ソニー DSC-RX100シリーズへの対抗馬登場! 【キヤノン PowerShotG7X】
キヤノンから新型高級コンパクトデジカメ、PowerShotG7Xが発表されました。この機種は2014年3月に発売されたPowerShotG1X MarkII(実機レビュー)の下位機種となりますが、イメージ的には小型サイズの高級コンパクトPowerShotS120(実機レビュー)の上位機と見るべきかもしれません。
コンパクトなボディの中に1型イメージセンサーとズームレンズを搭載した姿は、まさにソニー サイバーショット DSC-RX100シリーズ(実機レビュー)と重なるものがあります。初代RX100が登場した2012年6月から2年以上が経過しましたが、やっと真正面から対抗するカメラが登場したと言えます。
2014年2月に登場したPowerShotG1X MarkII(左側)と、2013年9月登場のPowerShotS120(右側)。G1Xに準じた描写性能を、S120に準じたコンパクトなボディに搭載した点がポイントです。
【PowerShotS120との比較】
PowerShotG7X(左側)とPowerShotS120(右側)。G7Xの方が幅2.8mm、高さ1.4mm大きくなっていますが、正面から見たサイズはほぼ同等です。イメージセンサーのサイズは2.7倍違っていることを考えると、このサイズに実装できたことは素晴らしいと思います。ちなみに、ソニーのサイバーショットDSC-RX100M3もほぼ同等サイズです。
レンズ外周のデザインやストラップ取付け部の形状は、PowerShotG1Xと似ていますが、全体的な印象はやはりS120の方に近いように感じます。
PowerShotG7X(左側)とPowerShotS120(右側)。液晶パネルはどちらも3型ですが、イメージセンサーのアスペクト比に合わせ、G7Xでは3:2となっています。どちらもタッチ操作に対応しています。液晶パネル右側にあるインターフェースはS120と似ていることがわかります。
PowerShotG7X(左側)とS120(右側)。ボディ上面のレイアウトも似ていますが、G7Xでは初代G1Xで採用された2段重ねのモードダイヤルとなっており、下側には露出補正ダイヤルが置かれています。イメージセンサーが大型化されるとともに、望遠側も明るいレンズに変わったことから、沈胴時のレンズ部分の張り出しも大きくなっています。ボディ厚はS120よりも約1cmほど増しています。
【参考】PowerShotG1X MarkII(左側)とPowerShotG1X(右側)のボディ上面。G7Xのモードダイヤルは初代G1Xのものに似ていることがわかります。
PowerShotG7Xの主な特長は次の通りです。
- イメージセンサーは有効2020万画素1型 CMOSセンサーで、新設計のものです。PowerShotG1X Mk2は有効1310万画素1.5型CMOS、PowerShotS120は有効1280万画素1/1.7型CMOSですので、解像力の点ではG1Xを超える実力を持っているかもしれません。なお、ソニー サイバーショット DSC-RX100M3は有効2040万画素1型センサーですので、概ね同等レベルの画素数といえます。
- 設定できるISO感度は、ISO125-12800であり、PowerShotS120のISO80-12800とほぼ同等となっています。画素数は 1.57倍、センサーサイズは2.7倍で単純計算すると、1画素あたりの面積は1.7倍となりますので、実際の高感度性能は向上しているものと思われます。なお、PowerShotG1X Mark2の設定可能ISO感度はG7Xと同じです。
- 画像処理エンジンは、PowerShotG1X Mk2やPowerShotS120と同じDIGIC6が搭載されています。
- レンズは24-100mm相当F1.8-2.8で、PowerShotS120の24-120mm相当F1.8-5.7はもちろんのこと、PowerSHotG1X Mk2の24-120mm相当F2.0-3.9と比べても明るいレンズとなっています。とくに望遠端でもF2.8が確保されている点は注目すべきだと思います。ちなみに、DSC-RX100M2と初代RX100は28-100mm相当F1.8-4.9、DSC-RX100M3は24-70mm相当F1.8-2.8ですので、少なくとも仕様上はDSC-RX100シリーズを上回っています。
- 液晶モニターは3型104万ドットのタッチ対応パネルで、上側に180°まで開くことができます。
- PowerSHotG1X Mk2と同様に、Wi-FiとNFCを内蔵しています。
- オートフォーカスはコントラスト方式となっており、PowerShotG1X Mk2と同じ31点のAF枠です。G1X Mk2ではオートフォーカス時間0.22秒、撮影タイムラグ0.25秒でしたが、G7Xでは各々0.14秒と0.18秒に高速化されています。
- ボディサイズは、正面から見るとほぼPowerShotS120並みとなっていますが、厚さは約1cm厚くなっています。これは、主にレンズ部突出部が大きくなったためで、ボディ部分の厚みはそれほど増していないようです。なお、DSC-RX100M3と比べると、ほぼ同等です。また、PowerShotG1X Mk2とでは、一回り以上の差となっています。
- バッテリーは新タイプのNB-13Lが採用されています。容量は3.6V 1250mAhで、静止画で最大310枚の撮影が可能です。ちなみにPowerShotG1X Mark2ではNB-12L(3.6V 1910mAh)が使われており、最大300枚となっています。
【PowerShotG1X MarkIIとの比較】
PowerShotG7X(左側)とPowerShotG1X Mark2(右側)。イメージセンサーのサイズの違いもあり、ボディサイズも2周りは違います。今回、キヤノンがソニーに続き1型センサーを採用したことで、このサイズのセンサーがズームレンズ搭載高級コンパクトの標準仕様になるかもしれません。
PowerShotG7X(左側)とPowerShotG1X Mark2(右側)。液晶パネルはどちらも3型104万ドットで、静電容量方式のタッチパネルです。どちらもチルト可動方式ですが、G1X Mk2では2軸方式のため、下側にも45°まで開くことができます。
PowerShotG7X(左側)とPowerShotG1X Mark2(右側)。レンズ部はもちろんのこと、ボディ厚もかなり差があります。同じPowerShotGシリーズですが、想定している使い方にも大きな違いがありそうです。
【サイバーショット DSC-RX100M3との比較】
PowerShotG7X(左側)とDSC-RX100M3(右側)。ボディサイズはほぼ同等レベルであり、黒を基調としたカラーリングも似ていますが、デザインテイストはPowerShotとサイバーショットの違いを感じさせます。イメージセンサーはどちらも1型ですが、レンズはPowerShotG7Xの方が望遠側に長くなっています。
PowerShotG7X(左側)とDSC-RX100M3(右側)。液晶パネルはどちらも3型ですが、DSC-RX100M3では下側にも45°まで開くことができます。また、格納式の電子ビューファインダーを内蔵している点も違いとなります。
PowerShotG7X(左側)とDSC-RX100M3(右側)。ボディ厚もほぼ同等です。DSC-RX100M3では、左上部に電子ビューファインダー、中央部にフラッシュが内蔵されています。
PowerShotG7Xは1軸方式のチルト液晶となっており、180°反転させての自分撮りも可能です。
PowerShotG7Xは10月3日に発売予定で、発売開始時の価格は6万5千円前後となりそうです。PowerShotG1X Mk2登場時の8万2千円前後と比べると、1万7千円程度安価でのスタートとなります。また、電子ビューファインダーの有無等の違いはありますが、DSC-RX100シリーズと比べてもかなり踏み込んだ価格となっているように感じます。
いずれにしても、やっとソニー サイバーショット DSC-RX100シリーズに対抗できる製品が出てきたことを素直に喜びたいと思います。とくに望遠域が100mm相当になり、F2.8の明るいレンズを搭載した点は選択のポイントになってくると思います。
( by Inaba Kunio)
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