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特集 Canon PowerShotS120
キヤノン PowerShotS120 ~描写性能を強化した五代目の「S」 |
キヤノン PowerShotS120
by Inaba Kunio
描写性能を強化した五代目のスタイリッシュ高級コンパクト
評価:5.0
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1.PowerShotS120の位置づけと概要明るいレンズと新型画像処理エンジンを搭載キヤノンの高級コンパクト、PowerShotS120、PowerShotS200、PowerShotG16 が発売開始となりました。この中でPowerShotS120は、2012年10月に登場したPowerShotS110の直系後継機であり、描写性能を中心とした強化がされています。 2012年10月に登場したPowerShotS110。
→発売前の記事「一口レビュー:描写性能を向上させた5代目」はこちら。 上記の記事にも記載しました通り、PowerShotS120の主な特徴は次の通りです。
カメラとしての基本機能はPowerSHotS110を踏襲していますが、描写性能や高速性の面で大きく進化したと言えます。 S120とS200、S110。どれを選ぶべきか?店頭を見ると、しばらくの間は新製品のPowerShotS120やPowerShotS200と一緒に、前機種であるPowerShotS110も併売されるものと思われます。現時点での実売価格は、S120の4万円台半ばに対し、S200は3万円前後、S110は2万円台半ばとなっています。 左から、PowerShotS120、PowerShotS200、PowerShotS110。
まず最初に、屋内など暗いシーンでの撮影や、より高速なレスポンスや連写性能を必要とされる方は、やや高めではあるもののS120の一択になると思います。動画性能も60pのフルHDで撮影できるのはS120だけですので、この点を重視される方も同様です。逆に言えば、それらが気にならないのであれば、価格面を重視してS200やS110からの選択でも良いかもしれません。発売直後ということでS200の方が高い間は、機能面でも充実しているS110の方がお勧めかもしれません。とくにS200はRAWでの撮影には対応していませんので、逆に言えばそうしたニーズのない使い方にフォーカスした製品と言えると思います。 【PowerShotS120とS200、S110の比較】
それでは、五代目の「S」となるPowerShotS120の実力をテストしてみます。
2.PowerShotS120を開封し外観をチェックキヤノン PowerShotS120を開封するキヤノンのPowerShotS120が発売開始となりました。PowerShotS200と同時スタートですが、S200はイメージセンサーがCCDであったりRAW非対応などの違いがあります。販売開始時の実売価格は4万3千円前後でした。2012年10月登場のPowerShotS110 のスタート価格は4万円前後でしたので、機能強化された分、やや高めと言えます。 なお、PowerShotS110はブラック、ホワイト、シルバーの3色が用意されていましたが、PowerShotS120はブラックとシルバーの2色となります。ホワイトもしっとり感がありましたので少々残念な気もします。なお、S200はブラックとホワイトの2色となります。
PowerShotS120のパッケージは濃紺をベースにした薄型サイズです。前機種のS110やS100等と同じデザインです。
蓋を開けると、上に簡易トレイが置かれており、ユーザーガイドや保証書等が載せられています。保証書は国内でのみ有効なものです。
ユーザーガイド等が入っているトレーの下には、カメラ本体や付属品が格納されています。上の白い包みがカメラ本体で、右下はバッテリーチャージャーです。シンプルなパッケージだと思います。
同梱されている付属品。左上よりユーザーガイド、バッテリーチャージャーCB-2LY、バッテリーNB-6LH、リストストラップ。ソフトウェアは付属していませんので、CameraWindow(画像の取り込みやカメラの設定用)、ImageBrowserEX(画像の閲覧、管理、印刷用)、DigitalPhotoProfessional(RAW画像の閲覧、現像、編集用)はキヤノンのサイトからダウンロードする必要があります。また、USBケーブルは付属しませんが、画像データはWi-Fiを使うかメモリーカードでパソコン側に移すことが可能です。 Sponsored Links キヤノン PowerShotS120の本体をチェック
ボディ前面。PowerShotS110の直線的なデザインから、S95以前の丸みを帯びたデザインに戻っています。レンズの開放F値はF1.8-5.7になり、少々明るくなっています。
ボディ液晶画面側。基本的なレイアウトは前機種S110等とほぼ同じです。親指部分のゴムの形状が変わっています。液晶モニターも92万ドットに高精細化されました。S110と同様にタッチ操作にも対応しています。
ボディ上面。パネルは艶のある塗装のように見えますが、ON/OFFボタンを中心とした同心円の細かい溝が掘られています。上面のレイアウトも基本的にはS110を踏襲しています。
