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特集 αNEX-7
ソニー αNEX-7 ~電子ビューファインダー内蔵のハイエンド機 |
ソニー αNEX-7
by Inaba Kunio
電子ビューファインダーを内蔵したハイエンドミラーレスカメラ
評価:5.0
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1.ソニー αNEX-7の位置づけと概要ミラーレスと一眼の融合2010年6月にソニーのミラーレスNEXシリーズが登場してから、1年半が経過した。NEX-3、NEX-5およびこれらの後継機であるNEX-C3、NEX-5は、いわばエントリークラスであったのに対し、今回発売されたNEX-7は初のミドルクラス製品となる。とはいえ、NEX-7を単純に「ミラーレスのミドルクラス」として片づけてしまうことには若干抵抗を感じる。 下記の表は、ソニーの現行モデルを比較したものである。仕様の違いをわかりやすくするため、NEX-7を真ん中にし、その両側にEマウントモデルとAマウントモデルを配してある。 これを見て、まずわかるのは、仕様上はNEX-7はα65に極めて近いということだ。イメージセンサー関係はもちろんのこと、シャッタースピードや連写性能など、カメラとしての基本部分はほとんど共通していることがみてとれる。α65は、Aマウントモデルの中では、エントリー機に近いミドルモデルであり、コンパクトカメラからのステップアップユーザーに対する一眼レフタイプ(もちろん、厳密にはα65やα77は一眼レフではないが)の受け皿としての役割を担っている。 【各機種の主な仕様】
デジタルカメラを、描画部分、基本性能、操作部に分けて評価をすれば、描画部分に関しては、NEX-7は間違いなくハイエンドモデルと同じ実力を持っている。有効2430万となる画素数は、他社を含めAPS-Cサイズとしては最多であるとともに、高感度性能もISO16000まで対応と、トップクラスの性能である。 カメラとしての基本性能は、シャッタースピードが1/4000秒までであるとともに、通常モードでの連写速度が3コマ/秒であること、モード表示用の液晶パネルが搭載されていない点などから、ミドルクラスの中における下位モデル相当となるだろう。 操作部については、2つのコントロールダイヤルやコントロールホイールに象徴されるように、ミドルクラス以上の一眼レフで一般的なインターフェースとなっている。また、必ずしもファインダーの搭載が必須ではないミラーレスの中において、高精細電子ビューファインダーを内蔵している点も、NEX-7の位置づけを示している。 ミラーレスへの全面移行を予感させるNEX-7ソニーは、ニコンやキヤノンとともに、一眼レフタイプのカメラやレンズ等の膨大な資産を蓄積してきた。こうしたソニーの立ち位置は、市場が急速にミラーレスへ移っていくことを、100%歓迎するものではない。一眼レフで獲得した比較的優位な位置を保ちつつ、徐々にミラーレスへ移行することがソニーの戦略であることは、想像に難くない。今までのNEXシリーズが、コンパクトカメラからのステップアップユーザーに的を絞り、エントリークラスで展開してきたのも、そうした観点からであろう。逆に言えば、既存の一眼レフユーザーのパイを喰わないようエントリークラスに限定した、と言ってもあながち間違いではない。 そのソニーが、予想よりも早い段階でリリースした初のミドルクラスがNEX-7である。おそらく、当初想定していた以上に一眼レフからミラーレスへの移行が進むと判断し、戦略を見直した結果がNEX-7として結実したのだろう。これは推測だが、カメラとしての基本性能がミドルクラスとしては低いレベルとなったのは、前倒しされたスケジュールにメカトロ部分を中心とする設計が間に合わなかったのか、あるいはミドルクラス・ミラーレスのリリースに対し、ソニーとしての「迷い」が反映したためではないか。 それでは早速、ソニー初のミドルクラス・ミラーレス、NEX-7をレビューしたい。 ![]()
