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特集 Nikon COOLPIX P7800
ニコン COOLPIX P7800 ~EVF内蔵の多機能・高級コンパクト |
ニコン COOLPIX P7800
by Inaba Kunio
電子ビューファインダーを内蔵した多機能高級コンパクト
評価:5.0
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1.COOLPIX P7800の位置づけと概要電子ビューファインダーを搭載した多機能カメラニコンの高級コンパクト、COOLPIX P7800が発売開始となりました。前機種であるCOOLPIX P7700(製品レビュー)から1年ぶりでの世代交代で、一番の進化ポイントは電子ビューファインダーを内蔵したことです。0.2型92万ドットと、ミラーレスカメラと比べるとやや小型のEVFですが、電子ビューファインダーを内蔵したコンパクトカメラ自体が極めて限られていますので、貴重な1台であると思います。→発売前の記事【コラム】 EVFを搭載した多機能高級コンパクトはこちら。
COOLPIX P7800は電子ビューファインダーを内蔵。
上記の記事にも記載しました通り、COOLPIX P7800の主な特徴は次の通りです。
P7800のカメラとしての基本機能は、ほぼCOOLPIX P7700と同じですので、P7800は「EVFを搭載したP7700」という捉え方で、概ねあっているように思います。 P7800の魅力は?かなり以前より、コンパクトタイプのデジカメからファインダーが省略されてきています。高倍率望遠ズームを搭載したネオ一眼では電子ビューファインダー(EVF)は標準装備ですが、それ以外の比較的コンパクトなタイプでEVFを内蔵している機種は、キヤノンのPowerShotG16(実像式)とPoweerShotG1X(実像式)、キヤノンPowerShotA1400(実像式)、富士フイルムX20(実像式)、X100S(実像式とEVFのハイブリッド)、パナソニックLUMIX DMC-LF1(EVF)、そしてニコンCOOLPIX P7800の7機種にとどまります。とりわけ、日常的に使えるズームレンズと電子ビューファインダーという条件では、パナソニックのDMC-LF1とCOOLPIX P7800の2機種のみとなります。つまり、この点に、P7800の価値が集約されていると言えます。
EVFを内蔵したコンパクトズーム機は、P7800以外ではDMC-LF1のみ。
それでは、早速COOLPIX P7800の実力をテストしてみます。 ![]()
2.COOLPIX P7800を開封し外観をチェックニコン COOLPIX P7800を開封するニコンのCOOLPIX P7800が発売開始となりました。基本的な性能は、2012年9月に登場したCOOLPIX P7700(製品レビュー)を踏襲していますが、やはりCOOLPIX P7000シリーズでは初となる電子ビューファインダー内蔵機である点がポイントとなります。販売開始時の実売価格は5万4千円前後でした。COOLPIX P7700も5万円強でしたので、おおむね同等レベルでのスタートとなります。 ボディカラーはブラック一色です。他社製品もこのクラスはブラックのみを展開する傾向がありますが、意外とホワイトやシルバーも似合うような気がします。
COOLPIX P7800のパッケージはP7700のものと同じデザインで、型番やカメラの写真が異なっています。やや厚みがある箱です。
蓋を開けると、上に簡易トレイが置かれており、使用説明書や保証書等が載せられています。保証書は国内でのみ有効なものとなります。購入したカメラのS/Nは1xxxでした。
ユーザーガイド等が入っているトレーの下には、カメラ本体や付属品が格納されています。上の白い包みがカメラ本体で、下にストラップやバッテリーチャージャー等が入っています。比較的余裕がある詰め方だと思います。
同梱されている付属品。左上より使用説明書、ViewNX 2 CD-ROM、バッテリーチャージャーMH-24、Li-ionリチャージャブルバッテリー EN-EL14、USBケーブル UC-E16、ストラップ。P7700には付属していたオーディオビデオケーブルは省略されましたが、できればHDMIケーブルが代わりに入ると良いと思います。 ニコン COOLPIX P7800の本体をチェック