ボディ底面。三脚用の穴は金属製で、レンズ光軸上に配置されています。向かって左側はバッテリー室の蓋で、この中にバッテリーとメモリーカードが格納されます。カメラ本体は日本製。購入したカメラのS/Nは2xxxでした。
ボディ左側面。新たに内蔵ストロボポップアップスイッチが搭載されています。その上にあるのはストラップ取り付け部で、S110よりも大型化されています。右側にもありますので、両吊にも対応しています。
ボディ右側面。こちら側には外部接続端子が置かれています。ストラップ取り付け部は両吊対応ですが、付属しているのは片吊用のリストストラップとなります。オプションでネックストラップ付のソフトケースが用意されています。
ボディ右肩にあるCanonのロゴ。刻印された中に白いインクが流し込まれています。シルバーボディの文字色は黒になります。
レンズ右下にある機種名のロゴ。S110では印字でしたが、S120では刻印に変更されています。
軍艦部右側のシャッターボタン周辺。シャッターボタンと同軸にズームレバーが置かれています。S110ではボディ上面に単独のWi-Fiインジケーターランプが置かれていましたが、S120では省略されています。
モードダイヤルに設定された項目は、ほぼS110と同じです。モードダイヤルの「プラスムービーオートモード」は、S110で追加された「ムービーダイジェストモード」と同等の機能で、静止画撮影時に前の2~4秒分を動画として記録し、1日分をまとめてファイル化するものです。
液晶側のメインコントロール部。ボタンやダイヤル類はS110と同じです。右下の丸型部分はコントローラーホイールとして機能します。ボタン形状は中央部が突出するとともに、周りにガードの土手が設けられています。S110よりも押しやすくなっています。
ボディ上面。左上にある四角は内蔵ストロボの上部です。その右にある5つの穴は、中央部3穴がスピーカー、その両側がステレオマイクとなります。
レンズ周辺には初代S90からのコントローラーリングが配置されています。DMC-RX100やDMC-LF1などにも搭載されており、薄型高級コンパクトの標準的なインターフェースの一つと言えるかもしれません。
外部接続端子カバーの内側。上から、A/V OUTとDIGITAL兼用端子とHDMIミニ端子となります。この部分はS110と共通です。
新設されたストロボポップアップスイッチ。機械式のため、電源が入っていない状態でも機能します。S110では、ストロボ設定によって自動的にポップアップしましたが、中上級者であればスイッチ操作の方がわかりやすいと思います。
内蔵ストロボをポップアップさせた状態。写真のレンズは広角端です。
同じく内蔵ストロボをポップアップさせた状態。写真のレンズは50mm相当の画角で、概ねこの時にレンズ長は最短となります。
こちらは望遠端の状態です。この時にレンズ長は最長となります。
バッテリー室カバーを開いた状態。メモリーカードの挿入方向を示すガイダンスが貼付されています。バッテリーの挿入方向は表示されていませんが、誤った方向で挿入してもロックがかからないようになっています。
バッテリーとメモリーカードを挿入しつつある状態。メモリーカードはラベル面が前側となります。
液晶モニターはタッチ対応で、92万ドットに高精細化されました。ヒストグラムや電子水準器の表示も可能です。
カメラ本体の重さは実測値で194.0gでした。メーカー公表値は193gです。
バッテリーとメモリーカードを挿入した状態の実測値は217.5gでした。メモリーカードのよって異なりますが、メーカー公表値は217gです。
PowerShotS120(左側)とPowerShotS95(右側)を比較したものです。S95のサイズとデザインは、ほぼPowerShotS200と同じです。
PowerShotS120(左側)とPowerShotS95(右側)。液晶パネルはどちらも3型ですが、S120の方が高精細でタッチ操作にも対応しています。
PowerShotS120(左側)とPowerShotS95(右側)。仕様上のボディ厚はほぼ同じですが、S120の方がボディ部分の厚さが薄くなっています。 Sponsored Links PowerShotS120のバッテリー関係をチェック
付属するバッテリーチャージャーCB-2LY。NB-6LHの充電には最大で2時間かかります。
コンセントに接続するプラグ部分は回転して格納できます。接続するコンセント側にスペースが必要となりますが、可搬性の点でメリットとなります。チャージャーは中国製。
付属するリチウムイオンバッテリーNB-6LH。容量は3.7V 1060mAhで、S200やS95等にも使用可能です。静止画であればエコモードで300枚、通常モードで230枚の撮影が可能で、動画であれば連続1時間、CIPA基準では30分の撮影となります。 PowerShotS120の付属品をチェック
