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特集 ソニー α7
ソニー α7 ~世界初のフルサイズ・ミラーレスは小型軽量で廉価 |
ソニー α7
by Inaba Kunio
コストパフォーマンスに優れた小型軽量のフルサイズ・ミラーレス
評価:5.0
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1.ソニー α7の位置づけと概要世界初のフルサイズ・ミラーレス機ソニーからフルサイズのミラーレス機、α7(型番はILCE-7)とα7R(型番はILCE-7R)が発売開始となりました。どちらもフルサイズに対応していますが、α7は有効24メガ画素のローパスフィルター付センサーであるのに対し、α7Rは有効36メガ画素のローパスフィルターレスである点が一番の違いとなります。店頭での実売価格は、α7が14万円弱、これに28-70mmズームレンズが付いたキットが16万円前後、α7Rは20万円前後となっています。FE28-70mmF3.5-5.6(製品レビュー)は単体では6万1,950円で来年2月から売られる予定ですので、価格だけで考えるとα7レンズキットが格安となっています。なお、同じフルサイズ機であるα99(製品レビュー)は発売開始から1年が経過していますが概ね21万円前後となっていますので、ここからもミラーレス機のコスト優位性を窺うことができそうです。 →発売前の記事「一口コラム:Eマウントのフルサイズ機登場!」。
フルサイズ機としては極めてコンパクトです。
α7は、ソニー・ミラーレスカメラの新しいシリーズとなりますが、主な特長は次のようになります。(α7RにSonnar T* FE 35mm F2.8 Zを装着したもの)
α7(左側)とDSC-RX1(右側)。ほぼ同等のイメージセンサーを搭載していますが、ボディ部分のサイズはα7の方が一回り大きくなっています。レンズ交換式となったにもかかわらず、これだけの差で収まったことには驚きも感じます。
ソニーによると、α7のポジションは「α77とαNEX-7の間」ということになっています。確かに、オートフォーカス速度や連写性能などはα77に差をつけられているものの、カメラとして最も重要な要素である描写性能はもちろんのこと、連続撮影枚数、Wi-Fiなどの機能性の点でも、むしろα7の方が優っています。メーカーとしても、市場がα7をどのように評価するのか、かたずをのんで見守っているのだろうと思われます。α7の魅力は?ソニーの公式見解は、「今後ともAマウントとEマウントはともに発展・充実させてゆく」というもので、事実今回の発表ではAマウントの大口径ズーム「70-200mm F2.8 G SSM II」もリリースされました。しかし、いずれかの段階でカメラボディはEマウントに統合されていくということも、ほぼ間違いのないことだと思われます。デジタル一眼レフのクイックリターンミラーをトランスルーセントミラーに変えることで、まず光学ファインダーを電子ビューファインダーに置き換えたのが第1歩とすれば、今回のα7/α7Rによって第2歩目を踏み出すための技術的基盤が整いつつあることが明らかになったのだと言えるかもしれません。 今回登場したフルサイズ対応のトランスルーセントミラー内蔵マウントアダプター「LA-EA4」をセットにしたα7で、α99の多くの撮影シーンをカバーできるとしたら、実はすでに第2歩目を踏み出している可能性も、十分あり得るように思います。
マウントアダプターLA-EA4。15点(うち3点はクロス対応)のAFセンサーを搭載しており、Aマウントレンズで高速なオートフォーカスが可能。
それでは、ソニーのフルサイズ・ミラーレス、α7の実力をテストしてみたいと思います。 ![]()
2.ソニー α7を開封し外観をチェックソニー α7を開封するソニーのフルサイズ・ミラーレス、α7が発売開始となりました。ミラーレスカメラで35mm版フルサイズのイメージセンサーを搭載したのは、今回登場したα7/α7Rが世界初となります。販売形態はボディ単体の他に、フルサイズのイメージサークルに対応した新型レンズFE28-70mmF3.5/5.6 OSS SEL2870(製品レビュー)がセットになったレンズキットも用意されています。今回は新型レンズのチェックも行うため、α7レンズキットを購入いたしました。
α7のパッケージ。黒を基調としたカラーリングに、イメージカラーでもあるオレンジのラインがあしらわれています。上面と側面に、カメラとレンズの写真が印刷されています。ミラーレスカメラとしては、やや大きめの箱です。
蓋を開けると、保証書や取扱説明書が出てきます。取扱説明書は簡易版ではなく、274ページの厚手のものが付属していました。
