【一口コラム】クラシカルなテイストのフルサイズ機
ニコンから新しいタイプのフルサイズ・デジタル一眼レフ、Dfがリリースされました。ニコンのフラグシップ・デジタル一眼レフ、D4と同じイメージセンサーを搭載しつつ、ニコン・フルサイズ機の中では最小最軽量なボディや、クラシカルなボディデザイン、非Aiレンズでも開放測光撮影が可能なことなど、極めて特長をもったカメラとなっています。
ニコン New FM2。1984年3月発売開始。当時の価格は65,000円でした。完全メカニカルカメラで、電池がないとファインダー内の露出表示はされなくなりますが、1~1/4000秒までのすべてのシャッター速度が使用可能でした。ボディのみのサイズは、142.5x90x60mmで、重さは540gです。モータードライブMD-12などのオプションも用意されていました。
まずは、Dfの主なポイントを見てみたいと思います。
ダイヤルを中心としたインターフェースと、金属を多用した防塵・防滴ボディ。
イメージセンサーはD4と同じ有効1625万画素のフルサイズCMOSセンサーを搭載。画像処理エンジンもEXPEED3で同じ。
設定できるISO感度は、標準でISO100-12800、拡張ではISO204800まで対応。(D4と同じ。)
ファインダー視野率は100%で倍率は0.7倍と、仕様上はD4と同じ。ただしアイピースシャッターは省略されています。
シャッターは30~1/4000秒まで。X接点は1/200秒ですが、1/250秒でもフラッシュに同調可能となっています。
オートフォーカス・モジュールはD610と同じマルチCAM4800を搭載。フォーカスポイントは39点(うち、クロスタイプセンサー9点、f/5.6超〜f/8未満は中央33点、f/8は中央7点)で、-1~+19EVでの測距に対応しています。
連写速度は、最高で5.5コマ/秒。14bitロスレス圧縮で29コマの連続撮影が可能。
液晶モニターは3.2型92万ドット(640x480でアスペクト比は4:3)。
Wi-Fiは非内蔵なものの、オプションでワイヤレスリモートコントローラーWR-R10やGPSユニットGP-1A、ワイヤレスモバイルアダプターWU-1aに対応。
動画性能撮影には非対応。ライブビューには対応。コントラスト方式のオートフォーカス。
ボディサイズは143.5x110x66.5mm、重さは765g/710gで、ニコンFXの中では最小最軽量。
Df(左側)とD610(右側)。幅と高さは概ね同じですが、ペンタ部とグリップ部の違いから、奥行きには差があります。最近のデジタル一眼レフのデザインであるD610に対し、Dfはマニュアルフォーカスのフィルム一眼レフに似ています。Nikonのロゴも、旧タイプの直立フォントとなっているなど、こだわりを感じます。
Df(左側)とD610(右側)。液晶モニターはどちらも3.2型92万ドットのパネルです。操作関係はデジタル一眼レフと同じですので、一緒に操作しても迷うことはなさそうです。Dfのファインダー接眼部はD4と同じ丸窓タイプですが、アイピースシャッターは内蔵されていません。
Df(左側)とD610(右側)。ボディ上面は大きく異なっており、サイズも違っています。フィルム一眼レフのときに主流だったシャッタースピードダイヤル、ISO感度ダイヤル、露出補正ダイヤルに加えて、モードダイヤルも搭載されています。サイズが小さくなりましたが、液晶表示パネルが設けられている点もポイントだと思います。
【ニコンDfとD4、D800、D610の比較】
機種名
Df
D4
D800
D610
イメージ
センサー
有効1625万画素
フルサイズ
EXPEED3
有効3630万画素
フルサイズ
EXPEED3
有効2426万画素
フルサイズ
EXPEED3
マウント
ニコンFマウント
(AF連動軸あり)
(非Aiレンズにも対応)
ニコンFマウント
(AF連動軸あり)
(非Aiレンズは非対応)
ISO感度
ISO100-12800
(拡張ISO204800相当)
ISO100-6400
(拡張ISO25600相当)
シャッター
スピード
30-1/4000秒
フラッシュ同調は1/250秒まで
(X=1/200秒)
30-1/8000秒
フラッシュ同調は1/250秒まで
(X=1/250秒)
30-1/4000秒
フラッシュ同調は1/250秒まで
(X=1/200秒)
オート
フォーカス
マルチCAM4800
アドバンストマルチCAM 3500FX
マルチCAM4800
ファインダー
ペンタプリズム
視野率100%
倍率0.7倍
ペンタプリズム
視野率100%
倍率0.7倍
ペンタプリズム
視野率100%
倍率0.7倍
ペンタプリズム
視野率100%
倍率0.7倍
液晶モニター
3.2型92万ドット
非タッチパネル
連写速度
最高5.5コマ/秒
14bitロスレス圧縮で29コマ
最高11コマ/秒
14bitロスレス圧縮で75コマ
単体で最高5コマ/秒
14bitロスレス圧縮で17コマ
最高6コマ/秒
14bitロスレス圧縮で14コマ
動画撮影
非対応
1920x1080
(30p)
バッテリー
EN-EL14a
1400コマ
EN-EL18
2600コマ
EN-EL15
900コマ
EN-EL15
900コマ
付加機能
防塵防滴
フラッシュ
防塵防滴
サイズ
(W x H x D)
143.5×110×66.5 mm
160×156.5×90.5 mm
146×123×81.5 mm
141×113×82 mm
重さ
765g/710g
1340g/1180g
1000g/900g
850g/760g
Dfについてニコンは、「よりよい作品づくりや写真表現を追求したいというお客様のニーズに応えるため、時間をかけて「写真を愉しむ」「写真と向き合う」という、従来とは異なるアプローチや価値観を持ったモデルとして開発」と述べています。D4と同じ描写性能をコンパクトなボディに実装しただけでなく、非Aiレンズでの開放測光撮影にも対応しているなど、フィルム時代からカメラに親しんできたユーザー層も視野に入れたカメラだと思います。
なお、DfのサイズはD610よりもコンパクトですが、同じイメージセンサーを搭載したD4と比べると、よりサイズの違いがわかると思います。
Df(左側)とD4(右側)。D4には縦位置グリップが内蔵されているため、ボディサイズは大きく異なっています。フィルム時代のフラグシップ、F3とF5を並べたような印象を受けます。
Df(左側)とD4(右側)。液晶モニターはどちらも3.2型92万ドットのパネルです。以外とインターフェース関係は似ていることに気づかされます。描写性能は同じですので、D4のサブカメラとしてDfを選択される方も多いのではないでしょうか。
Df(左側)とD4(右側)。ボディ上面のインターフェースは、マニュアルフォーカス全盛期のものをベースにしたDfと、オートフォーカス時代のD4といった違いを感じます。
11月28日の発売開始に向けて、すでに店頭での予約も開始されています。ボディ単体で28万円前後、Ai-Sレンズのデザインを取り入れたAF-S
NIKKOR 50mm F1.8 G(Special Edition)のキットは30万円前後となっているようです。このレンズの光学系は、従来のAF-S 50mmF1.8G(製品レビュー) と同じですが、こうした試みも面白いと思います。
新登場のAF-S NIKKOR 50mmF1.8G(Special Edition)(左側)と通常版の50mmF1.8G(右側)。SP版は単体でも発売が予定されており、2万9400円となっています。通常版の価格は2万8350円ですので、1050円だけ高価となります。
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2013年11月5日
by Inaba Kunio)