キットレンズでも描写力が高かった~富士フイルムX-M1のレビューを振り返って


富士フイルム X-M1
新製品レビューを行った雑感Part.3では富士フイルムの新型ミラーレス、X-M1について触れたいと思います。なお、レビュー詳細は各レビュー記事を見て頂ければと思います。

富士フイルムのX-M1は、初号X-Pro1、2号X-E1に次ぐ3機種目となりますが、これまでの富士フイルム・ミラーレスカメラの特長は、操作性と描写力を重視した点にあります。X-Pro1に搭載されたハイブリッドマルチビューファインダーやダイヤルを多用したインターフェース、そして単焦点レンズや大口径ズームなど、こうした特長は非常にわかりやすい形で展開されてきたように思います。


新たにリリースされたX-M1も、操作性と描写力を重視している点は従来機種と同じです。
X-E1と比べてもさらに小型軽量化されたボディ、チルト液晶やWi-Fiなどの多機能性がX-M1のポイントとなりますが、実際にレビューして感じたのは、X-M1のインターフェースはこれらに劣らぬ特徴点であるということです。
今までの機種では、軍艦部右側にはシャッターダイヤルと露出補正ダイヤルが置かれていました。この形式のインターフェースは、フィルムカメラ時代からなじみ深いもので、古くからのユーザーにとっては一番わかりやすい操作体系だと思います。しかし、この操作体系はレンズに絞りリングがあることを前提にしています。そして、今までリリースされてきたフジノンレンズはすべて絞りリングを備えた「R」レンズでした。

今回X-M1と同時に登場した2本のレンズ、XF27mmF2.8XC16-50mmF3.5-5.6 OISには絞りリングがありません。富士フイルムとしても当初より絞りリングのないレンズは想定していた(わざわざ「R」という識別をレンズ名称に入れていることを見ても明らかです)わけですが、実際にリリースするかどうかはXシリーズの売れ行きをみてから決める、ということだったのではないかと思います。

富士フイルム X-M1
その意味では、X-M1は絞りリングのないレンズを前提にした初めてのカメラボディと言えます。X-M1の軍艦部右側には、既存機種でシャッターダイヤルがあったところにモード切替ダイヤルが、そして露出補正ダイヤルのところにはコマンドダイヤルが置かれています。このインターフェースは、カメラ側で絞りを操作することに適したものとなります。

なぜ絞りリングのないレンズをリリースしたのかと言えば、それはターゲットユーザー層を拡げたからに他なりません。ここで言う「ターゲットユーザー」とは、今までの上級者に加えて中級者もということだけでなく、小型軽量性や多機能性を重視するユーザーも含まれます。当然、サブカメラとしての使われ方もその中に入ってきます。

X-M1をレビューして、上記のようなことを感じたわけですが、もう一つ印象深かったのは、今回登場した2本のレンズはコスト面や小型軽量性を重視しているものの、描写力は今までのXシリーズレンズと同等の高いレベルが維持されているという点です。

とくにXC16-50mmについては、仕様面やプラスティックマウントから見ても「コスト重視のキットレンズ」の特徴を備えています。しかし、実際にテストしてみると、キットレンズとは思えない素晴らしい描写力を示しました。一般にキットレンズは、数が出るだけに設計に力をいれられておりコストパフォーマンスに優れたレンズが多いのですが、XCレンズはそれをさらに上回る実力でした。このあたりは、富士フイルムがXシリーズをどのように位置付けているのかを物語っているように思います。

発売されたばかりですが、X-M1のダブルレンズキットは8万円台で購入可能です。今までXシリーズの購入に踏み切れなかった方にもぜひ試してみてほしい1台だと思います。