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特集 EOS6D
キヤノン EOS6D ~小型多機能フルサイズ・デジタル一眼レフ |
キヤノン EOS6D
by Inaba Kunio
キヤノンの小型多機能フルサイズ・デジタル一眼レフ
評価:5.0
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1.キヤノン EOS6Dの位置づけと概要フルサイズの多機能デジカメキヤノン、ニコン、ソニーから、相次いでフルサイズデジカメが登場しています。各社のフラグシップモデルとなるEOS-1DX、D4、α99に加えて、ニコンからはD800/D800EとD600が、ソニーからはDSC-RX1が発売となりましたが、キヤノンからは3月のEOS5DMark3に続き、EOS6Dがリリースされました。EOS6Dの位置づけは、フルサイズ機におけるミドルクラスモデルというもので、EOS5DMark3の下位モデルとなります。このあたりは、ニコンのD800とD600の関係に似ています。 しかし、ニコンのD600を一言で表すと「D800の小型軽量モデル」となったのに対し、キヤノンのEOS6Dを「EOS5DMark3の小型軽量モデル」という表現は、必ずしもEOS6Dの姿を正しく表していないように思います。言いかえると、EOS6DはEOS5DMark3とは違った魅力を持っているということになります。 EOS5DMark3と比べたEOS6Dの特徴は?それでは、具体的にEOS6DとEOS5DMark3の違いについてみてみたいと思います。両機の主な違いは次の点です。
キヤノンでフルサイズを選ぶメリットキヤノンの魅力をあげると、豊富なレンズ資産が第一に来ると思います。デジタル一眼レフ用の現行レンズを見ると、広角ズームレンズが4本(うち1本がEF-Sレンズ)、標準ズームレンズが10本(うちEF-Sレンズは6本)、望遠ズームレンズが12本(うちEF-Sレンズは2本)、単焦点レンズは、36本(うちEF-Sレンズはマクロ1本のみ)となっており、圧倒的にフルサイズに対応するものが多く揃っています。とくに、広角ズーム、標準ズーム、望遠ズームの分野でF2.8とF4の2つのラインを持っているなど、撮影スタイルにあったレンズの選択が可能です。手振れ補正機能ISを搭載するレンズも増えてきており、使い勝手の良いシステムを構築できます。 それでは早速、キヤノンのフルサイズ対応デジタル一眼レフ、EOS6Dの実力をチェックします。 ![]()
2.キヤノン EOS6Dを開封し外観をチェックキヤノン Canon EOS6Dを開封するキヤノンのEOS6Dはフルサイズの新しいラインアップとして登場しました。予定通り11月30日の発売日には、店頭にも比較的潤沢に在庫が用意されていたようです。EOS6Dの販売形態は、ボディ単体の他に、EF24-70mm F4L IS USMとEF24-70mm F4L IS USMのどちらかのレンズが付属するレンズキット2種類の計3つとなります。どちらも開放絞りF4固定のLレンズで、高い描写性能が期待されます。また、EF24-70mmは、レンズ単体では12月中旬に発売開始となる新型レンズです。 価格コムの最低価格をみると、ボディ単体が約17万円、24-70mmレンズキットは約30万円、24-105mmレンズキットで約24万円となっています。 今回は24-105mmレンズキットを購入しました。
キヤノン EOS6D 24-105mmレンズキットのパッケージ。フルサイズのボディとLレンズのキットのため、比較的大きめのサイズです。パッケージにはレンズを装着したカメラの写真が印刷されています。
ケースを開けると、カメラ本体とレンズの保証書が置かれており、その下が写真のようになっています。カメラ本体は中央部右側にある段ボール内に格納されており、その右には取扱説明書やCD-ROM等が入っています。左側の箱にはレンズだけでなく、バッテリーやストラップなどの付属品も入れてありました。
中から出てきた付属品。左上からカメラ使用説明書、ソフトウェア使用説明書CD-ROM、カメラ使用説明書CD-ROM、ソフトウェアCD-ROM、Wi-Fi機能GPS機能使用説明書、Wi-Fi/GPS機能規制に関する注意シール、ポケットガイド、ステレオAVケーブルAVC-DC400ST、インターフェースケーブルIFC-200U、充電器バッテリーチャージャーLC-E6、電池バッテリーパックLP-E6、ワイドストラップEW-EOS6D。取扱説明書はすべて紙でも入っているのには好感を持ちました。また、パソコンと同じようにWi-Fi/GPSの注意シールが入っています。 Sponsored Links キヤノン EOS6Dの本体をチェック
