【一口コラム】 中望遠のFoveon機
シグマから、DPシリーズの3機種目、DP3 Merrillが発表されました。35mm換算で75mmの画角をカバーする中望遠単焦点レンズ搭載機種は、2008年にDPシリーズが誕生して以来、初めてとなります。
DP Merrillシリーズは、レンズを除くボディ部分はすべて共通の筐体となっています。機能面では、新たに「顔優先AFモード」と「モノクロームモード」を搭載していますが、このあたりは今後のファームウェアアップデートで、他のDP
Merrillシリーズでも対応する可能性があります。
DP3 Merrillの中望遠レンズは、ポートレートなどに適しているだけでなく、近接撮影も推奨されています。DP1では1:8.4、DP2でも1:7.6の倍率までしか撮影できませんでしたが、DP3では一気に1:3まで可能となっています。「マクロ用」というには、もう一息必要ですが、それでもここまで近接できれば、一般的な撮影範囲を十分カバーしています。
DP Merrillシリーズ3機種を比較すると、次のとおりとなります。
【DP Merrillシリーズの比較】
機種名 |
DP3 Merrill |
DP1 Merrill |
DP2 Merrill |
イメージセンサー |
有効1536万画素
APS-Cサイズ Foveon X3 |
有効1536万画素
APS-Cサイズ Foveon X3 |
有効1536万画素
APS-Cサイズ Foveon X3 |
レンズ |
50mm F2.8
(35mm換算:約75mm)
8群10枚 絞り7枚羽根 |
19mm F2.8
(35mm換算:約28mm)
8群9枚 絞り9枚羽根 |
30mm F2.8
(35mm換算:約45mm)
6群8枚 絞り9枚羽根 |
最短撮影距離 |
22.6cm(1:3) |
20cm(1:8.4) |
28cm(1:7.6) |
ISO感度 |
ISO100-6400 |
ISO100-6400 |
ISO100-6400 |
シャッタースピード |
30-1/2000秒 |
30-1/2000秒 |
30-1/2000秒 |
液晶モニター |
3型92万ドット |
3型92万ドット |
3型92万ドット |
連写速度 |
4コマ/秒(12bitRAWで7コマ) |
4コマ/秒(12bitRAWで7コマ) |
4コマ/秒(12bitRAWで7コマ) |
動画撮影 |
640 x 480(30fps) |
640 x 480(30fps) |
640 x 480(30fps) |
インターフェース |
USB/ビデオ/オーディオ出力 |
USB/ビデオ/オーディオ出力 |
USB/ビデオ/オーディオ出力 |
バッテリー |
BP-41
97枚 |
BP-41
97枚 |
BP-41
97枚 |
サイズ
(W x H x D) |
121.5×66.7×80.6mm |
121.5×66.7×64.3mm |
121.5×66.7×59.2mm |
重さ
(含カード、電池) |
- g/400g |
- g/360g |
- g/355g |
比較表をみると、この3機種は見事にレンズ部分だけが異なっていることがわかります。このことは、コスト削減にも大きく貢献しているものと推察されます。
DP3 Merrill(左側)とDP1 Merrill。正面には機種名が表示されていないため、レンズ部分で見分けることになります。
DP3 Merrill(左側)とDP1 Merrill。液晶モニター側は全く同じため、これだけでは機種を識別することはできません。液晶パネルも同じものが搭載されています。なお、コンパクトカメラとしては珍しくアスペクト比は3:2のパネルのため、液晶いっぱいの画像表示が可能です。
DP3 Merrill(左側)とDP1 Merrill。違いはレンズ部分だけであることがわかります。
DPシリーズ初の中望遠機、DP3 Merrill。中望遠の単焦点レンズを搭載したレンズ固定式デジタルカメラは、これが初めてです。正直、「よく企画会議を通過したな」という気もしますが、こうした「他社が取り組まないカメラ」に投資をする姿勢が、長期的に見ると極めて大切なのだと思います。
(2013年 1月 9日 記)
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