前回は、高級コンパクトの選び方について、5つのポイントを整理しました。「目的を整理する」「ズームレンズか単焦点レンズか」「機能面への目配り」「操作性については?」「旧機種でもいい?中古はだめ?」という項目に沿って考え方をまとめましたが、今回は具体的に各現行機種をどう見るか、注目すべきポイントについてまとめてみたいと思います。
なお、あわせて「お勧めの高級コンパクト 2014年4月版」もご参照いただければと思います。
高級コンパクトの選び方(具体編その1)単焦点モデル
ソニー サイバーショット DSC-RX1/DSC-RX1R:デジタル一眼レフを超える圧倒的な描写力
2012年11月に登場したDSC-RX1と、そのローパスフィルターレスモデルであるDSC-RX1R(2013年7月)の特長は、35mm版フルサイズイメージセンサーに、35mmF2.0の単焦点レンズを搭載したという点にあります。
このカメラの描写性能を超えるには、ハイエンドのレンズ交換式カメラに大口径単焦点レンズをセットにしなければならないほどの超弩級コンパクトカメラです。18万~21万円程度の実売価格も、そのことを考えると「格安」かもしれません。
「素晴らしい!」ポイント
- フルサイズの大型センサーに素晴らしい描写性能のレンズをコンパクトカメラとして実現。
- 有効24メガ画素を活かした圧倒的な解像力。
- T*の名に恥じない、絞り開放から文句ない描写性能を示したレンズ。
- ISO25600まで設定可能な高感度性能。(ISO3200までは常用可能。)
- ボタンやダイヤルなどを多用した直観的なインターフェース。
- コンパクトカメラとしては高い連写性能と連続撮影可能枚数。
- きびきびと動きテンポよく撮影可能。
- オプションで電子ビューファインダーにも対応。
- 高級感があり品格のあるボディ。
「もう一息!」ポイント
- コンパクトカメラとしてはやや大きいボディ。
- 十分高速だが、さらに期待したオートフォーカススピード。
- 手ぶれ補正機能は非搭載。(このクラスの他機種も同様。)
- クラスを考えるとやや簡素な取扱説明書。(サイトから詳細版の入手は可能。)
- 18万円を超える絶対額。(中身を考えると相対的には格安。)
実機詳細レビュー:ソニー サイバーショット DSC-RX1
リコー GR:大型センサーを搭載した待望のGR
2013年5月に登場したGRの特長は、リコーGR DIGITALシリーズで初めてAPS-Cサイズ・イメージセンサーを搭載した点にあります。
初代GR DIGITALが登場したのが2005年10月で、その後2年おきにモデルチェンジがされてきました。初代登場時から、2/3型やAPS-Cサイズのセンサーも検討されたようですが、当時の要素技術ではボディサイズが極端に大きくなってしまうため断念したという経緯もあります。その後約8年の年月を経て、やっと念願を果たすことができたと言えます。
「素晴らしい!」ポイント
- APS-Cサイズ有効1620万画素を活かした描写性能。
- 周辺部を含め高い描写性能を示したレンズ。
- ISO25600まで設定可能な高感度性能。(ISO3200までは常用可能。)
- ボタンやダイヤルなどを多用した直観的なインターフェース。
- スナップカメラとしては実用十分な連写性能と連続撮影可能枚数。
- 電源ON・OFF時間を大幅に短縮するなど、高い速写性。
- アクセサリーシューにオプションの光学ファインダーを装着可能。
- 持ち運びが容易なスリムボディ。
- マグネシウム合金の採用など道具としての魅力を持ったボディ。
「もう一息!」ポイント
- クラスを考えると、もう一息の連続撮影可能枚数。
- センサーサイズを考えると、もう一息の高感度性能。
- 外付けでも電子ビューファインダーには非対応。
- 手ぶれ補正機能は非搭載。(このクラスの他機種も同様。)
- 薄型ボディの割に重量感を感じるボディ。(クラスの中では最軽量。)
実機詳細レビュー:リコー GR
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ニコン COOLPIX A:ニコンブランドの本格高級コンパクト
2013年3月に登場したCOOLPIX Aは、ニコン初の本格的高級コンパクトです。デジタル一眼レフと同じAPS-Cサイズのイメージセンサーに、28mm相当F2.8の単焦点レンズを搭載しており、フィルム時代の高級コンパクト28Tiを彷彿とさせるスペックのカメラです。
発売直後は10万円弱と少々高めの価格設定でしたが、現時点では6万円台で購入できますので、コストパフォーマンスの点でも比較的買いやすくなったと思います。
「素晴らしい!」ポイント
- APS-Cサイズ有効1616万画素を活かした描写性能。
- とくに中心部では極めて尖鋭な描写性能を示したレンズ。
- ISO25600まで設定可能な高感度性能。(ISO3200までは常用可能。)
- ニコンのデジタル一眼レフに準じたインターフェース。
- コンパクトカメラとしては実用十分な連写性能と連続撮影可能枚数。
- バッファー開放が早く、撮るタイミングを逃しにくい。
- アクセサリーシューにオプションの光学ファインダーを装着可能。
- ブラックだけでなくシルバーも用意されているボディカラー。
- ニコンのフラグシップ・デジタル一眼レフに準じた高級感のあるボディ。
「もう一息!」ポイント
- 動画専用ボタンは用意されていない。(フルHD動画撮影には対応。)
- D7000やD5100と同等世代のセンサーと画像処理エンジン。
- 絞り開放時、やや鮮明さが落ちる画像周辺部。(2段絞ると良好に。)
- 外付けでも電子ビューファインダーには非対応。
- 手ぶれ補正機能は非搭載。(このクラスの他機種も同様。)
実機詳細レビュー:ニコン COOLPIX A
シグマ DP2 Merrill:Foveonダイレクトセンサーの圧倒的な解像力
シグマのDP Merrillシリーズは、2008年3月に登場したDPシリーズの第二世代モデルとなります。イメージセンサーの大型化をはじめ、カメラ全体がフルモデルチェンジされており、使いやすさの点でもかなり向上しただけでなく、新たに75mm相当F2.8の中望遠単焦点モデルDP3 Merrillもシリーズに追加されました。
先日、第三世代のQuattroもリリースされましたが、概ね5万円台で購入できるMerrillシリーズのコストパフォーマンスの高さは魅力的です。
「素晴らしい!」ポイント
- APS-CサイズのFoveonイメージセンサーが生み出す圧倒的な解像感。
- イメージセンサーに最適化された描写性能を示したレンズ。
- 全体的に軽快となった動作。
- コマンドダイヤルやマニュアルフォーカスリングなど、直接的な操作が可能なインターフェース。
- DPシリーズとしては良好になったボディ内生成のJpeg画質。
- アクセサリーシューにオプションの光学ファインダーを装着可能。
- 28mm相当F2.8、45mm相当F2.8、75mm相当F2.8と揃えられたラインアップ。
- 無駄を省いたシンプルで高級感のあるボディ。
「もう一息!」ポイント
- 他機種と比べると見劣りがする動画性能。
- ISO800以上では目立つ高感度ノイズ。
- バッテリーが2個付属するものの、やや見劣りがするバッテリー性能。
- フラッシュは非搭載。
- 外付けでも電子ビューファインダーには非対応。
- 手ぶれ補正機能は非搭載。(このクラスの他機種も同様。)
実機詳細レビュー:シグマ DP2 Merrill
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