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特集 EOS5DMarkIII
キヤノン EOS5DMarkIII ~MarkII上位モデルのフルサイズ機 |
キヤノン EOS5D MarkIII
by Inaba Kunio
Mark2の上位モデルとして登場したEOS 5D Mark3
評価:5.0
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1.キヤノン EOS5DMarkIIIの位置づけと概要高画素フルサイズ機オリンピック・イヤーである2012年、ニコンとキヤノンのフルサイズ機が相次いでモデルチェンジした。新登場したニコンのD4とD800/D800Eに真正面から対抗するのが、キヤノンのEOS-1DXとEOS5D Mark3である。奇しくも、EOS-1DXとEOS5D Mark3の関係は、D4とD800/D800Eのそれと似ている。まず第一に、フラグシップ機であるEOS-1DXとD4が高速性に力点を置いているのに対し、EOS5D Mark3とD800/D800Eは、高画素数が売りとなっている。第二に、前機種ともいうべきEOS5D Mark2とD700と比べ、よりランクが高い機種として「後継機」が設定されている。どちらもファインダー視野率が100%になるとともに、ボディ強度を含めワンランク上、フラグシップ機に準じた中身となっている。 Mark2からの進化点EOS5D Mark2がリリースされたのは2008年11月。3年半の熟成によりMark3がどのように進化したのか、具体的に見てみよう。有効2230万画素 新世代イメージセンサーを搭載まずはじめに、デジタルカメラの心臓ともいうべきイメージセンサーが大きく世代交代している。有効画素数自体は、Mark2の2110万画素に対し、わずか120万画素分増えただけであるが、メーカーによると高感度撮影時のノイズを低減化しただけでなく、解像感と階調性の上でも進化している。また、データの読み出しチャネルを8チャネル(Mark2は4チャネル)化したことで、連写性能の向上等も可能となった。画像処理エンジンはDIGIC4からDIGIC5+にMark3の画像処理エンジンDIGIC5+の処理能力は、DIGIC4の17倍にのぼる。この処理能力を活かし、ノイズ処理アルゴリズムの高度化や多重露出撮影機能、ハイダイナミックレンジモードが搭載されるとともに、レンズ収差補正機能では、歪曲収差補正の色収差補正に加えて新たに色収差補正機能にも対応できるようになった。秒6コマ、0.059秒のレリーズタイムラグイメージセンサーの読み出し速度の高速化と画像処理エンジンのパフォーマンス向上とともに、メカトロニクス部分の改善により、Mark2では最高3.9コマ/秒だった連写速度が、Mark3では6コマ/秒に高速化されている。また、シャッタータイムラグは、EOS-1DXの0.039秒(標準設定では0.055秒)には届かないものの、EOS7Dクラスの0.059秒までブラッシュアップされている。オートフォーカス機能と性能の向上オートフォーカスもMark2から強化された点の一つだ。Mark2ではトータル15点のフォーカスポイントが、Mark3ではEOS-1DXとほぼ同等の61点へと増やされている。AF速度も高速化されるとともに、測距可能な輝度範囲も、低輝度側に1.5段分広げられたので、より暗いシーンでもオートフォーカスが機能するようになっている。視野率100%光学ファインダーを搭載Mark3のクラスがワンランクアップしたことを実感するのは、やはり光学ファインダーまわりである。Mark2の98%も決して低い数値ではないが、100%との間には大きな溝がある。視野率100%の光学ファインダーは、フィルムカメラ時代にはフラグシップ機の要件でもあったが、デジタルカメラでは液晶モニターや電子ビューファインダーでは100%が普通になっているだけに、従前以上に視野率100%の必要性は高まっていると言えるだろう。液晶モニターの大型化と高精細化液晶モニターも重要な進化点の一つだ。Mark2では3型92万ドットだったものが、Mark3では3.2型104万ドットに大型化・高精細化されている。さらにMark2の3型液晶はアスペクト比が4:3であったため、3:2である画像イメージを表示させると液晶上部は撮影情報表示エリアとなってしまっていた。そのため、Mark3で表示される画像イメージは一回り以上大きくなっている。【EOS5DMark3とMark2の比較】