ボディ前面。EOS5DMark3よりも一回り小型化されましたが、基本的なデザインは共通しています。表面処理も指紋が付きにくくなっており、高級感があります。
マウント内。フルサイズに対応した大型のミラーが内蔵されています。
マウント口からフォーカシングスクリーンを見たところ。EOS5DMark3は固定式ですが、EOS6Dでは交換可能となっており、標準ではEg-A
IIが装着されています。方眼プレシジョンマットのEg-Dや、開放F値が2.8よりも明るいレンズを使用した時にピントの山をより鮮明につかむことができるスーパープレシジョンマットEg-Sに交換できます。
ボディ液晶モニター側。EOS5DMark3では液晶の左側にもボタンがあったが、EOS6Dでは右側に移設されています。配置は異なるものの、主なボタン類はEOS5DMark3を踏襲しています。単独であったマルチコントローラーはSETボタンとサブ電子ダイヤルの間に置かれています。
ボディ上面。EOS6Dはキヤノンのフルサイズ機のなかでは末弟にあたりますが、ボディ上面には液晶パネルが設置されているなど、上級機としての装備が施されています。
ボディ底面。グリップ部分の内側は電池室となります。三脚用の穴はレンズ光軸上に配置されています。ボディ本体は日本製。マウント基部にあるボタンは絞り込みボタンです。
ボディ左側面には、外部接続端子が置かれています。その上にはスピーカー用の穴が開けられています。。
ボディ右側面。メモリーカードスロットは単独で設置されています。ストラップ取付部は固定式となっていますが、これはEOS5Dmark3も同じです。
ペンタ部にあるCanonのロゴ。刻印された上に白いインクが流し込まれています。
EOS6Dのロゴ。EOS5DMark3ではCanonのロゴと同じようにへこんでいましたが、EOS6Dでは出っ張っています。ロゴの下にある3つの穴はマイク。
グリップ部の前面。シャッターボタンの下にあるのはリモコン受光部で、その右にセルフタイマーランプが置かれている。AF補助光は搭載されていないが、対応する外付ストロボを装着すると発光させることができる。
大型のモードダイヤル。中央部にあるボタンはロック解除ボタン。誤って回転させてしまう危険性は低い。モードダイヤルの基部に電源スイッチがある。このあたりの構造はEOS5DMark3と同じ。
液晶パネルの前にあるボタンはEOS5Dmark3のものとほぼ同じだが、配置や機能が一部入れ替えられている。その前にはメインコマンドダイヤルが置かれている。
光学ファインダーの基部には視度補正ダイヤルがある。その前にある白い標識は撮像面の位置を示すもの。手前にあるダイヤルとボタンは、ライブビューと動画撮影を切り換えるもので、写真の状態でボタンを押すとライブビューの開始/終了となります。
グリップ部のボタン類。EOS5DMark3では液晶モニター左側にあったボタンも、こちらに移設されています。右下のLOCKスイッチはメイン電子ダイヤル、サブ電子ダイヤル、マルチコントローラーをロックするスイッチです。
光学ファインダーの接眼部。視野率は0.97倍ですが倍率はEOS5Dmark3と同じ0.71倍が確保されています。大型のペンタプリズムが採用されています。
モードダイヤルの前にはMENUボタンとINFO.ボタンがあります。INFO.ボタンは液晶モニターの表示内容の切換等に使います。
ペンタ部の上部にはアクセサリーシューが置かれています。カバー類は装着されていません。
ボディ右側にあるメモリーカードスロットを開いた状態。蓋の部分に挿入方向のガイダンスが刻印されています。EOS5DMark3ではCFとSDのダブルスロットでしたが、EOS6DではSDカードのみのシングルスロットとなっています。
メモリーカードを挿入しつつある状態。カードのラベル面が手前側となります。
ボディ左側面にある外部接続端子。防塵防滴性のため、カバー自体はゴム製となっており、左右を独立して開閉できます。左上よりリモコン端子、外部マイク入力端子、A/V
OUT DIGITAL端子、HDMIミニ端子となります。
バッテリー室の蓋を開いた状態。蓋の部分にはバッテリーとACアダプターの挿入方向のガイダンスが刻印されています。
バッテリーを挿入しつつある状態。
液晶パネルはEOS5DMark3の3.2型に対し3型とやや小さくなりましたが、視認性の高い高精細なパネルが使われています。電子水準器やヒストグラムの表示も可能です。
機能設定メニューの中には、取得している認証マークを表示する項目もあります。
液晶パネルの表示内容。右上のボタンを押すと照明を点灯させることもできます。このあたりはフィルム一眼レフから引き継がれてきた機能。新しいところでは、Wi-Fiモードも表示されています。
EF50mmF1.4を装着した状態。落ち着いた外観だと思います。 Sponsored Links バッテリー関係をチェック
