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特集 オリンパス STYLUS1
オリンパス STYLUS1 ~F2.8通しズームのネオ一眼 |
オリンパス STYLUS1
by Inaba Kunio
OM-DデザインでF2.8通し300mm望遠ズームのネオ一眼
評価:5.0
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1.オリンパス STYLUS1の位置づけと概要F2.8通し300mm望遠ズームのネオ一眼2012年8月に登場したパナソニックLUMIX DMC-FZ200(製品レビュー)は、24-600mm相当F2.8通しズームを搭載した初のネオ一眼でした。フィルム時代からカメラを使っている方にとって、「F2.8の通し」は高級ズームレンズを代表するスペックであり、1/2.3型センサーとはいえ24mm相当の広角から600mm相当の望遠まで実現できたことに私も驚きを感じました。その後、ソニー サイバーショット DSC-RX10(26-220mm相当F2.8 1型センサー)とSTYLUS1(28-300mm相当F2.8 1/1.7型センサー)がリリースされ、F2.8通しズームのネオ一眼が一つのジャンルになりつつあるのかもしれません。 →発売前の記事「一口コラム:OM-DデザインのF2.8高倍率ズーム機」。
F2.8通しズームを搭載した初のネオ一眼、LUMIX DMC-FZ200。
STYLUS1の主な特徴は、次のとおりです。
STYLUS1の魅力は?STYLUS1はネオ一眼であるとともに、高級コンパクトでもあります。その点では、ほぼ同時にリリースされたソニー DSC-RX10と似たポジションと言えますが、製品として狙っているターゲットはかなり異なります。DSC-RX10の立ち位置は、「1型センサーによる高い描写性能を前提に、実用域となるズーム域で明るいレンズを搭載」したカメラであり、レンズ交換式カメラと同等レベルの描写力が最優先のカメラであると思います。 これに対し、STYLUS1の立ち位置は、「コンパクトカメラとしての可搬性を前提に、明るい高倍率ズームレンズを搭載」というもので、フィールドでの取り回しにも軸足がある製品となっています。その点では、同じF2.8ズームのDMC-FZ200とも微妙にターフゲット層が異なっているかもしれません。
電子ビューファインダー部分のデザインはOMシリーズを彷彿とさせます。 それでは、オリンパスのコンパクトミラーレス、STYLUS1の実力をテストしてみたいと思います。 ![]()
2.STYLUS1を開封し外観をチェックオリンパス STYLUS1を開封するオリンパスから新しいタイプのネオ一眼、STYLUS1が登場しました。一見すると、ミラーレスカメラOM-Dシリーズに似ていますが、28-300mm相当F2.8の明るいズームレンズを内蔵している点が特徴的です。ボディカラーはブラックの1色のみで、スタート時点の実売価格は6万2千円前後となっています。 なお、販売促進として、リモートケーブルRM-UC1またはリチウムイオン充電池BLS-5のどちらかがもらえるキャンペーンが実施されています。2014年1月16日までですので、早めに購入しユーザー登録されると良いと思います。
STYLUS1のパッケージ。白いパッケージに青いラインが配されています。STYLUS XZ-2(製品レビュー)に似たボックスデザインで高級感があります。
蓋を開けると、不織布に包まれて格納されているボディ本体が姿を現します。高級コンパクトらしい丁寧なパッケージングです。
製品に同梱されている付属品です。左上より、取扱説明書、ソフトウェアCD-ROM、リチウムイオン充電器BCS-5、リチウムイオン充電池BLS-5、レンズキャップ、充電器用ACケーブル、USBケーブルCB-USB6、ストラップ。ボディ本体にはアクセサリーシューカバーも装着されています。 オリンパス STYLUS1の本体をチェック
ボディ本体。一見すると、OM-D E-M5に似ていますが、ボディサイズは一回りコンパクトになっています。
ミラーレスカメラOM-D E-M5(製品レビュー)のボディ前面。ファインダーやグリップ部分の形状が似ています。なお、E-M5のボディサイズは幅121mm、高さ89.6mmですので、STYLUS1の116mm、87mmと比べると一回り違います。
