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特集 αNEX-3N
ソニー αNEX-3N~ズームレバーを内蔵した最小サイズのNEX |
ソニー αNEX-3N
by Inaba Kunio
ズームレバーを内蔵した最小サイズのNEX 評価:5.0
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1.ソニー αNEX-3Nの位置づけと概要小型軽量のエントリーNEXソニーがミラーレスカメラに参入してから、そろそろ丸3年になります。この間にリリースされたボディは9機種で、そのうちの2機種は電子ビューファインダーを内蔵したものとなります。
αNEX-3N(左側)とαNEX-5N(右側)。NEX-3Nはエントリークラスに位置づけられるものの、NEXシリーズ最小最軽量クラスとなっています。
もう一つの特徴は「ミラーレスのエントリー機として求められる機能・性能を吟味したカメラ」という点です。主なユーザー層は、コンパクトカメラからのステップアップ層であり、そうした方々が求める機能を搭載する一方で、あまり重視されない点は大胆に省いています。 加えた点でいえば、まずは上記で記載したボディサイズがあり、シャッターボタンと同軸に配置されたズームレバーも、その一つとなります。NEX-F3から引き継いだ180度反転する液晶モニターも、自分撮りには活躍する機能となります。 他方で、エントリーカメラとしてあえて省略されたものとしては、外付電子ビューファインダーに必要なスマートアクセサリーターミナルを筆頭に、解像度が下げられた液晶パネル、連写性能や連続撮影可能枚数、アンチダスト機能などをあげることができます。
NEX-3Nで新たに設けられたズームレバー。
【αNEX-3NとαNEX-F3、αNEX-5Rの比較】
それでは実際に、「エントリー層を重視した」新型ミラーレス、αNEX-3Nの実力をテストしてみます。 ![]()
2.ソニー αNEX-3Nを開封し外観をチェックソニー SONY αNEX-3Nを開封する2月25日に国内発表となったNEX-3Nが、3月8日に発売開始となりました。販売形態は、16-50mmF3.5-5.6の電動ズームがセットになったパワーズームレンズキットと、これに55-210mmF4.5-6.3望遠ズームもセットになったダブルズームレンズキットの2種類です。発売開始時点の実売価格は、5万円台中頃と8万円弱となっています。ボディカラーは、シルバーとピンク、ブラックの3種類でNEX-F3と同じです。今回は、ボディに新設されたズームレバーもチェックしたかったため、ブラックモデルのパワーズームレンズキットを購入しました。
ソニー αNEX-3N パワーズームレンズキットのパッケージ。白を基調とした箱に、本体とレンズの写真が印刷されています。箱自体はコンパクトで「間違えて本体のみを買ってしまったかな?」と思うくらいです。NEX-3Nはボディ単体では販売されていませんが。
ケースを開けると、上に取扱説明書や保証書等が入っています。保証書はレンズキットとして1枚のものです。オレンジ色の紙は製品登録の案内用紙です。ソニーに登録
紙類の下に本体が入っています。左側に見えるのが、16-50mmパワーズームを装着したカメラ本体です。レンズキャップも付いていますが、レンズのマウント側キャップや、ボディ側のキャップは付属しません。右側にはACアダプター等の付属品が入っています。
付属品です。左上より取扱説明書、ACアダプターAC-UB10C、バッテリーパックNP-FW50、マイクロUSBケーブル、ショルダーストラップ。取扱説明書は92ページの簡易版で、詳細は「αガイドブック」をソニーサイトからダウンロードする必要があります。ソフトウェア「PlayMemories
Home」、「Image Data Converter」も、ソニーサイトからダウンロードします。 ソニー SONY αNEX-3Nの本体をチェック
ボディ全面。NEXシリーズ最小であったNEX-5シリーズと同等サイズとなっています。ボディよりも高さのあるマウント部が特徴的です。
APS-Cサイズのイメージセンサー。NEX-3Nにはごみ取り機能は搭載されていませんので、時々チェックが必要です。なお、レンズを固定するマウント部と、バヨネット爪を噛み合わせる部分は別の金属部品となっています。これは他のNEX機や一部のαAシリーズでも同様です。
ボディの液晶モニター側。背面側のインターフェース関係は、NEX-F3のものを踏襲しています。液晶パネルはどちらも3型ですが、NEX-F3の92万ドットから46万ドットへとダウングレードしています。
ボディ上面。NEX-F3よりも小型化されたため、スマートアクセサリーターミナル2が省略されています。外付電子ビューファインダーが使用できないのは残念ですが、代わりに内蔵ストロボがレンズ光軸上に置かれています。
ボディ底面。三脚用の穴はレンズ光軸上に置かれています。バッテリー室にはバッテリーのみが格納されます。ボディ本体は日本製。