バッテリーチャージャー LC-E6。LP-E6に対応するもので、EOS5DやEOS7D、EOS60Dと共通です。LC-E6の充電に最大で2時間30分かかります。
コンセントに接続するプラグ部分は回転可能となっていますので、可搬性の点で優れています。
バッテリーパック LP-E6。容量は7.2V 1800mAhで、静止画で最大1090枚(ファインダー使用時)、動画で1時間35分の撮影が可能です。撮影可能枚数が多い点は、デジタル一眼レフのメリットの一つだと思います。 Sponsored Links キヤノン EOS6Dの付属品をチェック
付属するステレオAVケーブルAVC-DC400ST。本体のA/V OUT端子に接続します。
付属するインターフェースケーブルIFC-200U。パソコンやプリンターとの接続に使用します。
付属するワイドストラップEW-EOS6D。布製だがロゴ部分は刺繍になっているなど、高級感があるデザインです。
付属するボディキャップ。
ボディマウント部のバヨネットを利用して装着するタイプです。 Sponsored Links 3.キヤノン EOS6Dの描写性能はどうか?描写力チェック1:高感度性能Canon EOS6Dの基本感度はISO100で、標準ではISO25600まで設定可能となっています。拡張設定では低感度側はISO50まで、高感度側はISO102400まで設定可能となっており、これはEOS5DMark3と同じです。ノイズ低減処理のやり方としては、カメラ内で設定する方法と、RAWで撮影しパソコン上での現像段階で行う方法があります。カメラ内でのノイズ低減は、「高感度撮影時のノイズ低減」と「長秒時露光のノイズ低減」の2つとなります。どちらも、撮影メニューの中で設定可能となっています。 「高感度撮影時のノイズ低減」は「OFF」、「弱め」、「標準」、「強め」の4種類の中から設定します。設定するとすべてのISO感度でノイズ低減処理をかけますが、特に高感度での効果が大きくなります。また、低ISO感度では低輝度部分を中心にノイズ低減処理を行います。 「長秒時露光のノイズ低減」は、「OFF」、「AUTO」、「ON」の3種類があります。「ON」にすると1秒以上のシャッター速度で撮影したときに常に長秒時ノイズ低減がかかります。「AUTO」では、1秒以上のシャッタースピード撮影よりも低速撮影時で、長秒時特有のノイズが発生した時にのみ処理がかかります。 イメージセンサーは異なりますが、全体的な高感度性能はEOS5DMark3と似た傾向であると感じました。 高感度ノイズ低減を「OFF」にしても、ISO800まではほとんどノイズ感はありません。ISO1600ではわずかにノイズ感が増えますが、ISO800との違いはわずかです。この傾向はISO3200でも同等です。 ISO3200を超えると暗部を中心にややノイズが目立ってくるとともに、わずかに解像感の低下も感じられますが、ISO6400でも十分実用的なレベルであるように感じました。このあたりまでなら常用可能だと思います。 ISO12800以上になると、等倍ではノイズが目立ちますが、画像自体が破たんしているわけではないので、縮小して利用するなど活用方法によっては十分使えるレベルです。 高感度ノイズ低減を標準にすると、1~2段分程度ノイズが低減化されます。解像感はやや低下するものの、ISO12800以上でもそれなりに使えるレベルとなっており、ISO25600でも十分活用可能だと思います。 ノイズ低減を「強め」にすると、ノイズ感はさらに改善されるものの、解像感の低下もやや目立つようになります。 下記のサンプルは、高感度撮影時のノイズ低減を「OFF」、「標準」、「強め」の3段階で各ISO感度の撮影を行ったものです。高感度撮影時のノイズ低減を「標準」「強め」に設定した時には長秒時露光のノイズ低減も「AUTO」に設定しています。切り出した表示画像はほぼ等倍画像ですが、クリックすると全体画像が表示されますので、あわせて比較をしていただければと思います。
ISO50(左から「OFF」「標準」「強め」) Sponsored Links 描写力チェック2:解像度Canon EOS6Dのイメージセンサーは有効2020万画素です。今回テストしたEF24-105mmF4L IS USMの結果は、基本的に絞り開放から優れた解像力を示しました。このレンズは、広角端では2段絞るとさらに解像力が向上したため、開放絞りF4から2段絞ったF8のもので確認を行いました。広角端が一番解像力は高く、望遠端に向けて徐々に低下していきます。下記のサンプルは、標準域50mmで2段絞ったF8.0のものです。視覚解像度チェック用ライン、限界解像度チェック用ラインとも、2500本ラインを超えて視認可能であり、画素数を活かした高い解像力を示しています。
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限界解像度チェック用のラインでは、わずかにモアレが発生している部分もあるが、2500本まで十分視認できている。