キヤノンがリリースした新世代の高画素フルサイズ機EOS5D Mark3は、Mark2の上位機として位置づけられている。おそらく、今まで以上にプロのニーズにも対応できるカメラとして、幅広く使われるデジタル一眼レフとなるだろう。 それでは早速、三代目のEOS5Dとなる「EOS5D Mark3」の実力をチェックしたい。 ![]()
2.キヤノン EOS5DMarkIIIを開封し外観をチェックキヤノン Canon EOS5DMarkIIIを開封するEOS5DMark3が発表されたのは3月2日。3月下旬の出荷開始予定とのことであったが、実際には3週間後の22日に発売開始となった。当日はニコンのD800もリリースされており、両機種とも予想通りかなりの予約が入っているようだ。いつもの通り発表日に予約を入れたが、すでに多くの予約が入っていた。さすがに今回は入手が少々遅れることを覚悟していたものの、結果的には無事手に入れることができた。EF24-105Lがセットになったレンズキットに関しては、まだ店頭在庫が残っているところもあるようだ。 なお、他機種の話ではあるが、ニコンのD800/D800Eについて、メーカーでは9:1の割合でD800が売れると見込んでいたようだが、実際にはD800Eの引き合いもかなり多いとのことであった。
EOS5DMark3のパッケージ。シルバーを基調とした箱に、EOS5DMark3の画像が貼られている。これは本体のみのものだが、レンズキットでは画像もレンズを装着したものになっている。
ケースを開けると、上段に取扱説明書などが入っており、その下にカメラボディやアクセサリー類が格納されている。右側のプチプチに包まれているのがカメラ本体。
パッケージ内に同梱されている付属品関係。左上よりソフトウェア取扱説明書CD-ROM、ソフトウェアCD-ROM、ステレオAVケーブルAVC-DC400ST、インターフェースケーブルIFC-200U、取扱説明書、アイカップEg、ポケットガイド、バッテリーパックLP-E6、バッテリー充電器LC-E6、ワイドストラップEW-EOS5DMKIII。 Sponsored Links バッテリー関係をチェック
バッテリーチャージャーLC-E6。LP-E6の充電に最長で約2時間30分必要。充電状況を表示するインジケーターが付いており、例えば50%充電されると2回続けて点灯する。このあたりはわかりやすく好感が持てる。
コンセントに接続するプラグ部分は折り畳み可能となっており、持ち運びに都合がよい。テーブルタップを用いるときには他のコンセントと競合する場合があるので、その場合には短い延長コードを使うことになる。
バッテリーパックLP-E6。EOS5DMark2やEOS7Dと同じもの。容量は1800mAhで、静止画で950枚、動画で1時間30分の撮影が可能となっている。
バッテリーパックの端子カバー。予備を持ち歩くときには端子のショートを避けるためにも、カバーの装着をお勧めする。 Sponsored Links キヤノン EOS5DMark3の付属品をチェック
専用ストラップが同梱されている。布製だが製品名の刺繍がされていて高級感がある。
ステレオAVケーブルAVC-DC400ST。本体とAV機器の接続に使用する。
インターフェースケーブルIFC-200U。本体とパソコンを接続するときに使用する。
アイカップEgは別個に梱包されていた。基本的にはカメラ本体に装着したままの運用となるだろう。 Sponsored Links キヤノン EOS5DMark3の本体をチェック
ボディ正面。EOS5DMark2と比べると丸みをおびたデザインとなり、どちらかというとEOS7Dに似ている。カメラ表面は梨地仕上げの塗装がされており、指紋が付きにくくなっているとともに高級感がある。
ボディ液晶側。基本的にEOSシリーズに共通するデザインだが、EOS5DMark2よりもEOS7Dに近い。電源スイッチの場所も、右下から左肩モードダイヤルの付け根部分に変わっている。
EOS5Dのロゴは、掘り込みにインクが流されている。その上の穴はモノラルマイク。
シャッターボタン周辺。シャッターの感触はフラグシップ機に近い。グリップ部のプラスティックはリモコン受信部。その右はセルフタイマーランプ。
