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特集 DP2 Merrill
シグマ DP2 Merrill ~大型化された第二世代Foveonセンサー |
シグマ DP2 Merrill
by Inaba Kunio
大型化された第二世代Foveonセンサーの実力
評価:5.0
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1.シグマ DP2 Merrillの位置づけと概要レンズの限界を明らかにする解像力DP2 Merrillは、SD1と同じイメージセンサーを搭載している。このセンサーの特長は、各画素が直接カラー情報を取得できることからくる圧倒的な解像力である。昨年6月にSD1が登場したとき、カタログに掲載されている写真は、すべてが描写性能に定評のある単焦点レンズを用いたものであった。文字通り、「レンズの限界を明らかにする解像力」を持ったコンパクトカメラがDP2 Merrillであると言えるだろう。シグマDPシリーズの特長は「大型のFOVEONダイレクトイメージセンサーと描写力重視の単焦点レンズを搭載した高級コンパクトカメラ」と一言でまとめることができる。シリーズ最初のDP1が発表された2007年、大きなインパクトを持って受け止められたことは、記憶に新しい。 私自身、DP1発表と同時に予約した一人である。2008年3月時点の実売価格は10万円弱であったものの、当時のデジタル一眼レフの価格を考えると、それほど「高い」という印象もなかった。 DP2 Merrill(左側)とDP2x。大きさは一回り違う。
シグマ以外のデジタルカメラが搭載しているベイヤー方式イメージセンサーとは、Kodakの技術者Bryce Bayer氏が考察したもので、色の識別能力は持たない各画素に赤(R)、青(B)、緑(G)のカラーフィルターをかぶせ、色分解を行うものである。各画素では一つの色の明暗しか識別できないため、画像処理エンジンが周辺の画素情報とあわせて補間処理を行う。被写体に規則的な模様があると、この処理過程で色モアレが発生しやすくなるため、ローパスフィルターによってイメージをぼかす必要があった。当然、このことは解像感の低下につながる。 FOVEON方式のダイレクト・イメージセンサーでは、一つの画素でRGBの色分解が可能である。色モアレ防止のためのローパスフィルターは不要となるため、レンズから受光した光はそのままイメージセンサーに導かれる。 また、FOVEONセンサーは被写体のドットをドットのままで記録するため、補完処理によって色情報を「水増し」しているベイヤー方式と単純に画素数比較はできない。DP2 Merrillの画素数は1536万画素であるが、他の1600万画素イメージセンサー搭載機と比べると、明らかにレベルの異なる解像感を得ることができる。シグマが有効4600万画素と称しているのは、各画素がベイヤー方式の画素の3倍(RGB)分の情報を取得できる、という考えからである。 DP2xからの進化ポイントは?第二世代DPシリーズであるDP2 Merrillが、第一世代から進化した主なポイントは次の点となる。
それでは実際に、シグマの大型センサー搭載高級コンパクトカメラ、DP2Merrillの実力をテストしてみたい。
2.シグマ DP2 Merrillを開封し外観をチェックシグマ SIGMA DP2 Merrillを開封するシグマの第二世代DPシリーズ、SIGMA DP2Merrillが発売された。2月のCIPA+2012で発表され、約半年後のリリースである。店頭での実売価格は9万円前後であり、DP1が登場した時の価格と比べると、やや買いやすくなっている。ボディカラーはブラックのみ。表面処理はDPシリーズのものを踏襲している。
DP2Merrillのパッケージ。今までのDPシリーズは黒いパッケージだったが、Merrillではホワイトパッケージに変わっている。箱の厚みが少々増している。
パッケージを開封した状態。この上に、使用説明書やソフトウェアCD等が入っている。左側がカメラ本体だが、立てた形で入れられている。
同梱されている付属品。左上より使用説明書、ソフトウェアCD-ROM、バッテリーチャージャーBC-41、バッテリーBP-41、ストラップ、AVケーブル。写真には写っていないが、USBケーブルも付属する。 シグマ DP2 Merrillの付属品をチェック
付属のストラップ。コンパクトカメラ用のものとしては、しっかりとしたつくりで高級感がある。
付属するAVケーブル。音声はモノラルとなる。
付属するレンズキャップLCF-2 49mm。DP2 Merrill専用のもの。脱着用のつまみは中央部にあるため、操作しやすい。