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横方向の限界解像度チェック用のラインでも、同様に2500本ラインは十分視認可能。
Sponsored Links 描写力チェック3:レンズ光学補正機能キヤノンEOS6Dには、レンズの特性による周辺光量の低下と色収差を軽減する「レンズ光学補正機能」があります。撮影メニューの中にある「レンズ光学補正」の中に、周辺光量補正と色収差補正があり、各々「しない」「する」のどちらかに設定できるようになっています。対応しているのは、レンズの光学補正データがあるものに限られ、現時点ではLレンズを中心に約25本のデータが登録されています。なお、未登録レンズの補正データをカメラに登録することも可能です。 今回テストしたEF24-105mmF4L IS USMは対応しているため、レンズ光学補正の有無でどのように変化するのかを確認しました。 EF24-105mmF4Lは、広角端から望遠端まで、比較的周辺光量不足が大きいレンズですが、補正を「する」にすると、良好に補正されます。とくに周辺光量不足に関しては、広角端では周辺部に光量不足が残るものの、標準域から望遠側では、ほぼ完全に補正されました。 基本的には積極的に活用されると良いと感じました。
24mmF4.0 Sponsored Links 4.結局、キヤノン EOS6Dは「買い」か?独断 素晴らしい!![]()
独断 もう一息! ![]()
Sponsored Links 付録1.製品仕様からみた EOS6Dの特長
Sponsored Links 付録2.発売前のファーストレビュー【一口コラム】 キヤノンの小型フルサイズ機キヤノンから新しいフルサイズ機EOS6Dが登場した。位置付けとしては、EOS5DMark3の下位モデルであり、EOSの新しいラインアップとなる。発売は12月上旬の予定で、ボディ単体の予想価格は19万8千円、EF 24-105mm F4 L IS USMが付属するレンズキットは29万8千円となっており、EOS5DMark3よりも10万円程度安価となるようだ。EOS5Dの主な特徴をあげると、次のようになる。
EOS6D(左側)とEOS5DMark3(右側)。幅、高さとも小型化されているが、表面処理をはじめとする作りの部分はかなり似ている。
EOS6D(左側)とEOS5DMark3(右側)。液晶パネルは、どちらも3型104万ドットのものが搭載されている。また、各々専用のバッテリーグリップが用意されている。
EOS6D(左側)とEOS5DMark3(右側)。上面から見ると、やはりかなり似ていることがわかる。ほぼ同等の操作性が確保されている。
クラス的には、やはり先日発表となったニコンD600と同クラスの製品となる。カメラとしての質感を維持したまま10万円程度廉価となった点が一番の魅力かもしれない。ニコンに比べ、キヤノンはよりフルサイズ向けのレンズが厚く展開されているので、今後の展開が期待される。 (2012年9月17日 記) Sponsored Links |
独断 デジカメ対決! ![]() ☆ vs EOS5DMark3 ☆ vs ニコン D600 |
【厳選レビュー記事】◎デジカメWatch 【新製品レビュー】キヤノンEOS 6D2012年12月21日 曽根原昇
◎Itmedia ステップアップはボディとレンズで――キヤノンに聞く「フルサイズ」(後編)2012年12月18日 編集部
◎Itmedia EOS 6Dは何を狙いに生まれたか――キヤノンに聞く「フルサイズ」(前編)2012年12月17日 編集部
◎Itmedia 小型化と低価格化で身近になったフルサイズ一眼レフ――キヤノン「EOS 6D」2012年12月13日 永山昌克
◎ASCii 最新デジタル一眼レフは35mmフルサイズの時代だ!2012年10月12日 周防克弥
◎デジカメWatch 【フォトキナ】インタビュー:「EOS 6D」「EOS M」を加えるキヤノンの新ラインナップ戦略2012年 9月24日 本田雅一
◎ASCii 全部入りのフルサイズ一眼レフ「EOS 6D」を最速フォトレポ2012年 9月17日 編集部
◎Itmedia キヤノン、世界最小最軽量のフルサイズ機「EOS 6D」2012年 9月17日 編集部
◎デジカメWatch キヤノン、35mmフルサイズ小型軽量モデル「EOS 6D」2012年 9月17日 編集部
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【キヤノン EOS6D 基本仕様】
キヤノン EOS6D メーカー製品仕様のページ |
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