2.ソニー αNEX-7を開封し外観をチェックソニー SONY αNEX-7を開封するαNEX-7は、2011年8月の発表時点では11月の発売予定であったが、タイにおける洪水の影響で2カ月ずれ込み、2012年1月27日の登場となった。ボディ色はブラックのみで、今までのNEXシリーズとは異なるテイストとなっている。販売形態はボディのみとSEL1855レンズをセットした2種類である。SEL1855は内容的には従来のものと同じだが、NEX-7のボディ色にあわせブラック塗装がされている。今のところ、セットでしか購入できないので、今回はこちらを選択した。
黒を基調とした外箱。レンズ交換式カメラのレンズキットのため、比較的大きめのパッケージである。パッケージングにもコストがかけられており、製品のクラスを感じさせる。
カバーを開けると、一番上には紙製のケースが入っている。このケースは写真のように引き出し式で、中にマニュアルや保証書、CD-ROMが入っている。
紙製のケースの下にはグレーの専用クロスが挟み込まれており、その下にボディやレンズが鎮座している。ボディの上に見えるのは専用ストラップ。
ボディの部分の下には、さらにバッテリーチャージャーやケーブル類が入れらている。
左から、マニュアル、CD-ROM、専用ストラップ、USBケーブル、バッテリーパックNP-FW50、バッテリーチャージャー BC-VW1。バッテリーパックの下にあるのはアイピースカップで、ファインダー部分に装着する。 バッテリー関係をチェック
バッテリーチャージャー BC-VW1。α55等でも使用されているものである。240Vまで対応しており、コンセントの形状によってはこのまま海外でも使用可能である。
コンセント部分を回転させることでチャージャー内に格納できる。コンセント部分にスペースが必要ではあるが、可搬性は高い。
バッテリーパックNP-FW50。容量は1080mAhで、静止画で最大430枚、動画で100分の撮影が可能となっている。充電には250分必要。 ソニー αNEX-7の付属品をチェック
付属する専用ストラップ。布製であるが、ロゴの部分は刺繍となっており高級感がる。
付属するUSBケーブル。本体側の端子はミニ規格。
アイピースカップ。軟質プラスティック製でファインダー部分に装着する。
付属するクリーニングクロス。NEX-7のロゴの付いたタブが付いている。 ソニー αNEX-7の本体をチェック
ボディ正面。NEXシリーズとしては確かに大きいが、マウント開口部とボディのサイズを見ると、レンズ交換式カメラとしては極限までシェイプアップしていることがわかる。ボディ両サイドにはストラップ取付用の三角環がつけられている。クラスとしてはα77と同じであることを示している。
ボディ背面。他のNEXシリーズとは異なり、むしろAマウントの一眼レフカメラに近いインターフェースである。右肩部分にある2つのコントロールダイヤルが印象的である。電子ビューファインダーは左上部に配置されている。以前、ミノルタのAPS一眼レフVECTIS
S-1もこうしたレイアウトであったので、光学ファインダーでもこのような配置は不可能ではないが、やはり電子ビューならではのメリットと言ってもよいだろう。
ボディ上面。大きく張り出したグリップ部が印象的だ。イメージセンサー位置指標により、センサーがボディ中央部のマウント側に近い部分に設置されていることがわかる。
ボディ底面。グリップ部分は全体がバッテリー室になっていることがわかる。三脚用の穴はレンズ光軸上に設置してある。ボディはタイ製。
バッテリーカバーを開いた状態。蓋の部分には挿入方向のガイダンスが表示されている。
バッテリーとメモリーカードを挿入しつつある状態。青いレバーの部分がバッテリーのストッパーとなる。
マウント開口部。マウント上に「E-mount」の文字が刻印されている。SONYのロゴも刻印部分にインクが流されている。αのロゴは出っ張らされている。SONYのロゴの下にあるランプは、AF補助光とセルフタイマーランプ、スマイルシャッターランプを兼ねるもの。
マウント基部にある4つの横長の穴はマイク用。