STYLUS1の液晶モニター側。大型の電子ビューファインダー接眼部が特徴的です。基本的なインターフェースはミラーレスカメラに準じています。親指部分のゴムにより、ボディサイズの割にホールド性も良好です。
ボディ上面。レンズ光軸上に電子ビューファインダーと内蔵フラッシュ、アクセサリーシューが置かれています。電子ビューファインダーの左側にモードダイヤル、右側にサブダイヤルとシャッターボタンが配されています。シャッターボタンの同軸にズームレバーが置かれています。ズーム操作はレンズエプロン部左側にあるサイドズームレバーでも行うことができます。
STYLUS1のボディ底面。三脚用の穴はレンズ光軸からシフトされています。ラベルとの間にある4つの穴はスピーカー用のものです。カメラ本体は中国製です。
STYLUS1のボディ左側面。ストラップ取付け部はXZ-2と同様に、三角環方式となっています。
ボディ右側面。こちら側に外部接続端子が置かれています。液晶モニター側のグリップ部の張り出しがしっかり確保されていることがわかります。
ファインダー部にあるOLYMPUSのロゴ。写真ではわかりづらいですが、刻印された中に白いインクが流しこまれています。OM-Dはフラッシュを内蔵していませんでしたが、STYLUS1はここに搭載しています。
右肩にあるSTYLUS1のロゴ。右上に見えるランプはセルフタイマーランプとAF補助光を兼ねるもの。シャッターボタンの同軸にズームレバーが置かれています。
STYLUS1のレンズ部。電源OFF状態では沈胴しています。F2.8の通しズームを搭載している機種は、パナソニックのLUMIX DMC-FZ200(製品レビュー)が最初でしたが、現時点ではソニー サイバーショット DSC-RX10を含め3機種となりました。「F2.8のズームレンズ」と言う点は同じものの、イメージセンサーのサイズやズーム域は異なり、各々が特徴を持っています。
レンズの左下にはFn2ボタンとレバーが置かれています。カメラを構えたときに、押しやすい位置です。
レンズのエプロン部には、フラッシュスイッチとサイドズームレバーが置かれています。サイドズームレバーのズーム速度は、標準と低速から選ぶことができます。フラッシュスイッチは機械式のため、電源が入っていない状態でも稼働します。また、フラッシュを使用するときにはマニュアルでポップアップさせる必要があります。
STYLUS1のデザイン上の特徴であるファインダー部。フィルム一眼レフの頃からのデザインを継承しています。
内蔵フラッシュをポップアップさせた状態。ポップアップ位置は低いですが、これはアクセサリーシューに外付フラッシュ等を装着した時にも干渉しないための配慮だと思われます。
フラッシュ照射部の正面。実測で1cm程度ポップアップします。
STYLUS1の軍艦部右側にあるメインコントロール部。大型のサブダイヤルの位置は若干異なりますが、OM-D E-M1のものを踏襲しています。
シャッターボタンと同軸に置かれているズームレバー。
グリップ部にはゴムが貼付されているため、見た目よりもホールディング性能は良好です。
液晶モニターの右側にあるコントロール部。十字ボタンの機能を変えることもできるようになっています。
電子ファインダーの右側面にはディスプレイ切替ボタンが置かれています。接眼部のアイセンサーをOFFにした時には、このボタンで液晶モニターと電子ビューファインダーの切り替えをします。
軍艦部左側にあるモードダイヤル。ファインダー接眼部の基部には、視度調整ダイヤルが置かれています。
電子ビューファインダーの上にはアクセサリーシューが置かれています。出荷時にはシューカバーが装着されています。
ファインダー接眼部。ゴム製のアイカップが装着されています。
アイカップを外した状態。接眼部の右側に見える2つの穴はアイセンサーです。視度調整ダイヤルが回しずらい時には、一度アイカップを外すと回しやすくなります。
ボディ右側面にある外部接続端子カバーを開いた状態。上がUSBマルチコネクターで、下がHDMIマイクロコネクター(タイプD)です。
液晶モニターを上側にチルトさせた状態。上側には約80度傾けられます。
液晶モニターを下側にチルトさせた状態。この向きでは約50度まで開けます。
電源OFF状態。レンズはボディ内に沈胴しているため、OM-Dに薄型パンケーキレンズを装着したようなデザインです。
電源を入れるとレンズが自動的に伸長します。写真は広角端28mm相当の状態です。
このレンズは、50mm相当の時に最短となります。