頭頂部のデザインもEOSシリーズ共通だが、注意深く見ると機種ごとの違いもある。前機種と比べ、やや丸みを帯びている。
軍艦部左肩のモードダイヤル部分。モードダイヤルには中央部にあるロック解除ボタンを押しながら回す。適度なクリック感がある。その右には、EOS7Dと同様に電源スイッチが配置されている。
液晶左側にも多くのダイヤルが設置されている。このあたりの配置もEOS7Dに近い。
右側グリップ部。こちらもEOS7Dとほぼ同等となっている。
軍艦部右肩には大型の液晶パネルが設置されている。フィルムカメラ時代と比較すると重要性は低くなったものの、撮影に必要な情報が集中的に表示されるため、あるとないとでは撮影のしやすさに大きな差がある。
ファインダー接眼部の右には視度調整ダイヤルが設置されている。その前の印は撮像面の位置を示すもの。
Mark2にはSTART/STOPボタンはなかったが、7D同様に新設された。動画撮影に使うだけでなく、ライブビューモードへの切換が行えるため、撮影スタイルによっては非常に便利である。
右側グリップ部は、メモリーカードのカバーを兼ねている。カバー部分にもゴム処理がされたため、グリップ感が向上した。
左側グリップ部には外部端子が配置されている。
ボディ上面。グリップ部分は前機種よりも深くなっている。手が大きい人にとっては握りやすくなっただろう。
メモリーカード部分のカバーは手前にスライドさせて開く構造となっている。
メモリーカード部分を開いた状態。カバー部分には、挿入方向のガイダンスシールが貼付されている。第1スロットはコンパクトフラッシュ、第2スロットはSDカード用となる。両方のスロットにカードを挿入すると、自動切り替えや振り分けが可能となるだけでなく、同一内容を両方のメディアに記録することもできる。
両方のカードを挿入しつつある状態。コンパクトフラッシュカードはTYPE Iの厚さのものに対応している。
外部端子カバーには、内蔵されている端子の種類が記載されている。
端子カバーは左右別々に開くことができる。左上から、外部マイク入力端子、シンクロ端子、リモコン端子、右上に来てヘッドフォン端子、A/V OUT
DIGITAL端子、HDMI出力ミニ端子となる。
ボディ底面。グリップ部分にはバッテリー室がある。三脚用穴はレンズ光軸の中心に配置されている。カメラ本体は日本製。
マウント開口部からファインダー側を見たところ。ここには一眼レフカメラならではのファインダースクリーンが配置されていることがわかる。ファインダー内にグリッドや水準器の表示も可能。
バッテリー室蓋の端子部分には、バッテリーやDCカプラー等の挿入方向のガイダンスが刻印されている。
電源を入れると液晶表示パネルに情報が表示される。撮影に必要な最低限の情報は、ここを見るだけでわかるようになっている。
液晶パネルは3.2型に大型化されるとともに、イメージセンサーと同じ3:2のアスペクトになったため、表示される画像はひとまわり大きくなっている。前機種で不評だった点がここでも改良されている。
EF50mmF1.4USMを装着した状態。フルサイズ機は特に標準レンズが似合っていると思う。 Sponsored Links 3.キヤノン EOS5DMarkIIIの描写性能はどうか?描写力チェック1:高感度性能EOS5DMark3の基本感度はISO100で、標準ではISO25600まで設定可能となっている。拡張設定では、低感度側の設定でISO50が可能になるとともに、高感度側もISO102400が上限となる。ノイズ低減処理のやり方としては、カメラ内での設定と、RAWで撮影しパソコン上での現像段階で行う方法がある。カメラ内でのノイズ低減は、「高感度ノイズリダクション」と「長秒時ノイズリダクション」の2つがある。どちらも、撮影メニューの中で設定可能である。 「高感度ノイズリダクション」は「オフ」、「弱め」、「標準」、「強め」の4種類がある。設定すると高感度での効果が大きいが、低ISOでもノイズ低減を行う。基本的には、初期設定である「標準」のままで良いだろう。 「長秒時ノイズリダクション」は、「する」と「しない」、「自動」の3種類がある。これも基本的には初期設定の「自動」で良いが、「オン」にすると1秒以上のシャッター速度で撮影すると常に長秒時ノイズリダクションがかかる。 