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特集 X-Pro1
富士フイルム X-Pro1 ~抜きん出たファインダー性能 |
富士フイルム X-Pro1
by Inaba Kunio
Xシリーズ初のレンズ交換式デジカメ~抜きん出たファインダー性能
評価:5.0
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1.富士フイルム X-Pro1の位置づけと概要レンズ交換式カメラへの再参入2月に開催されたCP+2012では、今までにない新しい切り口で開発された新製品が多く登場した。既存のマウントのままミラーボックスを取り除いたPENTAXのK-01や、マイクロフォーサーズよりも一回り大きなイメージセンサーを搭載したPowerShot G1X、36メガピクセルもの画素数となったニコンのフルサイズ機D800、オリンパス初の電子ビューファインダー内蔵型ミラーレスカメラOM-D E-M5、そしてもちろん富士フイルムのX-Pro1もその一つである。富士フイルムには、ニコンのFマウントを採用したデジタル一眼レフ、FinePix Sシリーズがあった。富士フイルム独自のハニカムセンサーを搭載したカメラということで根強いファンもあり、2000年のS1から2007年のS5まで計4モデルがリリースされた。最後のS5が登場してから5年、新たにXマウントを搭載した新シリーズ初代機がX-Pro1である。 X-Pro1は、単に富士フイルムのレンズ交換式カメラというだけでなく、「Xシリーズ」というブランドの一翼を担っている。XシリーズはX100、X10、X-S1とそれぞれ異なるジャンルの製品として展開されてきたが、レンズ交換式カメラの分野での品揃えがX-Pro1となるわけである。 X-Pro1の特長については、1月発表時点で記載した記事「富士フイルムX-Pro1」でも整理した通り、いくつかの注目すべきポイントがある。 特長1:ハイブリッドマルチビューファインダーまず第一に、光学ファインダーと電子ビューファインダーを組み合わせたハイブリッドビューファインダーを採用した点である。この方式はX100で採用されたもので、基本的な構造はこれを踏襲している。ただし、X-Pro1はレンズ交換が可能であるため、装着するレンズにより光学ファインダーの拡大率が0.6倍と0.37倍とで自動的に切り換わる。これに伴い名称にも「マルチ」が付いて「ハイブリッドマルチビューファインダー」となっている。現在用意されているレンズでは、18mmレンズで0.37倍、35mmおよび60mmでは0.6倍となる。レンズの画角に合わせて、より大きい光学像を見ながら撮影できる点は、一眼レフタイプでないカメラのマイナス面をカバーしてくれるものである。 特長2:光学ローパスフィルターは非搭載従来の一般的なイメージセンサーでは、モアレの発生を抑えるためにローパスフィルターの設置が不可欠であった。X-Pro1では、カラーフィルターの単位を、今までの2x2から6x6に変えることにより周期性が現れにくくすることで、ローパスフィルターなしでもモアレの発生がしにくくなっている。その分、画像処理エンジンにかかる負荷は増すものの、処理チップの能力が向上しているため、対応が可能となった。どの程度実効性があるのかは、後ほど実写画像で確認したいが、このことで解像感の向上が期待できる。 ![]() 従来型カラーフィルターは、2X2の画素を単位とした周期 的な配列のため、縞模様などでモアレが発生しやすい。 ![]() X-pro1のカラーフィルターは、6X6の画素を単位としているため非周 期性が高く、モアレの発生が軽減される。また、縦横方向に必ずRGB のすべての画素が存在するため、偽色の発生も抑えることが可能。 特長3:画質を重視したレンズ設計Xマウントのレンズとしては、発売時点で単焦点レンズ3本が登場した。富士フイルムのロードマップによれば、来年までに単焦点レンズ3本と、開放F値4.0の通しズーム3本がリリースされる予定である。発表された仕様からも、価格や利便性ではなく、画質を重視した設計となっていることがわかる。また、金属製の鏡胴や1/3ステップの絞りリング、金属製フードの標準添付など、外装にも目配りがされている。「レンズ交換式X100」としてのX-Pro1X100登場から約1年が経過した。当初予想していた以上のハイペースで、Xシリーズは充実してきた。今回登場したX-Pro1とX100を比較すると、同じシリーズということもあり、極めて類似したコンセプトであることがわかる。どちらかといえば、X100をレンズ交換式に変えるために、最低限手直しをしなければならない部分に手を入れたのがX-Pro1と言えるかもしれない。とはいえ、デジカメの進化が激しい現在、1年の差は決して小さくはない。とくに動画関係でいえば、フルHDの撮影がまがりなりにも可能となった点は、やはり評価すべきだろう。また、画素数の増加や液晶モニターの高精細化など、要素技術の向上もきちんと取り込まれている。 【X-Pro1とX100の比較】
