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特集 オリンパス OM-D E-M5
1.オリンパス OM-D E-M5の位置づけと概要 |
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オリンパス OM-D E-M5 by Inaba Kunio
小型軽量とハイスピード堅牢の両立 評価:5.0
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非「小型化最優先」マイクロフォーサーズ機懐古主義デジカメ?実用品のデザインは、なかなか簡単には変わらない。一度、あるデザインやインターフェースが定着すると、たとえそれよりも合理的・機能的であったとしても、新しいデザイン・インターフェースが主流となることは簡単ではない。よく引き合いに出されるキーボード配列は良い例だ。現在主流となっているQWERTY配列の成り立ちには諸説あるものの、それが入力効率の上でベストな配列であると見る人はまずいないだろう。しかし、ひとたび定着し、そして定着すればするほど、それを置き換えるために必要なコスト(習熟に必要な教育や時間などの社会的コストも含まれる)は積みあがっていく。その結果、19世紀に生まれたQWERTY配列のキーボードが21世紀の現在も圧倒的なシェアを占めているのである。 電話機と電卓のボタン配列が逆であることや自動車の運転方法など、同じような例は枚挙にいとまがない。そして、おそらくカメラのデザインやインターフェースも、そうしたものの一つなのかもしれない。たとえば、同じ「撮る」という機能を持つデジタルカメラとビデオカメラを比べてみても、少なくとも今まではビデオカメラの形をしたデジタルカメラは長期的なヒットはできなかったし、逆もまた同じである。 ![]() これはOM-DとOM-4を並べた写真である。1983年に登場したOM-4との間に約30年の歳月があるにもかかわらず、両者は同じテイストでデザインされていることがわかる。このことを「マーケティング主導の懐古主義」と指摘する声もあるが−−そしてそうした意図がまったくないと言うつもりもないが−−それは表層的な見方のように思える。 レンズ交換式カメラにおいて、フィルム一眼レフの形状はすでに確立したデザイン・インターフェースであり、それを尊重した結果がOM-Dである。そして、フィルム・オートフォーカス一眼レフで成功を収めたとは言えないオリンパスにとって、確立したデザインの一眼レフとはOM一桁シリーズに他ならないのである。 マイクロフォーサーズ領域の拡大オリンパスはフォーサーズ規格の提唱者の一人であり、名実ともに中軸を担ってきた。そのオリンパスにとって、マイクロフォーサーズ・カメラはレンズ交換式カメラ市場の一部であり、フォーサーズ・カメラと補完し合う関係となっている。言い換えれば、レンズ交換式カメラのうち、小型軽量分野を担当するのがマイクロフォーサーズ・カメラの役割であった。今回、OM-Dが登場したことにより、こうした役割分担が変わろうとしている。電子ファインダーを内蔵したカメラがマイクロフォーサーズ規格でリリースされたことにより、両規格の境界線が動かされたことになる。今後、フォーサーズのハイエンドカメラE-5の後継機は出る可能性はあるが、おそらくオリンパスのラインアップは限りなくマイクロフォーサーズに軸足を移していくことになろう。 OM-D E-5の特徴OM-Dの一番の特徴は、いうまでもなく電子ビューファインダー(EVF)を内蔵した点である。0.47型144万ドットのEVFはトップレベルの見え方を提供しているだけでなく、画面の表示方法を3タイプから選択することもできる。その意味では、かなりこだわりを持って作られたファインダーと言えるだろう。イメージセンサーが新型の1605万画素CMOSセンサーである点もポイントだ。オリンパスのレンズ交換式カメラの中では最大画素数であり、描写力チェックが楽しみである。なお、パナソニックのDMC-G3やDMC-GX1に搭載されている1600万画素センサーとは仕様が異なっており、集光効率を上げる工夫が施されている。 3番目にあげたい特徴は、連写性能である。ピントや露出は1枚目に固定されるものの、最高9コマ/秒という数値を実現しているだけでなく、連続撮影枚数もRAWで最大20コマとなっている。ちなみに、E-P3では3コマ/秒、連続11コマであるので、E-P3と比較しても格段に性能が向上している。
新世代マイクロフォーサーズ機OM-D E-M5は、PENシリーズに電子ビューファインダーを内蔵しただけのものではなく、イメージセンサーや5軸対応手振れ補正、オートフォーカスの高速化など、新世代のマイクロフォーサーズ機というべきカメラである。そしてまた、E-M5の「5」はOM-4の次のモデルであることも示している。約30年の時を経て、ミラーレスカメラの新たなページを切り拓く期待を込められて誕生したOM-D E-M5。それでは早速、実力をチェックしたい。 |