ボディ前面。表面は艶消しの塗装がされており、指紋は付きにくくなっています。グリップ部分にはゴムが貼付されています。レンズはD7700と同じもので沈胴式です。
Nikon COOLPIX P7700のボディ前面。基本的なデザインはP7800と共通。
ボディの液晶モニター側。バリアングル可動に対応した液晶モニターと電子ビューファインダーがポイントです。親指部分にはメインコマンドダイヤルが置かれています。
Nikon COOLPIX P7700のボディ液晶モニター側。電子ビューファインダーがない以外は基本的にP7800と同じですが、EVFの部分にクイックメニューダイヤルがあり、モニターボタンとクイックメニューボタンが表示切換ボタンとなっています。
2軸方式のバリアングル可動ができるため、モニター面を保護することができます。P7800にはファインダーがあるため、この状態のままでも通常の撮影が可能です。
ボディ上面。電子ビューファインダーの部分が張り出しており、機種名のロゴが印字されています。P7700にあったクイックメニューダイヤルは、スペースの関係で省略されています。モードダイヤルの設定項目はP7700と同じです。
Nikon COOLPIX P7700のボディ上面。電子ビューファインダーのところにクイックメニューダイヤルが置かれています。
ボディ底面。P7100やP7700と同様に、三脚用の穴はレンズ光軸からシフトした位置にあります。概ねボディ中央となりますので、バランスの面ではメリットがありますが、三脚に装着した状態での使い勝手では、やはり光軸上にある方に分があると思います。
ボディ左側面。外部マイク端子とアクセサリーターミナルが設けられています。中央部下部の7つの穴はスピーカー用のものです。ストラップ取り付け部は三角環方式となっており、取り回しの自由度が高くなります。
ボディ右側面。こちら側にはHDMIミニ端子とUSB端子が置かれています。中央部下部にある切欠きカバーは、別売ACアダプター使用時のパワーコネクターカバーです。
ボディにはNikonのロゴを刻印した中に白いインクが流し込まれています。ロゴの下にあるのはリモコン受光部。ロゴの左にある穴はステレオマイクの左側。
レンズ左下にはファンクションボタンFn1があります。P7700やP7100と共通です。カメラを構えた時に、押しやすい位置です。
高級コンパクトとしては比較的大型のグリップが設けられています。形状はP7700と同じです。グリップ上にはサブコマンドダイヤルが置かれています。
軍艦部上部のメインコントロール部。こちら側はすべてP7700のものと共通です。露出補正ダイヤルが単独で設けられている点も特徴的です。
液晶モニター側から見た軍艦部右側のメインコントロール部。こちら側にあるメインコントロールダイヤルと、グリップ部上部にあるサブコマンドダイヤルの2ダイヤル方式のため、上級クラスのデジタル一眼レフと同等の操作性を確保しています。
電子ビューファインダーの右側に視度調整ダイヤルが置かれています。その右にあるモニターボタンは液晶モニターと電子ビューファインダーの表示切換に使います。その右にあるクイックメニューボタンは、画質やISO感度、ホワイトバランス等の設定に使用します。
液晶モニター右側のメインコントロール部。基本的なインターフェースはP7700のものを踏襲しています。
新設された電子ビューファインダーの接眼部。アイセンサーは搭載されていないため、液晶モニターとの切換はモニターボタンで明示的に行います。また、液晶モニターを反転させた場合には、自動的に電子ビューファインダーに切り換ります。
ファインダー接眼部の左側にあるストロボポップアップボタン。機械式のため、電源が入っていない状態でも機能します。
ボディ左側上部にある外部マイク入力端子のカバーを開いた状態。
同じくボディ左側下部にあるアクセサリーターミナル端子のカバーを開いた状態。ここにはワイヤレスリモートコントローラー WR-R10やワイヤレスモバイルアダプター
WU-1a、GPSユニット GP-1Aなどを装着できます。
ボディ軍艦部中央にはアクセサリーシューが設けられています。出荷時にはアクセサリーシューカバーBS-1が装着されています。
新設された電子ビューファインダーの上部には、機種名が印字されています。ちなみにP7700では、ポップアップストロボの上部に印字されていました。