今後のXシリーズの進化方向は発表されていないが、おそらくレンズ交換式カメラであるX-Pro1がシリーズハイエンドモデルとなるだろう。 それでは早速、富士フイルムが満を期して再投入したレンズ交換式デジタルカメラ「X-Pro1」の実力をチェックしたい。 ![]()
2.富士フイルム X-Pro1を開封し外観をチェック富士フイルム FUJIFILM X-Pro1を開封するX-Pro1は、ブラックモデルのみとなる。外観的にはX100のブラックモデルやX100と似ているため、カメラに詳しい方でも横に並べてみないと違いに気が付かないかもしれない。その意味ではXシリーズとして共通するデザインが定着し始めていると言えるだろう。外観が似ているとはいえ、レンズを装着したX-Pro1を手に取ると、X10やX100では感じられないずっしりとした手ごたえがある。
Xシリーズならではの黒を基調とした外箱。レンズ交換式カメラのため、比較的大きめのパッケージである。パッケージングにもコストがかけられており、製品のクラスを感じさせる。
ケースを開けると、2段に重ねられた中箱が姿を現す。上の箱には、マニュアルやバッテリー関係などの付属品が入っている。ボディは下のケースに入れられている。
ボディの入っている下のケースを開けたところ。この中には、ビニールに包まれたボディのみが入っている。
同梱されている付属品。左上から、取扱説明書、CD-ROM、バッテリーチャージャーBC-W126、バッテリーパックNP-W126、USBケーブル、ショルダーストラップ、ストラップリング関係。 バッテリー関係をチェック
バッテリーチャージャーBC-W126。充電には約150分必要。
コンセントに接続するためには、同梱されているメガネケーブルが必要。
同梱されているメガネケーブル。取り回しの自由度はあるが、可搬性を考えると、できればウォールマウントアダプタも同梱されていることが望ましいだろう。
バッテリーパックNP-W126。容量は1200mAhで、静止画で最大300枚の撮影が可能となっている。X-Pro1の他にHS30EXRでも採用されている。
バッテリーパックにはかなり厚みがある。 富士フイルム X-Pro1の付属品をチェック
付属するショルダーストラップ。本革製のしっかりしたもの。
付属するUSBケーブル。パソコンとの接続に利用する。
ストラップ取付用のリング。本体との接続部分が自由に動くため、ストラップの取り回しがしやすくなる。
ストラップリングがボディを傷つけないように、リングのカバーも付属する。
ストラップリング装着用の補助具。手でも十分装着は可能だが、補助具を利用することで、より容易に着けることができる。装着は比較的容易とはいえ、本来であれば最初からボディに着けておいた方がユーザーにやさしいだろう。
ボディキャップ。一般的なバヨネット式のものとなっている。
ボディキャップの背面。 富士フイルム X-Pro1の本体をチェック
ボディ前面。こうして見るとサイズが大きく見えるが、実際に撮影する時にはちょうど良い大きさに感じられる。ボディ素材はマグネシウムダイキャストで、吹き付け塗装の後に高温乾燥してある。イメージセンサーは自社設計し、国内協力会社で製造されている。
X-Pro1の特長の一つであるファインダー部。OVF時にも明るくクリアーな視界が得られる。その右側に見えるのが、ストラップ取付用の釣具部分。
フォーカスモード切換レバー。X100に搭載されているものと同じである。
マウント開口部。電気端子は10ピン。イメージセンサーのサイズと比べるとマウント径が小さいのは、フランジバックが短いことのメリットの一つである。口径は公表されていないが、実測で約40mm(バヨネット爪内径)。APS-Cサイズセンサー搭載機としては、おそらく最小だろう。なお、フランジバックは17.7mm。
ランプはAF補助光とセルフタイマーを兼ねる。ランプの左右にあるのはステレオマイク。その左下にあるレバーは、光学ファインダーと電子ビューファインダーを切り換えるためのもの。
ボディ液晶面側。基本的なレイアウトは、X10やX100のものを踏襲している。
Qが印字されたボタンを押すとクイックメニューが表示され、コマンドダイヤルを使って設定値の変更が可能である。液晶の上にあるVIEW MODEボタンで、液晶モニターとファインダーの切換方式を変更できる。
液晶面左側にもボタンが配置されているのは、X10やX100と同様。ただし再生ボタンは、一般的なデジカメのように液晶右側に移設されている。
ファインダー部。レンズ交換式デジタルカメラとしてはやや高価であるが、このファインダーをのぞくと、価格差に納得できるだろう。ファインダーの右にあるのがアイセンサー。切換はスムーズに行われる。
ボディ右側面には外部接続端子がレイアウトされている。
外部端子カバーの内側。上がHDMI端子で下がUSB / AV端子。
ストラップ用の釣具。この金具はボディ本体と直接繋がっている。
ボディ左側。右下にあるのはシンクロターミナル。その上にある黒い部分はスピーカー。
シンクロターミナルカバーをはずした状態。
ボディ底面。底面までしっかりと金属外装でカバーされている。マウント径の関係か、三脚穴がレンズ光軸からシフトされているのは少々残念である。