付属するリストストラップ。柔軟性のある素材で作られています。 Sponsored Links 3.PowerShotS120の描写性能はどうか?描写力チェック1:高感度性能PowerShotS120の基本感度はISO80で、ISO12800までの設定が可能となっています。これは前機種のPowerShotS110と同じです。高感度性能については、撮影メニューの中に「高感度時NR」の項目があり、「弱」「標準」「強」の3段階で設定できます。PowerShotS120はRAW撮影も可能ですので、撮影後にパソコン上でノイズリダクション処理をかけることもできます。なお、RAWまたはRAW+JPEGでの撮影時には、自動的に「標準」での撮影となります。 下記のサンプルは、各ISO感度別にテスト撮影を行ったものとなります。基本的な傾向はPowerShotS110と似ていますが、高感度でノイズリダクションを有効にした時の解像感の低下が低減しているように感じました。 高感度時ノイズリダクションを「標準」に設定しチェックすると、ISO800まではほとんどノイズを感じませんが、ISO1600あたりから暗部などでわずかながらノイズが見えてきます。ISO3200になるとそれなりにノイズが目立つようになってきますが、実用レベルであると思います。ISO6400以上になるとかなりノイズが増え解像感の低下も感じられますが、使い方によっては等倍画像でも活用可能だと感じました。 高感度ノイズリダクションを「標準」にすると、かなりノイズ感は改善されますが、わずかながら解像感にも影響はあります。「強」にすると、さらに高感度ノイズは低減化されましたが、解像感の低下はやや目立つようになります。 下記のサンプルは、高感度ノイズ低減を「弱」、「標準」、「強」の3段階で各ISO感度の撮影を行ったものとなっています。表示画像は等倍画像ですが、クリックすると全体画像が表示されますので、あわせて比較をしていただければと思います。
ISO80 Sponsored Links 描写力チェック2:歪曲収差キヤノン PowerShotS120は、35mm換算で24-120mm、光学5倍ズームレンズを搭載しています。PowerShotS110と比較するとわずかながらレンズが明るくなっています。レンズ構成はほぼ同じと思われますが、周辺部の歪曲収差はわずかながらS110よりも強めに出ているように感じました。PowerShot S120にはカメラ内の設定で「ゆがみ補正」等の項目はありませんので、必要であれば撮影後にソフトウェアで補正をかけることになります。 下記のサンプルは、広角端24mm相当、35mm相当、85mm相当、望遠端120mm相当で撮影したものです。いずれも絞り開放となっていますが、コンパクトな5倍ズームレンズ搭載機としては、歪曲収差、周辺光量不足とも良好に補正されています。 歪曲収差に関しては、広角端ではわずかに樽型収差を確認することができますが、24mm相当の画角を考えると気にならないレベルであると思います。その後、望遠側に移るにつれ補正がされていき、望遠端でほぼ完全に樽型収差が補正されていました。
5.2mmF1.8(24mm相当) Sponsored Links 描写力チェック3:解像力レンズ固定式のカメラでの解像力テストでは、イメージセンサーとレンズの両方の実力が試されます。いつもの通りISO12233準拠チャートを使用して解像力チェックを行いましたが、結果は、コンパクトカメラとしては高い解像力を示しています。まず画像中心部に関してですが、24mm相当の広角端では、開放ではやや柔らかさが残っているものの2段程度絞ると解像感が向上します。わずかにモアレの影響が出ていましたが、概ね2300本あたりまでラインを視認することができました。望遠側に移るにつれ、わずかに解像感の低下が認められましたが、望遠端でも2100本のラインを確認することができました。 画像周辺部については、広角端絞り開放では柔らかい描写であるもの、やはり2段程度絞るとかなり鮮明な画像となります。望遠端に移るにつれ、絞り開放での画像がしっかりとしてきますが、やはり1段程度絞るとさらに良いと思います。 レンズが明るくなった分、絞り開放での鮮明度はPowerShotS110の方が高かったように感じますが、S120も絞ることで解像感は上がりますので、撮影シーンに応じて積極的に絞りを変えると良いかもしれません。 下記の切り出し画像は概ね1/2に縮小してあります。実際のチャートは画像をクリックすると表示されるので、ぜひ直接確認していただければと思います。
5.2mm F1.8 (35mm換算24mm相当) Sponsored Links 機能チェック(おまけ):連続撮影枚数キヤノンによると、 PowerShotS120の連写性能は次の通りです。
(SanDisk ExtremePro Class10 Read 95MB/s Write 90MB/s)
JPEGでの撮影時には、実質的に10コマ/秒でカード容量一杯まで撮影可能ですので、コンパクトカメラとしてはトップレベルの連写性能であると感じました。 RAWやRAW+JPEGでの撮影時には、概ね2コマ/秒のペースに落ちますが、それでもそのままカード容量一杯まで撮影が可能でした。連写速度自体についてはもう少々という気もしますが、そのまま最後まで連写できるので使い勝手は良いと思います。 なお、最初から最後までほぼ同じペースで撮影できましたので、どの時点でバッファーメモリーが一杯になったのかはわかりませんでしたが、これはある意味で理想の状態かもしれません。 Sponsored Links 4.結局、PowerShotS120は「買い」か?独断 素晴らしい! ポイント
独断 もう一息! ポイント
Sponsored Links 付録 製品仕様からみたPowerShotS120の特長
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