ボディ右側面にある外部接続端子カバーを開いた状態。上からHDMIミニ端子、USB/オーディオビデオ出力端子となります。
内蔵ストロボをポップアップさせた状態。ISO感度オートでは、広角端で10mまで、望遠端では5.5mまでの照射が可能です。
ボディ底面のバッテリー室カバーを開いた状態。メモリーカードの挿入方向を示すシールが貼付されています。
バッテリー室側面には、バッテリー挿入方向のガイダンスシールが貼付されています。
バッテリーとメモリーカードを挿入しつつある状態。メモリーカードはラベル面が液晶モニター側となります。これはデジタル一眼レフを含め、ニコンの共通仕様です。
液晶モニターは3型92万ドットで、アスペクト比はイメージセンサーと同じ4:3です。電子水準器は、画面のようなバー形式のタイプと、丸に横棒タイプから選択することができます。
同じ状態を電子ビューファインダーで表示させたもの。表示内容は基本的に液晶モニターと同じです。比較的高精細のEVFですので、クリアーな見え方だと思います。また、動く被写体に対する追随性も十分高速でした。
液晶モニターを稼働させた状態。比較的視野角の広い液晶パネルが採用されています。
ボディ単体での重量実測値は348.0gでした。本体のみの重さは公表されていません。
バッテリーとメモリーカードを挿入した状態での重量実測値は397.0gでした。メモリーカードによって変わりますが、メーカー公表値は399gです。 COOLPIX P7800のバッテリー関係をチェック
同梱されているバッテリーチャージャーMH-24。コンパクトカメラ用のものとしては比較的大型です。EN-EL14の充電には最大で約1時間半かかります。
コンセントに接続するプラグ部分は回転して格納できます。接続するコンセント側にスペースが必要となりますが、可搬性の点でメリットとなります。チャージャーは中国製。
バッテリーパックEN-EL14。容量は7.4V 1030mAhで、静止画であれば約350コマの撮影が可能です。
バッテリーパックの裏面には偽造防止のホログラムも貼付されています。セルは中国製で、パッケージングはインドネシアで行われています。 COOLPIX P7800の付属品をチェック
付属するUSBケーブル UC-E16。パソコンやプリンター等との接続に使用します。ノイズ低減用のフェライトコアが付けられています。
付属するストラップ。ロゴの部分はフェルトのようなものが貼付されています。つくり自体はしっかりとしています。
COOLPIX P7100ではレンズバリアー方式でしたが、P7800ではP7700と同様にレンズキャップ方式になりました。おそらくレンズの大口径化に伴い、内蔵することが難しくなったためと思われます。
レンズキャップの裏面。両側にストッパーが装着されています。キャップの型番はLC-CP26となっています。これは26mm径用のレンズに対応していることを示すものです。中国製。 Sponsored Links 3.COOLPIX P7800の描写性能はどうか?描写力チェック1:高感度性能COOLPIX P7800のイメージセンサーおよび画像処理エンジンは、基本的に前機種であるCOOLPIX P7700と同等のものが搭載されています。そのため、設定できる感度はもちろんですが、撮影画像のノイズ感なども、ほぼP7700と同じ傾向でした。P7800の基本感度はISO80で、標準ではISO3200まで、拡張設定ではISO6400相当まで設定できます。 高感度性能については、撮影メニューの中に「ノイズ低減フィルター」の項目があり、「弱め」「標準」「強め」の3段階で設定できるようになっています。出荷状態では「標準」になっていました。COOLPIXP7800はRAW撮影も可能ですので、撮影後にパソコン上でノイズリダクション処理をかけることもできます。 下記のサンプルは、各ISO感度別にテスト撮影を行ったものです。ノイズ低減フィルターを標準に設定したものでチェックすると、ISO800まではほとんどノイズを感じませんが、ISO1600あたりから暗部などでノイズが目につくようになります。ISO3200になるとそれなりに目立つものの、それほど不自然な印象はありません。ISO6400になるとかなりノイズが増え解像感の低下も感じられますが、緊急避難というほど描写性能が低下するわけではありませんので、使い方を工夫することで十分活用可能であると思います。 下記のサンプルは画像の一部を等倍で切り出したものですが、クリックすると元画像が表示されますので、あわせて参照していただければと思います。