さらに蓋を開けると、カメラ本体とレンズ関係、ショルダーストラップが出てきます。その他の付属品は、右側のカメラやストラップが入っている下に格納されていました。
同梱されている主な付属品関係です。左上から、取扱説明書、NFC/WiFi説明書、ソフトウェアダウンロード説明書、ACアダプターAC-UB10C/UB10D、リチャージャブルバッテリーパックNP-FW50、マイクロUSBケーブル、ショルダーストラップ。この他に、ボディキャップ、アイピースカップ、シューキャップがボディに装着された状態で出荷されています。 ソニー α7の本体をチェック
ボディ前面。マウント口一杯に見えるイメージセンサーが印象的です。マウント口の周りには、フルサイズを示すオレンジ色のリングが取り付けられています。
ボディ液晶モニター側。液晶モニターは3型92万ドットのパネルで、上下にチルト可動します。基本的なインターフェースはNEXシリーズのものを踏襲しています。
αNEX-7(製品レビュー)の液晶モニター側。電子ビューファインダーの位置やボタン類の配置はα7と異なっていますが、コントロールホイールやダイヤルなど意外とα7と共通する部分が多いことがわかります。
ボディ上面。電子ビューファインダは、デジタル一眼レフと同様にレンズ光軸上に設けられています。ボディをはさんで前後に、2つのダイヤルが設けられています。
ボディ底面。三脚用の穴はレンズ光軸上に置かれています。左側のグリップ部の下にバッテリー室が設けられています。ボディ右端に見える穴は、縦位置グリップVG-C1EMを装着するときのガイド用のものです。購入した個体のS/Nは2xxxxでした。
ボディ左側面。こちら側には外部接続端子が設けられています。ストラップ取付け部は三角環方式です。
ボディ右側面。こちら側には、メモリーカードスロットともに、Wi-FiやNFCのアンテナが格納されています。
α7の35mmフルサイズ、有効2430万画素のイメージセンサー。マウント口一杯に拡がっています。ミラーレスカメラではデジタル一眼レフよりもフランジバックが短いため、ケラレにくくなっています。
シャッター幕を下ろした状態。電子制御式縦走りフォーカルプレーンシャッターが搭載されています。デジタル一眼レフのフラグシップ機と同様に、1/8000秒まで対応しています。フラッシュ同調速度も1/250秒ですので、この点ではα7Rを上回っています。
α7のデザイン上のポイントである電子ビューファインダー部。正面から見ると中央部の突出部が目立ちますが、このアングルから見ると、デジタル一眼レフのペンタ部形状にも似ている印象を受けます。
マウント基部につけられたオレンジ色のリングには、「35mm FULL-FRAME CMOS IMAGE SENSOR」の文字が記載されています。これは、α99(製品レビュー)やサイバーショットDSC-RX1(製品レビュー)と同じです。
向かって左肩にはαの文字と「7」が入ったネームプレートが装着されています。
マウント部の左下にあるレンズ取りはずしボタン。このボタンを押下すると、その右上に見えるピンが下がり、レンズを回転できるようになります。
α7のグリップ部。正面からの見た目よりもしっかりとした形状をしています。指先がホールドできるように、窪みが付けられています。グリップ部にある楕円のパネルはリモコン受光部です。
グリップ上にある前ダイヤル。ボディ液晶面側にある後ろダイヤルとともに、多用することになると思います。前ダイヤルの右に見えるランプは、AF補助光とセルフタイマーランプを兼ねるものです。
ボディ上部右側のメインコントロール部。大型のモードダイヤルと露出補正ダイヤルがポイントとなります。電源スイッチはシャッターボタンの同軸に設けられています。ボディ上にある「C1」とボディ背面側にある「C2」はカスタムボタンで、機能の割り当てが可能です。C2ボタンの右にあるのが「後ダイヤル」です。
液晶モニター右側にあるメインコントロール部。中央部にあるコントロールホイールは回転や上下のボタンとして機能します。基本的にはNEXシリーズの操作系を踏襲しています。
グリップ部の外側には動画ボタンが置かれています。斜めにシフトした位置にあるため、カメラを構えた時に親指で押しやすくなっています。
電子ビューファインダーの接眼部。アイピースカップが装着されています。接眼部の上部にアイセンサーを内蔵しています。
アイピースカップは上向きにスライドさせると外すことができます。電子ビューファインダーのため、アイピースシャッター等は不要です。接眼部の上に見えるのはアイセンサーとなります。
接眼部の右には視度調整ダイヤルが置かれています。
電子ビューファインダー上部にあるマルチインターフェースシュー。一般的なストロボ等も装着可能です。また、シュー前部には電子接点が設けられており、電源供給にも対応しています。
