ローパスフィルター効果を調整可能なフラグシップ
K-3の発売が開始されました。前機種となるK-5II/K-5IIs(製品レビュー)は2012年10月の登場でしたので、約1年での世代交代となります。K-5IIはK-5(2011年10月)のマイナーバージョンアップ機で、ローパスフィルターレスモデルであるK-5IIsが一緒にリリースされた点が特徴的でしたが、今回はイメージセンサー周りを含めたフルモデルチェンジとなっています。
→発売前の記事「ローパスフィルター効果を調整可能なフラグシップ」。
前機種となるK-5II/K-5IIs。デザインやサイズは踏襲しています。
K-3の特徴は、次のとおりです。
- イメージセンサーは有効1628万画素から2435万画素へと高画素化。サイズはAPS-Cサイズで同じですが、わずかながら小型化されています。
- 画像処理エンジンはPRIME IIからPRIME IIIにバージョンアップされ、常用でISO51200に対応。
- ローパスフィルターは搭載されていませんが、イメージセンサーユニットを微細に振動させることで、モアレ低減効果を実現しました。効果をOFF、TYPE1(弱)、TYPE2(強)から選択できるようになっています。(ローパスセレクター機能)
- 新たにマルチパターンオートホワイトバランスが加わりました。これは、画像全体を分割し、領域ごとの光源にあったホワイトバランスを設定するものです。ペンタックスブランドのカメラでは初搭載。
- 8.6万画素のRGB測光センサーの搭載でAE性能を向上させるとともに、AF精度の向上にも寄与。
- AFセンサーはSAFOX XからSAFOX 11に進化。測距点は11点(うちクロス測距点は9点)から27点(うちクロス測距点は25点)になるとともに、中央とその上下の3点はF2.8光束対応。-3EVでの測距にも対応。
- 外装は、上面、下面、前面に加え、背面もマグネシウム合金化。防塵防滴性能。
- 連写速度は最高7コマ/秒から8.3コマ/秒に。RAWで23コマ、JPEGで60コマの連写が可能。(K-5IIではRAWで20コマ、JPEGで30コマ。)
- 動画はフルHDで25fpsから60iに強化。
- モードダイヤルは、ロック有無の切替が可能に。
- ファインダー視野率は100%、倍率も0.92倍から0.95倍に拡大。明るさも向上。
- 液晶モニターは3型92万ドットから3.2型104万ドットへと大型化。
- メディアはダブルスロットに対応。
- USB端子は2.0から3.0に。AV出力機能は省略。
- 純正オプションとして無線LAN内蔵SDHCメモリーカード「FLUCARD FOR PENTAX 16GB」(O-FC1)を用意。スマートフォンでのリモート操作にも対応。
描写性能や連写機能など全般的に進化していますが、やはりローパスフィルター効果を切り換えることのできる「ローパスセレクター機能」が注目されます。これはボディ側の手ぶれ補正機能を活用した仕組みで、自動水平補正機能やGPSユニットO-GPS1によるアストロレーサー・簡易天体追尾撮影と並ぶ新たな機能となります。ペンタックスならではのユニークで実用的な特長であると思います。
K-3の魅力は?
フィルム時代からの主要カメラメーカーの中で、フルサイズ機を出していないのはオリンパスとペンタックスのみとなりました。オリンパスは早い段階でフルサイズの1/4の面積となるフォーサーズ/マイクロフォーサーズ規格に特化したのに対し、ペンタックスではフルサイズ機の噂が何度も浮上してきました。今回、K-3の名前がネット上に流れた当初も、「いよいよフルサイズ機か」という予測が一部でされていました。
描写性能だけを見れば、まちがいなくフルサイズ機はAPS-Cサイズ機を凌駕しますが、カメラのサイズやバランス、レンズシステムなどを考えると、必ずしも「大は小を兼ねる」という関係ではないことも確かです。比較的コンパクトなボディの中に、フラグシップ機の実力を持たせたK-3は、ペンタックスらしさにあふれた魅力的なカメラであると思います。
K-3のミラーボックス。ペンタックスのKマウントも、フィルム時代からの互換性を概ね持っています。
それでは、ペンタックスの新型フラグシップ機、K-3の実力をテストしてみたいと思います。
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