズ補正機能として、点像復元処理機能があります。これはレンズごとの焦点距離、絞り値、画面中心から周辺までのデータに基づき、絞り込み時の回折ボケやレンズ周辺部のわずかなボケを補正するものです。テストは、広角端で絞りF16(開放絞りF2.8から5段絞った状態)で行いました。 下記の画像は中心部のものですが、点像復元処理をONにすると、解像感が向上していることがわかります。クリックすると元画像が開きますので、あわせてご参照ください。
XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS(18mm) 機能チェック(おまけ):連続撮影枚数富士フイルムによると、X-E2の連写性能は次の通りです。
使用したメモリーカードは高速タイプのものです。 (SanDisk ExtremePro Class10 Read 95MB/s Write 90MB/s)
X-E2は、ミラーレスカメラの中核機として、十分な連写性能を持っていることを実感しました。一番データ量が大きくなるRAW+JPEG(ラージ・ファイン)とRAWでは8コマまでの連写ができ、最終的にはRAW+JPEGで1.5コマ/秒のペースでカード容量一杯までの撮影が可能でした。また、JPEGであれば、5コマ/秒のペースでカード容量一杯までの撮影ができます。これだけの連写能力があれば、概ね多くのシーンに対応できると思います。 なお、バッファーが一杯になった時に、もたつく感じはしませんでした。 Sponsored Links 4.結局、X-E2は「買い」か?独断 素晴らしい! ポイント
独断 もう一息! ポイント
Sponsored Links 付録.製品仕様からみた X-E2の特長
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