ドットサイト式照準器を搭載した50倍ズームのネオ一眼
オリンパスからもレンズ一体型のデジカメ3機種が登場しました。ここで紹介するネオ一眼、STYLUS SP-100EEと、タフネスコンパクト STYLUS TG-850 Tough、STYLUS TG-835 Toughの3機種です。ちなみに、昨年はこの時期に7機種をリリースしましたので、高付加価値モデルに絞り込んだことを実感します。
SP-100EEの一番のポイントは、ドットサイト式照準器を搭載したネオ一眼であるということです。「ドットサイト式照準器」とは、銃火器の狙いを定めるための装置の一つで、光像式の照準器となります。ちなみに、光像式以外ではレーザーサイトがあり、これはSWAT等が出てくる映画等でよく見かけるもので、ターゲットに直接赤いレーザー光をあてて狙いを定めるものです。
ドットサイト方式では、照準器についているハーフミラー上に照準用の光像を照射することで、銃身がどこを狙っているかを示します。光像が見える位置であれば、視点がどこにあっても構わないため、比較的ラフに狙いを定めることができます。
今回登場したSP-100EEは新しいシリーズですが、比較的似たコンセプトの高倍率ズーム機、SP-820UZ(2012年9月発売)と外観を比較してみたいと思います。
STYLUS SP-100EE(左側)とSP-820UZ(右側)。SP-820UZはファインダーを内蔵していないため、ボディが一回りコンパクトになっています。光学ズームも、22.4-896mm相当F3.4-5.7の光学40倍です。デザイン的にはSTYLUS1(製品レビュー)に近いと思います。
STYLUS SP-100EE(左側)とSP-820UZ(右側)。液晶パネルはどちらも3型46万ドットのもので、固定式・非タッチパネルとなっています。SP-100EEには92万ドットの電子ビューファインダーが内蔵されています。アイセンサーは搭載されていないので、EVFボタンで表示の切り替えを行います。
STYLUS SP-100EE(左側)とSP-820UZ(右側)。ボディ上面のデザインも変わっています。モードダイヤルの右側にコントロールダイヤルが置かれており、ミラーレスカメラOM-DやSTYLUS1に近いインターフェースとなっています。
STYLUS1と比較する
STYLUS SP-100EE(左側)とSTYLUS1(右側)。デザインテイストは似ています。イメージセンサーはSTYLUS1の方が大きいですが、28-300mm相当F2.8のレンズということでSTYLUS1の方が一回りコンパクトです。
【STYLUS SP-100EE、STYLUS1の比較】
機種名 |

STYLUS SP-100EE |

STYLUS1 |
イメージ
センサー |
有効1600万画素
1/2.3型CMOS |
有効1200万画素
1/1.7型CMOS |
レンズ
(35mm換算) |
24-1200mm相当
F2.9-6.5 |
28-300mm相当
F2.8 |
最短撮影距離
(レンズ前) |
7cm(W)/3.5m(T)
スーパーマクロ:1cm(焦点距離固定) |
10cm(W)/80cm(T)
スーパーマクロ:5cm(焦点距離固定) |
手ブレ補正 |
レンズシフト方式 |
感度 |
ISO125-6400 |
ISO100-12800 |
Wi-Fi |
- |
○ |
シャッター速度 |
1/4-1/1700秒 |
60-1/2000秒 |
ファインダー |
電子ビューファインダー
92万ドット |
電子ビューファインダー
144万ドット |
液晶モニター |
3型46万ドット |
3型104万ドット
チルト可動/タッチパネル |
連写速度 |
約7枚/秒 |
約7枚/秒 |
動画記録 |
1920x1080(60p) |
1920x1080(30p) |
付加機能 |
ドットサイト照準器 |
RAW対応 |
バッテリー |
LI-92B 約330枚 |
BLS-5 約410枚 |
外形寸法 |
121.2×91.3×133.2 mm |
116.2×87×56.5 mm |
質量
(電池,カード含) |
約589g |
約402g |
実売価格
(2014年2月時) |
5万円前後 |
5万3千円前後
(発売開始時2013/11は6万3千円前後) |
STYLUS SP-100EEの主な特長は次の通りです。
- イメージセンサーは有効1600万画素1/2.3型CMOSサイズで、オリンパスの多くのコンパクトカメラで採用されているものです。高感度性能もISO125-6400まで対応しています。今回同時に発表された3機種とも同じセンサーを搭載しているものと思われます。
- レンズは新設計の光学50倍ズームで、24-1200mm相当F2.9-6.5を搭載しています。超解像ズーム機能とあわせると、最大で2400mm相当まで対応しています。
- スーパーマクロでは最短でレンズ前1cmまで寄ることができます。
- ズームレバーはシャッターボタンの同軸とレンズ鏡胴左側の2箇所に設けられており、ズーミング速度の切り替えも可能です。
- デジタルカメラでは世界初となるドットサイト式照準器を搭載しています。ファインダー接眼部の上に置かれたハーフミラーを通して見える被写体のどこにレンズの光軸が向いているかが赤く表示されます。そのため、超望遠域でも被写体の姿を見失いにくくなるだけでなく、見失ったとしてもすぐに修正することが可能です。
- ネオ一眼の電子ビューファインダーとしては高精細な92万ドットのパネルが採用されています。アイセンサーは搭載されていないため、液晶モニターとの切り替えはマニュアル操作になります。
- フルHDで60pの動画撮影が可能です。動画撮影時には光学式と電子式のハイブリッドである5軸動画手ぶれ補正を活用できます。
- Wi-Fiは内蔵していませんが、東芝製無線LAN搭載SDHCメモリーカードFlashAirに対応しています。
内蔵フラッシュの一部を開けるとドットサイト照準器が露出します。
ドットサイト照準器を表示させた状態。赤い指標を被写体に合わせます。
超望遠域での問題は、手ぶれへの対応と、あまりに画角が狭くなるため被写体をロストしやすいことにあります。今回SP-100EEでは、ファインダーによる安定的なホールディングと強力な手ぶれ補正機能、そしてドットサイト照準器の採用という解決策を提示したことになります。実際にCP+2014の会場で試用した印象では、予想した以上に実用的な仕組みであると感じました。
すでに店頭では予約も受け付けられており、概ね5万円前後でのスタートとなるようです。50倍ズームのネオ一眼としてもやや安価であり、ドットサイト照準器の分を考えるとかなり踏み込んだ価格であると思います。いずれにしても、実際のフィールドでの試写が楽しみなカメラです。
( by Inaba Kunio)
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