トップページ > デジカメ徹底レビュー > 特集 パナソニック LUMIX DMC-GF5 > 1.パナソニック LUMIX DMC-GF5の位置づけと概要 |
特集 パナソニック LUMIX DMC-GF5
1.パナソニック LUMIX DMC-GF5の位置づけと概要 |
![]() |
パナソニック LUMIX DMC-GF5
by Inaba Kunio
GF3を熟成させた入門用ミラーレスカメラ
評価:5.0
|
![]() |
入門用ミラーレスカメラDMC-GF3の実質的な後継機種であるDMC-GF5が4月26日に発売されました。GF3の登場は2011年10月でしたので、約半年で世代交代が行われたことになります。しばらくの間はGF3も併売されるとはいえ、GF5はやや早いタイミングで登場したという印象を受けます。過去のGFシリーズのリリース状況を見ますと、
理由1:ラインアップ上、エントリー性を強化昨年新たにGX1が登場したことで、GFシリーズが受け持つ範囲が変わりました。それまでは電子ビューファインダーを搭載していない小型分野はGFシリーズだけに課せられた役割でしたが、新たに登場したGX1が小型中級機のニーズに対応したために、GFシリーズのメインターゲットは「コンパクトカメラからステップアップするユーザー」へと、より明確化されました。今回、「クリエイティブコントロール」がGF3の6種類から一気に14種類に増やされるとともに、これまでの「シーンモード」が「シーンガイド」に進化したことは、まさにエントリーユーザー層のニーズを重視したためと言えるでしょう。 ![]() 23種類が用意されているシーンガイド機能 また、重くなった画像処理を支えるために、画像処理エンジンに搭載されているCPUの数も2個から3個に増やされており、処理速度が1.8倍へと高速化されています。レンズ交換式デジカメとしてはやや弱かった高感度ノイズレベルの改善も、コンパクトカメラとは一味違う描写力をアピールできるポイントとなります。 背面液晶が46万ドットから92万ドットへと高精細化された点も、カメラの液晶画面で写真を楽しむことが比較的多いステップアップ層の強いニーズにマッチした改良点かもしれません。 理由2:販売価格政策の転換?理由1で書きましたとおり、今後GFシリーズはコンパクトカメラからのステップアップ層を中心としたエントリーユーザーにフォーカスした製品となるものと思われます。つまり、今まで以上にコンパクトカメラと同じ土俵で評価され、選択される機会が増えてくることを意味します。コンパクトカメラにおいては、年2回程度のモデルチェンジは決して珍しくありません。この土俵で戦うためには、発売開始からモデルチェンジまでの半年間の価格推移を前提に、きちんとコストと利益を組み込む必要があります。今回、GF5はGF3の半年後に登場しましたが、これはGF5が「たまたま」早い時点で発売されたのではなく、GFシリーズの新しいタイムテーブルがGF5から始まったことを示しているように思われます。 おそらく年末には、新しいGFシリーズであるGF6(GF7という型番かもしれません)が登場することが推測されますし、半年単位でのリリースに耐えうる製品開発や製造、商品展開がされていくのだと思います。 DMC-GF5の特長〜GF3からの進化それでは、GF3の半年後に登場したGF5が、GF3からどのように進化したのか、そのポイントをチェックしたいと思います。大きな進化点は3点あります。
画像処理の強化まず第一に、画像処理の強化があげられます。GF5のイメージセンサーは、総画素数1306万画素、有効画素数1210万画素で、仕様上はGF3のセンサーと同一です。しかし、メーカーによればハードウェア的にも改良が加えられており、その意味では新世代センサーと言えるのかもしれません。イメージセンサー以上に大きく変わったのが画像処理エンジンです。上記にも記載しましたが、内蔵するCPUが増えたことにより、処理能力が1.8倍化された点は、カメラ全体のパフォーマンスの向上に役立っています。また、こうした処理能力の向上があったからこそ、高感度ノイズの低減やクリエイティブコントロールの強化が実現できたとも言えます。 ![]() イメージセンサーの仕様はGF3と同じ。 より高級感のあるデザインの採用GF5をGF3と並べてみると、意外とデザイン上の変化が大きいことに気が付きます。ボディ上面の曲線がなだらかになったことや、グリップ部の大型化、表面処理などの変化により、全体としてカメラとしてオーソドックスな、より高級感のあるデザインとなっています。GX1で好評だったデザインテイストをベースにGF3をデザインしなおしたのがGF5であると言えるかもしれません。液晶モニターの高精細化GF5への進化ということでは、液晶モニターが46万ドットから92万ドットへと高精細化された点も大きなポイントとなります。これに伴い、 タッチセンサーとしての使い勝手も向上しています。最近のコンパクトカメラでは高精細パネルを搭載するものも増えてきましたので、液晶画面でもきれいに再生できるということは、コンパクトカメラからのステップアップユーザーに対するわかりやすいアピールポイントです。![]() 高精細で見やすくなった液晶モニター なお、GF5では新たにDISPLAYボタンが新設されました。これにより、液晶画面に常時表示されていた画面アイコンを消すことが可能となりました。液晶モニター画面で画像を楽しむ時に、画像アイコンの表示は邪魔でしたので、実用上では意外と大きな進化点だと思います。 熟成したエントリーミラーレスDMC-GF5が発表されたとき、「このタイミングで、ほとんど変わり映えもしないような機種をあえて発表するのは、実売価格が下がりきったGF3対策か」といった見方が多かったかもしれません。もちろん、こうした意図がまったくなかったとは思いませんが、むしろラインアップを整理し、エントリークラスのミラーレスカメラの位置づけを明確にした結果がGF5の登場なのだと思います。コンパクトカメラからのステップアップユーザーをメインターゲットにし、コンパクトカメラとの違いを強くアピールし、そしてコンパクトカメラのモデルチェンジサイクルにも対抗できるカメラが、パナソニックが考える新GFシリーズの役割であり、その1号機がDMC-GF5ということではないでしょうか。 それでは実際に、熟成したエントリーミラーレス、DMC-GF5の実力をテストしてみます。 |