レンズキャップの裏側。レンズのフィルター用溝を利用して固定する。 バッテリー関係をチェック バッテリーチャージャーBC-41。比較的小型となっている。充電には140分かかる。
コンセントへの接続部は折り畳み式。サイズも小さく可搬性は良い。DP2ではメガネケーブル方式だったので、改良点といえるだろう。
リチウムイオンバッテリーBP-41。DP2 Merrill用として新たに開発されたもの。容量は1250mAhだが、標準では97枚と、かなり撮影可能枚数は少ない。そのためか、製品にはバッテリーが2個同梱されている。昔、FOMA登場時の携帯電話にも2つ付いていたのを思い出す。 シグマ DP2 Merrillの本体をチェック
ボディ前面。DP2xと比べると一回り大きくなっている。基本的なボディデザインはDPシリーズを踏襲している。
ボディ背面側。液晶パネルが3型へと大型化されたのが目立つ。
ボディ上面。レンズは沈胴式でないこともあり、DP2xと比較するとかなり突出している。モードダイヤルが廃止された一方で、シャッターボタンのまわりにコマンドダイヤルが設置された。使う頻度を考えると、こちらの方が利便性は増すが、やはりコマンドダイヤルも残して欲しかった気がする。
ボディ右側面には外部接続用のUSB端子が格納されている。こちら側のストラップ取付部は背面側に移動している。
ボディ左側面。ストラップ取付部が大型化したため、しっかりとしたストラップが使用できる。
ボディ底面。レンズが片側にシフトされているが、三脚用の穴も一緒にシフトされ、レンズ光軸上に設置されている。ボディ本体は日本製。
このアングルから見ると、DPシリーズであることがわかる。内蔵マイクはレンズの斜め上に設置されている。
今回新たに新設されたコマンドダイヤル。適度なクリック感があり、操作性は良い。
DP2xでは搭載されていた内蔵ストロボは、Merrillでは省かれている。あまり使うことはないとはいえ、あれば便利な機能でもある。アクセサリーシューがあるため、機能は限られるが一般的なストロボの使用も可能。純正品ではEF-140
DG SA-STTLが対応している。
ボディ背面のメインコントロール部。コマンドダイヤルが設置されたことに伴い、一部のボタンが省かれたが、その他はDP2xとほぼ同じ。
ボディ右側の外部接続端子。USB2.0に対応している。
ボディ底面には、バッテリーとメモリーカードが格納される。挿入方向のガイダンスが貼付されている。
バッテリーとメモリーカードを挿入しつつある状態。メモリーカードはラベル面が液晶側となる。
レンズ部分。電源オフ状態ではレンズシャッターが閉じている。
電源をオンにすると、レンズシャッターが開く。こうした動作は、デジタルカメラならではのもの。
液晶パネルは大型化、高精細化されており、視認性も良い。画面は16分割での表示も可能。
レンズの先にはフィルター用の溝が切られている。また、フードもバヨネット式に装着可能となった。レンズ鏡胴部には、マニュアルフォーカスリングが配置されている。滑らかな操作感は撮影意欲を増してくれる。
シグマのロゴとボディ前面の滑り止め。このあたりもDPシリーズで共通となっている。 Sponsored Links 3.シグマ EOS KissX7の描写性能はどうか?描写力チェック1:高感度性能シグマ SIGMA DP2Merrillの基本感度はISO100で、ISO6400まで設定可能となっている。ノイズ低減処理方法としては、RAWで撮影しパソコンでの現像段階で行う方法がある。なお、FOVEONセンサーから生み出される画像データの処理量が大きいため、カメラ本体内で生成されるJPEG画像は、パソコン上で現像したものよりもクオリティが低くなる場合がある。そのため、今回はRAWで撮影し、なにも加工せずにJPEGに出力したものも一緒に評価した。 DP2Merrillに搭載されているイメージセンサーは、DP2xと比べるとサイズは約3割増えているものの、画素数が約3倍となっている。単純に計算すると、画素ピッチは2/3程度へと縮小されているので、高感度ノイズの悪化が危惧された。しかし、結論から言えば、DP2xとほぼ同等レベルの高感度ノイズであった。 JPEG画像でも、ISO400まではほとんどノイズ感を感じさせない。ISO800では、ややノイズが目につくようになるが、問題なく活用できるだろう。ISO1600以上では、やはりJPEG画像では少々ノイズが目立つ。RAWで撮影し、パソコン上で現像するのであれば、ISO1600もぎりぎり利用できるかもしれない。ISO3200以上は、JPEG画像では画像の破たんが見られるが、RAW撮影データをパソコン上で現像すれば、等倍は無理としてもそれなりに使い道はあるように感じた。 DP2 Merrillでは、画像処理エンジンが強化されたため、JPEG画像でもそこそこのレベルとなっている。DP2xまではRAW撮影が基本であったが、MerrillではISO400程度までであれば、JPEGのみの撮影も「あり」だろう。 下記のサンプルは、カメラでJPEG撮影したものと、RAWファイルから何も加工せずにJPEGを出力させたもの比較している。表示画像はほぼ等倍画像だが、クリックすると全体画像が表示されるので、あわせて比較をしていただければと思う。