望遠端の状態。この時にレンズ長は最長となります。ネオ一眼としては、比較的コンパクトなレンズであると思います。
ボディ下部のバッテリー室カバーを開いた状態。バッテリーとともにメモリーカードを挿入します。
バッテリー室の前側には、バッテリー挿入方向のガイダンスが貼付されています。
バッテリーとメモリーカードを挿入しつつある状態。どちらもラベル面が前側となる向きで挿入します。
液晶モニターを上側にチルトさせた状態。液晶パネルの視野角は広く、この向きでも視認することができます。
STYLUS1の液晶モニター。3型104万ドットのパネルで、タッチ操作に対応しています。アスペクト比は3:2のため、最大サイズの静止画では、両側に黒いラインが生じます。
同じ状態での電子ビューファインダーの表示内容。EVFは144万ドットでアスペクト比4:3のパネルが搭載されていますので、画面いっぱいに静止画を表示できます。OM-Dのようなファインダースタイルの切り替えには対応していません。
付属するレンズキャップを装着した状態。自動開閉機構となっているので、そのままの状態で電源をONにできます。
電源をONにした状態。自動的にカバーが開きます。
オプションとなるコンバージョンレンズアダプターCLA-13を介して、テレコンバージョンレンズTCON-17Xを装着した状態。レンズ先端の溝を利用するため、レンズカバーを外して取り付けます。基本的にテレ端での操作が推奨されており、510mm相当の画角となります。
STYLUS1のボディ単体での実測値は350.0gでした。
STYLUS1の撮影状態での実測値は395.5gでした。装着するメモリーカードによって異なりますが、メーカー公表値は402gです。 オリンパス STYLUS1の付属品をチェック
バッテリー充電器BCS-5。リチウムイオン電池BLS-5専用で、BLS-5の充電には最大で3時間30分かかります。
コンセントとの接続には付属するACケーブルを使用します。可搬性を考えると、できればウォールマウントアダプターも同梱されると良いと思います。
付属するACアダプター。出荷先のコンセント形状にあわせて対応するコードが添付されるようです。
付属するリチウムイオン電池BLS-5。PEN E-P3等でも採用されたもので、容量は7.2V 1080mAhです。静止画であれば最大410枚の撮影が可能となっています。
付属するUSB接続ケーブルCB-USB6。パソコンやプリンター等との接続に使用します。
付属するストラップ。しっかりとしたつくりですが、ややチープな印象も受けます。
付属する自動開閉レンズキャップ。撮影時に取り外す必要がないため、利便性が高いキャップです。
レンズキャップの裏側。型番はLC-51Aとなっています。蓋部分は4つの部品に分かれています。
ボディには、レンズ先端のみぞを使って固定します。
カバーの部分はスプリングで固定されています。一つ一つを別々に開くこともできます。 Sponsored Links 3.STYLUS1の描写性能はどうか?描写力チェック1:高感度性能STYLUS1に搭載されているイメージセンサーは有効1200万画素1/1.7型CMOSセンサーで、仕様上はSTYLUS XZ-2のものと同等です。そのため、高感度性能についてもXZ-2と同じで、基本感度はISO100で、ISO12800までの設定が可能となっています。ノイズ設定項目についても、XZ-2と同様に長秒時ノイズ低減と高感度ノイズ低減の設定が可能です。 長秒時ノイズ低減には、「オート」「On」「Off」の選択が可能であり、Onではシャッタースピードに関わらず常時ノイズ低減がかかります。初期設定では「オート」となっており、この設定では長秒時での撮影時のみノイズ低減処理がされます。 高感度のノイズ低減は、「Off」「弱」「標準」「強」の4段階の設定が可能で、初期設定では「標準」となっています。 下記のサンプルは、各ISO感度別にテスト撮影を行ったものです。基本的な傾向は、XZ-2と似ていますが、一つ一つ比較するとやや高感度ノイズが改善されているように思います。 高感度時ノイズ低減を「標準」でチェックすると、ISO800まではほとんどノイズを感じません。ISO1600あたりから暗部を中心にノイズが見えてくるとともに、やや解像感の低下も感じられますが、十分常用可能なノイズレベルとなっています。ISO6400以上になるとかなりノイズが増え解像感も低下しますが、活用方法を工夫すると等倍画像でも使えるレベルにはなっています。ISO12800では、解像感の低下と色ずれが目立ってきますので、基本的には緊急避難的な使用方法になると思います。 高感度ノイズ低減を「強」にすると、ノイズ感はさらに改善されますが、解像感の低下も伴います。基本的には「標準」での撮影で良いと感じました。 下記のサンプルは画像の一部を切り出したものです。クリックすると元画像が表示されますので、あわせて参照していただければと思います。なお、高感度ノイズ低減を「Off」にした時の「長秒時ノイズ低減」は「Off」に、それ以外では「長秒時ノイズ低減」は「On」に設定してあります。