大型のシャッターボタンが配置されている。その左側にあるのはナビゲーションボタンで、これを押すことによって2つのコントロールダイヤルやコントロールホイールの機能を切り換えることができる。
ボディ上面右側。コントロールダイヤルには滑り止めの溝もきってあり、操作感は良い。
ボディ液晶側のコントロール部。コントロールホイールの上下にある2つのボタンはソフトキーボタンで、その時々の状況によって機能が変わる。コントロールホイールを含めた機能内容については、常時液晶画面右側に表示されるので、わかりやすい。再生ボタンの左側にあるのは、内蔵ストロボのポップアップボタン。電源が入っていない状態でも機能する。
大型の電子ビューファインダー。アイセンサーが配置されているため、液晶モニターと自動で切り換えることも可能となっている。その右に見えるホイールは、視度調整用のもの。
ボディ左側面には外部端子が配置されている。カバーは2つに分割されているため、片側だけを開くことも可能。
上からHDMI端子、USB端子、外部マイク端子となる。
内蔵ストロボがポップアップした状態。内蔵ストロボのガイドナンバーは6。
ポップアップした内蔵ストロボを手で押さえるとバウンスさせることも可能。
液晶画面。液晶パネルは16:9のものだが、画像表示は左側の3:2の部分が使用され、右端はボタンの機能等が表示される。画像を16:9に変えると、画像表示部分の上下がマスクされる。
液晶モニターは上下にチルトする。視野角は比較的広い。
液晶モニターを下向きにシフトさせた状態。この状態がほぼ可動の限界となる。
電子ビューファインダーにアイピースカップを装着した状態。しっかりとはまるものの、脱落には注意が必要かもしれない。 Sponsored Links 3.ソニー αNEX-7の描写性能はどうか?描写力チェック1:高感度性能αNEX-7の基本感度はISO100で、ISO16000まで設定可能となっている。ノイズ低減処理のやり方としては、カメラ内での設定と、RAWで撮影しパソコン上での現像段階で行う方法がある。カメラ内でのノイズ低減は、撮影メニューの中にある「高感度ノイズリダクション」で、「弱」「標準」「強」の中から選択する。標準では「オート」に設定されており、ISO感度によってノイズリダクションのかけ方が変わる。なお、RAW画像にはノイズリダクションは行われないため、現像時に設定する必要がある。また、スイングパノラマや3Dスイングパノラマ撮影時にも行われない。 カメラのノイズリダクション設定には、「長秒時ノイズリダクション」の項目があり、これを「入」にすると、1秒または1秒よりも遅いシャッタースピード時にノイズ軽減処理が実行される。 今回、有効2430万画素のイメージセンサーということで、高画素化による高感度性能の低下を危惧したが、結果は良好であった。ISO1600までは、ノイズリダクションを「弱」にしたままでもほとんどノイズ感は感じられないため、常用とすることが可能だろう。ISO3200になると、ISO1600に比べややノイズ感や解像度の低下が感じられる。それでも、ISO6400までなら十分活用できるノイズレベルとなっている。ISO12800以上は、基本的には緊急避難用として位置づける必要があるが、それでも縮小した画像を見ると、コンパクトカメラで散見されるような画像の破たんは見られず、使い方によっては活用できるレベルかもしれない。 高感度ノイズリダクションを強に設定すると、明らかにノイズレベルが低減される。とくにISO3200以上で撮影する場合には、積極的にノイズリダクションを活用することをお勧めする。 下記のサンプルは、高感度ノイズリダクションを弱、強の2段階で各ISO感度の撮影を行ったものである。表示画像は等倍のものなので、これでもある程度傾向はわかるが、クリックすると元画像も表示されるので、あわせて参照してほしい。
ISO12800 (左からノイズリダクション「弱」、「強」)
