【一口コラム】世界初の防塵防滴50倍ズームのネオ一眼
富士フイルムからコンパクトデジカメ5機種が発表されました。ここで紹介するネオ一眼FinePixS1の他に、同じくネオ一眼のFinePixS9400W、高倍率ズーム機FinePixS8600、高機能機FinePixF1000EXR、アウトドアカメラFinePixXP70であり、あわせて2013年2月に登場したX100S(製品レビュー)のブラックモデルも1000台限定でリリースされました。
FinePixS1は富士フイルム・ネオ一眼の中では新しいシリーズになるものと思われます。富士フイルムは以前よりネオ一眼に力を入れてきた会社で、Xシリーズを含めると現行機種で4機種を展開しています。
- X-S1:2011年12月発売 2/3型1200万画素、24-624mm相当F2.8-5.6、0.47型92万ドット
- FinePixHS50EXR:2013年2月発売 1/2型1600万画素、24-1000mm相当F2.8-5.6、0.26型92万
- FinePixSL1000:2013年2月発売 1/2.3型1620万画素、24-1200mm相当F2.9-6.5、0.2型92万
- FinePixS8200:2013年1月発売 1/2.3型1620万画素、24-960mm相当F2.9-6.5、0.2型20万
FinePixS1は、1/2.3型CMOSセンサーに24-1200mm相当F2.8-5.6の光学50倍ズームレンズを搭載するとともに、各部シーリングによる防塵防滴性能が施されています。また、0.2型92万ドットの電子ビューファインダーや3型92万ドットのバリアングル可動液晶モニター、スマートフォン等によるリモート操作にも対応したWi-Fi内蔵など、機能面でも最新のトレンドを取り込んだカメラとなっています。こうしてみるとFinePixS1は、イメージ的にはFinePixSL1000をベースに機能強化したモデルと言えそうです。
2013年2月発売のFinePixSL1000。液晶モニターは上下チルト可動方式となっています。
それでは、改めてFinePixS1の特長について、主なポイントを見てみたいと思います。
- イメージセンサーは有効1640万画素1/2.3型の一般的なCMOSで、SL1000の有効1620万画素よりもわずかながら高画素化されています。ただし、どちらも最大記録サイズは4608×3456で同じです。
- レンズは新設計の24-1200mm相当F2.8-5.6の光学50倍ズームレンズ。SL1000のレンズも24-1200mm相当と画角は同じですが、開放F値はF2.9-6.5とS1よりも僅かながら暗くなります。
- 電子ビューファインダーは0.2型92万ドットで、SL1000のものと同等と思われます。
- 液晶モニターは3型92万ドットでSL1000と同じですが、SL1000は上下のみのチルト可動であるのに対し、S1は2軸方式のバリアングル可動となります。
- 新たにWi-Fiが内蔵されました。スマートフォンからのリモート操作にも対応しています。
- 動画撮影も進化し、フルHD(60p)での撮影が可能になりました。
- 可動部等をシーリングしたことで、防塵防滴性能となっています。富士フイルムによると、50倍ズーム機では世界初となります。
FinePixS1(左側)とSL1000(右側)。フラッシュ部分の形状が変わりましたが、グリップ部を含め基本的なデザインは似ています。どちらも光学50倍ズームですが、S1のレンズの方がわずかながら明るくなっています。
FinePixS1(左側)とSL1000(右側)。液晶モニターは3型92万ドットのもので、SL1000の上下チルト方式から、バリアングル方式へと進化しました。インターフェース部も共通していますが、電子ビューファインダー接眼部にあったアイセンサーは、S1では省略されています。
FinePixS1(左側)とSL1000(右側)。S1では新設計のレンズとなり、沈胴時の長さが1cm以上も短くなっています。また、グリップ部の形状も変わっています。
【富士フイルムFinePixS1とFinePixSL1000、FinepixS9400Wの比較】
機種名 |

FinePixS1 |

FinePixSL1000 |

FinePixS9400W |
イメージ
センサー |
有効1640万画素
1/2.3型 |
有効1620万画素
1/2.3型 |
有効1620万画素
1/2.3型 |
ISO感度 |
ISO100-3200
拡張でISO12800まで |
ISO100-12800 |
レンズ
(35mm換算) |
24-1200mmF2.8-5.6 |
24-1200mmF2.9-6.5 |
シャッター
スピード |
30-1/2000秒 |
30-1/1700秒 |
8-1/1700秒 |
ファインダー |
0.2型92万ドット |
0.2型20万ドット |
液晶モニター |
3型92万ドット
バリアングル可動 |
3型92万ドット
チルト可動 |
3型46万ドット |
連写速度 |
最高10コマ/秒 |
動画撮影 |
1920x1080
(60p) |
1920x1080
(30p) |
1920x1080
(60i) |
バッテリー |
NP-85
350コマ |
単三型4本
500コマ(ニッケル水素) |
付加機能 |
Wi-Fi/防塵防滴
RAW撮影可能 |
- |
Wi-Fi |
サイズ
(W x H x D) |
133.1×90.9×110.3 mm |
122.7×88.6×122.6 mm |
122.6×86.9×116.2 mm |
重さ |
680g/640g |
659g/619g |
670g/577g |
発売 |
2014年2月 |
2013年2月 |
2014年2月 |
実売価格
(2014/1) |
4万5千円前後 |
2万5千円前後
(発売開始時は3万5千円前後) |
3万3千円前後 |
こうしてみると、性能面では共通する部分は多いものの、細かい点での違いも少なくありません。この3機種の中では、防塵防滴ボディやレンズの明るさ、RAW対応などの点でS1が一番上級機に位置付けられているものと思われますが、たとえばS9400Wは標準でISO12800まで設定可能であったりといった差もあります。また、実際に撮影できる静止画最大画像サイズは3機種とも同じものの、総画素数や有効画素数は微妙に異なっています。
また、今回の発表では、FinePixブランドでの最上級ネオ一眼、FinePixHS50EXRの後継機は登場しませんでした。富士フイルム独自の1/2型EXR
CMOS IIを搭載したネオ一眼にもぜひ登場してもらいたいところです。
S1には2軸方式のバリアングル可動液晶が採用されました。
今回の発表で、FinePixSL1000とFinePixS8200は徐々にフェードアウトしていくものと思われますが、それでもX-S1を含めると同時に4機種のネオ一眼を展開していることになります。ミラーレスカメラのラインアップ充実に伴ってこうした品ぞろえも変わる可能性がありますが、今後も富士フイルムの強みとして継続してほしいと思います。
(
by Inaba Kunio)
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