ISO100(「Off」「標準」「強」) 描写力チェック2:歪曲収差STYLUS1のレンズは35mm換算で28mmから300mmの光学10.7倍ズームであり、ネオ一眼としてはおとなしめの焦点域ですが、高級コンパクトとしては高倍率ズーム機といえます。とくに、ズーム全域でF2.8の明るさが確保されていますので、明るく使いやすいレンズであると感じました。STYLUS1には「ゆがみ補正」等の項目はないので、必要であれば撮影後にソフトウェアで補正をかけることになります。 下記のサンプルは、各焦点域で撮影したもので、いずれも絞り開放での撮影結果となります。歪曲収差、周辺光量不足ともズーム全域で良好に補正されていると思います。 歪曲収差に関しては、広角端では画面周辺部にわずかながら樽型収差を確認することができますが、気になるレベルではありません。その後、望遠側に移るにつれ補正がされていき、標準域を超えたあたりでほぼ完全に補正されました。 周辺光量については、絞り開放ではズーム全域でわずかながら確認することができました。被写体によっては、1~2段程度絞りこんで撮影されると良いと思います。 なお、メーカーが公表しているわけではありませんが、光学的な補正に加え、電子的補正も加味されているものと思われます。 焦点距離:6mm(35mmサイズ換算28mm) 焦点距離:10.8mm(35mmサイズ換算50mm) 焦点距離:21.2mm(35mmサイズ換算100mm) 焦点距離:42.5mm(35mmサイズ換算200mm) 描写力チェック3:解像力レンズ固定式カメラの解像力テストでは、イメージセンサーとレンズの両方の実力が試されます。いつもの通りISO12233準拠チャートを使用して解像力チェックを行いましたが、結果はコンパクトカメラとして高い解像力を示しています。35mm換算で28mmの広角端では、開放から高い解像力を示しており、部分的にモアレの影響が出ているものの、概ね2500本のラインまで視認することができました。1段絞ると解像度がさらにあがります。望遠側に移るにつれ、わずかに解像感の低下が認められるものの、望遠端絞り開放でも概ね2400本のあたりまでは視認することができました。28-300mm相当F2.8のレンズとしては良好な解像力であると感じました。 画像周辺部についても、全般的に鮮明度の高い画像となっていますが、1段程度絞るとさらに鮮明になります。 下記の画像は1/2に縮小したものです。画像をクリックすると元画像が表示されますので、あわせて確認をしていただければと思います。
6mm域(35mmサイズ換算28mm) F2.8 機能チェック(おまけ):連続撮影枚数オリンパスによると、STYLUS1の連写性能は次の通りです。
使用したメモリーカードは高速タイプのものです。 (SanDisk ExtremePro Class10 Read 95MB/s Write 90MB/s)
STYLUS1はネオ一眼タイプの高級コンパクトですが、極めて高い連写性能と連続撮影可能枚数を持っています。一番データ量の大きい「RAW+JPEG」でも、7.8コマ/秒のペースで27枚の連写ができ、その後も2.2コマ/秒のペースでカード容量一杯まで撮影することができました。撮影中、電子ビューファインダーの画像もきちんと更新されており、気持ちよく連写することができます。また、バッファー容量が一杯になった時にももたつく感じはありませんでした。連写時には1枚目にピントと露出が固定されますが、連写カメラとしても高い実力を持っていると思いました。 4.結局、STYLUS1は「買い」か?独断 素晴らしい! ![]()
独断 もう一息! ![]()
Sponsored Links 付録.製品仕様からみた STYLUS1の特長
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