ISO16000 (左からノイズリダクション「弱」、「強」) 描写力チェック2:解像度αNEX-7のイメージセンサーは有効2370万画素である。今回テストしたSEL1855レンズの結果は、基本的にどの焦点域も優れた解像力を示した。この中で、周辺部を含め比較的高い解像力を示した28mm域(35mm換算42mm)で開放絞りF4から2段絞ったF8のもので確認を行った。視覚解像度チェック用ライン、限界解像度チェック用ラインとも、楽々と2500本ラインを超えており、素晴らしい解像力といえるだろう。
描写力チェック3:補正機能αNEX-7には、レンズに起因する収差を電子的に補正する機能が搭載されている。基本的にソニー純正のEマウントレンズにのみ対応するものであるが、実際に撮影するとかなり使える機能であると感じた。なお、これらの補正はRAWレベルで実行されているため、RAWデータも補正が加えられた後のものが記録される。補正内容は、歪曲収差、倍率色収差、周辺光量について、「切」と「オート」の設定ができる。
【レンズ補正なし】
【レンズ補正:歪曲収差オート】
【レンズ補正:歪曲収差+倍率色収差オート】
【レンズ補正:歪曲収差+倍率色収差+周辺光量オート】
4.結局、ソニー αNEX-7は「買い」か?独断 素晴らしい!![]()
独断 もう一息! ![]()
Sponsored Links 付録1.製品仕様からみた αNEX-7の特長
Sponsored Links 付録2.発売前のファーストレビュー【一口コラム】ソニー αNEX-7 電子ビューファインダーを搭載したミラーレスαNEX-7を手に取ると、今までNEXシリーズが主にターゲットにしていた「エントリー層」向けの製品でないことがわかる。精悍な黒いボディと、ホールディングに配慮したボディスタイルは、むしろAマウント・ボディと同じジャンルの製品、同じテイストのカメラとして仕上がっている。 αNEX-7の特徴の第一は、いうまでもなく電子ビューファインダーを内蔵している点だ。搭載されている0.5型236万ドットの高精細液晶パネルは、今までのEVFとは次元の異なる見え方となっているだけでなく、被写体への追随性も一般的な撮影シーンでは問題ないレベルに高められている。同じファインダーがαNEX-5N用の外付けEVFとして用意されているので、チャンスがあればぜひ店頭で覗いてみてほしい。まさに電子ファインダーであることを感じさせないクリアな視界を体験できるはずだ。 2番目の特徴は、上面に2つ、背面に1つ設置された、計3つのダイヤルにより、ダイレクトな操作が可能となっている点である。シャッターボタンの横に設けられたナビゲーションボタンを押すことで、これらダイヤルの機能を変えることができる。たとえば、露出設定を選択すると、3つのダイヤルによって、絞り値、露出補正、ISO感度が変更可能となる。ファインダーをのぞいたまま、直接的に操作できるインターフェースは、Aマウント上位機種に通じるものだ。 また、機能面でいえば、ポップアップフラッシュを内蔵したこと、上面に用意されているアクセサリーシューがAシリーズと同様のものに変更されたことも、αNEX-7の位置づけを物語っている。 3番目の特徴は、α65やα77と同じ有効2430万画素CMOSイメージセンサーを搭載している点だ。APS-Cサイズのセンサーでは最大画素数であり、より解像感のある描写が可能となっている。 改めてαNEX-7の特徴を確認すれば、このカメラがα65と同等以上のパフォーマンスを持っており、一眼レフタイプカメラのユーザー層にアピールする製品となっている。同時に発表されたAマウントレンズ用新型マウントアダプターも、このことを強く後押しするものだ。 いよいよソニーは、自らの軸足を変えようとしているのかもしれない。 |
独断 デジカメ対決! ![]() ☆ vs ソニー αNEX-5N ☆ vs ニコン 1 V1 |
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◎ITmedia 有効2430万画素の描写力を検証――ソニー「NEX-7」を試す(前編)
◎ITmedia 写真で見る、NEX-7
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