ISO80(「弱め」「標準」「強め」) 描写力チェック2:歪曲収差COOLPIX P7800に搭載しているレンズは35mm換算で28mmから200mmの光学7.1倍ズームであり、高級コンパクトの範疇では比較的ズーム域が広いレンズであると思います。レンズ自体も、前機種であるP7700と同じものが搭載されています。COOLPIX P7800には撮影メニューの中に「ゆがみ補正」の項目があり、ONとOFFのどちらかを設定できます。ONにするとレンズの歪曲収差が補正されるものの、その分画像周辺部が切り取られることになります。標準設定ではOFFにされています。 下記のサンプルは、「ゆがみ補正」をOFFとONの両方でテストしたものです。補正をOFFにすると、広角端では樽型の収差が認められ、望遠側に移るにつれ糸巻型の収差となります。広角端では画面周辺でやや目立つものの、高倍率ズームであることを考えると良好に補正されているレンズであると思います。 ゆがみ補正をONにすると、さらに歪曲収差が良好に補正されました。広角端ではわずかに樽型収差が残っていますが、ズーム全域できれいに補正されています。 標準のままでも歪曲収差がそれほど目立つことはありませんが、被写体によっては積極的にゆがみ補正を活用することをお勧めします。 焦点距離:6mm(35mmサイズ換算28mm) 焦点距離:11.0mm(35mmサイズ換算50mm) 焦点距離:22.1mm(35mmサイズ換算105mm) 焦点距離:42.8mm(35mmサイズ換算200mm) 描写力チェック3:解像力レンズ固定式のカメラでの解像力テストでは、イメージセンサーとレンズの両方の実力が試されることになります。いつもの通りISO12233準拠チャートを使用して解像力チェックを行いました。結果は、前機種であるCOOLPIX P7700と同様に、高級コンパクトらしい高い解像力を示しました。35mm換算で28mmの広角端では、開放から高い解像力です。わずかにモアレの影響が出ていますが、十分2500本のラインを視認することができます。有効1219万画素の力をきれいに発揮していると言えます。望遠側に移るにつれ、わずかに解像感の低下が認められますが、それでもコンパクトカメラとしては非常に良好で、すべてのズーム域で概ね2500本のラインが視認できました。 画像周辺部についても、全般的に鮮明度の高い画像となっています。周辺部に関しては、35mm換算で標準域から中望遠域の画像が一番しっかりとしている印象を受けましたが、これもCOOLPIX P7700と同じ傾向です。 実際のチャートは画像をクリックすると表示されますので、あわせて確認をしていただければと思います。
6.0mm域(35mmサイズ換算28mm) F2.0 機能チェック(おまけ):連続撮影枚数ニコンによると、 COOLPIX P7800の連写性能は次の通りです。
使用したメモリーカードは高速タイプのものです。 (SanDisk ExtremePro Class10 Read 95MB/s Write 90MB/s)
連写Hまたは連写Mでは6コマまで、連写Lでは30コマまでの連写が可能で、枚数を撮り終えると撮影は停止します。これはファイルサイズや画質による影響はありませんでした。 ただし、連写L時は、RAW+JPEGやRAWでは概ね2.4秒毎に1コマのペースでしたが、JPEGでは1秒毎に1コマのペースで撮影できました。印象的には、連写Lではバッファーを使わずに直接メモリーカードに書き込みをしているようで、ファイル容量が大きいフォーマットでは若干遅くなるのかもしれません。 また、連写中は液晶モニターが停止またはコマ送り状態になります。 上記のようにCOOLPIX P7800では、デジタル一眼レフのような連写は難しく、基本的には1枚1枚を丁寧に撮るタイプのカメラだと感じました。 4.結局、COOLPIX P7800は「買い」か?独断 素晴らしい! ![]()
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Sponsored Links 付録 製品仕様からみたCOOLPIX P7800の特長
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