ISO100(左から「JPEG」「RAW現像」) 描写力チェック2:歪曲収差シグマ SIGMA DP2Merrillは、35mm換算で45mmの単焦点レンズを搭載している。ほぼ標準域のレンズであり、開放F値もF2.8ということで、周辺部にわずかに樽型収差が見られるものの、歪曲収差は極めて良好に補正されている。焦点距離:30mm(35mmサイズ換算45mm) 描写力チェック3:解像力解像力テストでは、イメージセンサーとレンズの両方の実力が試されることになる。いつもの通りISO12233準拠チャートを使用して解像力チェックを行った。チェックの結果は、コンパクトカメラとしてはトップレベルの解像力となっている。画像中心部に関しては、開放絞りから2500本のラインも問題なく識別可能であった。ベイヤー方式の1600万画素イメージセンサーよりも、明らかに解像力が高いことがわかる。 画像周辺部に関しては、絞り開放では中心部と比べるとやや画像が甘くなるが、それでも十分な解像力を示している。さらに1段絞ると、かなり鮮明度が上がる。
30mm域(35mmサイズ換算45mm) F2.8 4.結局、シグマ DP2 Merrillは「買い」か?独断 素晴らしい! ポイント
独断 もう一息! ポイント
Sponsored Links 付録1.製品仕様からみた DP2 Merrillの特長
付録2.発売前のファーストレビュー【一口コラム】 第二世代Foveonセンサーの実力2月のCIPA+2012で発表されたシグマSD2 Merrillがいよいよ7月12日に発売開始となります。シグマSD1に採用されたAPS-C大型センサーがSDシリーズにも搭載されることで、シグマのFoveonシリーズが第二世代へと交代されたことになります。SD2 MerrillをSD2xと比較した時、主な特徴は次の点です。
【DP2 MerrillとDP2xの比較】
最初のDPシリーズであるDP1が登場したのが2008年3月。当時は有効468万画素でもそれほど遜色はありませんでしたが、その後の多画素化の傾向の中では、いかにFoveonセンサーとはいえ、やや見劣りがしたのも事実です。今回SD1と同じ有効1475万画素のイメージセンサーが搭載されたことで、事実上はニコンのD800と同等レベルの解像感を得られたと評されています。実機が登場し次第、直接チェックをしてみたいと思います。 DP2 Merrill(左側)とDP2x。大きさは一回り違う。
もう一つの大きな進化点は、RAWでも7枚までの連写が可能になるなど、全体的にレスポンスが良くなっている点です。DP1からバージョンアップのたびに改良されてきましたが、画像データが大きいだけに、一般的なコンパクトカメラと比べると一つ一つの動きに待たされる感がありました。どの程度改善されたのか、これも実機でのテストが楽しみなポイントです。 逆に気になる点としては、撮影可能枚数が97枚である点や、動画がVGAまでに留まっている点です。使い方を工夫することで対応可能ではありますが、もう一息という気がします。 いずれにしても、発売が楽しみな機種であることは間違いありません。入手でき次第、詳細にチェックしたいと思いますので、期待してください。 (7月4日 記) |
独断 デジカメ対決! どっちが良い? ☆ vs シグマ DP2x |
【厳選レビュー記事】◎マイナビ 4,600万画素センサー搭載コンパクトデジカメ「DP2 Merrill」の実力やいかに?2012年 8月 3日 永山昌克
◎ITmedia 抜群に使いやすくなった唯一無二の超高画質コンパクト――シグマ「SIGMA DP2 Merrill」2012年 7月30日 荻窪圭
◎デジカメWatch ファーストインプレッション:SIGMA DP2 Merrill2012年 7月 4日 鈴木誠
◎デジカメWatch シグマ、「DP2 Merrill」の発売時期について言及2012年 5月25日 編集部
◎デジカメWatch 4,600万画素Foveon X3搭載「DP1 Merrill」「DP2 Merrill」を開発発表2012年 2月 8日 編集部
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