カメラ左側面。こちら側には外部接続端子とメモリー挿入口が置かれています。ストラップ取り付け部は、上位機種と同じ三角環方式を採用しています。
ボディ右側面。グリップ部の形状が変わりましたが、厚めのゴムが貼付されています。
マウント上部には「E-mount」の文字が印字されています。その右にある白丸はレンズ取付指標です。
ボディ右上にある「α」のロゴ。彫り込まれており高級感があります。
ボディ右下にはイメージセンサーのサイズである「APS-C」の文字が印字されています。NEXシリーズが登場した時点では、APS-Cサイズのセンサーを搭載してるミラーレスカメラは他にありませんでしたが、現時点では富士フイルム、キヤノン、ペンタックスもリリースしています。
ボディ左上にある「SONY」のロゴ。彫り込まれた中に白いインクが流し込まれています。左下にあるランプは、AF補助光、セルフタイマーランプ、スマイルシャッターランプを兼ねるもの。
しっかりとしたグリップですが、NEXシリーズの中では一番小型です。ゴムが調布されていますので、ホールド感は良好です。
シャッターボタン周辺部。シャッターボタンの周りにあるリングは二重化されており、下側は電源スイッチ、上側がズームレバーとなります。コンパクトカメラと同じ操作感でズーミングが可能です。反応性も良好で、レンズのズームスイッチと同等のレスポンスでした。
動画ボタンは押しやすい位置に置かれています。再生ボタンは、動画ボタンの横からボディ上面に移設されました。
メインコントロール部。モードダイヤルは搭載されていないため、メニュー操作で切り替えます。横長の液晶画面を生かして、画面の右端にボタン機能のガイドが表示されます。
内蔵ストロボの両側にステレオマイクが内蔵しています。機種ロゴの右にあるのは、イメージセンサーの位置を示す指標で、被写体との距離を測る基準面となります。フラッシュポップアップボタンは機械式のため、電源が入っていなくても稼働します。ボタンの下にある突起は、液晶モニターを180度回転させた時のクッション(左側)です。
ボディ底部のバッテリー室カバーを開いた状態。蓋部分にはバッテリー挿入方向の刻印がされています。メモリーカードはボディ左側に挿入口が設けられています。
バッテリーを挿入しつつある状態。バッテリーパックは多くの機種で採用されているNP-FW50を使用します。NEX-3Nはボディ内充電に対応しているため、使い方によってはバッテリーパックを出し入れする機会はほとんどないかもしれません。
ボディ左側面の外部接続端子カバー内。マルチ/マイクロUSB端子、HDMIマイクロ端子の右側にメモリーカードスロットが置かれています。
メモリーカードを挿入しつつある状態。ラベル面はボディ前面側となります。
レンズキットに同梱されている「E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS SELP1650」を装着した状態。このレンズは沈胴方式のため、電源を切った状態では薄型レンズと同等の厚さとなります。
電源を入れるとレンズは自動的に伸長します。写真の状態は広角端で、28mmあたりで一番レンズ長が短くなります。望遠端では、広角端よりもわずかに短くなります。
内蔵フラッシュをポップアップさせた状態。レンズ光軸上に設置されているため、比較的不自然な影が出にくくなります。
液晶パネルは3型46万ドットですが、アスペクト比は16:9であるため、最大サイズの静止画(アスペクト比は3:2)を表示すると、右端はガイダンスとなります。ボタンやダイヤルの機能が表示されるため操作がわかりやすくなる半面、画面表示部自体は小さくなります。
これは拡大文字を表示させるモードです。上の写真と比較すると文字が大きくなっていることがわかります。
液晶パネルを稼働させた状態。接続軸は1軸のため、上方向にのみ稼働します。
液晶モニターを180度開いた状態。表示内容は自動的に反転しています。
液晶モニターを180度開いた状態。完全に直立しています。
ボディ本体の重さは実測で209gでした。メーカー公表値は210gですので、わずかに軽い結果となりました。 ソニー SONY αNEX-3Nの付属品をチェック
ACアダプター AC-UB10。バッテリーパックをボディ内に格納した状態で充電します。NEX-6と同じ方式です。充電には最大で290分かかります。
付属するUSBケーブルをACアダプター下部に挿入し、ボディと接続します。
プラグ部分は回転するため、持ち運びには便利です。
付属するリチャージャブルバッテリーパック NP-FW50。容量は7.2Vで1020mAhとなっており、静止画であれば最大480枚の撮影が可能です。NEXシリーズはすべてこのバッテリーパックを使用しますが、NEX-3Nが一番枚数を多く撮影できます。
ふぞくするUSBケーブル。充電やパソコン等との接続に使用します。
付属するストラップ。細いタイプでややチープな印象を受けますが、つくり自体はしっかりしています。