前機種であるEOS5DMark2と比較すると、画素数が増えているものの、総じてノイズレベルは低下している。この間のセンサー技術、画像処理技術の進化がきちんと反映されていることが確認できた。 高感度ノイズリダクションをオフにしても、ISO1600まではほとんどノイズ感はない。ISO3200を超えると暗部を中心にややノイズが目立ってくるが、ISO6400でも十分実用的であるように感じる。ISO12800になると、さすがに等倍ではノイズが目立つが、縮小して利用するのであれば十分使えるレベルだろう。 高感度ノイズリダクションを標準にすると、2段分程度ノイズが低減化される。解像感はやや低下するものの、ISO25600でも十分使えるレベルとなっている。ノイズレベルを強にすると、ノイズ感はさらに改善されるものの、解像感の低下も目立つ。また、いずれの設定でも、ISO102400は緊急避難的な使い方になるように感じた。 下記のサンプルは、高感度ノイズリダクションをオフ、標準、強めの3段階で各ISO感度の撮影を行ったものである。表示画像はほぼ等倍画像だが、クリックすると全体画像が表示されるので、あわせて比較をしてほしい。
ISO50(左から「オフ」「標準」「強め」) Sponsored Links 描写力チェック2:解像度EOS5DMark3のイメージセンサーは有効2230万画素である。今回テストしたEF50mmF1.4USMの結果は、基本的に絞り開放から優れた解像力を示した。このレンズは、3段絞ると、周辺部を含めさらに解像力が向上したため、開放絞りF1.4から3段絞ったF4.0のもので確認を行った。視覚解像度チェック用ライン、限界解像度チェック用ラインとも、2500本ラインを超えており、しっかりした解像力といえるだろう。
Sponsored Links 4.結局、キヤノン EOS5DMarkIIIは「買い」か?独断 素晴らしい!![]()
独断 もう一息! ![]()
Sponsored Links 付録1.製品仕様からみた EOS5DMarkIIIの特長
Sponsored Links 付録2.発売前のファーストレビュー【コラム】Mark2の上位モデルとして登場したEOS 5D Mark3いよいよEOS 5D Mark II の「後継機」、Mark IIIが正式に登場した。3年半ぶりの登場であるが、Mark III の特徴を一言でいえば、Mark IIの後継機としてではなく、上位モデルとして登場したということである。詳細の仕様比較は下記を参照してもらいたいが、単にイメージセンサーの画素数が増えたり、高感度性能が向上したりといった正常進化だけではなく、光学ファインダーが視野率100%になったことや、4月に登場が予定されているEOS-1DXと同じオートフォーカスセンサーが搭載されているなど、ワンランク上の基本性能となっている。搭載されているイメージセンサーも、フラグシップ機であるEOS-1DXは約1810万画素であるのに対し、EOS5D Mark3では約2330万画素と、約3割程度画素数が多い。このことは、ニコンのD800が、ニコンD3Xの後継機的な役割も担っていることと似ているかもしれない。 下記の表は、EOS5D Mark2とMark3の主な仕様を比較したものである。本当の違いは、実際に撮影してみないとわからないとはいえ、スペック表上からも多くのことがわかる。 両機種の主な違いは、
本体のみでは35万8千円の予想価格となっている。これから全面的に比較されることになるであろうニコンD800よりも、やや高めの価格であるが、キヤノンとしても十分成算のある値付けなのだろう。 いずれにせよ、一時フルサイズセンサー搭載機の勢いが鈍化していたが、ニコンやキヤノンから新世代機が登場することで、新たな展開につながっていくのだろう。あとは、ニコン同様、フルサイズのパワーにふさわしいレンズラインアップの強化が期待される。(3月2日 記) 【EOS5D Mark II と Mark IIIの比較】
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独断 デジカメ対決! ![]() ☆ vs ニコン D800 ☆ vs キヤノン EOS6D ☆ vs キヤノン EOS-1DX |
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