電子ビューファインダーの左肩には、イメージセンサーの位置を示す指標が印字されています。その横にある2つの穴はスピーカーです。ファインダー部の稜線にある穴はステレオマイクの左側です。反対側に右側のマイクが置かれています。
液晶モニターを上部に開いた状態。90°まで開くことができます。
液晶モニターを下側に開いた状態。下向きには45°まで開くことができます。
液晶モニターの内側には、「長時間ご使用になられると本体表面が暖かくなりますが、故障ではありません。」との注意書きや各種認証マークが印字されています。
ボディ左側面にある外部接続端子カバーを開いた状態。上から、マイク端子、ヘッドホン端子、マルチ端子、HDMIマイクロ端子となります。端子カバーは上下二つに分かれているため、別々に開くことも可能です。マルチ端子はマイクロUSB規格となっており、ボディ内で充電するときにも使用します。
付属のUSBケーブルで充電している状態。充電ランプが点灯しています。
ボディ底面のバッテリー室カバーを開いた状態。蓋の裏側に挿入方向のガイダンスが刻印されています。
バッテリーを挿入しつつある状態。バッテリーの裏側が外側となります。
グリップ部にあるメモリーカードスロットを開いた状態。入り口部分に挿入方向のガイダンスが刻印されています。カードの切欠きが上側になるように挿入します。
SDXCメモリーカードを挿入しつつある状態。ラベル面が内側を向きます。カードはボディ液晶モニター側から垂直に挿入します。
ボディ単体の重量実測値は415.5g(アイピースカップやシューキャップを含む)でした。メーカー公表値は416gです。
バッテリーとメモリーカードを挿入した撮影環境の重さは475.0gでした。装着するメモリーカードによって異なりますが、メーカー公表値は474gです。
液晶パネルでの表示。アスペクト比は4:3の液晶パネルが搭載されています。NEXシリーズは16:9のパネルで右側にガイドエリアが設けられていましたので、α7になって変わった点の一つです。
同じ内容を電子ビューファインダーで表示させた状態。撮影に使用したカメラの関係で四隅がケラレているように見えますが、実際にはクリアーに表示されています。静止画表示部分の上下に情報が表示される形式で、光学ファインダーの表示に似ています。
小型のデジタル一眼α55(右側)と比較した状態。正面から見たボディサイズは、ややα7の方が大きく見えます。α55はAPS-Cサイズのイメージセンサーを搭載しています。
側面から見ると、ボディの厚さの違いが際立ちます。 ソニー α7の付属品をチェック
同梱されているACアダプター AC-UB10。ボディ内充電に対応しているサイバーショットなどでも採用されているタイプです。
コンセントに接続するプラグ部分は格納することが可能ですので、可搬性の点で優れています。
ACアダプターに付属のUSBケーブルを介してボディに接続します。充電には最大で310分かかりますので、基本的にはこまめに充電する使い方が適しているかもしれません。
付属するUSBケーブル。ボディ内充電やパソコン等との接続に使用します。α7はWi-Fiを内蔵していますので、主に充電で使うことになると思います。
付属するショルダーストラップ。α7のロゴはフェルト上のものが貼付されています。しっかりしたつくりですが、若干チープな印象も受けます。
付属するボディマウントキャップ。Eマウント共通のものです。
ボディマウントキャップの裏側。マウント部のバヨネットを使って固定します。 Sponsored Links 3.ソニー α7の描写性能はどうか?描写力チェック1:高感度性能ソニー α7の基本感度はISO100で、高感度側はISO25600まで設定することができます。低感度側は、拡張設定域となりますが、ISO50相当まで下げることも可能です。ノイズ低減処理方法としては、カメラ内で設定する方法と、RAWで撮影しパソコン上での現像段階で行う方法とがあります。 カメラ内でのノイズ低減は、「高感度ノイズリダクション(NR)」と「長秒時ノイズリダクション(NR)」の2つがあり、どちらも、撮影メニューの中で設定できます。 「長秒時ノイズリダクション」は「入」、「切」の2種類が設定可能となっています。「入」にした場合には、1秒または1秒よりも遅いシャッター速度の時に、シャッターを開いていた時間と同じ時間だけノイズ軽減処理がかけられます。撮影条件によっては、「入」でも長秒時ノイズリダクションを行わない場合もあります。 「高感度ノイズリダクション」は、「切」、「弱」、「標準」の3種類から選択することになります。最高でも「標準」となっている点はフラグシップ機α99(製品レビュー)と同じであり、描写性能を重視していることを感じさせます。なお、「弱」や「標準」に設定した場合でも、RAWファイルには変更は加えられませんので、後から編集することも可能です。 