カメラの液晶面には注意書きのシールが貼付されています。パソコンと接続する前に、ソニーサイトからソフトウェアをダウンロードする必要があります。 Sponsored Links 3.ソニー αNEX-3Nの描写性能はどうか?描写力チェック1:高感度性能NEX-3Nの基本感度はISO200で、高感度側はISO16000まで設定できます。ノイズ低減処理は、カメラ内で設定する方法と、RAWで撮影しパソコン上で行う現像段階でする方法があります。カメラ内で設定した場合、RAW画像には処理は加えられません。カメラ内でのノイズ低減は、「高感度ノイズリダクション」と「長秒時ノイズリダクション」の2つがあり、どちらも「セットアップ」の中で設定します。 「高感度ノイズリダクション」は「標準」、「弱」の2種類があり、「弱」では高感度ノイズリダクションの処理が弱めにかけられます。「切」の設定はありません。初期状態では「標準」に設定されています。なお、おまかせオートやシーンセレクション、スイングパノラマなどではノイズリダクションはかけられません。 「長秒時ノイズリダクション」は、「入」と「切」のどちらかに設定します。「入」にすると、1秒以上のシャッタースピードの場合、シャッターを開いていた時間と同じ時間、ノイズ軽減処理が加えられます。連続撮影時や連続ブラケット、スイングパノラマ時等には「切」に固定されます。初期状態では「入」に設定されています。 高感度ノイズ低減を「弱」にすると、ISO1600まではほとんどノイズ感は感じられません。ISO3200あたりから暗部を中心に徐々にノイズが現れてきますが、ISO6400までなら十分実用的なノイズレベルとなっています。ISO12800以上になるとノイズ感と解像感の低下が感じられますが、縮小するなど使い方によっては十分利用できる画質です。テストをした実感では、同じ16メガ画素のNEX-6と同等の高感度性能であるように感じました。 高感度ノイズ低減を「標準」にすると、ノイズレベルはさらに低下します。概ね1段分程度は改善されますので、基本的には初期設定のままで良いと思います。それでもISO16000になると、かなり解像感が低下しますので、縮小するなど活用方法に工夫は必要です。 下記のサンプルは、高感度ノイズリダクションを「弱」、「標準」の2段階で各ISO感度の撮影を行ったものとなります。等倍画像を表示してますが、クリックすると全体画像も表示されますので、あわせて比較をしていただければと思います。なお、長秒時ノイズ低減については、高感度ノイズ低減「弱」の時には「切」、「標準」では「入」に設定しています。
ISO200(左から「弱」「標準」) 描写力チェック2:解像度NEX-3NのイメージセンサーはNEX-6と同じ有効1610万画素ですが、総画素数は異なるため、完全に同じものではないようです。今回テストしたPZ 16-50mmF3.5-5.6の結果は、沈胴型の小型レンズであるにもかかわらず、中心部は開放から優れた解像力を示しました。また、絞るほど解像感の向上も見られ、開放から2段絞ったF7.1が解像感の上では一番良好でした。周辺部については、やや画像の流れが目立ちました。NEX-3Nには、レンズ補正機能(周辺光量、倍率色収差、歪曲収差)の補正機能がありますので、積極的に活用することをお勧めします。なお、このレンズでは、歪曲収差については自動的に「オート」となり、補正効果を切ることはできません。 今回は一番高い解像力を示したF7.1でチェックを行いました。視覚解像度チェック用ライン、限界解像度チェック用ラインとも、2500本ラインを超えており、しっかりした解像力を示しました。 下記の画像は等倍画像ですが、クリックすると元画像が開きますので、あわせてご参照ください。
視覚解像度チェック用のライン(左側の縦線)、限界解像度チェック用のライン(右側の横線)でも、2500本を超えるところまで楽々視認可能。
横方向の限界解像度チェック用のラインでも、2500本ラインまで視認可能。
画像周辺部については、F7.1まで絞ってもレンズ収差がやや目立ちます。
(周辺光量、倍率色収差の補正は「切」、歪曲収差は「オート」で撮影)
レンズの収差補正を機能させると、良好に補正されることがわかります。
(周辺光量、倍率色収差、歪曲収差を「オート」で撮影。) 描写力チェック3:レンズ補正機能「解像力チェック」でも記しましたが、NEX-3Nにはレンズ補正機能があります。補正内容は、周辺光量補正、倍率色収差補正、歪曲収差補正で、NEX純正レンズ使用時のみ有効となる。また、今回テストしたPZ 16-50mmもそうですが、レンズによっては「歪曲収差補正」に関しては「オート」のみとなります。カメラの初期状態は、周辺光量補正と倍率色収差補正は「オート」、歪曲収差補正は「切」となっています。下記はPZ 16-50mmF3.5を絞り開放状態でテストしたもので、上側が周辺光量補正と倍率色収差補正を「切」にしたもので、下側がどちらも「オート」にしたものとなります。 別の焦点距離については、E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS SELP1650(テストはNEX-6で実施) でもチェックしているので参考にしていただければと思います。 周辺光量補正、倍率色収差補正のいずれも有効に働いており、積極的に活用されるとよいと感じました。 焦点距離:16mm(35mm換算24mm相当) 4.結局、ソニー αNEX-3Nは「買い」か?独断 素晴らしい!![]()
