キヤノンの選び方2:デジタル一眼レフ・エントリーから選ぶ
次に、キヤノンのデジタル一眼レフカメラのうち、エントリークラスからの選択について見てみましょう。
現行機では、EOS KissX7iとEOS KissX7、EOS Kiss X50の3機種がエントリークラスに位置します。EOS Kiss
X7iについては、前機種となるX6iをブラッシュアップしたモデルで、カメラとしてはほぼ前機種を踏襲しています。また、X7は最小最軽量のEOSとして登場した新ラインのデジタル一眼レフとなります。
EOS KissX50は、2011年3月の登場から2年半が経過しています。最新機種と比較すると、暗所での撮影能力やオートフォーカス性能などで差がありますので、予算面を特に重視されるのでなければ、他の2機種からの選択をお勧めします。
●EOS Kiss X7iとEOS Kiss X7の仕様上の違い
両機種の仕様を比べると、主な違いは次の点となります。
- 搭載しているイメージセンサーはどちらも有効1800万画素CMOSで、設定できるISO感度もISO100-12800(拡張でISO25600)と同じです。画像処理エンジンもDIGIC5となります。
- 連写速度は、X7iの5コマ/秒に対し、X7は4コマ/秒です。連続撮影可能枚数はRAWモードでX7iの6コマに対し、X7は8コマとやや上回っています。なお、どちらもRAWは14bitとなります。
- 動画撮影機能は、どちらもフルHD(30p)に対応しています。
- ライブビュー時のオートフォーカスは、X7iは「ハイブリッド CMOS AF」ですが、X7では「ハイブリッド CMOS AF II」に進化しており、有効なエリアが広がっています。
- 液晶モニターはどちらも3型104万ドットでタッチパネルに対応していますが、X7iはバリアングル可動できるのに対し、X7は固定式となります。
- ボディサイズは、X7iの133.1x99.8x78.8 mmに対し、X7は116.8x90.7x69.4 mmと一回り以上小型です。また、重さもX7iの580gに対し、X7は407gと軽量です。
●EOS Kiss X7iとEOS Kiss X7の金額上の違い
現時点での実売価格を比べると、
- X7i本体のみ 概ね7万円台
- X7i + EF-S18-55mm IS STM 概ね7万円台
- X7i + EF-S18-135mm IS STM 概ね9万円前後
- X7本体のみ 概ね6万円前後
- X7 + EF-S18-55mm IS STM 概ね6万円台
- X7 + EF-S18-55mm IS STM + EF-S55-250mmII 概ね7万円台
となっています。
位置づけ的にはX7iはKissシリーズのフラグシップということもあり、同じ構成であればX7iの方が1万円円程度高価です。
なお、EOS KissX50は、標準ズームキットで3万円台、ダブルズームキットでは4万円台となっていますので、価格面を重視される方にはお勧めです。
●両機種の選択の考え方〜参考まで
両機種ともコストパフォーマンスにすぐれた素晴らしいデジタル一眼レフであり、カメラとしての基本性能もほぼ同等レベルとなっています。結果的にどちらを選んだとしても、後悔することはないでしょう。
そのことを踏まえた上で、しいて選択の考え方を述べれば、バリアングル液晶が必要な場合はX7iを、コンパクトボディを評価されるのであればX7が第一候補になると思います。ボディサイズはかなり違いますので、購入に当たっては店頭で操作されることをお勧めしますが、その時に手になじんだ方を選ばれるというのでも良いと思います。
EOS Kiss X7iは前機種となるEOS KissX6iのブラッシュアップモデルで、キヤノンのKissシリーズの中ではフラグシップ機となります。EOS70Dとほぼ同等レベルのボディサイズですが、むしろこちらの方がホールドしやすく感じる方も少なくないと思います。また、Kissシリーズ現行機では唯一のバリアングル液晶搭載機ですので、液晶モニターを使った撮影を多用される方にとってはポイントです。連写性能やシャッタースピードなど、上位機種と比較すると差も小さくありませんが、逆に言えばそうした点が気にならないのであれば、コストパフォーマンスに優れたKissシリーズを積極的に選択されることをお勧めします。
なお、イメージセンサー自体はミラーレスカメラEOS Mとほぼ同等のものが搭載されています。このあたりは、キヤノンにおけるミラーレスカメラの位置づけを示していると言えます。
→ EOS Kiss X6i詳細レビュー記事もご参照ください。
EOS Kiss X7は、APS-Cサイズのデジタル一眼レフとしては世界最小最軽量となります。EOS KissX7iと同等の性能をコンパクトなボディに実装している点が一番の魅力であり、ある意味で「一番Kissらしいカメラ」と言えるかもしれません。
EOS KissX7iと比較すると、液晶モニターが固定式になっている点が違いとなりますが、逆にX7iと比べて勝っている点としては、ライブビューモードで高速なオートフォーカスを実現したハイブリッド
CMOS AFがバージョンアップされており、ほぼ画面の全域で機能するようになったことや、わずかながらファインダー倍率が拡大している点などもあります。
ボディサイズはEOS KissX7iから2回り小型化されており、重さも300g近く軽量化されていますので、コンパクトなデジタル一眼レフを求めている方には最適な機種になると思います。
→ EOS Kiss X7詳細レビュー記事もご参照ください。
EOS Kiss X50は、Kissシリーズの正統進化モデルと言えるカメラです。登場から2年半が経過していますが、コンパクトカメラとは違う描写性能をもったカメラとして、現在もなおボリュームゾーンに位置するカメラです。
価格的には、18mmから250mmまでをカバーするダブルズームキットが4万円台で入手できますので、一部の高級コンパクトカメラとほぼ同じ価格でデジタル一眼レフに手が届くことを示しています。また、ニコンのD3200やD5200よりはやや大きいものの、キヤノンのデジタル一眼レフの中では比較的小型軽量である点もポイントです。
EOS Kiss X7iやEOS KissX7と比較すると、描写性能をはじめ小さくない差がありますが、もし予算面を重視するのであれば、X50も良い選択肢になると思います。
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