α7では、高感度ノイズリダクションを「切」にしても、ISO800まではほとんどノイズを感じません。ISO1600になると、わずかにノイズが見られますが、気になるレベルではありません。ISO3200では、暗部を中心にややノイズが目立ってきますが、このあたりも問題なく常用できるレベルだと感じました。 高感度ノイズリダクションを「弱」にすると、概ね1段程度ノイズ感が低減されます。とくにISO3200以上の高感度側で、ノイズリダクション効果が確認できます。 高感度ノイズリダクションを「標準」にすると、さらにノイズ感が軽減されます。ISO12800以上では解像感の低下もやや目立ってきますが、フルサイズ24メガ画素の基礎力もあり、等倍でも活用できるレベルにとどまっていると思います。 下記のサンプルは、高感度ノイズリダクションを「切」、「弱」、「標準」の3段階で各ISO感度の撮影を行ったものとなります。表示画像はほぼ等倍画像ですが、クリックすると全体画像が表示されますので、あわせて比較をしていただければと思います。
ISO50(左から「切」「弱」「標準」) 描写力チェック2:解像度ソニー α7のイメージセンサーは有効2430万画素です。今回テストに使用したFE28-70mmF3.5-5.6 OSS SEL2870は、とくに中心部はズーム全域で絞り開放から極めて良好な解像力を持っています。今回のテストでは、画像周辺部も良好であることから、50mm域で2段絞ったF9.0のもので確認を行いました。視覚解像度チェック用ライン、限界解像度チェック用ラインとも、余裕をもって2500本ラインの識別が可能であり、イメージセンサーの画素数を活かしていると感じました。
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限界解像度チェック用のラインでは、2500本まで楽々と視認できています。モアレもほとんど発生していません。
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横方向の限界解像度チェック用のラインでも、同様に2500本域まで余裕をもって視認できています。
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横方向の限界解像度チェック用のラインでも、同様に2500本域まで余裕をもって視認できています。
描写力チェック3:レンズ収差補正機能ソニーα7には、レンズの特性による歪曲収差を軽減する機能があります。補正項目としては、周辺光量低下(画面の周辺部が暗くなる)、倍率色収差(画面周辺部での色ずれ)、歪曲収差(画面のゆがみ)の3つがあり、自動補正に対応したレンズでのみ設定できます。テストに用いたのは、FE28-70mm SEL2870で、広角端28mm域の絞り開放で確認をしました。なお、FE28-70mm SEL2870のレビュー記事でも記載しましたが、このレンズでは周辺光量補正と倍率色収差は「オート」と「切」から選択できますが、歪曲収差は「オート」のみで「切」は選択できません。ズーム全域で歪曲収差が比較的良好に補正されているところを見ると、おそらく「オート」が機能しているものと思われます。 テストした結果、レンズ補正機能で極めて良好に補正されることが確認できました。歪曲収差、周辺光量不足、倍率色収差とも、きれいに補正されています。 焦点距離:28mm F3.5 機能チェック(おまけ):連続撮影枚数ソニーによると、α7の連写性能は次の通りです。
使用したメモリーカードは高速タイプのものです。 (SanDisk ExtremePro Class10 Read 95MB/s Write 90MB/s)
α7は、フルサイズの上級機としてしっかりとした連写性能を持っていることが確認できました。一番データ容量の大きいRAW+JPEGでも、連続撮影時には33コマ、速度優先連続撮影時には25コマの連続撮影が可能で、その後も1.2コマ/秒のペースでカード容量一杯まで撮影が可能でした。 α7の場合、連続撮影、速度優先連続撮影のどちらでも、連写中にピントと露出を合わせ続けることが可能ですので、両者の違いは連写速度だけとなります。なお、α7Rでは速度優先連続撮影時にはピントを合わせ続けることはできません。 α7のRAWは14bitで記録されますが、長秒時ノイズリダクションやバルブ撮影、連写時には12bitRAWでの記録となります。 バッファーが一杯になった時にもたつく感じは感じられませんでした。 4.結局、α7は「買い」か?独断 素晴らしい! ![]()
独断 もう一息! ![]()
Sponsored Links 付録.製品仕様からみた α7の特長
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