独断 もう一息! ![]()
Sponsored Links 付録1.製品仕様からみた αNEX-3Nの特長
Sponsored Links 付録2.発売前のファーストレビュー【一口コラム】 ズームレバーを内蔵した最小NEX2月20日、ソニーヨーロッパは、新型のレンズ交換式デジカメを2機種発表しました。Aマウントのα58と、EマウントのNEX-3Nで、どちらもエントリーモデルの位置づけとなります。NEX-3Nを最初に見た時、まずはズームレバーを内蔵している点に目が留まりました。レンズ固定式のコンパクトカメラでは一般的な機能ですが、レンズ交換式カメラでズームレバーを搭載したものはなかったように思います。唯一、カメラユニット交換方式のリコーGXRにはズームレバーがありましたが、いずれにしてもレンズ交換式カメラにズームレバーを内蔵するということは「ありそうでなかった」と言えるでしょう。 ※パナソニックLUMIX DMC-G5に搭載されている「ファンクションレバー」では、ズーミング操作または露出補正をカメラ側で操作可能でした。お詫びして訂正するとともに、ご指摘くださった方に感謝申し上げます。 ズームレバーをカメラ本体に持つメリットは、コンパクトカメラと同じように操作できるということに尽きると思います。このことは、単にコンパクトカメラからのステップアップユーザーにとってわかりやすい、ということだけを意味するのではなく、右手だけで基本的なカメラ操作ができることにもつながります。「ズーム操作は左手で行うもの」という撮影方法はフィルムカメラ時代から定着したスタイルですが、動画撮影をはじめ右手だけで完結する方が望ましいシーンは決して少なくありません。 NEX-3Nの特徴は、大幅に小型化された点にもあります。NEX-F3と比べて小さいだけでなく、今までの最小モデルであったNEX-5Nと比較しても小型化されています。重さもNEX-5Nと同じとなっていますので、NEX-3Nは「最小最軽量のNEX」であると言えます。 NEX-3Nと比較すると、主な違いは次の通りとなります。
αNEX-3N(左側)とαNEX-3F(右側)。ボディ形状が一回り小型化されるとともに、高級感も増しています。ストラップ取付部も三角環方式に変更されています。
αNEX-3N(左側)とαNEX-3F(右側)。背面側のインターフェース関係は、ほぼNEX-F3を踏襲しています。液晶パネルはどちらも3型ですが、92万ドットから46万ドットへとダウングレードしています。なお、どちらもタッチパネルではありませんが、180°反転させての自分撮りが可能です。
αNEX-3N(左側)とαNEX-3F(右側)。ボディ幅が短くなり、アクセサリーポートが省略されています。また、シャッターボタンの同軸にズームレバーが新設されています。
αNEX-3Nのズームレバー部分を拡大したもの。この部分だけを見ると、ズームコンパクトカメラを感じさせます。
型番からも、NEX-3NはEシリーズの新しいエントリーモデルとなります。このままの仕様で国内販売されるかどうかは不明ですが、より魅力を増した機種に仕上がっていると思います。 (2013年 2月20日 記) 本日、国内でも正式発表となりました。基本的には海外発表されたものと同じですが、動画撮影についてはやはりフルHD・60iでの撮影が可能となっています(海外モデルでは50iまで)。 発売は3月8日の予定で、16-50mmパワーズームのキットが5万円台、これに55-210mm望遠ズームも付いたダブルズームレンズキットは8万円弱となっています。 (2013年 2月25日 記)
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【厳選レビュー記事】◎ITmedia ぐっと引き締まったエントリー向けNEX ソニー「NEX-3N」2013年 3月19日 編集部
◎デジカメWatch ソニー、Eマウントエントリーモデル「NEX-3N」2013年 2月25日 編集部
◎AVWatch ソニー、ズームレバー搭載の低価格ミラーレス「NEX-3N」2013年 2月25日 山崎健太郎
◎デジカメWatch ソニー、ボディにズームレバーが付いた「NEX-3N」を海外発表2013年 2月20日 編集部
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【ソニー αNEX-3N 基本仕様】
ソニー αNEX-3N メーカー製品仕様のページ |
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