ボディ上面。このアングルからは、デジタルカメラであることを感じさせない。唯一、フィルム指標がボディ厚中央にある点が、デジカメであることを示している。
軍艦部右側。シャッターボタンの同軸に電源スイッチが配置されている。シャッターボタンにはレリーズケーブル用の溝が切られている。
バッテリーカバーを開けたところ。バッテリーとメモリーカードの挿入ガイダンスも表示されている。
バッテリーとメモリーカードを挿入しつつある状態。
3型123ドットの液晶画面で、外でも見やすい。液晶画面には電子水準器も表示できる。チルトできればさらに良いと思う。
18mmレンズとフードを装着した状態。レンズをつけると精悍な趣となる。 Sponsored Links 3.富士フイルム X-Pro1の描写性能はどうか?描写力チェック1:高感度性能X-Pro1の基本感度はISO200で、ISO6400まで設定可能となっている。拡張設定では、さらにISO100及びISO12800からISO25600までの設定が可能であるが、JPEGのみでの撮影となる。ノイズ低減処理のやり方としては、カメラ内での設定と、RAWで撮影しパソコン上での現像段階で行う方法がある。カメラ内でのノイズ低減は、撮影メニューの中にある「高感度ノイズリダクション」で、「弱」「やや弱」「スタンダード」「やや強」「強」の中から選択する。標準では「スタンダード」に設定されている。 カメラのノイズリダクション設定には、「長秒時ノイズリダクション」の項目があり、これを「ON」にすると、長秒時撮影時にノイズ軽減処理が実行される。 今回、X100よりも有効画素数が増えているため、高画素化による高感度性能の低下を危惧したが、結果は良好であった。ISO1600までは、ノイズリダクションを「弱」にしたままでもほとんどノイズ感は感じられないため、常用とすることが可能だろう。ISO3200になると、暗部を中心にノイズが目立ち始めるが、それでも、ISO6400までなら十分活用できるノイズレベルに抑えられている。ISO12800以上は、急激にノイズが増えるが、画像自体は破たんしないため、使い方によっては活用可能だろう。ノイズリダクションを「強」にすると、ノイズは明らかに低減するものの、やはり解像感も悪化する。もともとのノイズの出方が素直なだけに、使い方によってしっかりと設定を選ぶことをお勧めする。 下記のサンプルは、高感度ノイズリダクションを弱、スタンダード、強の3段階で各ISO感度の撮影を行ったものである。表示画像は等倍のものなので、これでもある程度傾向はわかるが、クリックすると元画像も表示されるので、あわせて参照してほしい。
ISO100(左から「弱」「スタンダード」「強」) 描写力チェック2:解像度X-Pro1のイメージセンサーは有効1630万画素である。今回テストしたXF18mmレンズの結果は、基本的に絞り開放から優れた解像力を示した。このレンズは、1段絞ると、周辺部を含めさらに解像力が向上したため、開放絞りF2から1段絞ったF2.8のもので確認を行った。視覚解像度チェック用ライン、限界解像度チェック用ラインとも、楽々と2500本ラインを超えており、素晴らしい解像力といえるだろう。なお、X-Pro1はローパスフィルターを搭載していないため、モアレの発生が気になったが、実際には他のデジカメと比べモアレが発生しやすいという印象は受けなかった。
Sponsored Links 4.結局、富士フイルム X-Pro1は「買い」か?独断 素晴らしい!![]()
独断 もう一息! ![]()
付録1.製品仕様からみた X-Pro1の特長
Sponsored Links 付録2.発売前のファーストレビュー【一口コラム】 Xシリーズのレンズ交換式デジカメ昨年発表されていたレンズ交換式デジカメが、いよいよ姿を現した。形状的には間違いなく「ミラーレスカメラ」であるものの、ハイブリッドビューファインダーを搭載したX-Pro1を「ミラーレス」のカテゴリーに分けることには若干の戸惑いも感じる。どちらかといえば、「レンズ交換式のX100」という方が、より正しい捉え方かもしれない。私が感じるX-Pro1の主な特徴は次の点である。
X-Pro1を手にしたら、まず確認したいのがハイブリッドマルチビューファインダーの見え方であり、次にローパスレスの画像品質である。単焦点レンズのみが用意されていることから、描写力に対するメーカーの思いが伝わってくる。同時に登場したキヤノンPowerShot G1Xともども、新しいジャンルを切り開く可能性を持ったデジカメかもしれない。 (1月11日記載) レンズラインアップ(予定)
レンズラインアップ(2012年6月26日発表)
【X-Pro1 と FinePix X100の比較】
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独断 デジカメ対決! ![]() ☆ vs 富士フイルム FinePix X100 |
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【基本仕様】
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